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テンプレート:コンピュータゲーム本項で述べるスタートレック(Star Trek)は、アメリカで生まれたSFテレビドラマ(TOS:『宇宙大作戦』)をヒントに作られた、コンピュータゲーム式シミュレーションゲーム。当初はフリーゲームだったが、後にメーカーから商業品としても発売された。なお以下当記事においては全て、特に断りなく「当ゲーム」と記した場合はこのスタートレックゲーム、映像作品と記した場合は『宇宙大作戦』のみを意味する。
仲の悪かった惑星連邦とクリンゴン帝国は、いよいよ全面戦争に突入した。君は宇宙船USSエンタープライズ号の船長となり、ワープエンジンや光子魚雷などの機能を駆使し、このエンタープライズたった一隻だけで、銀河に散らばる多数のクリンゴン(Klingon、固有名詞なので正しくはクリンゴン戦艦と呼ぶべきだが、当ゲームの日本語版では単にクリンゴンと称すのが一般的である)を期限までに全滅させねばならない。任務完遂の暁には提督の地位が待っているが、失敗した場合は地上勤務に降格となる。
これらの固有名詞や世界観は映像作品から拝借しているものの、基本的には初期に当ゲームを作り上げていった、トレッキーのプログラマー達が勝手に創造したオリジナルストーリーである。なお『新スタートレック』以降は当時まだ制作されていなかったため、当ゲームには反映されていない。
当ゲームは1971年(72年とする資料もあるが、Wikipedia英語版には71年の資料がある)にマイク・メイフィールド(Mike Mayfield)により、SDS社(1969年にゼロックスに売却)のミニコンピュータ、Sigma7に搭載されていたBASIC言語で書かれたのが始まりとされている。これがヒューレット・パッカード社のBASICソフトウェアライブラリにも加えられた。
1973年には後に世界初のテレビゲーム史研究家となったデビッド・アール(David Ahl)、そしてマリー・コール(Mary Cole)によって、メイフィールドのバリエーションがPDP-11のオペレーティングシステムのRSTS-11に移植された。これが書籍"101 BASIC Computer Games"に『スペースウォー』(Space War、1962年の『スペースウォー!』や、その後日本で出たアーケードゲームとは別物)として掲載され、BASICを使えるコンピュータを持っていたユーザの間で、当ゲームが広く遊ばれる様になった。
また上の段落とは別にボブ・リーダム(Bob Leedom)が作ったバリエーションでは、機関の故障やクォドラントの名称といった概念が追加された。
さらにアールは『スーパースタートレック』と呼ばれるバリエーションを作り(九十九電機が作った同名かつ同系統のゲームとは無関係)、これは1978年に書籍"Microcompuer Edition"に収録された。この本は同年にアスキーより日本語版が出版され、日本のマイコンユーザにも当ゲームが伝わる事になる。
コンソールないしテレビモニタのキャラクタスクリーンで遊ぶものが一般的だったが、
などが存在した。
bit臨時増刊『マイクロコンピュータのプログラミング』(1978年2月号増刊)pp. 245「宇宙戦争ゲームのプログラム」にて、石田晴久が、最初に輸入したのはたぶん自分だ、と記している。1975年のベル研滞在時にプレイして面白さに感心し、周囲の手助けを得て、1976年に東大大型計算機センターにデモ・プログラムとして登録し、同センターのアカウントがあれば //GAME STARTREK というコマンドでTSS端末を通して遊べた、という。
当ゲームが日本で脚光を浴びてくるのは1980年前後、8ビットパソコン・ホビーパソコンがマイコンと呼ばれていた時代である。主力となるマイコンがMZ-80とPC-8001だった当時は、『スペースインベーダー』の流行もあってシューティングゲームなどアクションゲームが定番で、シミュレーションゲームではウォーゲームやアドベンチャーゲームが存在していたもののソフトの種類が少なく、遊ぶにもやや難しすぎた。
しかし当ゲームは多少のルールの違いはあるものの、幾つか遊べば操作感覚が大体判る。これは現在においても何か一つのジャンルのゲームを遊べば、他の同ジャンルのゲームも比較的簡単に慣れるのと同じである。そのためどんなマイコンでも誰でも遊べるコマンド入力式ゲームとして、当時のデスクトップマイコンの殆どに移植された。
ただしゲームの規模が当時としては大きかったため、メモリ容量が拡張(例えばPC-8001は標準16kに対し拡張32k、MZ-80Kは標準20kに対し拡張48k)でないと動かないものが多く、VIC-1001、ZX-81などの、低価格でメモリが非常に少ないマイコンには余り移植されなかった。これに対し少ないメモリで動かすため、ゲームの内容自体を簡略化したものも作られ、Tiny Trekと呼ばれた(Tiny BASICなど、低スペックマシン版のTiny 〜というネーミングは当時よくあったもの)。すがやみつるも当ゲームをPC-1211(ポケットコンピュータ)版で遊んでいた事を、公式サイトで語っている。
当時のマイコン雑誌で四強を誇った「I/O」「月刊アスキー」「月刊マイコン」「RAM」全ての雑誌にも、当ゲームのプログラムは掲載された。
ソフトメーカーからも商業品として発売されている。後世においても有名になった企業としては、PC-8001版「スーパースタートレック」の九十九電機、MZ-80K/C版のシャープ製やハドソンソフトなどが挙げられ、私設サイトで当ゲームの思い出を語っている場合、このMZ-80K/C版はかなりの頻度で登場している。
また首都圏では当時、本放送以降、映画1作目の日本公開時まで再放送されず(北海道や関西では何度も再放送されていた)映像作品の知名度が余り高くなかったため、「スタートレックは海外ドラマでなく、オリジナルゲームだ」と勘違いしていた者も多かった。
PC-8800シリーズ・PC-9800シリーズなど、大容量のメモリやグラフィックを持つ次世代パソコンが多数登場すると、当ゲームに頼らなくとも面白いシミュレーションゲームが多数入手出来る様になり、当ゲームは遊ばれなくなり、作られなくなった。
しかし現在でも当時を懐かしむ、いわゆるレトロゲームの一種として、当ゲームのフリーゲームやプログラムリストがダウンロード出来るサイトも存在する。UnixではRogue等とともに、伝統的にマニュアルのセクション6のゲームとして、たとえばFreeBSDではportsのgames/bsdgamesに収録されている(portsへの分離より前のバージョン4以前はソースツリー中に同梱)。また海外では当ゲームのシステムを基本に、『新スタートレック』以降の世界観(ボーグ、カーデシアなど)および現代風のグラフィックや操作性を取り入れたフリーゲーム、"Win Trek"が公開されている。
などは、『ウルティマ』『ドラゴンクエストシリーズ』の様なフィールド見下ろし形コンピュータRPGと、ある程度の共通点を持つ。
当ゲームは、様々なプログラマーがそれぞれ独自の解釈によるゲームを作っていったため、日米問わず作られた数だけルールに細かい違いがある。本来なら最初に作られたSigma7版や、最も多くの人に遊ばれたバリエーションとして認知されているもの、何らかの定義で公式として認められているものを基準に解説する事が望ましいが、当時のマイコン事情が、良くも悪くも自由だったため、当ゲームはそれも困難である。
異なるルールを全て解説する事は不可能なので、ここでは以下の基準に添ってルールを解説している。また多数のゲームプログラムの違いを意味する言葉は、当記事では便宜上「バリエーション」という単語で統一する。
こうしたルールの違いに関する読解および加筆修正については、テレビゲームではなくカードゲームだが、「大富豪」「麻雀のルール」なども参照のこと。
初めにクリンゴンと基地の数が設定される。数を入力しないバリエーション、または入力できるバリエーションでも入力を略した場合、一般にクリンゴン=25、基地=4、宇宙年=クリンゴンとほぼ同数に設定され、司令部からのメッセージが出る。
USSエンタープライズゴウヘ。ウチュウレキ35**年マデニ、**セキノ KLINGON ヲ、ハカイセヨ!ナオ、ウチュウキチガ*コ、ヨウイシテアル。この機能は故障せず常時表示されている。このためこの機能の正式は特に定められていないので、当記事では便宜上ステータスと記す。
宇宙年(STAR DATE)ゲーム開始時の西暦3500年から何年たったかを示す。ゲームには直接影響しない。なお当ゲームではTOSの宇宙歴をこう勝手に解釈したが、『新スタートレック』からの公式設定では2300年に設定された。残り日数(YEARS LEFT)残り時間が二桁+小数点で表示される。コマンドを一つ実行すると日数が1日(0.1年)減り、10日で1年経過する。ただし複雑なバリエーションでは、ワープや魚雷がセクター内を動く時に0.1日(つまり0.01年)減るものもある。これがゼロになると時間切れで負け。クォドラント(QUADRANT)大宇宙の事で、8×8=64マスから成っており、ここでは1~8の座標で表示される。セクター(SECTOR)クォドラントの中の小宇宙の事で、同じく座標で表示される。なおバリエーションによっては0~7のもの、0~9のもの(つまり10マスごと)、三桁表示などのより細かい座標に分かれているものなども存在する。エネルギー(ENERGY)エンタープライズの保有エネルギー。満タン時は一般に4000。これもゼロになると負け。宇宙基地に着くと消費分が補充される。シールド(SHIELD)エネルギーからどれだけシールドにまわしているが表示される。シールドのエネルギー調節が無いバリエーションにはこの表示は無い。光子魚雷(PHOTONS)魚雷の残弾。フル装填時は一般に10。宇宙基地に着くと撃って無くなった分は再装填される。クリンゴン(KLINGONS)敵の残り数。状態(CONDITION)現在の総合的な状態を、危険(CAUTION、色の付くバリエーションでは赤)/注意(WARNING、黄)/安全(NORMAL、緑)/寄港(DOCKED、青)で表示する。事前補足[]エンタープライズがどのクォドラントにいるかを表示する。また文字飾りの付けられるマイコンで動くバリエーションでは、今いるクォドラントを白黒反転文字、ないし前述のステータス表示のCONDITIONと同じ色で表示するものが多い。なおクォドラントは本来4つずつの大グループ(宇宙域)に区切られ、それぞれ固有名詞と数字が割り振られていたが、これは日本で遊ばれたバリエーションでは、とりたてて反映されていない。
ロングレンジセンサー[]セクター内の配置を『ローグ』同様に一文字で表示する(縦横に何文字分かを使い、キャラクタグラフィックでもう少し複雑な型を表示しているバリエーションもある)。故障すると表示されなくなるため、その時はメインパネルの座標を頼りに、文字通りの計測飛行となる。
・ | 空間 | 何も無い空間。 |
---|---|---|
E | エンタープライズ | プレイヤーのキャラクター。 |
K | クリンゴン | プレイヤーが倒すべき存在。色が付いたバリエーションでは赤色とする場合が多い。 |
B | 宇宙基地 | エンタープライズが補給を受ける場所(詳細は後述)。 |
* | 星(小惑星) | 基本的には障害物で、ワープ移動や光子魚雷攻撃の際に邪魔となる。無駄弾を撃つ事になるが、魚雷で破壊可能。 |
● | 光子魚雷 | 画面表示がリアルタイムに動くバリエーション(後述)のみに登場。劇中設定では丸い光球に見えるため、どのバリエーションも上下左右対称の図形で表示されていた。 |
マイコンの機能が進むにつれ画面レイアウトのバリエーションも進化していったので、ここでは歴史が古い順から三種類に大別して解説する。なお以下の画面イメージの表示は、当記事にあわせて投稿者が個別に再現したもので、過去に実在したあるバリエーションを複写してきたものではない。
40x25画面表示の再現イメージ
80x25画面表示の再現イメージ
このコマンドは、セクター内移動とセクター外移動のコマンドが分かれているバリエーションでは、セクター内移動限定コマンドとして設定される。使用方法は次に述べるワープエンジンも基本的に同じ。
方向と速度移動方向を0~360度の角度で入力し(0~7.9の小数点つき数字で入力するバリエーションもある)、次にワープ速度を入力する。速度と言っても正確には移動距離と考える方がよい。移動する位置は三角関数で計算されるため、斜め方向ではワープ速度イコール移動歩数とはならず、例えば斜め45度ならワープ3では2マス、ワープ10では8マスしか移動出来ない。
セクター内移動このコマンドは、セクター内移動とセクター外移動のコマンドが分かれているバリエーションでは、セクター外移動限定コマンドとして設定されている。分かれていないバリエーションではワープエンジンがどちらの機能も兼ねており、ワープ1~10ならセクター内移動、ワープ10~100ならセクター外移動となる。
セクター外移動魚雷の消費本数を入力すると、本数分の魚雷からエネルギーが抜き取られて補充される。魚雷の保有エネルギーは300ユニットとするバリエーションが多い。エネルギーが少ない時の応急処置として便利だが、もちろん魚雷が無ければ使えない。なおエネルギーから魚雷への変換は一般に、出来ないバリエーションが多い。
ダメージレポート[]各機関があと何年使えないかを表示する。この機能は一般に故障しない。
コンピューター[]ワープや武器等の主要コマンド以外に小さなコマンドが多数存在する場合は、このコマンドが設定され、コンピューターを選択するとその中でまたサブコマンドを選択するバリエーションもある(ドラゴンクエストシリーズで「IV」から導入された「さくせん」コマンドと似た概念)また故障する場合はこのコマンド一つでまとめて故障し、サブコマンドが一つずつ故障する事は無い。
簡単なバリエーションのクリンゴンは、ただその座標に止まっているだけで動かない。武器はエネルギービームで「(横座標)-(縦座標)ノKLINGONカラ、(攻撃エネルギー量)UNITノ、コウゲキ!」と表示される。攻撃されるとエンタープライズのエネルギー、もしくはシールドエネルギーを調整出来るバリエーションではシールドが減る。攻撃量が大きい程故障も頻発する。複雑なバリエーションではクリンゴンが以下の行動をとる事もある。
しかし魚雷発射バリエーションには「同士撃ち」という裏技がある。魚雷を撃つクリンゴンとエンタープライズの間に他のクリンゴンがいても、魚雷を撃つクリンゴンは中間のクリンゴンに構わず魚雷を撃つので、中間のクリンゴンに命中してしまう。これは「中間に味方がいるか」の判定をしていない論理バグによるものだが、映像作品の設定をうまく使った「クリンゴンは仲間同士でいがみ合うので、同士撃ちをする」という設定になっている。魚雷発射バリエーションはこれを使うと、少ないダメージでクリンゴンを倒す事が出来る。
故障すると「(故障機関名)ガ、コショウシマシタ! **.*年ツカエマセン!」とメッセージが出て使用不能となる。ただしセクター内ワープは故障時も3スピードまで可能。故障を直す方法としては以下の手段が挙げられる。
このほかに、同じ機関を連続使用すると加熱して使えなくなる、オーバーロードという概念を持つバリエーションも存在する。オーバーロードは他のコマンドを一度でも使えば解除される。
制限日数内に全てのクリンゴンを破壊すれば勝ち、日数かエネルギーが無くなる、あるいは死者が出るバリエーションで死者総数が多すぎると負け。こうしたゲームなので、当時としては珍しく得点表示が無いが、得点やA~Dランクが出るバリエーションもある。
当ゲームのテーマやシステムを一部流用したゲームも存在するため、アレンジ内容で分類した例を以下に挙げる。
当時のゲームは著作権が良くも悪くも曖昧であり、有名作品の名前・キャラクター・設定などを使ってもそう問題とはならなかった。だが1980年代初頭に入るとこれらの問題も考慮され始め、追ってスタートレック関係もスポックなどいくつかの固有名詞が使えなくなった。ただし「エンタープライズ」は昔から多数の船に使われている固有名詞なので、使っても違反ではない。
このため例えば、当ゲームを高度にアレンジした『スターフリート』(テクノソフト)では、当初はゲーム名以外は映像作品と同じ固有名詞を使用していたが、カーク船長がシャトナー船長、ミスター・スポックがミスター・ニモイなど俳優の名前で置き換えられ、クリンゴンはエイリアンと組み合わせて「エイリゴン」となった。
前述の「みんながコレで燃えた! PC-6001」に掲載されていた『STAR COMMAND Σ』のインタビュー記事では、「『スタートレック』の名を使いたいと東北新社に直訴したが実現せず、敵の名はクリンゴンをもじって、"KLIMZON"(クリムゾン)として妥協する結果になった」と語っているが、プログラムで一ヶ所だけ名前を変えれば、クリンゴンとして表示される様に作ってあった。
英語版では複数存在するため、「他の言語」表示部以外にここでも並べる。
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de:Star Trek (Computerspiel)en:Star Trek (text game)it:Star Trek (videogioco 1971)nl:Star Trek-tekstspelpl:Star Trek (gra tekstowa)ru:Star Trek (текстовая игра)
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