登録日:2016/06/13 (月) 19:03:39
更新日:2024/01/23 Tue 13:56:14NEW!
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stg シューティング アーケード タイトー taito zuntata 1992年 ogr 小倉久佳 無理ゲー ゲーム 奥stg 疑似3d ギャラクティックストーム 電脳皇帝 調整不足 恵まれた曲と悪夢的ゲーム内容
『ギャラクティックストーム』はタイトーが開発した疑似3Dシューティングゲーム。
1992年にリリースされた(が、修正が間に合わなかったのかタイトル画面では91年表記)。
『疑似3DSTG』とは、まだゲームでポリゴンが使えず、奥行きを全てドットとスプライト技術で表現しなければならなかった時代の産物。
有名どころではセガの『スペースハリヤー』や『アフターバーナー』、タイトーの『ナイトストライカー』がある。
『ギャラクティックストーム』もそれらと同じく、戦闘機コクピットを模した専用大型筐体でリリースされた。出回りは多くなく、現存数は少ない。
タイトーお抱えの音楽集団ZUNTATAの一番星である、OGRこと小倉久佳*1による流麗な音楽と、当時最高クラスのビジュアルで知られる。
一方肝心のゲーム内容は……「救いようのないクソゲー」と罵倒されるほどではないが、ぶっちゃけ音楽と画以外に見るところはない。
どう見ても調整不足で、テストプレイをまともにしたのか疑わしいほどに高難度。
89年の『ナイトストライカー』が今なお傑作と評価されているのにこの体たらくで、ゲーセンからは即撤去され、百貨店や遊園地などで細々と稼働するのみとなった。後に体感シミュレーター「IDYA」用に一部ステージが流用されたが、当然ながら以降の音沙汰はない。
ただ、繰り返すが音楽は非常に高く評価されており、ZUNTATAライブやアレンジCDの常連と化していたため「ゲームの名前と曲だけは知っている」というタイトーファンはかなり多い。サウンドトラック「ヌーヴェルヴァーグ」は名盤として人気が高かったため、ライナーノーツの詳細な設定資料を読んで「遊んだことはないけどストーリーは良く知ってる」というZUNTATAファンも多い。
ストーリー
地球総合暦ADD-0088年。
この年行われた「物体光速化実験」は、たった一切れのチーズを移動させた時の衝撃波でアリリカ大陸(現在で言う「アフリカ大陸」)の半分を消滅させ、自然災害を激増させる結果に終わった。人類の宇宙進出は数十年後に持ち越しとなる。
DD-0100年。コンピュータ自身が思考・推論を行える「バイオコンピュータ」が発展し、忌わしき高速化実験の再検証も進められていた。
発生する衝撃波を繭の様なシールドで包み、そのエネルギー波を推進に利用すれば、内外に一切影響を与えずに光速の壁を越える「空間転移(ハイパードライブ航法)」が可能なのではないか?
地球統合本部はこの「ハイパードライブ計画」を強力に推進し、ADD-0122年には遂にテスト飛行の段階に到達したのである。
しかし、試作機「HD-O1S」は機位追尾システムの不備により暴走し、ブラックホールの重力圏に入り込んでしまう。
超空間の牢獄に閉じ込められた、テストパイロットのI.Mihara.からは救助ビーコンが送られてきている。しかし、統合本部はこの失敗が群衆に知られ、アリリカ南大陸消滅の惨劇を彷彿とさせて反対運動が活発化することを危惧する。
Miharaは別任務中の事故死として処理され、黙殺された。
一方Miharaは、いつまでも救助信号への返事がないことから、遂に自分が見捨てられたことを悟る。
だが、彼は絶望を怒りに変え、空間や時空を超えた超空間からの離脱を図った。彼は諦めなかった――
ADD-0130年。
未確認の巨大な金属物体のような物――惑星大もある超巨大物体と、その指揮下にあると思われる艦隊が地球に近づいて来た。
地球統合本部は「GOD」と呼称するこの地球外生命体とのコンタクトを試みるが、GODはコンタクトどころか、地球文明に対して無差別攻撃を開始した。
もはや一刻の猶予も許されないと判断した本部は対地球外知的生命体追撃プロジェクト「ファースト」作戦を発動。
GODへの攻撃手段として採用されたのは、かつてMiharaと共に失われたHD-O1Sの2号機……失敗作の2号機・ERROR-O2Sだった。
ADD-0131年。ファースト作戦実行。
ERROR-O2Sのパイロットには和喜・ファーム。そしてナビゲータにはMiharaの妹である美樹子・ヒューゲートが選出された。
※サントラ「ヌーベルヴァーグ」には無駄に詳細な設定ストーリーが記載されている。
ゲームデザイン~荒行~
全5面構成。各ステージは「AREA」と呼ばれる単位で区切られている。例を挙げるとステージ1はAREA-1~4(ボス戦)。エリア通算の総数は20。
自機ERROR-O2Sは体力制を採用。ハンドル型レバーで自機を上下左右に操作。ショットボタンを押すとセミオートでバースト連射される。
ボムボタンを押せばプラズマ弾「D-ウェポン」がぶっ放され、画面上の敵と敵弾を消滅させる。
さて、以下に本作がクソゲー呼ばわりされる所以をまとめてみよう。
◆自機が弱過ぎる
最大の問題点。とにかくERROR-O2Sの攻撃性能が貧弱すぎる。
ショットは自機正面にしか飛ばない「狙撃弾」。的確に相手を狙い撃たなければならないのだが、四方八方から攻撃され、回避し続けなければいけないゲームバランスでは、ボス戦は非常に時間がかかり、道中ではばら撒きのラッキーヒット頼みとなる。
連射間隔も遅いため、高速スクロール面では壁やバリア発生器を壊しきれずに押し潰されることもある。
D-ウェポンもボタンを押してから炸裂までにタイムラグがあるため、「緊急回避」には使いづらい。高火力なので「決め撃ち」用としては優秀だが、あんまり大した慰めにはなっていなかったりする。
◆自機がでかすぎる
自機後方視点のゲームでは多かれ少なかれ問題になるのが「自機が邪魔で敵が見えない」シチュエーション。多くのゲームでは自機を小さくしたり、カメラアングルによって自機が半透明化したり、そもそも自機が邪魔になりづらいカメラワークを行うなどの対策をとっている。
だが、本作ではそうした配慮が一切なし。画面サイズに対してクソでかいERROR-O2Sのケツを眺めなければいけない。
敵の攻撃を回避しづらいばかりか、画面上でもあまり大きく移動しているように見えないため、「攻撃を躱した」という快感すら感じ辛い。
例えるなら「子供用プールでジンベイザメを飼育している」感じ。
◆もうずっと敵大杉
そして自機の弱さを全く考慮していない数の敵。もうこれはプレイ動画を見てもらえば一発なのだが、一面から凄まじい数の敵が出現する。
殲滅などできっこないので、大量の撃ち漏らしにはもやっとするものがある。
余りにごちゃごちゃで画面が汚い。
◆質の悪い敵の攻撃
当然大量の敵からの猛攻がこちらへすっ飛んでくるわけなのだが…この敵の攻撃もかなりの曲者。
このゲームの敵の攻撃は原則的に「自機位置を予測して撃たれる」のである。
その為、従来の3DSTGの感覚で大きく避けようとすると先読み弾にフルボッコにされる理不尽な状況を味わうことになる。
対策としては「自機を必要以上に大きく動かさず、更にその場で高速でグルグル回り続ける」事。こうすることで予測発射の性質が仇となって敵弾が勝手に逸れていくという寸法である。
この事を知ってるか否かで攻略難易度が激変してしまう…というか知らないとほぼ無理ゲー。
◆極悪なステージ障害物
3面以降、張り巡らされたパイプの狭い隙間やビル街・峡谷の間をぬって飛ぶことになる。
グラフィックが如何に美麗とはいえ限界はある。明らかに情報量の限界を超えた密度で、どこに飛ぶべきかを判断するのが非常に難しい。
4面のビル街は特に鬼畜。どこからともなく積み上げられるバリケードと、複層階層都市を交互に潜り抜けていくのだが、ルートによっては容赦なく袋小路に追い込まれたり、どうやってもバリケードの隙間に入れない積み上がり方をされる時がある。
◆ボスも強すぎる
基本道中の敵が放つミサイルは破壊が可能なのだがボスのミサイルは破壊不可能なうえ高速で飛んでくるため回避も困難なのにそんなボスが1面から登場。
それ以降のボスも高速で自機を狙ってくるものが多く、攻略方法を熟知していないと攻略不可能なものばかり。
中にはボス撃破しても当たり判定が残っているボスもいるためステージクリアまで気が抜けない、ショットが貧弱なこともあり自爆待ちをした方が賢明なものもいる。
幸い自機のボムは非常に強力でこれをうまく使い、道中での消耗を抑えればボム無しでは鬼畜となるラスボスもボムごり押しで撃破も可能。
基板性能は拡大縮小回転が自由自在に行えるほど、非常に高く、とてもダイナミックな動きが見られる。音質もよく、演出面ではかなりの迫力が味わえる。
もう少し調整をまともにやってくれていたら……。
一応ではあるが、ゲーム開始前(コイン投入直後のスタートボタン待ちの画面)の隠しコマンドによる自機の縮小化やダメージ半減などの救済処置は存在する。
効果は重複させることができるもののボタン連打回数が多く、連打数が超過したら失敗というシビアなものになっている。
麗しき設定
タイトーには演出面を優先しすぎる悪癖があり、時には『ダライアス外伝』や『レイフォース』といった大傑作を生み出すが、
時には操作性や難易度がとことん最悪なゲームを出す、という両極端な会社として知られていた。
本作はそのタイトーのアンバランスさを象徴したゲームだと言える。
一説には、当時のアーケードゲームファンの間でブームとなっていたゲームミュージックチーム推し(コナミ矩形波クラブや新世界楽曲雑技団など)の風潮にあやかろうと、ZUNTATAのトップメンバーだったOGR氏に、曲と曲のバックストーリーを考えさせ、そのコンセプトに基づいて制作された、とも言われる。
かつてお蔵入りとなった別ゲームを発掘してきて、OGRのコンセプトに当てはめた……という説もある。ERROR-O2Sの設定となんか被っている。
何度も言うが、そんな噂が立つほどに音楽と設定面の評価は高い。
使用楽曲は全てが高い評価を受けているが、とりわけ1面と5面で使用される「PROTMIND」、3面の「回路」、ラスボス戦の「電脳皇帝」はOGRの最高傑作に挙げるファンも存在する。
また、ZUNTATA恒例のサントラライナーノーツで語られるストーリーも魅力的。これを知っているといないのとでは、ゲーム部分の糞っぷりを許せるかどうかが変わってくる……かもしれない。
●◆最終局面ネタバレ―クリックで展開◆
GOD内部に突入したERROR-O2Sを出迎えたのは、分子状の球体を操る醜悪な骸骨状の生命体だった。
それこそが美樹子の兄・Miharaだったのである。
自らを見捨てた奴等への復讐に燃えるMiharaは、外界から空間・時間共に隔絶した超空間で8年、地球時間に換算して20億年を生き延びたのだ。
その過程で、Miharaはブラックホールを自力で脱出出来る程に生命体として進化し、人類の原形を留めなくなっていった。
GODとは「Miharaだったもの」の記憶だったのである。
「PROTMIND」は、異次元的進化を遂げた「電脳皇帝」Miharaの原記憶を表しているのだ。*2
今から遊ぶには
正直言って絶望的。秋葉原の大ゲーセンには取り扱っている所があるかもしれない。
また、古い遊園地や旅館などのゲームコーナーで細々と生き残っている筐体もあるようだ。
初稿投稿者の目撃談で恐縮だが、稼働地の一例を挙げると、大阪府の「みさき公園」では2020年3月まで稼働していた。
稼働情報を聞いた投稿者はこのゲームを遊ぶためだけに駐車料金と入園料を支払った上で、連コイン12回のごり押しでエンディングに到達した。
D-ウェポンの使用可能数が多く、コンティニュー制限もないので、なりふり構わなければ初見クリアも可能だと身をもって体験した。
みさき公園は併設された動物園やイルカショーも魅力的なのでおすすめしたい。*3
…がそのみさき公園を運営する南海電鉄が2020年3月に事業から撤退、そのまま閉園してしまった。
これにより元々希少な純正筐体をプレイできる機会が失われ、どこか引き取り手がなければそのまま廃棄されてしまうのでは…と心配されていたが、
そして大阪府新世界のレトロゲームセンター「ザリガニ」が本作の純正筐体を含むみさき公園にあった筐体を引き取ったことにより、廃棄という最悪の事態は回避された。
2020年11月に開店した「超ザリガニ」にて稼働、2021年12月現在もプレイ可能。
しかし2022年に入り基板かモニターの故障のため、現在は非稼働状態だとか。
一応東京の秋葉原HEYでも、2019年に純正ではなくナイトストライカーのように通常筐体を改造した状態で稼働させたことがあるので、気長にチェックしてみてはどうだろうか。
今から聞くには
●ヌーヴェルヴァーグ ―G.S.M.TAITO 7―
完全に空気な『ウォリアーブレード』と同時収録されたオリジナル・サウンドトラック。
「ヴァーチャルオーディオMIX」と名付けられた立体音響仕様で、独特の音の広がりが楽しめる。
ボーナストラックとして未使用曲の「洗脳」を収録。
●タイトー レトロゲームミュージックコレクション1 シューティングクラスタ
基板から直録りした超高音質バージョン。クレジット音も収録。「洗脳」は未収録。「ヌーヴェルヴァーグ」の立体音響は廃され、純粋なゲーム仕様になっている。
『ダライアス』の同期の縦STG『ハレーズコメット』、ダライアス最高傑作と名高い『ダライアス外伝』、中山上等兵(古川典裕)の渋いベースが光る『グリッドシーカー』、『レイフォース』の翌年に出たことが間違いだった『逆鱗弾』を収録。
特に『ダラ外』との「2大OGRまつり」が楽しめるのは大きい。
●iTunes配信版
レトロゲームミュージックコレクション版の単体配信。
余談
移植がないことや基板流通数から動画サイトでもプレイ動画は数えるしかなく、また救済なしでの難易度が非常に高いこともあってか通常1コインクリア動画は存在しなかった。
2020年になりカイザーナックルの息抜きを兼ねてRTA走者によって救済なし1コインクリア解説動画が公開された。
投稿者によると救済なしでこのゲームを1コインクリアしたプレイヤーは全一スコアラーが知っている限り投稿者含め片手で数えるほどしかいないとのこと。
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- 行ってみようかな、みさき公園… -- 名無しさん (2016-10-12 13:35:14)
- 自分もみさき公園でプレイした。純正筐体が本当に動いているのは感動したよ -- 名無しさん (2020-02-14 13:21:29)
- 【朗報】主にエレメカを中心に設置してるザリガニの新しい系列店「超ザリガニ」で、みさき公園から引き取られたギャラクティックストームが稼働してる模様! -- 名無しさん (2020-11-24 20:29:03)
- ウォリアーブレードを空気いうな(´・ω・`) 曲いいしゲームも面白いんやぞ。地味だけど -- 名無しさん (2020-12-09 11:07:49)
- ライオス兄貴、セルフ解説でノーコマンドAllを生放送で達成。惜しくもノーボムは出来なかったが、全編喋り倒しながらよくこんな無理ゲークリア出来るわ… -- 名無しさん (2021-08-17 08:22:19)
- 元は戦闘機のドッグファイト物の企画だったのがSFシューティングになって -- 名無しさん (2022-02-11 18:23:04)
- ヘンなところで途切れた。ディレクターだかがプロトマインドの物語を考えてOGR氏に曲作ってもらってたんだけど、過労で入院してる間にゲームが別物になってて失意のうちに退職したんだけど、OGR氏にこの曲はプロトマインドのための曲なんだから物語を完成させて欲しいと頼まれてプロトマインドの物語を完成させた、みたいな開発者の暴露話を昔ネットで見た覚えがある。 -- 名無しさん (2022-02-11 18:25:31)
- もう20年以上の前の話だから何か幻を見たのかも知れないけど。 -- 名無しさん (2022-02-11 18:26:23)
- 2022年5月のGWに超ザリガニを訪問したが、ギャラストは動いてませんでした。故障したか? あそこ、いろんなゲームを抱え込んでるから、多分エンジニアの手が追いついてない。 -- 名無しさん (2022-06-13 19:47:11)
- 音楽はSpotifyでオリジナルサントラと瞳の記憶が配信されている -- 名無しさん (2022-09-19 21:11:08)
- なにこの極悪使用 -- 名無しさん (2022-09-19 21:23:47)
- 最終局面のネタバレ見たら五億年ボタンとか目じゃなくて草 -- 名無しさん (2022-09-21 07:42:49)
#comment
*2 なお背景に不意に女の子が映り込むことがあるといわれここでも記述されていたが、ゲーム中にそのような描写はなくアルバムで語られた設定と混同しているだけである
*3 なおゲームセンターには他にも今では希少な数々のアーケード筐体が稼働しているためレトロゲーマーにもおすすめ
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