「あなたは本当に治りたい? それならわたしはそれをぜひ手助けしよう」
和名(英語名 / 学名)
個体名
概要
性格
身体能力
杖
食事習慣について
同時に持ち込まれた他のクスシヘビとの関係同時に持ち込まれた他のクスシヘビとの関係
容姿
人間体の身長はおよそ163cm。ヘビのヒト化動物に一般的に見られる、頭部を象った緑褐色のパーカーを着用しています。その上に日常的に白衣を着ていますが、これは自らを「医療従事者」とみなしていることに起因し、ヒト化した際に要求したものです。20██年末までに、譲渡や購入といった方法で計6着所有しているとのことです。また、術衣のようなパンツを着用しており、パーカの下にこれとセットと見られる衣類の存在が示唆されています。腰椎付近からは緑褐色の尾状器官がサンドスター由来心理具現物質により発生しており、クスシヘビそのもののような形状の鱗でおおわれています。尾状器官に総排出腔の構造は見られませんでした。
野生解放
キュリクス・ヒュギエイアスΚύλιξ Ὑγιείας(ヒュギエイアの薬杯)キュリクス・ヒュギエイアスKylix Hygieias(ヒュギエイアの薬杯)
杖が蛇の巻き付いた高坏にシームレスに変形し、それに満たされた薬液を摂取させ、その後遅滞なく休息させることで、疲労や怪我からの著しい回復を行います。この回復を受けた者は、全身、特に患部(病気や機能が低下した内臓を含む)が熱を持ち、体力が充実する感覚があると主張、その後の行動が一時的ではあるものの精力的になりました。これは体力が充実したことによる精神的な余裕に起因していると考えられています。通常はこの熱が引くまで安静にしている必要があるようで、熱を帯びたまま行動すると後述の副作用を惹起させます。薬効は平均して30分から1時間で切れます。
当該薬液を摂取し、精力的な感覚のまま通常時よりも強度に(或いは通常時と同様に)身体を動かした状態でその効果が切れた場合、身体的な著しい疲労を自覚し、その後の行動にも支障が出てしまうことがあるため、緊急時を除く摂取後の無理な行動は推奨されません。これは、当該薬液の副作用とみなされています。
薬液は当該個体のサンドスターばかりでなく、周辺環境からも回収して変換しているとみられています。この状態変化は、薬杯に薬液が満ちるまで継続し、且つこの継続時間は当該個体により下方に任意で変更することが可能であると見られます。薬液は概ね透明で、黄色から黄緑と形容される色彩を帯びています。味や香りは一定ではないものの、香りについてはおよそ「若草のようである」という表現が摂取者の約半数から述べられました。薬液の味は摂取者によって異なり、また同一摂取者であっても摂取のたびに変わっているようですが、どの味であっても、嫌悪感を覚えるものではないと評されています。なお、ジャパリフーズによる味覚センサでの測定を行った結果、各数値が測定の都度大幅に変化し、味の再現のための有意な結果は出ませんでした。
生成された薬液はすべて飲み干すよう当該個体より促される場合が多いですが、薬杯の容量が約2300mlと多く、またその浅く広い形状から溢れやすくもなっており、すべてを飲み干すことは一般的には困難です。薬効は、少なくとも約200mlの摂取で明確に出始め、最も効果的に体力や負傷からの回復が見込める薬液の総量は、平均約568mlでした。それよりも過度に多く摂取した場合、膨満感や嘔吐感を覚える対象者が多くなり、体力の回復こそ果たされるものの、以降の気分の高揚は限定的になり、最悪の場合沈降することもあります。これは視床下部腹内側野(満腹中枢)の働きによる通常の摂食行動の抑制であると見られます。
野性解放時に変形する当該器物の名称は、同様にキュリクス・ヒュギエイアスと呼称され、野性解放能力の存在を知った当該個体が、担当者に能力の概要を説明しているときに言及されました。
面接記録
三土(以下、発言者欄において「三」と表示する):おはよう、イギアくん。さっそくだが、始めるよ。今日は体調はどうかな?
ヒュギエイア(以下、発言者欄において「ヒ」と表示する):おはよう、ミツチ先生。今朝は、ちょっと眠いね。それ以外はまあ、ピンピンしてるけど。それにしたって朝早すぎるんじゃないかな、この面接。
三:僕もそう思う。でも、君は変成後間もないってのに、寝る間も惜しんでるように色んな情報を読み漁っているね。睡眠はしっかり取らないと、精神を破(や)ってしまう。それは、君の名前としても本意じゃないだろう?
ヒ:そうだね。実を言うと、3日あればこの体に慣れるかなと思ったけど、なかなかどうしてうまくいかない。眠るのだってそう。わたしにとって、瞼を閉じるっていう感覚は未だに新鮮で、それすらも思考を放棄させてくれないんだ。
三:こればっかりは慣れるしかないとは言え、記録されている睡眠時間が変成から今まででトータル6時間ちょっとくらいしかないのは、やはり問題だ。しばらくは睡眠導入剤を処方しよう。それと、睡眠訓練も計画されてるから、少し自由時間が減ってしまうが、君の健康のためだ。意欲的に寝てくれると助かるな。
ヒ:意欲的に眠る、ねぇ。……難しい注文だね。
三:瞼を閉じることですら思考の継続を助長するなら、そうしないように訓練するしかないからね。最初は厳しいだろう。開始当初はむしろ日あたりの睡眠時間が減ってしまうかもしれない。
ヒ:……本末転倒じゃ?
三:中長期的に成功すれば、短期的な睡眠の多寡は問題じゃないのさ。要は、君がちゃんとしたヒトとしての睡眠習慣を身につけられればそれで解決だよ。ヘビそのものだった君にそれを言うのは酷かもしれないけどね。
ヒ:まあ、……やってはみるよ。あまり期待はしないでね。
三:君との今日最初の会話で「眠い」っていうワードが出てきたから、期待をするなというのはいささか無理な注文だな。なんならシエスタと洒落込んでもいいかもしれない。まあいいか。さて、他に何か気付いたことはあるかな。
ヒ:うーん、ああ、そうだ、質問が。
三:どうぞ。
ヒ:本当にこの体は、食べ物の丸呑みには向いてないのかい?
三:……質問の意図を測りかねてるけど、一般的には向いてないね。
ヒ:やっぱりそうか……。
三:何か問題があるようだけど……、これはあれか、ヘビだった頃の食事習慣が現在も抜けなくて、たびたび食べるのを失敗してるか、物足りないか、といったところかな。
ヒ:……正解。すごいね。
三:伊達にアニマルガールの健康管理はやってないからねえ。まあ、多い問題ではあるよ。特に動物だった頃の記憶が鮮明であればあるほど、ヒトである状態での食事に違和感を覚えてしまう。記憶を継続していない個体の方が、逆説的には食事がヒトのそれに向いてると言えるかもしれないね。ああ、あと、ヒトは基本的に、ナマの食材をそのまま食べることはまれだ。例外は数多いけどね。で、僕は君の食事の光景を伝聞でしか知らないんだけど、やはり丸呑みしたいのかな。
ヒ:丸呑みしたいというか、……そうだな、飲み込むときに喉そのものを圧迫される感じ、というのかな、それが強かったら、食事ももっと満足になる、のかな。
三:なるほどね。そうだなぁ、今日の昼食は、君とご一緒してもかまわないかな?
ヒ:え? ……まあ、構わないよ。わたしを観察でもするのかい?
三:条件をつけるんだ。話をしながらの食事で何か変わるんじゃないかと思ってね。
ヒ:フムン。たしかに、今まで一人で食べていたわけだし、その場合というのは未体験だ。おもしろい話ができるといいね。
三:同感だね。じゃあ、昼のスケジュールも決まったことだし、今朝はこれで切り上げようか。話す時間は充分にある。
ヒ:賛成。昼食まで、またここにいればいいかな?
三:初期経過観察は明日の朝までだからね、窮屈ではあろうけど、あと24時間頑張ってくれ。
ヒ:まあ、本とかを読んでれば、あっという間に時間が過ぎていくから、そこまで苦じゃないかな。
三:実をいうと今日、君の午前中の予定が何もなくなってしまったんだよ。予定されてた検査が機材トラブルでできないみたいでね、他のことについても、予約が取れなかった。つまり暇ってことだね。寝落ちしても何も言わないから、昼まで寝るのも選択肢の一つだ。
ヒ:じゃあ、ベッドでゆっくり読書と洒落込むよ。
三:うん。それじゃ、何かあったら言ってね。また昼に。
ヒ:また昼に。
//終了
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執筆:三土 ██
クスシヘビ「イギア」をあなたの創作に於いて使用する際の手引きクスシヘビ「イギア」をあなたの創作に於いて使用する際の手引き
①菊狛により作成されたキャラクタ(以下、「当該キャラクタ」という)は、その名称・容姿・人物像等の権利を作者である菊狛が所有しています。
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