悪性の輝き"外道"

ページ名:Izuna_memo

――――  年前。

深夜。パークのどこかにある研究施設。
ある教団』に属するパーク側の研究員2名が、一匹の獣を取り囲んでいた。


研究員A「あぁ、こんなになるまで・・・どうして。。」
研究員B「聞いたかい?この子、獰猛な鳥類の餌にされかけたんだって。」
研究員A「そうか・・・・可哀想に。あ、首輪を付けているってことは・・・」
研究員B「飼い主は何をしてたんだ。動物をもっと大事にしてやれよ。」

???「マジかよ。鳥って怖いな~。」

少し距離をとって椅子に座っていたその男は、何やら楽しそうだ。

???「どうでもいいからさ、早く仕事しろよ。金は払ったんだからよ。」
研究員A「あ、ああ・・・・」
研究員B「悪いねボク。あんなに貰えるなんて思わなかったわ」
???「いいっていいって。厄介な   がいなくなった後で良かったね。人員のリソースをあっちに割いて、おかげで監視に隙ができてる。」
研究員B「やるなら今の内ってことだな。」
研究員A「やろう。この子を生き返らせるんだ。」


今から行うのは、禁忌にも近い。”人的に動物を蘇生させる行為”だ。


主な内容は                                  

 


研究員A「よし、これを注入すればいいんだね。」
???「そうそう。気をつけて使用してよ。ソレ危険なヤツだから。」


謎の男から手渡されたと思われるそれは・・・サンドスター
だが、何かが違う。何かが混ざっている。それが何なのか分からない。


解剖された獣の中に、サンドスターが入り込んでいく。
ゆっくり、じっくり・・・まるで薬物の如く。


そして妖しき光が獣から発した。

 

研究員B「この光・・・・まさか!」
???「お、成功?順調だね。”2度も”成功とは幸先がいい!」

 

光る物体は姿を変え、人の形を形成していき・・・・・

 

その獣は、アニマルガールとして再誕した。

 

研究員A「やった・・・やった!」
???「・・・・・・・・(なんだコイツ、すっぽんぽんじゃねぇか)」


そのアニマルガールは、耳が無く、尻尾が無く、毛皮である服も無かった。
異常なのだ。何かが違うのだ。


その獣は・・・・アカギツネは・・・!

 

アカギツネ「・・・・死ね。」
研究員B「は?」

次の瞬間、研究員Bの喉元に噛み付き、ちぎった。
研究員B「あぁ・・・あッ・・・うわあああぁああッ!!」

研究員Bは、血が最も通うであろう場所を的確に狙われ、出血多量で命を落とした。

 

研究員A「ヒィ!ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」
???「ギャハハハ!どうやら好き勝手身体を弄られたのが気に食わないらしい!面白いなぁ。せっかく命を与えてやったのに!」

 

アカギツネ「望ンでない!望んでナイ!死んデよカった!コンナノ・・・グルルルルル・・・!!!」

そして研究員Aに襲いかかった。Aは何度も謝罪の言葉を叫んだが、アカギツネには届かなかった。
数秒後、Aの亡骸が地面に転がっていた。

 

アカギツネ「フゥゥ・・・・グルルルル・・・・ッ!!」
???「こえwww丸っ裸の女が滑稽なことしてんなぁ。」


男は癪に障る物言いをした後、少し冷静になった。
???「お前は失敗作かもな。ここで死んどくか?」


アカギツネ「!!」

男に飛び掛かる。


???「・・・オルトロス」


ある名前を呟くと、暗闇から黒い女が現れた。
その女・・・・オルトロスによってアカギツネは拘束された。


オルトロス「雇い主さんよ。オレがいるから良いものの、油断しすぎちゃいないか?」
???「すまんすまん。ギリギリってのは人生を楽しませるスリルなんだ。こればっかりは止められなくてね。」
アカギツネ「グゥゥ・・・ガウッ・・・!」

地面に伏せられながらも、アカギツネはその男を睨みつけていた。

 


???「おー怖い怖い。さて、お前の処遇はどうしようか。知性があるなら、俺たちの仲間にしようとしてたんだけどなぁ・・・」

 


アカギツネ「・・・・・・・!?・・・・・ッ・・・・・・」

 

 


一瞬落ち着き。しばらく沈黙するアカギツネ。そして・・・

アカギツネ「私もそちら側に付かせていただきます。」
???「あん?」
オルトロス「どうした?命が惜しくなったか?」
アカギツネ「実のところ、そうですね。先程は生まれた直後でして状況判断が上手くできていませんでした。非礼をお赦し下さい。」


さっきとは態度が違う。獰猛な復讐者(アヴェンジャー)
の威圧は何処にもなく、人が変わったように淡々と話し出した。


オルトロス「どうすんだよ、こいつ。」
???「・・・・お前、アカギツネか?」
アカギツネ「・・・・・私は、この身体を依代とした悪霊、クダギツネでございます。」
???「へぇ。妖怪が住み着いているなんてな。でもさ、妖怪って嘘を付いたり騙したりなんて当たり前だろ。証明してみろよ」
アカギツネ「ではご覧に入れましょう。オルトロスさん、自由にしてくださいませんか?」
オルトロス「・・・・変なマネしたら咬み殺す、いいな?」

拘束を解かれ、アカギツネ・・・いやクダギツネはその場で集中し始める。

 


クダギツネ「我は人に仕える妖しなり。星の奇跡よ、記憶よ、記されし伝承になぞらい、私に力を与え給え!」


周りが煙に包まれる。そして・・・・


そこには複数匹の獣が現れた。
それは白い髪、目元に赤い化粧、化け狐そのものであった。

 

オルトロス「なんだこりゃ!?」
クダギツネ「分身です。私はクダギツネ、『75匹まで増える妖狐』です。なので、”母親”の私は”子供”を生み出せるのですよ。」
???「すげぇ!マジですげぇー!妖怪ってホントだったんだ!」

 

男の目は輝いていた。暗い瞳だったが、光は青春を謳歌する男子のそれだった。

 

クダギツネ「いかかでしょう。この力を以てすれば、少しは役に立てるのではと思いますが?」
???「よし、殺処分は無しで。お前を雇う。」
オルトロス「おい。そんな簡単に信じちまっていいのかよ!」
???「こうやって手の内をバラしたんだ。服従の印でもあろうさ。それに・・・いざとなったら、お前のにすりゃいいんだしな。」
オルトロス「・・・・・ま、そうだな。最適解だ。」

クダギツネ「私を抜いてご歓談をなさるのは寂しいですね。混ぜていただきたい。」
???「まぁまぁ、それはそれとして・・・・ほらッ!

 

室内の隅から鞄を取り出し、衣類をクダギツネに渡す。

 

???「これは俺たち教団の衣装。お前のために用意したんだが正解だったな。
 それと、全裸でいられると直視できないから早く着ろ。」
クダギツネ「?・・・・おっと(気付いたのか、渡された着物で体を隠す)」


???「クダギツネ、と来たか。・・・うーん、名前をつけてやろうか。」
クダギツネ「では、”イズナ”とお呼び下さい。それが私を形容する名称でもありますから。」

衣装に袖を通し終え、軽く回る。

オルトロス「おぉ。中々サマになってるな、イズナちゃんとやら。」
イズナ「お褒めの言葉ありがとうございます、ギリシアの番犬様。」

 

 

その後、パークで『呪術師イズナ』の噂は広まり、盗難事件が相次いだ。
パーク側の高等な情報操作で、『イズナ』が『クダギツネのアニマルガール』
であるという情報は上層部のみに知られている。
これが外部に漏れたとすれば、『アニマルガールが人間を使い悪さを働く』という
風潮が広まってしまい、やがては閉鎖に追い込まれるかもしれない。

 

とある場所。

男「なんで・・・・俺は、悪くない!奪われるのが悪いんだ。陰で俺を馬鹿にしていたのが原因だろ。
 うぅ・・・・イズナぁ、主のオレを助けてくれるんだよなぁ?」
イズナ「・・・・はい?最初に申したこと、お忘れですか?」
男「え?」
イズナ「私は”将来有望なお方”に仕えるものです。しかしあなたは慢心の末、ここまで落ちた。
 それも、ギャンブルでイカサマとは情けないですねぇ。」
男「この・・・それでも従者か!(殴りかかるも、あっさり躱されてしまう)」
イズナ「与えるだけ与えました。・・・・もう貴方には期待しません。さようなら主。」

にっこりとダークな笑みを浮かべ、体から白い霊体が大量に現れ、男に飛び掛った。
これがイズナのスキル『一切頂戴・外道地獄』。
攻撃技ではなく、奪取技。潤いの無き男の無けなしの財を奪い取り、去る。

男「あ・・・・ば、ば、ばけもの・・・・ガクッ」

イズナ「ダメですねぇ・・・・。この人も欲望に弱かった。

 

 

 

 ・・・・・そんなのだから、私が生まれるんですよ。」


白い妖怪は嗤う。人を、生き物を、世界を。


終わり


Tale

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