登録日:2012/05/13 Sun 19:58:48
更新日:2024/03/13 Tue 00:24:44NEW!
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諸元
全長:194mm
重量:858g
口径:7.62mm×25
装弾数:8+1
製造:ソビエト
第二次世界大戦時、アメリカはコルト M1911、日本は十四年式拳銃、ドイツはワルサーP-38をそれぞれ制式採用し戦場へと向かった。
それなら、ソビエトが制式採用した拳銃といえば?
そう、それはトカレフ TT-33なのだった。
○開発しよう
1920年代のソ連は「ナガン・リボルバー」を制式採用していた。が、生産性が悪い上に弾薬の装填が面倒な旧式銃であった。
尚且つ、第一次世界大戦とその後の内戦の影響でマウザーC96やM1911など雑多な種類・口径の銃が流入し、装備の統一がなされていなかった。
この問題を解消する為に1928年からトライアルが実施され、1930年にF・V・トカレフが設計した拳銃が「TT-30」として採用されたのだった。
後に「TT-30」を単純化したものが「TT-33」となり、これが現在よく知られているトカレフ拳銃の源流となる。
○中身とか外見とか特徴とか
トカレフ氏はアメリカのM1911を参考に開発しており、見間違えるとまではいかないが外見がよく似ている。
ショートリコイル式の撃発方式も踏襲しており、簡素な構造で強力な弾薬を安全に発射出来る。
ハンマーは半分スライドに隠れている。分厚い手袋や防寒具を着用した状態でも扱いやすいように、またハンマーが引っかかる事故を防ぐように配慮された結果である。
部品の一体化と省略による高い整備と生産性、厳しい環境下での射撃能力の確保に強みがあるロシアらしい拳銃である。
○安全装置はどこいった?
省略しました。
ベースとしたM1911はグリップセイフティやセイフティレバーが装備されており、他のシングルアクション拳銃にも同様のものがある。
ダブルアクション拳銃は機構そのものが一種の安全装置であり、それ以外にもマニュアルセイフティや暴発を防止する機構が組み込まれている。
また最近のものではトリガーセイフティを装備しているのもある。
しかし、トカレフは
- 構造の単純化
- 寒冷地での部品凍結による動作不良の防止
- 訓練された兵士が使う事を想定
といった理由から安全装置を省略したのである。
よって薬室に弾薬を込めたらハンマーをハーフコックにする、言い換えれば撃鉄を半分起こした状態にするしかなく、100%の安全が欲しいなら弾薬を抜いておくしかない。
だが薬室に弾薬が無い状態は常用面で問題があるので結局はハーフコックで持ち歩くことになる為、暴発事件は多発している。
○「7.62mm×25」って何?
当時、ロシアに大量に流入していたマウザー C96の弾薬、いわゆる「.30モーゼル弾(7.63mm×25)」と同じなのだが、同一弾薬のくせに表記に誤差が出るのは不明である。
現在、C96は生産していないので7.62mm×25規格の弾薬は「7.62mmトカレフ弾」と呼ばれているが名前が違うだけ。
ただ一説によると7.62mm×25はC96で使えるかは怪しいとか。もしそうならC96に誤って使わないようにするためかもしれない。
薬莢の口の部分がすぼまったボトルネック形で生産効率は悪いが、弾頭に高価な鉛を避け、安価な鉄を使用しているために貫通力は高い。
しかしあくまでも弾丸が鉄製の場合であり、鉛製の場合は9mmパラベラム弾と大差はない。
○三次での活躍
TT-30のトリガー周りのパーツの一体化、部品点数の削減、アイアンサイトの改良を行ったのがTT-33であり、現在「トカレフ」と言えばこれを指す。
簡素で精密さからは程遠い構造は過酷な気候をもろともせず、ドイツのルガーP08やP-38よりも「強い拳銃」として大祖国戦争(ロシアは第二次世界大戦をこう呼ぶ)で活躍した。
1951年にマカロフが採用されたことで1953年には製造が中止されたが、共産圏ではライセンス生産やコピー生産が盛んに行われ、
安全装置を追加したりと独自の進化を遂げることとなった。
○日本での扱い
おそらく密輸事件や発砲事件の押収品としてニュースなどを通じて有名な拳銃の一つ。
日本に流入してくるものは中国製のコピー品「五四式拳銃」の使い古しや廃銃の再生品が多く、当然「弾が横に飛ぶ」と言われるほど粗悪品も多い。
小説やドラマ、アニメ等ではソ連軍人やアングラ組織の関係者でもない限り主役級のキャラが愛用することは少なく、大抵はチンピラや犯罪者が持ったり使っていたりする。
こういったマイナス要素からか国内メーカーがエアガンやモデルガンとする機会にも恵まれない。
○登場作品
アサシネ…野々村 誠
拳銃神…的場イサム(厳密には本モデルではなく、安全装置の付いたノリンコ社製54式を使用)
○余談
◆「TT」は「トゥルスキー・トカヴァ」の略称でありTT-30なら「トゥーラ造兵廠・トカレフ 1930年製」という意味である。
◆ボディアーマーを貫くといわれているが、そのまま人体を貫通してしまうため、ストッピングパワーは低いとか。
◆1949年に中国ではソ連技術者を召喚してトカレフを国産化。しかし後に関係悪化により技術者が帰還。独自に改良を加えたのが54式。
◆現在でも54式は中国でコピー品に定評のあるノリンコ社が生産。日本で押収されるのは主に不良品の横流しや密造品。
追記・修正は大祖国戦争を生き延びた方にお願いします。
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▷ コメント欄
- 小さい日本人の手にもジャストフィット。 -- 名無しさん (2014-11-02 18:16:34)
- 弁護すると正規の54式は思いの外、命中精度が高いらしく、ワンハンドで50m先の的に当てたとか。 -- 名無しさん (2014-12-17 14:51:27)
- ハドソンやKSCがガスブロでモデルアップしてるよね。現状で入手しやすいのはKSCだけど -- 名無しさん (2014-12-17 16:54:05)
- 付け焼き刃的な延命のため、銃身や本体にメッキを施してある場合がある。確か銀ダラとか言うやつ。 -- 名無しさん (2015-01-04 03:23:52)
- ↑他にも海路で運ぶから錆止めと、見た目が良くなるからとメッキしてるそうな -- 名無しさん (2017-01-24 18:08:17)
- コナンの黒タイツの必需品 -- 名無しさん (2020-05-26 21:36:46)
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