野草の唄(雛咲葉)

ページ名:野草の唄_雛咲葉_

登録日:2019/08/15 (木) 00:20:49
更新日:2024/04/19 Fri 10:59:28NEW!
所要時間:約 14 分で読めます



タグ一覧
18禁 comic快楽天beast エロ漫画 漫画 純愛 階級 昭和 太平洋戦争 雛咲葉



WARNING! この項目は性的表現が含まれております。
18歳未満の方は直ちにブラウザバックすることを推奨いたします。
また、内容のネタバレが含まれますので、閲覧は自己責任でお願いします





慎…どうして



私がこんなに好いているのに






『野草の唄』はワニマガジン発行の『COMIC快楽天BEAST 2014年9月号』に掲載されたエロ漫画
作者は「雛咲葉」。この作品は2011年6月3日*1に発売された単行本『好きな人ができた!』に収録された。
また、続編として『野草の唄~桜花怒涛~』が『COMIC快楽天BEAST 2015年5月号』に掲載されてこちらも『好きな人ができた!』に収録された。


【概要】

明るめの作品が比較的多い雛咲葉氏の作品の中では珍しいシリアスな作風。
片や貧しい農家出身の主人公、片や地主のお嬢様であるヒロインが両思いでありながら、しかし身分違いが男女の障壁になる時代もの。
続編では二人が一緒になれるも、昭和で起きた太平洋戦争*2で日本全体が戦争に突入し、それによって二人が引き離されることを匂わせる展開も描かれている。


【あらすじ】

地主の令嬢であり女学校に通う沙織は彼女の家庭教師を務める慎に蔵で見つけた面白いものを慎に見せようと案内した。
蔵の中に沙織からその面白いものを見せた慎が狼狽した。無理もなかろう、女性が男性の性器を咥えようとする春画だから。
その春画に心ときめかせる沙織に対し、お嬢様にはまだ早いと狼狽する慎だが、その股間は勃っていたのだ。


顔を紅潮した沙織は慎の袴を脱がして勃起した陰茎をまじまじと見るも、ふしだらなことをさせまいと慎は必死に止める。
そんな慎に対して沙織は悲しんでいる。「私がこんなに好いているのに」と、着物をはだけて豊満な乳房を顕にしていく。
沙織は慎に自分の胸を掴ませ、さらには接吻したのだが、慎は尚も頑なに踏み出さず、遂には沙織を突き放して飛び出してしまう。
蔵にひとり取り残された沙織は慎が自分の事を嫌っているのかと思い、泣きそうになり、慎も気が動転してあのような仕打ちをしたことに悔やんでいた。


そんな中、沙織が街の実業家と婚約することを使用人の噂話から耳にした。女学校を卒業したらすぐ婚礼する事に使用人たちは盛り上がる。
慎は沙織が婚約したからあのような行動をしたのかと考える。だが書生のみである自分では沙織と釣り合うわけではない。
それにもともと試験の準備で東京に行くことになる。ならばこの際それを伝えて別れる―――慎はそう考えた。



【登場人物】

  • 浅葱沙織

この物語のヒロイン。矢絣柄の着物と大きなリボン、と如何にもハイカラ女性の格好をしている。
地方の名家である浅葱家の令嬢であり、家族構成は父親と叔母がいるが、母親は早くに亡くした*3
性格もおしとやかであるが、性に関する知識はそれなりにある。慎に好意を抱いており、彼に対しては積極的。
だがその慎が(身分のこともあってか)自分に対して遠慮しがちな態度を取っており、その事に悩んでいる。
一方で街の実業家と婚約しているらしく、女学校を卒業したあとに結婚する身となっているようだが…


  • 木崎慎

この物語の主人公。短髪黒髪の青年。
貧しい農家の次男坊として生まれたが、地主である浅葱家の厚意で書生として住み込みで勉強している。
女学校に通う沙織の家庭教師も兼ねており、その彼女に想いを寄せられており、彼もまた沙織の事が好きである。
だが自分の沙織との身分の差で積極的になれず、それどころか突き放す行動を取ってしまうことも。
そんな中、沙織が街の実業家と婚約したことを知り、大学の試験の準備で上京する事も兼ねて別れを切り出そうとするが……


  • 沙織の叔母

沙織の叔母であり上野桜木の叔母の屋敷で暮らしている。桜花怒涛において登場。
沙織に引けを取らない若々しい美貌を持っており、左目に泣きぼくろがある。
姉(沙織の母親)を早くに亡くしており、その事もあってか沙織は娘も同然であり、沙織からも慕われている。



【顛末】

慎の部屋に駆け寄る沙織は彼に詰め寄った。来週東京へ行ってしまうなんて随分急ではないかと。
しかし慎は色々と試験の準備があるとはぐらかし、婚約を祝おうとするが、婚約は父が勝手に決めただけと沙織は苦渋を滲ませる。
沙織は出来なかった昼間の続きをしようと着物を脱いでいくが、慎は自分などとこれ以上してはダメだと尚も強い言葉で止める。



どうして…


私はこんなに真剣に想っているのに


ずっと…ずっと!



沙織は涙を流しながらも慎に迫るのをやめない。それでも踏み出そうとしない慎に自分が嫌いなのかと問いかける。
だが慎は自分も沙織のことが好きだというが、自分では幸せになれないと諦めの感情を滲ませる。
しかし沙織は慎に口づけをした。自分を今だけでいいから幸せにして欲しいと。
想いを抑えきれなくなった慎は沙織を押し倒し、乳首を舐めながら陰唇に指を入れていった。ようやく自分を貪ってくれたことに嬉しく思う沙織。


股間が勃って来たのを目の当たりにした沙織は慎に我慢しないでと囁いて、互いに交わろうとする。
慎は自分の陰茎を沙織の秘部に挿入しようとするが、「これ以上進んでしまってはダメだと、自分にそんな資格はない」と踏み出せない。
涙を流していることに気づいた沙織は自分の事を思ってくれることを感じながら、優しく抱きしめる。
そのうえで、悲しい顔をしている慎に自分からしてあげると陰茎を触りだし、先端の熱さを感じている。


昼間の時に見ていた「口でしていた春画」を思い出した沙織は慎の陰茎を見て口で咥えようとする。
彼はそんなことしなくてもいいと制止しようとするが沙織は「私がしたいから」と首を横に振った。



んっふぅ♡ これで…いいんだよね


慎…気持ちいい?


うあ…お嬢様……くっ



沙織に陰茎を咥えられた慎は気持ちよさのあまり射精しそうになるが、沙織はそれも良いと続けられて彼女の腔内に出してしまう。
しかし射精は止まらず、精液が沙織にかかってしまった慎は思わず謝ってしまうが、彼女はそれも気にせず、寧ろ顔を火照って気持ちよかったかと確かめる。
慎は自分のためにこんなことしてくれた彼女の想いに応えようとついに沙織と性行為をしようと踏み切った。



お嬢様…ほ…本当によろしいんですね…


私は…もう!


いいよ…きて♡



慎の陰茎が沙織の陰唇に挿入していくが、膣が締め付けていったのかきついと同時に快感を感じる。
初めて挿入された時に痛くないかと沙織に案じる慎だが、彼女は「慎の好きにしていいよ」と寧ろ気持ちよく感じている。
慎は腰を動かしていくが、沙織に口づけをせがまれていき、そのまま膣内に射精していたのであった。


性行為を終えた慎は沙織に二人で一緒に駆け落ちし、大学の試験を辞退して働いて沙織を養おうとする。
そこまでしてくれる慎に対して嬉しく思いつつも、大学に行くことを諦めては駄目だと説得する。では、沙織はどうなるのか…


慎は大学の試験のために上京し、今まで世話になった浅葱家の人たちに別れを告げる。
父親からこれまで娘である沙織の勉強をよく見てくれたと感謝するが、その沙織は朝から姿が見えないのだ。
慎は沙織に宜しくと沙織の父に伝えて後にし、東京行きの鉄道に乗り込んだが、どこか浮かない表情であった。



となり…よろしいですか?


…どうぞ空いてま…す…



慎が見たのは、浅葱家にいなかった沙織であった。どうやら偶然、上野桜木の叔母の屋敷に行くようだ。
実際は大学進学で上京した慎の後を追っていた。どうあれ慎と沙織は二人で一緒にいることができたのであった。


桜花怒涛

満開に咲き誇る桜の下で待っている沙織は慎を待っていた。
しかし上京してからというものの慎と沙織は叔母様に厳しく言われてることもあってか、ずっと清い関係つまり性行為をしてない。
そんな日々に沙織は不満を抱いたのか、慎の手を引っ張って人気のいないところに連れて逢瀬を重ねていた。


口づけを交わして反応した股間を触った沙織は袴をたくしあげて露出した尻を慎に見せつける。もう我慢できないと言わんばかりに。
これを見た慎は「人が来たらどうするんですか」と彼女に注意し、叔母様に沙織を『悪い虫』からお護りしようと彼女に伝えた。
だが彼女からは「今は私のお尻を護って」と売り言葉に買い言葉な返しをされ、結局興奮してしまい挿入することとなった。



はあああぁ…慎のおっきぃ…♡


お嬢様の…なかもすごいですよ…っ



挿入された沙織は喘ぎ声を上げ、しかし膣内が陰茎を締め付けた快感は慎も気持ちよく感じ、後ろから腰を動かしてしまう。
後ろから突かれながらも、好きな人と愛を確かめることが嬉しく感じる沙織に対し「いけないお嬢様ですね!」と言いつつも、慎は止めようとしない。
沙織は唯々慎の名前を言いながら喘いでいき、膣内射精されて絶頂した。


東京の街中で慎はとぼとぼ歩いていた。また勢いに任せて沙織と行為に及んだからであるが、彼女が望んだことである以上気にしていない。
それでも叔母にあれほど釘を刺されたと慎は気落ちするが、そんな彼に見かねた沙織は「私がしたかったんだからいいの!」と叱った。
割と沙織に尻にしかれつつある慎であるが、その横に日本兵が闊歩している。沙織はその事を不思議がるが、慎は何かを恐るようなモノを見ていた。


叔母の屋敷に着いた沙織に慎はその場を後にしようとするが、その彼を屋敷によってらっしゃいと引き止めたのは沙織の叔母である。
その叔母に沙織の袴が少し汚れていることを指摘されてしまい、慎は肝を冷やしながら屋敷に上がったのであった。


沙織が突然上京したこと、それも大学に行く慎を追いかけたことには驚いており、沙織の父親にはとても言えず、取りなすのに苦労したそうな。
とりあえず「これからは婦女子も教育が必要」という名目で沙織の父親を説得するに至ったのだ。
叔母も慎に対して大学で勉強に励めば貧しいででも出世できると激励の言葉を述べていた。慎は叔母の屋敷を後にしたのだが……


下宿先の部屋で新聞を読みながらうたた寝をしてしまった慎だが、冷や汗をかきながら焦燥に駆られている。
日本全体が戦争に向かってしまう今、自分もいずれ徴兵されて戦場に生かされるのか。そうなれば沙織と会えなくなってしまう……
窓を叩く音に気づいた慎が見たのは沙織だった。だが夜中にもし人に見られたら大問題だ。だから沙織は早く部屋に入るようにねだる。


昼間において街中で闊歩した兵隊を目の当たりにして様子がおかしくなった慎を心配してここに訪れた沙織はその事を尋ねる。
しかし彼はこれ以上沙織に心配かけさせまいと、そのことを答えるわけには行かない。
布団が敷かれたこと横になった沙織は外が花冷えということもあってかこのまま寝ようとする。


すると慎は勢いで沙織の着物を脱ぎ、乳房を弄っては乳首を舐め、秘部を貪るかのように吸い付いていく。
普段の慎を知っている沙織も積極的な姿に少し戸惑いつつも、我慢できなくなったのか、勃起した陰茎を咥えていく。
体制をシックスナインに変えた沙織と慎は互いに求めていくかのように性器を舐めていく。
沙織は慎が激しくしたのか欲しがっており、慎もそれに答えるかのように挿入していく。



………いやだ……


お嬢様とはなれたくない……っ!



慎は心の中に秘めた想いをぶつけ、正常位で腰を動かし、勃起した陰茎が膣内の奥まで突いていく。
沙織は慎の陰茎のあつさと大きさを感じながら快感にいたり、対面座位でただひたすら喘いで、絶頂したのであった。
慎は沙織に「愛しています」と告白し、彼女も同じ気持ちで応えたのであった。


夜明け前、慎はそろそろ沙織を起こして叔母の屋敷に送りに行こうとした。
同時に慎は、この先何があっても沙織を護るという決意を固めた。まだ眠り続けている彼女を見つめてもう少しだけこうしていようと決めたのであった。





&link_up(△)メニュー
項目変更&link_copy(text=項目コピー) &link_diff(text=項目変更点)&link_backup()&link_upload(text=アップロードページ)



[#include(name=テンプレ3)]

















この物語のエピローグとなる『野草の唄~エピローグ~』は単行本『好きな人ができた!』の書き下ろしとして収録された作品。
エッチなシーンはないものの、野草の唄という物語の顛末が描かれ、新たに詩織が登場している。
ネームの段階では三ページで終わる予定だったが、作者は物足りなさを感じて最後のページを追加した。


【物語の結末】

昭和二十年―――大きな屋敷にある人物が足を踏み入れた。
日本兵として徴兵された男は屋敷で遊んでいる女の子に尋ねた。詩織なのかと。
その写真に写っているのは、沙織とその娘詩織、そう、その男は太平洋戦争に戦地に駆り出された木崎慎であった。


だが、詩織から「おじちゃんはだぁれ?」と尋ねられた慎は涙をこらえながら言おうとした。
直後、沙織が涙ながらに慎の姿を目の当たりにして愛する人と再会した。きっと帰ってくると信じていた。
浅葱家は田舎であったことが幸いしてか空襲を免れ、詩織は父である慎に抱っこしたのであった。
沙織は今度こそ二人で暮らせると、慎に言った。家で待っている父と叔母の元に「帰りましょう」と―――。


場面は変わって、某戦地。気を失った慎は目を覚ました。そうやら戦争のさなかで爆撃にあって気絶したようだ。
さっきの夢は、その時に見たものであった。だが慎は生きていると実感し、必ず帰ると誓った。沙織と詩織の元に……。
その後木崎慎は捕虜となり、日本に帰還できたのは昭和二十年の秋頃であった。
果たして慎はあの時見た夢のように沙織と詩織と再会できたのか?それは神のみぞ知る。


【余談】

  • 桜花怒涛での展開

慎が日本兵を見かける度に怯えていたが、これは戦前における徴兵制度とまもなく行われるだろう太平洋戦争が関係している。
事実、太平洋戦争で慎は戦場に駆り出されており、それによって沙織と一緒にいることができない恐怖に駆られたのだ。
ちなみに徴兵制度とは国家が国民に兵役に服する義務を課す制度であるが、日本の徴兵制度は戸籍制度を「一家ノ主人タル者」や家産・家業維持の任に当たる者は兵役の義務から免除されていた。
時代に加え、慎は成人していることや次男坊であることからどの道徴兵されて戦争に駆り出される運命だったのかもしれない……


  • エピローグ

本来エピローグでは慎は沙織と詩織の二人と再会して終わる予定だったが、爆撃の際に気絶した慎が夢を見ていたということになっていた。
とはいえ、「慎さんは予知夢を見る才能があるという事で(笑)」とコメントしていたことから夢のとおり再会できたと解釈できなくもないが。
最後のコマのナレーション入れず、慎がどうなるかは読者の想像にお任せという案も考えたが、見方によってはあのままの垂れ死ぬと判断したため別の案に差し替えられた。




追記・修正は愛する人のために生き抜く人にお願いします。


[#include(name=テンプレ2)]

この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600)

[#include(name=テンプレ3)]


  • やけに徴兵制度に詳しい項目 -- 名無しさん (2019-08-15 10:33:25)
  • エロ漫画の記事なんてあるんなあ -- 名無しさん (2022-03-27 11:10:47)

#comment

*1 電子書籍版では2012年4月10日に発売。
*2 名言こそされていないが、桜花怒涛並びにエピローグでの時代背景を考えるに確実。
*3 因みに屋敷には使用人と思われる複数の女性が確認できる。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧