ロッキー4/炎の友情(映画)

ページ名:ロッキー4_炎の友情_映画_

登録日:2021/04/07 (水曜日) 23:16:51
更新日:2024/05/27 Mon 10:10:29NEW!
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映画 ロッキーシリーズ 賛否両論 ロッキー シルヴェスター・スタローン ドルフ・ラングレン エンタメ路線 シリーズ最高潮 ロッキー4




『ロッキー4/炎の友情(原題:ROCKY Ⅳ)』は、1985年11月27日に公開された米国のボクシング映画。
監督、脚本、主演はシルヴェスター・スタローン。
言わずとも知れたロッキーシリーズ(映画)の第4作目で、日本での公開は86年6月7日である。


●目次


【概要】

シリーズでも最高の興業収入を記録した大ヒット作品ではあるものの、前作より更にエンタメ路線に傾倒した内容には悪い意味で大きな反響が巻き起こり、下記の通りの不名誉な評価や記録を残している作品でもある。
実際、人間ドラマとしても高い評価を受けている『ロッキー』シリーズながら本筋以外の掘り下げは少なく、最も上映時間が短い。


実は、前作までで三部作として完結させるつもりであった所をシリーズの人気の高さから継続させることになった……ということもそうだが、本作の制作には続編を重ねる毎に厳しくなっていったファンや批評家の目、それとリンクするようなスタローン自身への評価の低迷から抜け出したいという思いもまた要因としてあったのではないかと想像出来る位で、何れにしても多くの意味で以前のシリーズの流れからは浮いた作品ともなってしまった。


先ず、本作の主題とされた数年後のソビエト連邦崩壊へも繋がっていく当時の米ソ両国の雪解けムードを盛り込んだストーリーは、シンプルなボクシング映画であった筈の『ロッキー』のイメージからは大きく外れるものであった。
それでいて、本作でもスタローンが手掛けた脚本は凡庸な出来でデリケートな問題を扱っているにもかかわらずシリーズの売りであった筈のドラマ性は薄く、当時のテンプレとはいえ社会主義国家の価値観を間違ったものとして簡単に否定するようなラストとなったことにはソ連側メディアからも今になって言えば概ねは正しいものの多数のバッシングが寄せられた。


そして、ロッキー最大のライバルにして親友であるアポロまでもがベタな展開の中であっさりと戦死させられたことも従来のファンを失望させるには充分*1であり、結果的に本作をこの年の第6回ゴールデンラズベリー賞の主要な賞の殆どにノミネートさせられてしまう結果となった。


特に、主演のスタローンと本作のライバルであるドラゴの妻を演じた助演のブリジット・ニールセンは、同年に公開されて同じく低評価を受けていた、それぞれの主演作である『ランボー/怒りの脱出』と『レッドソニア』と合わせて、実際に8部門で受賞されるという不名誉な記録を残している。


因みに、スタローンとニールセンは本作での共演を切っ掛けとして結婚(スタローンが最初の妻と別れて再婚)しているのだが……2人の結婚生活は僅か2年弱で破綻している。


前作で主題歌として採用され、本作でも使用されているサバイバーの『Eye of the Tiger』に人気が集まったことを受け、本作では更に多くの楽曲提供を受けると共に実際に劇中でも使用されているのだが、数が多過ぎたのか台詞も無しに曲に合わせて映像が流れるというMV紛いのシーンが頻出する。
これにも批判が集まったものの、前作同様に提供された楽曲自体の評価は高い。


……以上のように基本的にネガティブな意見も多いものの、最初に述べたように配給自体は大成功を納めており、シリーズ全体の流れとしてエンタメ路線を支持出来る人間にとっては本作こそがシリーズ最高潮と推す声もあり、それは紛れもない事実でもある。


一方で本作の最大の功績の一つと呼べるのが、今回のロッキーの対戦相手であり、事実上のシリーズでも最強のライバルとなるドラゴを演じたドルフ・ラングレンの出世作となったことである。


ラングレンは、当時は学生上がりのモデル活動を経て俳優業にシフトしてきたばかりの無名の新人であった。
テスト時には一際目立つ2m近い長身はともかくとして、線が細すぎることから選考から落とされかけていたものの、極真空手の世界的な有名選手にしてプロキックボクシングの経験もあるガチの格闘家オマケにIQ160とも噂された程の超インテリであり、アメリカに来たのも元々は奨学金を得てMITに進んだのが切っ掛けである。であったことから、空手の技巧を取り入れた独特のパンチをテストで見せて注目を集めると、更に自身で熱心な売り込みをしたことが他ならぬスタローン自身に気に入られることとなり、一緒に身体作りに挑む中で殆ど筋肉のみで25ポンドもの増量に成功し、正式に役を獲得することになった。


その甲斐あってか、本作の公開後はハンサムながら不気味さを感じさせるサイボーグめいたルックスと肉体美に注目が集まり、以降もアクション俳優として着実にキャリアを重ねていくことになったのである。


06年の『ロッキー・ザ・ファイナル』にて、生誕から30年にしてシリーズ本編は完結したロッキーシリーズだったが、15年に初の外伝となる『クリード』で復活
そして、その続編となる18年の『クリード 炎の宿敵』ではドラゴの息子が立ち塞がる物語となり、スタローンとラングレンは再びロッキーとドラゴとして“息子達”の戦いを通して対峙することになるのであった。



【物語】

前作でハングリーさを取り戻すと共に、圧倒的なスピードとテクニックで若き挑戦者クラバー・ラングを破り、再び世界チャンピオンに返り咲いたロッキー。
そんな中、それまで社会主義陣営の厚いカーテンに遮られてきたソビエト連邦のアマチュアボクシング協会が、プロボクシング協会に加盟する為に国内のアマチュアチャンピオンであるイワン・ドラゴを伴ってアメリカまでやってきた。


ソ連陣営の目的は、西側諸国に歩み寄ったと思わせておいてスポーツを通じて連邦の威信を見せつけることであり、会見にてロッキーの保持する世界王座への挑戦を要求する。
異様な会見の雰囲気に不安を口にするエイドリアンだったが、その矢先にロッキーの邸宅を最大のライバルにして、今や師であり盟友となったアポロが訪れる。


既に引退を表明していたアポロであった訳だが、未知なる敵であるソ連からの挑戦に戦士としての血が滾り、自分が先ずはぶつかっていくことをロッキーに後押しして貰うべく訪れたのだ。


未知の不安から自分が戦うことにも消極的なロッキーはアポロを説得しようとするのだが、闘志を抑えきれなくなっているアポロに逆に説得されてしまい、あくまでもエキジビションだと断るアポロを信じて、更なる念を押した上でセコンドに付くことを了承する。


……世紀のエキジビションとして行われることになったアポロとドラゴの対決場所は、アメリカの自由とチャンスの象徴ハリウッド。


物々しい雰囲気で入場してきたソ連陣営に対して、アポロはジェームズ・ブラウンの生歌付きのド派手な入場を見せて会場中から拍手喝采を浴びるも、奇しくもアポロもドラゴも“本気”でリングに上がっていたことが、この後の悲劇の引き金となった。


試合開始時から往年の軽快なステップで翻弄にかかったアポロだったが、守りから攻めに転じたドラゴの徹底された管理により改造されたとまで言える肉体から繰り出される殺人パンチの前に一瞬で優位を覆されるアポロ。


異常を察知してタオルを投入しようとするロッキーだったが、アポロは重いパンチに晒されながらもロッキーにタオルを投げ入れるなと指示し、最後まで戦い抜くという意思を示し、ロッキーも見守る決意をする。


そして、完全にフットワークも奪われたアポロに襲い掛かるドラゴの止めとなる殺人パンチ。


専属トレーナーのデュークや夫人達の悲痛な叫びが響く中で遂に倒れ伏したアポロは、そのまま帰らぬ人となるのであった。


人知を越えたドラゴの力を目の当たりにしたロッキーだったが、アポロの死と想いを間近で受け取った者として、エイドリアンの反対を押しきりドラゴとの対戦に臨むこと決意する。


しかし、ドラゴの暴威に恐れをなしたプロボクシング連盟は“世界チャンピオン”を負けさせる訳にはいかないとしてタイトルを剥奪した上にロッキーをバックアップすることを拒否。
……こうして、ロッキーは世界チャンピオンですらない1人のファイターとして、完全なアウェイとなるモスクワでの試合に挑むのだった。


国家の威信をかけ、科学班によって更なる肉体の強化に挑むドラゴに対して、ポーリーとデュークと共に、自らが希望して用意して貰った過酷な大自然の中の小屋へとやって来たロッキーは、自らの野生を呼び起こすかのような思い付く限りの壮絶なトレーニングに挑む。
試合前、あれだけ反対していたエイドリアンもロッキーの下を訪れ、死を覚悟して戦場に向かう夫と口づけを交わす。


……そして、試合当日のクリスマス
国家最高指導者以下、ドラゴの勝利を見に来た連邦の軍人達が無言で見守る異様な雰囲気の中、遂にリングで対峙する両雄。
果たして、巨大な物を背負ってしまったロッキーの戦いの行方は…?



【主な登場人物】


  • ロッキー・バルボア

演:シルヴェスター・スタローン
フィラデルフィア出身の三流ボクサー転じて、遅咲きながらも二度も世界王座を獲得した英雄的チャンプ。
ヘビー級としては小柄なものの、持って生まれた強打と脅威的な顎の強さを持ち、更には不屈の闘志により支えられた、桁外れというかチート級のタフネスの持ち主で、前作を通じて最大のライバルにして盟友であるアポロのスピードとテクニックをも引き継いだ最強のファイター。
アポロの仇討ちとして、全てを捨てる覚悟をしてまでも敵国・・での戦いに臨むが……。
ドラゴに挑む為に、ソ連では敢えて極寒の大自然のど真ん中に建てられた小屋を提供してくれるように依頼し、ポーリーとデュークを道連れに人間の限界に挑むようなトレーニングに挑む。



  • エイドリアン・バルボア

演:タリア・シャイア
ロッキーの妻。
前作に引き続き、ロッキーが尚もファイターであり続けようとしていることに不安を感じている。
アポロの死を受けてもドラゴに挑もうとする夫を理解することを拒んでいたものの、試合の直前には自らもソ連に赴き、これまでと同様に傍らで戦いを見守る。


  • ポーリー

演:バート・ヤング
相変わらずのロッキーの義兄。
いつもの調子で何をする訳でもないがソ連の特訓場所にも付いてくる最高の悪友。


  • ロッキー・ジュニア

演:ロッキー・クラコフ
ロッキーの息子。
流石にソ連までは行かなかったが、友達と共に真夜中の中継で父の戦いを見守る。


  • アポロ・クリード

演:カール・ウェザース
ロッキーの生涯最大のライバルにして伝説のチャンプ。
前作を経て、ロッキーとは無二の親友となっており、引退から数年が経っていたものの、ドラゴの出現に闘志が抑えきれなくなり、エキシビションとはいえ、自分が最初にドラゴに挑むことの後押しをしてくれるように頼みにやってくる。
ドラゴとの試合中では現役時代と変わらぬ華麗なステップを見せていたが、
足運びを誤りふらつく姿を初めて見せるなどブランクを示唆するような描写がある。


  • デューク

演:トニー・バートン
アポロとは長年に渡り二人三脚でやって来た名トレーナーであり、前作を通じてロッキーを生まれ変わらせた恩師でもある。
アポロの無念を背負い戦うロッキーを支え、ソ連の大自然の中でのトレーニングも主導する。


  • イワン・ドラゴ

演:ドルフ・ラングレン
ソ連のアマチュアボクシングチャンピオンにして、共産主義国家の威信を賭けて作り上げられた最強のマシーン。
元々の体格とパワーを、違法で無いのかを疑うレベルの科学的トレーニングと徹底した管理により強化されており、その人智を越えた破壊力を叩き出すパンチにより、後のシリーズにて史上最強のチャンプの一人とすら讃えられているアポロを葬った。
更なる強化を果たしたロッキーとの戦いでは余裕綽々であったものの、圧倒的なパワーで叩き伏せられる度に立ち上がり、遂には反撃までしてきたロッキーの姿に恐怖すら覚えるようになっていく。
そして、ラウンドが終盤に近付く頃には国家の威信を口にした政治委員に反発し、一人のファイターとして戦うと宣言。
ロッキーの挑発に自らも応え、自らも挑戦者として最終ラウンドに挑む。


  • ルドミラ・ドラゴ

演:ブリジット・ニールセン
ドラゴの妻で、ソ連アマチュアボクシング協会の広報も担当する政治委員の人間だと思われる。
完全に政治的な意図に従ってドラゴと結婚したり動いていたのか、熱戦を前に周囲のソ連軍人達が歓声を送るまでになった試合の果てにもドラゴを罵る言葉を吐いていた。


  • ニコライ・ロコフ

演:マイケル・パタキ
ソ連アマチュアボクシング協会の代表。
正体は共産党政治委員だと思われる。






追記修正は世界中にメリークリスマスしてからお願いします。


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  • 何だかんだ言いつつもこの映画に興奮させられた人は多いはず。「俺は自分の為に戦ってるんだ!国の為じゃねえええええッ‼」 -- 名無しさん (2021-04-08 02:44:35)
  • 項目名に炎の友情のサブタイトルまで含めないの? -- 名無しさん (2021-04-08 07:18:27)
  • そう言えばこの時の因縁がサラっと次の世代まで引きずる事になってたっけか・・・ -- 名無しさん (2021-04-08 08:59:02)
  • クリード2でドラゴとの一戦がロッキーの中でもあまり良い思い出になっていない風に描かれているのは哀しかった -- 名無しさん (2021-04-08 15:07:44)
  • アポロ戦は、ドラゴが殺意もってもしょうがないと思うぐらい、会場あげての煽りがひどい -- 名無しさん (2021-04-08 21:36:53)
  • hearts on fireは映像の熱さもあってロッキーの楽曲の中でも屈指のカッコ良さを誇ると思う -- 名無しさん (2021-04-09 08:54:52)
  • 日本の漫画で日米戦をやったら、アメリカが「徹底的にコンピューターで管理された科学的スポーツ信奉者」で日本が「意地と根性と大和魂で戦う熱血漢」で最後は根性が科学を破って勝利。なのにアメリカが作ると「アメリカが根性で科学に勝利」になるという奇妙な違和感。 -- 名無しさん (2021-04-09 23:01:17)
  • 記事名を「ロッキー4/炎の友情(映画)」に変更してもよろしいでしょうか。 -- 名無しさん (2021-04-11 18:23:11)
  • ドラゴのCVが若本さんだから「あしたのジョー」の金竜飛がチラつくw キャラ的にも若干似てるし -- 名無しさん (2022-01-31 10:29:26)

#comment(striction)

*1 前作ではミッキーが死亡しているが、上述のように元々は完結編として位置付けられていた関係もあったからで、展開的にも意味の無いものでは無かった。

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コメント

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