プロフィール
- 24歳(一部作目)/26歳(二部作目)
- 10月15日生まれ
- 180cm
- 65kg
- 好きなものー激辛料理、読書、魔術の研究
- 嫌いなものー甘いもの、倫理から外れた人間、空論
人物
冷静沈着な性格で、物事を論理的に理解する。怒らせると怖い人物であり、絶対零度の眼差しを向けられると大人の男性でも震え上がるほど。自己犠牲精神がとりわけ強く、よく1人で物事を抱え込みがち。また凍結の魔術を得意としているからか、平均よりも体温が低い。
若くしてミズガルーズ国家防衛軍の魔導部隊の部隊長となる。徹底した仕事ぶりや仲間想いの行動や性格などから、部隊員からの信頼は厚い。
甘い物全般が苦手。だが果実の甘さは大丈夫。好物は辛い物。激辛の物を食べても表情を変えないので、彼の行きつけ店は彼を屈服させるために日夜励んでいる。
幼い頃は両親や周りの人間から酷い虐待や虐めを受け、死にかけたこともあった。虐待の痕は今も彼を苦しめるほどである。そんな暗闇の中から、スグリが助けてくれたことに恩を感じている。そんな経験からか、何処かで人間を恨んでいる自分がいる。表沙汰に出さなくとも、種族差別をしている人間に対しては冷たい。
エイリークの師匠マイアの弟子であり、エイリークの兄弟子に当たる。彼女の生前時は、よく彼女の元へ行き様々なことを教わる。
来歴
過去~幼少期
ヘルヘーム出身であり、本名はジーヴル。生まれてすぐに両親から金目欲しさに世界保護施設に売られる。ヘルヘームの悲劇の被害者。人身売買の際に、将来的に人身御供として利用価値があると判断される。その後ヘルヘームから世界保護施設に引き渡され、人体実験を受ける。投薬は当然、様々な実験を繰り返され、ほぼモノとして扱われていた。人柱として指定されていたため他の被験者たちよりも実験や投薬の量は多く、人柱として完成させられ昏睡状態となっていた3歳の時、自身の双子の兄弟であるヤクの起点により人柱を回避。『……これから、は。ジーヴルがヤクだよ。ジーヴルはさよならする……ヤクに生きてほしい、から……。ナイショだよ……?』という言葉通り、ジーヴルとなったヤクが彼の代わりに人柱として、ヘルヘームの人身御供にさせられる。またヤクがジーヴルとなった際、ジーヴルとなったヤクが伝えた『綺麗な空色。自由で縛られない、気持ちの良いこの空と同じ色だ』という言葉が、無意識下に残っている。その言葉が彼に、髪を切るという選択肢を選ばせないこととなる。ヤクとなったジーヴルは成長してからそのことを研究員に知らされ、自分が唯一無二の双子の兄弟を殺してしまったのかと一度目の絶望を体験する。
生き延びてヤクとなったジーヴルは、研究員から以前よりも厳しい実験を受ける。また、無理矢理研究員たちの性欲処理もさせられる。その凌辱にも似た性欲処理は研究所だけでは収まらず、研究所のための土地を提供したブルメンガルテンの民にまで及ぶ。さらに世界保護施設と裏で繋がっていたアマツ弟でスグリの叔父であるコウガネからも、同じように凌辱を受けていた。
実験と凌辱の日々を送り成長し、10歳の時に研究室に抜け穴があることを知った他の被験者が、彼に脱走を促す。研究所と村を出て誰かに助けを求めれば、自分たちは助かるからと。そのために、一番力のあるヤクにその役目をお願いしたいと告げられる。危険だと言っても顧みなかった他の被験者たちの、その意志の強さを無駄にできないと感じた彼は、その計画を決意。とある雨の日に被験者全員で立てた脱走計画を実行。隙を見て脱出したが、身体に蓄積されていた実験や凌辱の痛みで、ガッセ村の近くの竹林で意識を失う。意識を失う直前に、見たことのない翡翠色を見て手を伸ばす。その翡翠色とはスグリの眼の色であり、彼に拾われ助けられることになる。
スグリに拾われ、ガッセ村の屋敷で意識を取り戻した彼はスグリと、彼の父親であるアマツに助けを求める。ヤクの身に纏っていた服が世界保護施設の被験者だと知っていたアマツは、彼の要望に答える。ブルメンガルテンの研究室に赴くために準備が必要なことと、ヤク自身の体力等々の回復のために数日間、屋敷で過ごすことになる。その中で同い年のスグリとともに生活する中で、徐々に回復していく。また心優しく逞しく、自分に心を砕いて自分にはないものを持っていてるスグリに、少しずつ心を開いていく。その時のことをヤクは『初めて、見知らぬ誰かからの優しさに触れた。とても温かかった』と記憶している。
すべての準備が整いアマツ、スグリ、ヤナギと共にブルメンガルテンへ戻るも、すでに脱走の件はバレていた。さらに自分の脱走を手助けした罰として他の被験者たちに、以前よりも激しい拷問を与えていると、研究者たちから告げられる。中には耐えきれなくて死んだ被験者もいると知り、二度目の絶望を体験した彼は感情と力を抑えきれなくなり暴走を引き起こす。暴走した氷のマナでブルメンガルテン全体を包み、永久凍土の村へと変えた。のちにブルメンガルテンは『死に村』と呼ばれるようになる。その際、自分を守ろうと奮闘してくれたアマツが死亡。ヤクはこの時、自分が命の恩人を殺してしまったと認識する。しかし実際は、ひそかに彼らをつけていたコウガネが騒ぎに乗じてアマツのことを殺害。また、気を失う直前のスグリ『俺が、お前を守るから!もう泣かなくていいように、守るから!!』という言葉に救われ、心に残っている。
ブルメンガルテンの事故後再びガッセ村の屋敷にて意識を取り戻すが、事故を知ったコウガネが襲来。ブルメンガルテンは事故じゃなくて事件だと糾弾し、犯人に仕立て上げられる。そして再び世界保護施設の実験動物として連れ去られそうになった瞬間、スグリの一太刀にてそれを回避。そのままスグリの手にひかれてガッセ村から脱出した。
ミズガルーズへ亡命~士官学校時代
まずガッセ村から離れた位置にある海の街ビネンメーアまで辿り着いた二人は、港町ノーアトゥン行きの船の積み荷に隠れてアウスガールズの地を離れる。船内で見つかることはなかったが港町ノーアトゥンの港で密航が見つかり、憲兵に引き渡されそうになる。その時偶然居合わせた、当時ミズガルーズ国家防衛軍魔導部隊に所属して次期副部隊長と噂されていたルーヴァに引き取られることになる。ヤクの姿とスグリの彼を守るような行動に思うところがあったのか、彼にミズガルーズへ連れて行かれると、牢屋ではなく孤児院を経営していたリゲルに預けられた。そこで受け入れられたヤクはしかし、一度根付いた外の世界への恐怖や絶望に苦しむ。孤児院から出ることに恐怖して、院内にある図書館に引きこもるようになった。そんな彼を心配したスグリと喧嘩することも。そんな生活を送っていた13歳の時、ヤクとスグリの保護観察者となっていてくれていたルーヴァに外の世界で生きることの意義を教えられた。ブルメンガルテンに置き去りにしてしまった被験者のためにと決心し、恐怖と相対する。無事に外に出られるようになった彼は、ミズガルーズ国立魔法学校を飛び級で卒業。士官学校でもある、ミズガルーズ国立学院に最年少で入学。訓練期間や研修期間に入る。国家防衛軍に研修として仮入隊していた時、当時部隊長だったハイトを筆頭に彼の息にかかった人物たちによる輪姦などの性的被害を被ることになる。
14歳の雨の日、ミズガルーズの路地裏にてレイを発見。その姿が過去に己が殺してしまった被験者たちと重なり、彼を保護する。以前自分がルーヴァにしてもらったようにと、孤児院のリゲルの元へとレイを連れていく。手当などを受けて眠ったレイに付き添ったその夜、女神の巫女ヴォルヴァの能力の一部である『夢渡り』を視ることになる。その夢で同じく女神の巫女ヴォルヴァである目の前の子供が、成長したものの若くして命を落とす光景を目の当たりにしてしまう。その光景の恐怖したヤクは、絶対にそんな未来にならないよう、見た夢の実現を阻止することを決意。その後も訓練と研修と凌辱の日々を送っていた15歳の時、運命の女神であるウルズと夢の中で邂逅する。己のことを何でも知っていると聞かされた彼は『どうして自分ばかりがこんな目に遭うのか、自分は何か悪いことでもしたのか』と尋ね、それをまず否定される。それに対して『じゃあなんで。ただ生きていたいだけなのに』と尋ねた。その問いに対してウルズから「それが、あなたの運命だから」「あなたは運命の女神の力を継ぐ者、女神の巫女ヴォルヴァ」「運命からは、逃げられない」と答えられ、三度目の絶望を体験することに。ただ普通に生きることが許されないのかと慟哭した彼は、その時から運命の女神と女神の巫女ヴォルヴァの存在、勝手に決められた運命を、酷く恨み呪うようになり、その存在を否定するようになる。
16歳の時、研修の一環として魔物討伐の任務を与えられる。そこで指揮官として任命され指示を出していたが、采配ミスがきっかけで自身も含めて大怪我を負う。その重傷者の中から複数人の犠牲者を出してしまい、自分自身を責め立てる。自分自身を許せず、周りの制止を省みないで自分を追い込んだ。慰められてもそれが、苦しく感じてしまうほどだったと後にレイに語る。そんな状態のヤクを見かねたスグリが強制的に任務から引き離し、レイのいる孤児院へと強制送還された。この時しばしの謹慎処分を受ける。事情も何も知らないレイに笑っておかえりと言われ、毒気を抜かれた気分になる。しかしこの失態が自己犠牲精神に拍車をかけるきっかけとなった。
そして17歳の時出かけた先で偶然、エイリークの師匠であるマイアと出会う。彼女の技や生き方、世間の捉え方に感銘を受けて弟子入りを志願。22歳の時に彼女から、エイリークというバルドル族を弟子にしたことや彼について話を聞く。時間が合わずになかなか会えない状態だったが、いつか話をしてみたいを思っていた。そして彼女から手製のアンクレットを預かり、いつか渡してほしいと頼まれる。そんな矢先にマイアは落命。エイリークは行方不明となり、二度と三人で出会うことができなくなってしまう。
18歳の時、それまで続いていた凌辱行為によって心が壊れかける。そのせいで不感症を発症し、ある夜スグリに夜這いをしようとして起きた彼に止められた。そこでようやくスグリに、自身が部隊の上層部から凌辱されていること、そのせいで何も感じない身体になってしまったことを告げる。告白の後スグリから抱きしめられ、頭を撫でられる。そして彼から、自分に友人以上の好意を抱いていることを告白される。その行動に壊れかけていた心が繋ぎ止められ、そこで自分もスグリに対して同じ感情を持っていたことに気付かされた。そこで自分も想いを伝え、徐々に不感症も回復して精神も元に戻ろうとしていた。
しかし告白の数日後、街の政治に異議を唱えようとしていた集団に人質として誘拐され、輪姦される。その被害を受けていた時に再び、感情と力が結びつき暴走を引き起こす。そこをスグリと、彼と共に軍内部で起きていた凌辱事件を追っていたルーヴァに救出され、それがきっかけで軍上層部であるハイトたちの犯行が明らかとなる。そして後に開かれた国家裁判中、抵抗したハイトが傍聴席に着席していたヤクに襲い掛かりそうになる。突き出されたナイフの攻撃を、寸でのところでルーヴァが庇う。この時の怪我が原因でルーヴァは落命。これが四度目の絶望となった。またこれらの出来事があったために、人間に対して激しい憎悪を抱くようになる。
19歳の時にレイが己に弟子入りを志願した時、彼の並々ならぬマナの許容量と真剣な態度に折れて彼を弟子として育てる。そしてそのために庭のある一軒家がある方が何かと便利だろうと思い、購入する。(報酬などの貯えをそんなに使っていなかったので余りに余っていた)24歳となってレイの師匠を初めて5年目となるが、中々成長しない彼に頭を抱えることもしばしば。
部隊長任命~世界巡礼初期
その後実績等々を見込まれて20歳になった時、晴れて若くしてミズガルーズ国家防衛軍魔導部隊の部隊長に任命される。徹底した仕事ぶりや的確な指示、さらに術技も申し分ないということで、部下たちからの信頼は厚い。しかし彼らに自分がまた一人で追い込みすぎていないかと心配されていることを、認知できていない。
部隊長をして軍に所属して24歳の時、成長したレイから己のウィズダムの計画を聞かされ感銘を受ける。人知れず成長した彼に一安心するも、世界情勢が不安定ということで世界巡礼の任を拝命していたヤクはその事情をレイに告げる。レイからは驚愕されたが、彼の望み通りにウィズダム期間中の修行スケジュールを立ててレイに渡す。その後世界巡礼へと出ることになり、任務をこなす。その中でカーサの事情を知り、調査することになる。またいつかマイアから預かっていたアンクレットを持ち込んだのは、世界巡礼中ならエイリークとも出会えるかもしれないと感じたからである。
レイとエイリークの保護を知ったときは、最初は耳を疑うほどだった。よもやレイが一人旅をしているとは思わず、さらにエイリークと邂逅を果たすことになるとは思わなかったとのこと。最初は自分に告げた決意のことを忘れたのだと感じレイにきつく当たる。(その後和解はしたようである)また、エイリークにマイアから預かっていたアンクレットをようやく渡せて、一つの懸念が消えた。
その後港町ノーアトゥンにてカーサと戦闘。その町のユグドラシル教会で女神の巫女ヴォルヴァとして仮覚醒したレイの姿を見て、夢渡りで見た光景に一歩近付いてきていると感じ動揺する。戦闘終了後、その報告書をまとめている中で疑念が膨らむ。レイが女神の巫女ヴォルヴァであるはずがないと、自分自身に言い聞かせていた。
都市ヨートゥンの近くにある小島にて、カーサとの本格的な戦闘が始まる。小島をアジトにしていたカーサ四天王の一人であるカサドルと戦闘。スグリやエイリークと共に追い込むも、カーサの最高幹部の一人であるヴァダースの乱入により撤退を余儀なくされる。撤退後、勝手な行動をとったレイとエイリーク、ソワンを叱責。処分を下そうとしたが一般人であるレイとエイリーク、地位の低いソワンに、厳重注意で済ませた。その直後レイの瞬間消失に対して、エイリークと共にイーアルンウィーズの森にあるミミルの泉へと赴く。そこで発見されたレイから事情を聴くと、深くは聞き返さずに心の中にしまう。この時、レイが運命の女神の加護を受け入れてしまったことを知る。その動揺からか、不可思議な夢まで見てしまう始末だった。
世界巡礼中期~世界巡礼後期
機械都市マシーネの近くの古城でのカーサ戦にて、まずルビィの姑息な罠に落ちたエイリークを救出する。彼への止めを刺したエイリークから足を引っ張ったと謝罪されるも、彼はエイリークを宥める。『それ以上は言うな。過ぎたことをいつまでも悔やんでいても、何も変わらん。それに、ヒトはそう簡単に変われるものではない。……誰でもな』と告げるが、これは自分自身に向けた言葉でもある。『簡単に変われたら、どれだけ楽なことか。しかしそれが難しいからこそ、ヒトはゆっくりと成長するしかない』とも告げる記述がある。
そして古城の最上階にて、カーサ四天王の一人であるキゴニスに襲われていたレイの姿を見て静かに激高。過去の世界保護施設から受けた人体実験を連想させられ、古城もろともキゴニスを水蒸気爆発にて爆殺。その後レイのことをエイリークとソワンに任せ、世界巡礼の任務を進めた。
レイとエイリークの合流後向かった先のアウスガールズにて、ヴァダースの策略により再びカサドルと相対する。カーサの目的がレイたちだと推測し、救出に赴こうと性急になる。その隙を突かれカサドルに敗北。ガッセ村で回復するまで意識不明の重体にまで追い込まれた。
その後ガッセ村にて意識を取り戻した際に過去のトラウマが蘇りそうになるが、屋敷にいた子供たちに懐かれてそれどころではなくなる一面もあった。しかしその後その子供たちが己と同じく世界保護施設の被害者たちと知り、過去に実験施設を破壊しても続いていた負の連鎖にさいなまれる。また、ハイマート村にある世界保護施設の研究所から脱出してきたというキルシュという子供を屋敷が保護した際、足に嵌められていた足枷を破壊する。その時憎悪に満ちた目だったが、自覚はなかった様子。軍から迎えに来たソワンからブルメンガルテンに異変が起きたことを聞かされると、思わず我を忘れるくらいに動揺した。事情を聴いた翌日に畳みかけられるようにレイから女神の巫女ヴォルヴァやそのために泉に行きたいと告げられ、それに対して反論して互いに抑えが利かなくなると口論に発展。そのまま単独で屋敷を後にする。
屋敷から軍に戻る前に小休憩を取っていたところを、ヴァダースとカーサ四天王の一人であるリエレンの強襲を受ける。キルシュを盾にされていたことで立ち回りを制限され、そのままカーサのアジトまで拉致される。アジトの地下牢らしき場所で、かつての上司だったハイトと再会。捕虜の身として魔力を制限されていることをいいことに、再びハイトから凌辱される。数日後様子を見に来たヴァダースに助けられ、場所を変えて彼から世界保護施設の研究所壊滅についての協力を持ちかけられる。自身の立場や敵対関係にあるヴァダースからの提案に迷いを見せたが、自身の復讐心を煽られるような言葉や、なにより実験の被験者たちのことを持ちかけられたことで、子供たちを救えるのならばと提案を呑むことを了承。『ミズガルーズ国家防衛軍の部隊長のままでは、彼らを助けるに至るまで時間を多く犠牲にしなければならない。その間にも被害者が増えていく一方で、何もできない自分が、歯がゆくてならなかった』
協力関係になったヤクはまず最初に、ソワンから聞いていた情報を確かめるべくブルメンガルテンへ向かい、その村で調査をしていた世界保護施設の研究員を殺害。近くの谷底へ死体を放り投げ、遺棄する。次に世界保護施設と裏で繋がっていたことを掴んでいた彼は、アートリテットという村に住んでいたコウガネの殺害に取り掛かる。その際ヴァダースの助力で、村人たちに強力な催眠の暗示をかける。屋敷周辺を巡回していた兵を殺害してから、コウガネを殺害。その時使用していた術が人体に直接的に影響を与える術であることから、その時のヤクは復讐心の塊であったと示唆している。
そしてヴァダースが言う、少なくともアウスガールズに巣食っている世界保護施設の研究所の壊滅を始める。また世界保護施設の研究員だけではなく、研究所の土地を譲渡して金を手に入れていたその村人たちも殺害するという徹底ぶり。日を置かず徹底した殺人行為と破壊行為を行っていたことから、ヤクの人間に対する復讐劇の意味合いも含まれている。しかしそんな破壊行為の対象となったハイマート村にて、救出されていたと思っていたキルシュと再会を果たしてしまう。そこで彼からハイマート村に戻ってきてしまった経緯を聞き、更に彼から自分を殺してほしいと頼まれる。自身も被験者だったこと、その時感じていた絶望をキルシュも抱いていると理解できたヤクはキルシュの願いを聞き、彼を殺害する。その夜に己の無力さに慟哭して、もう一人も子供の犠牲者を出さないと決意。最後の村である森の村フォルストへ赴くものの、到着した時には既にカーサのハイトとフットにより村は壊滅。村の奥にあった世界保護施設の研究所にて、ハイトに子供の切り落とされた頭部を晒されたことにより、守れなかったことに絶望。これが五度目の絶望であり、感情のままに彼のことを惨殺した。
森の村フォルストに辿り着いたスグリと決着をつけるための最後の戦闘を行う。手合わせは何度もしたことがあるが、殺し合いは今回が初めて。スグリの弱点と知っているために、それを突こうとするが悉く切り返され、更にその戦いの中でスグリが彼自身の女神の巫女ヴォルヴァの力を開放したことにより、『自分が人間に劣っているなんて』と動揺する。スグリの言葉巧みな挑発に逆撫でされ、感情を露わにしていく。戦いが佳境に入り、それまでの襲撃で疲弊していたヤクはスグリから小刀を渡される。『ああそれこそ、そうなったらお前は戦える術がなくなるか?それならこれ、貸してやるよ』『それなら、マナが使えなくてもただ突き出すだけで、人を殺せる』とスグリの侮辱の意味合いも含まれた挑発に、それまで鬱積していた感情を叫び、吐き捨てる。
「私は何も知らなかった!誰も教えてくれなかった!愛することも信じることも幸せを感じることも!!ただ人よりマナが扱える、ただそれだけで実験台にされて無理矢理体を弄り倒されて!!」「私を助けてくれた彼を、お前たち人間は奪ったじゃないか!自分たちの好奇心と欲望ために!手を差し伸べてくれた人だって、私の前から消えていく!!なんでだ、なんで私ばかりがこんな目に遭わねばならない!?私だって、ただ普通に生きていたかっただけなのに!!」などの慟哭の言葉をぶつけるも、スグリはそれに対し「知るか、そんなこと」と吐き捨てる。それに加え、そのような傲慢さは人間である証拠だと突き付けられ、言葉に詰まる。畳みかけられるように加えて挑発させられた彼は、渡された小刀を手にしてスグリに向かった。
本人は最初、殺されたのは自分の方だと誤解していた。マナも底を尽き、素早さでスグリ見劣る自分ではもう勝てる見込みもない、と。しかしスグリに寄りかかられたことと手に伝わってきた血の感触に、己がスグリを刺してしまったのだと理解する。さらに抱きかかえたスグリから、彼がレイから聞いていたヤク(ジーヴル)の言葉を聞く。そのまま意識を失ったスグリを見て、そこでようやく己がしてしまったことや、自分の今までの行動に対して罪悪感を覚える。その衝動のままに己の女神の巫女ヴォルヴァの能力である『時間遡行』を発動。時間軸を己がスグリを刺殺してしまう以前へと戻した。
スグリの選んだ、己による自身の殺害という未来を選ばないことを選択。代わりに自分が犠牲となることでスグリを生かす未来を選んだ。しかし『時間遡行』発動後、ほぼマナが底を尽きた人間の状態で力を解放したことによる反動が、身体の内外を破壊。さらに加えて己自身が生み出した精神汚染の呪縛により昏睡。
自らが生み出した精神汚染の呪縛の正体は、ヤク自身が無意識的に『夢渡り』で視た未来の成長した自分自身。夢渡りで過去に干渉できるようになった未来のヤクが、現在を生きていたヤクに夢の中で出会うことで精神汚染はじっくりと成長。現在の時間軸であるヤクが、未来のヤクとは違う選択肢を選んだことで精神汚染の呪縛が発動。また、夢渡りで現在の時間軸を救いに来たスグリに攻撃をしかけた。未来のヤクに対してスグリは彼を説得。スグリの言葉を受け入れた未来のヤクは、最後に赤いキクの花を残して精神汚染の原因である己自身を消滅させた。
そのことで現在の時間軸であるヤクは解放され、潜在意識下にあったフヴェルゲルミルの泉へと赴く。過去に己に真実を告げたウルズと再会し、和解。「私は、定められた運命を選べる権利も、選択肢もある。自分の未来を、自分で繋げることができる。……そう、言いたかったのだろう?」という言葉に「貴方の幸せを、私はいつも祈っています」と返したウルズ。そして意識を取り戻した先にいたスグリに謝罪して、過去との決着をつけることができた。そして喧嘩別れとなっていたレイとも和解。二度目の弟子入り志願を受け、再び師弟関係となる。
カーサとの決戦~世界巡礼後
カーサとの決戦にて、以前敗北したカサドルと再び相対する。アウスガールズに到着した当初は余裕がなく敗北したが、自身の過去を受け入れ余裕ができたこともあり、カサドルを追い詰める。その際カサドルが「その力……あの方にも見せてやりたいものだ……」と言葉を漏らし、それに対して追及。回答を得られる前にカサドルが戦線離脱をしたので、謎のままとなる。その場に残されていた小型のボトル爆弾を入手したヤクは、その爆弾を利用して施設の爆破をレイに指示する。彼と戦っていたリエレンの相手を引き継ぎ、レイを戦線離脱させた。
そのリエレンとの戦闘時、指示を受けていたレイの爆破作戦が実行される。地下で戦闘を行っていたこともあり、リエレンから休戦を提示される。それに対し自分をここで生き埋めにしないのかと尋ねるが、リエレンはそれを拒否。敵ながら正々堂々を貫く彼に対しヤクも休戦を飲み、リエレンの協力もありその場から脱出。無事に塔の外で待っていたレイたちと合流。その後重症のケルスとエイリークを、アウスガールズの医師の街である港街エルツティーンまで搬送。その後回復したケルスにアウスガールズに巣食っていたカーサの顛末を告げ、世界巡礼を再開。
再開した世界巡礼最中に、アウスガールズでの報告書を受け取ったミズガルーズ本国からミズガルーズ国王であるシグの名前が直筆されている書状が送られてくる。そこにはヤクの召還命令が記されてあり、彼はそれを甘んじて受けることを決めていた。本国帰還後開かれた公開判決にて、シグからは己の行った行動に対して『一ヶ月の謹慎および、一年間の減俸処分』という、自身が思っていたよりも遥かに軽い処分を言い渡される。それに異議を唱えるもシグは判決を変えなかった。そのことに防衛大臣であるハブギリヒが異議を唱え、さらにブルメンガルテンの戦犯であることや凌辱事件のことについて言及。それに対してシグが逆にハブギリヒに、何故凌辱事件のことを知っているのかと追及。そして12年前の凌辱事件の主犯格として、その場で彼に防衛大臣の任のはく奪と監獄島での終身刑を言い渡した。呆然とするヤクにシグは、公開判決の場を利用したと告げる。シグの判決に異議を唱える者はおらず、一か月の謹慎後、再び国家防衛軍の部隊長として任務をこなす日々を送ることになる。
そこから二年後、ミズガルーズに里帰りしてきたレイたちに変わらない姿を見せる。ちなみにこの時、レイが記憶喪失だということは知らないと告げた。
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧