イブと初めてのお正月

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イブ・ノット(パークガイド志望者)
・・・「明けましておめでとうございます♪心情だったりする声。今回はおとなしいが、明るくちょっぴりおてんばな少女。根はしっかり者なのでボケとツッコミの両方をこなせる優れもの。若輩なのに記憶を失っており、現在は新人パークガイドとなって一人の人間として生きていけるようになろうと奮闘中。奮闘しているように見えないお話だが。ちなみに運動神経が良く、かりごっこができるとか。

ミウ(アマミノクロウサギ)[紹介ページはここから]
・・・「ぁ……その、あ、明けまして……おめ、おめでとうございます……。」大抵の相手に対して"食べられる"、"襲われる"といった恐怖心を抱いてしまうアニマルガール。やるときはやる子。生まれたばかりだからというのもあるが純粋な心の持ち主であり、ドッキリに引っかかりジョークを信じてしまう危なっかしいところが多い。とりのこに何かと絡まれているおかげか、生活に困ることは少ない。最近はへびのこからも絡まれているとかいないとか。

神瀬 ちぎり(イブの先輩)
・・・「正月は一月中のことを指します。初夢は元日の夜に眠って見る夢を指します。まあ、どれも一説なので各々が信じる文化を信じましょう。だから二月に年賀状を出してもいいんです!相手に受け入れられるかは別ですけれど♪」えーっと、一応はパークガイドってことで出ていまーす。ボケ担当です!お望みであればどこへでも、どのようなシチュエーションでもボケをお届けしますよ?え?いやですねー人間ですよもちろん。あ、私について知りたいと……んーまだ固まってないのでダメです♪

 

  0. 一人の初夢(?)[開く]0. 一人の初夢(?)[閉じる]

 

██ちゃん、██ちゃん……。

 

誰かの、声がする。聞いたことあるような、そうでも無いような声。

あのね、████……██……██
……██?──

 

何か言っている。
多分、わたしにはわからない話、だけど出来る話。
これまでがそうだったように、これからもそうするだけ……。

それしか、わたしには出来ないのだから。

 

──……██ちゃん?ねえ、██……──

 

『聞いてます。』そう返事をする。

ううん、したつもりだった。
なぜか口は開かない、だから声も出ない。

 

(それなのに、私に何が出来るって言うの?)

 

あ……。

 

(ほら、だからいつもみたいに。
私に任せてよ。

 

ねえ、██

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  1. 二人で元日[開く]1. 二人で元日[閉じる]

イブちゃん!

 

っ……あ、ミウ?お、おはよう。

よ、良かったぁ……イブちゃんだ……。

 

目の前の少女は、見覚えのある安堵の表情を浮かべた。

"イブ"。それがわたしの名前。
記憶を失ったわたしに、ミウが付けてくれた。

 

おはよう、熱はどう?咳とか出る?

んー……と?熱?咳?

覚えてないの?昨日、ガイドさんたちの……忘年会……?に出て、熱を出したからここに運んで貰ったんだよ。

ここ、に……?

 

辺りを認識する、多分医務室だ。
でも、なんでミウがいるのだろう。

 

わっ!私ね!その、それをガイドさんに知らされて、ここに来たの!こわ、怖くは……ぁう……。

……ありがとう、ミウ。
ここまで来てくれて。

 

彼女の頭を撫でる。
それなりにさらさらした髪の毛と、人には無い、ウサギのアニマルガール特有の、耳の感触が不思議だ。

 

えへへ……あったかい。

熱は、わからないけど……ん、咳は出ないかな。

そっか、じゃあ大丈夫……なのかな?私、病気とかよく知らないけど……。
あっ、でもさっきね、だいぶうなされてたよ?何か、怖い夢とか見てた?

夢……。

 

夢というものは不思議で、見たという記憶と、どんな気持ちになったかという覚えはある。
けれど、思い出すことは出来ない。

 

どんな内容だったかは覚えてないけど、変な感覚……だったかな。おばけとか出てたのかも。

夢はですね、体験してから夢になるんですよ。

 

……ひゃあああああっ!?


ふふふ、新年からつれませんね……先輩、もう挫けそうです……。

その突然現れるところをなんとかしたら良いんじゃ……。

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  2. 賑やかな三人[開く]2. 賑やかな三人[閉じる]

不意に現れた神瀬さん……わたしの先輩ガイド。いつものようにミウが怯える。

 

あ、イブちゃん!具合、いかがですか?

熱だけかな、と思います。

ふふ、元気そうですね。
ミウちゃんをお呼びして正解だったかな?

ぁ……その、あ、あり……ありがとう、ございます。

ミウ、お礼を言えるのは良いことだけど……ちゃんと正面から言えるようにね。

むっ無理!

がーーーんっ!!!

がーんって……あれ、これは?

 

隣の机に、ハガキが置いてあるのに気付いた。
宛名はない。

 

ああ、年賀状ですね、ミウちゃんのところに届いてたものです。

年賀状?

えー、20██年から20██年に変わったことを祝い、今年もよろしく!と伝える手紙のことです。
だいたいは年を越す前に書くので、新年の元旦に届くこともあります。

届けたのはウグイスさん本人です。朝にお会いしたので……。

ふふ、直接会うなら年賀状、わざわざ書かなくてもいいのに。

た、確かに。

礼儀だとか行事だとか、義務的なものであればそうですねーほんと、面倒くさい……。
でも、アニマルガール達はきっと、そうした行事をなぞることと、それによって楽しむことが好きなんですよ。

……。

どうしました?

いえ、良いこと言うんですね……先輩。

い、イブちゃんまで私をそんな風に……ああっ……♪

 

……悪い先輩では、ないはず。

 

……。

本気でミウが怖がってるので止めてください。

ふーんだ、いつも本気で怖がってるじゃないですかー!

それは確かに。

え、えと……ごめんなさい。

あっ謝らなくていいんです!ミウちゃんの個性ですからねー。

 

怖がるのが個性、なんて思うと笑ってしまった。
ミウには悪いけど。

 

体調も確認しましたし、お邪魔虫は退散しますね。
あ、そうだ……はい、年賀状とお年玉です。

 

神瀬先輩はハガキと、封筒2つを渡してきた。

 

あーこれは義務的な要素はちょっとしかないですよ?去年……といってもほぼ一週間前ですけど、お世話しましたからね。
何かのご縁ということで、直接会うけど年賀状です♪

あ、ありがとうございます。

じゃっ!またねーミウちゃん!

 

そう言うと、先輩はささっと居なくなった。

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  3. 二人と年賀状とお年玉と[開く]3. 二人と年賀状とお年玉と[閉じる]

……。

……静かに、なったね。

う、うん。

 

『イブちゃんへ』と書かれた封筒を開いてみる。
お札と、カードが入っていた。

 

『ミウちゃんと美味しいもの食べたり、遊びに行ったりしてくださいね!』

 

(年賀状を書いてカードを書いて……忙しい人だなぁ。)

 

『P.S パークガイドになる勉強も、しっかりとですよ?』

 

うっ……。

 

別の意味で熱が出そうだ。

 

え、だ、大丈夫……?

ううん、平気。
あ、ガイドさんから、ミウへお年玉だよ。

お年玉……?

多分、お小遣い。

そっかぁ……こ、今度は頑張って、正面からお礼を言おうかな……。

 

ミウにお年玉を渡し、年賀状を見る。

 

『謹賀新年
ジャパリパークの一年を楽しんで!』

 

という文字と、富士山、鷹、なすの背景が印刷されていた。
なんでこのチョイスなのだろう。

 

ああーっ!!!

ひぁっ!?

いやあぁぁぁっ!!???

 

またも唐突に先輩が現れた。
……さすがに驚いた。

 

ひっじょーに大切なことを言い忘れてましたよ!イブちゃん!ミウちゃん!

ななっな、なんですか?

あけましておめでとうございます♪今年も、よろしくお願いいたします。

 

そう言って先輩はお辞儀をした。

 

あ、これは新年の挨拶ってやつです。
立場の高い人とか、ご友人には是非、こう挨拶してくださいね!ではっ。

 

……。

……あ、ミウ……。

こ、腰……抜けちゃった……。

あはは……あ、何か落としたよ。

え?あ、これはその……。

 

ミウが落としたのも、ハガキ。
今日見るのは三度目だ。

 

えーと、い、イブちゃんに年賀状書いて、でも渡すタイミングが分からなくて……。

ミウ、書いてくれたんだ……それじゃあ今、頂戴?

う、うん。直接会ってるけど、はい。

 

『イブちゃんへ
あけましておめでとうございます
今年もよろしくおねがいします
ミウより』

 

一昨日ね、年賀状のことを聞いて、それで書いてみたの。
よ、読める字で書けてるかな……?

大丈夫だよ、ありがとう!本当に嬉しいな。

良かったぁ~。

 

私は年賀状書いてないけど……こうして会えたから、挨拶ができる。

 

ね、ミウ。

なあに?

あけましておめでとう。
今年も、これからもよろしくねっ!

あ、うん!イブちゃん、あけましておめでとう!今年も、これからもよろしくね!

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  4. 後日、二人で[開く]4. 後日、二人で[閉じる]

良いお湯だったぁ~♪ごろ~♪

 

と敷布団にダイブする。うん、我ながらナイスリラックスだ。

 

暖かかったね、イブちゃん!

うんうん、噂に聞いてた通りの温泉だったね。
明日も出発前に入っちゃおっかな?

でも、家族部屋だなんてやっぱり贅沢すぎないかな……?

もー、来るときも言ったけど、これはお年玉だからいいの!神瀬先輩が、二人で楽しむようにって。

 

勉強もしなくちゃだけどね。

 

それに、大浴場だとミウ、怯えて入れないでしょ~?

そそっ、そんなことないっ……といいなぁ……。

あははっ!自分のことでしょう?

うぅ~……。でもやっぱり贅沢だよぉ~!

なら、贅沢を通り越すくらい堪能すればいーのっ。
それー!

ひゃあぅっ!ちょ、やっ、イブちゃーん!!

ミウ柔らかーい♪良い匂ーい♪

も、もー!

ふふ、あー贅沢~♪

 

このひとときが、思い出になって……懐かしいねって笑い合える日が来るまで。

 

明日はどこ行こうか?とりあえずは温泉街だよねー。

な、なんでこんな体勢で明日の話?

え、もしかしてわたし重い?

そうじゃなくて……んぅ……じゃあそ、ソフトクリームが食べたい……。

ソフトクリーム?

うん。写真とかなら見たことあるけど、食べたことは……。
あっ、もちろんソフトクリーム以外にも食べたことないもの、たくさんだけど……。

気になるんだね?わたしも食べたことないし……朝、お店の人に聞いてみよっか!『美味しいソフトクリーム、この辺にありますか?』って!

 

ずっと一緒じゃあないけど、わたしにとってミウは大切。
ミウもそう思ってくれているなら……そう感じられる時が、感じさせられる時がきっと、一生の宝になる。

 

う、うん!楽しみ!

ん~?温泉とソフトクリーム、どっちの方が楽しみだ~この~!

きゃあっ!く、くしゅぐっひっあははっ!!

 

宝物、いっぱいにして……ずっとずっと、大事にするよ。
これから先の、他の大切な思い出とともに。

 

(ミウ以外の子とも、仲良くなれるかな……?)

もー!私怒ったよ!

え?

おーかーえーしー!!

ひぃっあぷっふははっひっ!やめ!ああミウずるぃひっ!!このっ!

ひふっ!まっまけ、ないっ!

 

たとえ、また記憶を失っても……これだけは、絶対、手放したりしない。
だから──

 

はぁーっ……はぁーあっ……もう、汗……かいちゃっ……たよぉ……。

……ふふっふふふ……。

……イブちゃん?

だから、忘れられない時間にさせてね?ミウ!

……?うん、私も忘れないよ。
こんなに笑ったの、生まれて初めて!

わたしも!一緒、だね!

イブちゃん、も一回温泉いこ?

えー?仕方ないなぁ~♪はい、手!

あ……うん、えへへ♪

 

今年も、これからも、ずっと……どうかよろしくね。

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