状況認識を高める方法

状況認識を高めることで、自分や周囲の人に危害を及ぼす可能性のある人やシナリオから逃げたり、危険を軽減したりする機会を得ることができる。 状況認識を高めるということは、トラブルを探すということではなく、むしろその逆を意味する。戦いに勝つための最も効果的な方法は、それを完全に回避することである。

パート1

環境を把握する

1. 周囲に脅威がないかどうかを見極める。 状況認識を高めるための第一歩は、周囲の状況を完全に把握することだ。 周囲を見渡し、自分が置かれている状況の種類を考慮する。 環境が異なれば、高い状況認識を維持するために必要な集中力も異なります。

   • 周囲の状況をよりよく把握するために、それぞれの感覚に集中する時間を少し取りましょう。自分が見ているもの、嗅いでいるもの、聞いているもの、感じているものに注意を払いましょう。
   • 都会の環境と田舎の環境とでは、危険や注意散漫の度合いがまったく異なる。
   • 自分がどのような環境にいるのかを把握することで、起こりうる危険に気を配るための準備を整えることができる。
2. 自分の置かれている状況において、何が普通であるべきかを意識する。 環境のベースラインとは、同じような環境や状況で経験したことのあることである。 現在の状況において、どのような音、行動、光景が正常とみなされるべきかを判断し、異常な行動と比較するための基準枠を持つ。

   • 森林地帯の環境ベースラインは、かなり静かで、虫の声、鳥の声、木々の間を通り抜ける風の音だけで中断されることが多い。 また、薄暗く、人がまばらにしかいないことも多い。
   • 交通量の多い市街地の環境ベースラインには、複数の車の音や光景、周囲の騒音レベルに対して通常の音量で話す人々の群れが含まれる。
   • 環境ベースラインはあなたの経験に基づいている。 それを確立するためには、異常な状況や行動を見分けることができるように、自分が慣れ親しんでいる環境を意識的に考慮する必要がある。
3. 身の回りの要素の危険性を特定し、測定する。 自分の周りの環境の基準値がどの程度だと感じるかを確立したら、周囲を見回して危険な状況の原因となりそうなものを特定し、検討する。

   • あなたの過去の経験や周囲の人々との比較から、常識を逸脱した行動をしている人を探す。
   • 武器とはみなされないが、あなたや周囲の人に深刻な危害を加える可能性があるもの。 よくある例としては、野球のバットや鎖などがある。
   • 衣服に武器の痕跡がないか探す。 武器を隠し持っている場合、一般的に「刻印」と呼ばれる、武器の一部の輪郭が衣服に残ることがよくあります。 不審者の腰の近くを見て、武器を隠し持っているかどうかを判断する。
   • バッグやスーツケースなど、混雑した場所に放置すべきでないが放置されているものを探す。 公共の場に無人のバッグを放置することは、爆発物の一般的な運搬方法である。
4. 想像力を働かせて、さまざまな状況を想定する。 危険な状況について想像を膨らませるのは必ずしも良いことではないが、頭の中でシナリオを立て、それに対処する方法を計画するために使うことはできる。

   • 不審な集団が自分の方向に向かっているのに気づいたら、その集団が自分や周囲の人を攻撃しようとしたらどうするかを考える。
   • すぐにその場を離れる必要がある場合、現在の環境から抜け出す方法を探しておく。
   • 今の状況で、誰かが武器を取り出したり、あなたを攻撃したりすることを想像してください。 その可能性を低くするために、今できることは何か。 もしそのようなことが起こったら、あなたはどうしますか？

パート2

集中と注意をコントロールする

1. 異常な行動は脅威ではないと思い込まない。 ほとんどの人はかなり安全な生活を送っているため、物事はうまくいくと信じがちである。 異常な行動を脅威と認識したがらないため、人はしばしば異常な行動への対応を待ってしまう。 「正常性バイアス」とは、危険な状況が起こる可能性は低いと思われるため、予測される脅威を無視する行為である。

   • 危険の兆候を真剣に受け止める。 見ているものが "正常であるに違いない "と自分に言い聞かせてはならない。
   • 危険な状況になる可能性があるものとして、それぞれの状況に対処する。 そうすることで、正常性バイアスに打ち勝つことができる。
2. 注意散漫にならないこと。 ひとつのことに集中しすぎて、周囲の潜在的な脅威を識別することができなくなることを、"フォーカス・ロック "という。フォーカス・ロックは至って普通のことだが、状況認識を著しく妨げたり、低下させたりすることがある。

   • フォーカス・ロックが危険な状況を引き起こす一般的な例は、運転中に道路ではなくスマホを見ていることです。
   • ハイキング・トレイルでは、前方の景色や音に気を取られて、足元の藪の中にヘビがいるのに気づかないかもしれない。
   • 集中力が途切れたら、周囲の環境や潜在的な脅威に注意を向けましょう。
3. 時間に注意を払う。 時間の経過は状況認識の重要な部分である。 時間を把握することで、自分ではいつもと違うと思わなかったような人の行動の傾向を把握することができる。 また、最後に食事や休息をとってからどれくらいの時間が経ったかを把握することで、疲労を防ぐこともできる。

   • あるエリアを一定の間隔で何周も歩いている人に気づいたら、彼らは何かが起こるのを待っているのかもしれない。 本質的に危険なことは何もないが、気づくことで危険な状況を回避できるかもしれない要素だ。
   • 一緒にいる人を最後に見てからどのくらい時間が経ったかを記録しておく。 例えば、公衆トイレの外で子供を待っているときなどは、子供と会ってからどのくらい時間が経ったかを記録しておくとよい。
4. 自己満足と戦う。 軍隊の訓練でよく使われる言葉に、"Complacency kills（自己満足は死を招く）"というものがある。 自己満足とは、現在の状況に安住するあまり、周囲の脅威の可能性を積極的に見極めようとしなくなることだ。

   • 心がさまよいそうになったり、集中力が途切れたりしたら、今この瞬間と目の前の状況に意識を戻すこと。
   • 危険なシナリオは、自宅やよく行くレストランなど、自分が快適だと感じている環境も含め、どこでも起こりうることを思い出してください。
5. 疲労を蓄積させない。 疲労が蓄積すると、注意力や集中力を維持することが非常に難しくなる。 空腹、脱水、疲労があると、注意力が散漫になる。 長時間の不摂生による血糖値の低下は、睡眠不足と同じようにあなたをグロッキーにさせます。

   • 十分な睡眠をとり、よく噛んでよく食べることで、自分自身を大切にしましょう。
   • 物事に注意を向けるのが難しくなったり、気が短くなったり、視界が少しぼやけたりすることがあります。
6. 脅威を識別するために周辺視野を使う。 脅威となりそうなものを直視することで、不要な注意を引くことがある。 極端な例では、相手があなたの視線を何らかの形で自分に引きつけていると解釈した場合、脅威となりうるものが現実のものとなることがあります。 このため、視界の横から物を見る練習をしてください。

   • あなたが相手を直接見ていることに気づけば、あなたに近づいてきたり、敵意をむき出しにする人もいるかもしれない。
   • 周辺視野を使えば、あなたの近くにいる危険な人物は、あなたが何を見ているのか正確に知ることができないので、戦術的に少し有利になる。

パート3

危険な状況での注意力

1. 身の回りで起こる出来事を予測しよう。 状況のベースラインを確立することで、自分のいる場所がどのように見え、どのように聞こえ、どのように匂うのが普通なのか、頭の中に思い描くことができる。 そのベースラインを使って、周囲で起こる出来事を予測し、不意打ちを食らわないようにする。

   • トラックが近くの駐車場に入ってくるのを見たら、ドアの開閉音やバックアップアラームのビープ音が聞こえるかもしれないと予測できる。
   • スクールバスの後ろを走っていれば、スクールバスがあなたの前で子どもたちを降ろすために停車するかもしれないと予測できる。
   • 人々が互いに攻撃的な態度をとっているのに気づいたら、喧嘩になるかもしれない。
2. 自分の直感を信じよう。 頭の中で状況のベースラインを確認し、周囲に起こりうる脅威を評価し、何が起こってもその場から逃げる戦略を立てていても、それでも何かがおかしいという感覚が拭えないことがある。 その感覚を信じてください。

   • 自分の体が周囲の刺激をどう解釈しているかはわからないかもしれないが、人間は危険を察知するように進化してきた。 不安を感じても、客観的な理由がなければ、その感覚を信じよう。
   • 転ばぬ先の杖」の典型的な例として、自分の直感を信じてその場を離れたことが、不必要だったと証明されるかもしれない。
   専門家のアドバイス

   マウンテンビュー警察、警部

   ソール・イェーガーは警察官であり、カリフォルニア州マウンテンビュー警察（MVPD）の警部である。ソールは、パトロール警官、現場訓練官、交通巡査、刑事、人質交渉官、MVPDの交通課巡査部長兼広報官として17年以上の経験がある。MVPDでは、現場作戦課を指揮するほか、通信センター（ディスパッチ）と危機交渉チームを率いてきた。2008年にカリフォルニア州立大学ロングビーチ校で緊急サービス管理の修士号を、2006年にフェニックス大学で司法管理の理学士号を取得。また、2018年にスタンフォード大学経営大学院でコーポレート・イノベーション・リーダー資格を取得。

   
   マウンテンビュー警察警部

   専門家も同意見道を歩いていて、誰かがこちらに向かって歩いてくるのを見て、何かおかしいと感じたら、その直感を信じてください。相手の機嫌を損ねたくないからと言って無視してはいけないし、自分自身を危険にさらすことにもなりかねない。論理的ではありませんが、よくあることです。
3. 脅威を識別しやすいように、自分の位置を決める。 自分がどこに立っているかは、状況認識を維持する能力にとって非常に重要です。 例えば、人が多すぎて把握しきれないような混雑した環境にいる場合は、壁に背を向けて立ち、近づいてくる人をすぐに確認できるようにするとよいでしょう。

   • 状況によって必要な位置は異なるかもしれないが、常に、脅威となりうる人物が近づいてきたときに、それを確認できるような場所に身を置くようにしよう。
   • 出口の近くに身を置けば、事態が発生したときに素早く脱出しやすくなるかもしれない。
4. 自分のパーソナルスペースに入ってくる人の危険な要素を即座に見極める。 混雑した市街地では、あなたのパーソナルスペースに人が入ってくることは、食料品店や公園よりも多いだろう。 パーソナル・スペースとは、一般的にあなたの周囲を腕の長さで囲む円のことだと考えられている。 もし誰かがその領域に入ってきたら（あなたと接触できるほど近づいてきたら）、その人が脅かす可能性のあるものを素早く特定すること。

   • 相手の手や体に凶器があるかどうかを確認する。
   • 相手の顔を見て、あなたに注目しているのか、それとも単に通り過ぎるだけなのかを確認する。
   • 相手の手の位置とその動きに注意する。 もし相手があなたを攻撃しようとしているのであれば、手は拳に握られているか、武器を持っている可能性がある。

この記事は、CC BY-NC-SAの下で公開された「 How to Increase Your Situational Awareness 」を改変して作成しました。特に断りのない限り、CC BY-NC-SAの下で利用可能です。