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あれから数日後、イソロフィアを始めとするモノトーンイデアの過激派メンバーたちは全員逮捕された。後で知ったことだが、モノトーンイデアには過激派と穏健派は五分五分で存在していたらしい。彼らは、メンバーを半分失ったが、いまだ組織は潰れてはいなかった。穏健派といえども、彼らは思想が同じだから、いつか何かをしでかすのでは__何かが起きてからでは遅い。などと議論されていた。
アポロセルリアンに関しては、CDCの人たちがが厳重にギアーズを監視する形に落ち着いた。アポロに対しては月兎に依頼するのが一番だ。と言っていた職員たちは、彼女の過去を知ってもなお、その意見を貫いた者はいなかった。
モノトーンイデアのラビと交戦したAthenaは何よりも腕の損傷がひどく、完治に約9か月を要した。彼女の希望と現状から、彼女はLASの動物保護チーム隊長から降格することになった。そのかわり、イザベラガードナーが非常に優秀な動きを見せたとして、隊長の座に就くことになった。
その後も、ジャパリグループと、LASAPOの協力関係は今も続いている。
ただし、支部のメンバーはイザベラと衛、そしてAthenaを除いて大幅に変更された。
そして、月兎には…一つの朗報があった。
~1年後~
朝、コンコンと扉をノックする音で私は目を覚ます。
私がベッドから起き上がると、リーナとヤマドリが既に部屋に入ってきていた。
「よっ!やっと起きたか!!」
「ルナちゃん、おはよ~!」
やっと起きた、というよりは二人に起こされたようなものだが。今日はリーナたちと、前々から計画していた“ナリモン水族館”へ旅行する日だ。近いようで遠かった平和が訪れたんだな、とルナは思う。私たちはもう戦わなくてもよくなった。他のみんなと同じように笑い合って、ふざけ合って、楽しみあえる日常を手にすることができた。
「準備はできてるか?」
「もちろん。昨日の晩に終わらせておいたわ!」
「よし!じゃあ朝ごはん食べたら出発しようぜ!」
食堂に着くと、衛が声をかけてきた。寝起きだろうか。彼の髪は若干ハネている。
「おう、朝早いな。ルナ、調子はどうだ?」
「すごく気分がいいわ。これもQ博士のおかげね。」
「そうか、よかったな。」
衛さんはニッと笑う。なんだかんだ、この人の口数も増えた気がする。そして、前以上によく笑うようになった。
「そういえば、Athenaちゃんは?」
ヤマドリが疑問の声を上げる。彼女のケガは三か月前に治ったが、彼女は衛とは対照的にめっきり笑わなくなってしまった。それでも食堂にはよく顔を出しているので、今朝彼女がここにいないことを疑問に思ったんだろう。
「あぁ、あいつなら鋼夜のところに行ったぞ。」
「ふ~ん」
…ヤマドリはあまり興味はなさそうだ。鋼夜、といえば去年ジャパリパークにLAS学園の修学旅行で訪れた学生の一人だ。彼は今、学校を卒業し、そのままLASに就職した。少し前まで学生だったのに、今では大人たちの仲間入りを果たしている。彼の優しく、誰とでも打ち解ける性格はフレンズたちに大好評で、彼のファンも何人かできているくらいだ。彼は、Athenaと同じ“動物保護チーム”の一員として活動をしている。
「おっ、そういってると来たぜ。噂をすればなんとやらってやつかな。」
リーナがそういうと、食堂に繋がる渡り廊下から二人が歩いてくるのが見えた。作業服に身を包んだ鋼夜の左腕にAthenaが抱き着いているようだ。当の本人は彼女を無視して書類を眺めている。
「あ~…来週セントラルに出張だなぁ…」
「ほんとー?じゃあ私もついていこっかなー!」
…前言撤回しよう。Athenaはいまもピンピンしているようだ。
「それだけは勘弁してくれ…ん?」
彼が私たちに気付いたようだ。
「おはよう、みんな。」
彼は私たちに向けて笑顔で挨拶をする。私たちも各々おはよう、と返事を返す。
「それにしても、みんなやけに早起きだね。まだ朝の六時だよ?」
私達職員はともかく、とAthenaが鋼夜に体重をかけながら聞いてきた。
「私達、今日ナリモンに行くんだ!」
と、ヤマドリ。
「…重い……」
「あはっ!でもそう言ってどけようとしないあたり、実はまんざらでもないんじゃないの~?」
「なぁ、いちゃつくなら向こうでやってくれないか?」
遂にリーナがしびれを切らした。彼女はこういう甘ったるい空間は苦手なのかもしれない。
「ちぇー!自分だってルナに告白したくせに!!よく言うよ!」
「は!?なんで知ってるんだよ!」
「ふふ、顔を赤くしちゃって、可愛い。」
私の最後の一言がトドメだった様で、彼女は何かを言おうとしていたが、耐えきれなかったのか食堂から出て行ってしまった。
「…ルナちゃんって、どっちの味方なの…」
「あら、私はいつでもリーナの味方よ?」
ヤマドリがじゃあ揶揄わなくてもいいじゃない、といった視線を向けてくる。だって彼女の反応がいちいち可愛いんだからこればっかりは仕方がないのだ。
「あ~あ、リーナちゃん行っちゃった…」
「そのうち戻ってくるわよ。」
「そんなことより早くご飯たべよーよ!」
Athenaの一言で、とりあえずメニューを注文することになった。ちなみに彼女は十分足らずで戻ってきた。ご飯を食べた後、私たちは部屋に戻り、荷物をもって玄関に集合した。
「準備はオッケー?」
「だいじょうぶ!」
「えぇ、問題ないわ。」
「よし、それじゃあ…」
「行きますか!」
月兎に対する一つの朗報____それは…
他のフレンズと同じように生活できる体質になった。ということだった。
+おわり-つづく
月兎とLASに関する物語はどうだった?君にとって何かしら得るものがあれば良いんだけど。
気づいてたかもしれないけど、ルナちゃんは本来とてもおとなしい性格の子なのさ。
それが過去のトラウマが原因でだんだん性格が歪んでいく…はは、自分だったら耐えられないね。
え?あのルナちゃんの物語はもう続かないのかって?
はは、何を言っているんだい?
君はパーク内の職員になりたいんだろう?
だとすれば、その目で見るはずさ。彼女の物語は、これからも続くからね。
どういうことかわかってないような顔だね。
いいかい?“あの物語”は二度と繰り返してはいけないよ。
君だって、フレンズたちが苦痛に歪む姿を見たくはないだろう?
彼女…ルナちゃんには、多くの友達ができるだろうね。
…でも、Athenaの方はどう思う?
ここまで月兎とLASをメインに話してきたけど、気付いた?
彼女、何も変わってないよ。
そう、両親を殺され、姉とも離れ離れになった、“あの事件”から____
彼女には、どうやら君のように支えてあげる人が多く必要みたいだ。
さぁいこう。
彼女には、君が必要だよ。
森月鋼夜、私と一緒に、再びジャパリパークに来てくれるかい?
つづく
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