登場人物
モンハナシャコ「ガゼル」
前書き
実施日時: 2017年10月13日
200行程度の珍しい短編ロールです。
短いながらも内容はしっかり詰まっており、心温まる良ロールとなっています。
本編
スウィング
[曇天。雪の積もる街のはずれ、人通りの少ない階段の途中に彼女は座っていた。いつものサングラスで変装しているスウィングは、やはりドヤ顔であった]
(ふふふ……久しぶりの地元です!どの店に立ち寄ろうかな……あそこのカフェにしようかな?)
(うーん、悩むなぁ……)
モンハナシャコ
1、2…1、2…1…ん?
[近くをランニングしていたパーカー姿の少女がスウィングの方を向く]
…もしかして…!
[スウィングの方へ駆け寄っていく]
スウィング
……?……!?[こちらに駆け寄ってくるガゼルを二度見して]
モンハナシャコ
あの!もしかしてスウィングちゃんですか!?
[スウィングの眼前に迫る勢いで問いかける]
スウィング
わわわわ!?そ、そうですけど……!?(ななななんでバレっ……!?)
モンハナシャコ
やったぁ!本物だぁ![嬉しさで舞い上がっている]
スウィング
……え、えっと……あなたは……?[恐る恐るたずねる]
モンハナシャコ
あっと、すまないね…嬉しくてつい…
コホンッ…アタイはモンハナシャコのガゼル!よろしくな!
スウィング
ガゼルさん、ですか。ガゼルさんは私のことをご存知で……?
モンハナシャコ
もちろん!最近復帰したプロトプテルムのスウィングちゃんでしょ!
アタイ、アンタのファンなんだ!
スウィング
……わ、わああ……私の、ファン……![目を輝かせ]
モンハナシャコ
それにしても…やっぱり可愛いよなぁ…
あ!そうだ!サイン貰っても…って色紙がなかった…何かないかな…[ごそごそとポケットを弄っている]
ワタリガラス
[ガゼルの頭上を黒い影が通過する。]
モンハナシャコ
ん?[上を見る]
スウィング
?[同じく上を見る]
ワタリガラス
[黒い影はそのまま付近の塀の上に降り立つ。]
こんにちはお二人さん…
初めましてだねえ。
スウィング
……か、かっこいい……![また目を輝かせ、小声で]
モンハナシャコ
おぁ…なんだか強そうな奴が来た……![スウィングとは別の意味で目を輝かせる]
ワタリガラス
私はワタリガラスのレイ…
2人の期待にそうようなヤツじゃないが、そっちのあんたに忘れ物のお届けものさ。
[スウィングを見下ろし、笑う。]
スウィング
……えっ?私に?[首を傾げ]
ワタリガラス
そうだなぁ…変なマスクのオネエ、と言えばピンと来るかい?
[塀の上に腰掛け脚を組みつつ話し出す。]
モンハナシャコ
(変なマスクのオネエ…?…あれ?どこかで聞いたような気が…)
スウィング
九洲梨さん、ですか?(ままままたなにか怒られるようなことしちゃったのかな……?)[少し震え]
ワタリガラス
地元に行くならファンサービスをしろって。
[色紙の束とマジックペンをそれぞれ手に持つ。]
スウィング
……![少し暗かった表情が明るくなる]
モンハナシャコ
!
ワタリガラス
少し遅れたけど、そう悪くないタイミングみたいだね?
スウィング
は、はい!わざわざありがとうございます![深々とお辞儀をし]
ワタリガラス
[塀から飛び降り、スウィングが頭を上げるタイミングで顔を近づける。]
…アイドルなんだってねえ。
はは どうりで可愛らしいわけだ。
スウィング
わわっ!?[いつのまにか目の前にいたことに驚き]……かわ……?さっきも言われましたけど……そうでしょうか……?[やや俯き、顔を赤らめ]
モンハナシャコ
もちろん!可愛いに決まってるじゃないか![興奮しながら]
ワタリガラス
[スウィングの反応を受け不敵に微笑む。そして顔を会話できる程度まで離し道具を差し出す。]
はい どうぞ。
スウィング
[火を噴きそうなぐらい赤くなった顔のまま、ぎこちなく受け取り]……ド、ドウモ
ワタリガラス
今度は忘れないように、気を付けるんだよ?
スウィング
ハ、ハイ……
ワタリガラス
さもないと私がまた届けにくるからね?
[おかしそうに微笑む。]
スウィング
……ワカリマシタ……[うわのそらで]
ワタリガラス
[よし と頷いたところでガゼルを一瞥する。]
そっちの子がサインを待ってるんじゃないかい?
モンハナシャコ
[目を輝かせながらスウィングを見ている]
スウィング
……ハッ!?……す、すみません!?今書きますね……[ペンを持ち、色紙に少し書き込んだあと手を止め]……こうだった、よね……[小声で呟いたあと、また手を動かす]
……はい、どうぞ[ガゼルに色紙を手渡す。色紙の中心あたりに控えめな大きさのサインが書かれていた]
モンハナシャコ
……っ!やったああぁぁぁ![サインを受け取ってしばらく眺めたのち狂喜乱舞する]
ワタリガラス
ねぇねぇ。[スウィングに横から声を掛ける。]
思ったんだけどさぁ
スウィング
な、なんでしょう?
ワタリガラス
あの子の名前…
[狂喜乱舞するガゼルを一瞥する。]
サインのとこに書いてあげたら喜ぶんじゃない?
"だれだれちゃんへ"…ってさ。
スウィング
……!そう、ですね……うっかりしてました……ガゼルさん、ちょっと書き忘れたところがあったので……その、色紙を……
ワタリガラス
[ニヤニヤとガゼルとスウィングを見つめる。]
モンハナシャコ
…へ?そうなのか?[色紙をスウィングに渡す]
スウィング
すみません……[今度はしっかりとした動きで書き込んでいく]……よし、これで大丈夫です
[ガゼルに色紙を返す。それの右下には控えめなサインより少し大きめな文字で「ガゼルちゃんへ♥」と書かれていた]
モンハナシャコ
………ぁ![色紙を受け取り、感嘆の声を漏らす]
ワタリガラス
[2人を見て目を細めて微笑む。]
スウィング
[前髪を下ろしてサングラスを外し、いつもの姿でガゼルにウインクしてみせる]
モンハナシャコ
っ![感動のあまり涙を流す]
スウィング
えっ……えっ!?[泣かれるとは思っていなかったらしく、焦りはじめる]
ワタリガラス
[ガゼルに見えない位置でスウィングの手に黒のハンカチを握らせる。]
スウィング
……![レイの顔を少しの間だけ見、すぐにガゼルの涙を拭きにかかる]
……そ、その……泣かないでください。私はファンの皆さんに笑顔になってほしくて歌ってますから……!
ワタリガラス
[ドヤ顔で三度緩慢に頷く。]
モンハナシャコ
…っ…すまない…嬉しすぎてつい…
…んっ…ありがとな…大切にするよ…![満面の笑みをスウィングに向ける]
スウィング
ふふふ、よかったです……[同じように笑顔を向けたあと、新しい色紙に何かを書き込み]
……その……レイさん。よかったらこれを……要らなかったらごめんなさい
[レイにも色紙を渡そうとする。そこには控えめなサインと、それよりも少し大きな字で「レイちゃんへ♥」と書いてあった]
ワタリガラス
[少し驚きつつも微笑み色紙を受け取る。]
ありがとう。大事にするよ。
…さて、そろそろ私はおいとましようかな。
ふふ
忘れ物を届けるだけのつもりがつい話し込んじまった。
スウィング
その……いろいろとありがとうございました!また会えたら……えーっと、ご迷惑でなければ……この恩、返します!
モンハナシャコ
アタイからも感謝するよ!ありがとな!
ワタリガラス
[2人の声に応えるように微笑み、飛び去る。]
スウィング
[控えめに手を振り]……ガゼルさん、その……よければ一緒に、この街を歩きませんか?
モンハナシャコ
[大きく手を振り]……え!?いいのか!?
スウィング
はい。ふたつめの故郷を誰かに紹介したかったんです!……あ、余計、でしたか……?[しゅんとして]
モンハナシャコ
いやいや!全然余計なんかじゃないよ!むしろ嬉しいよ!
スウィング
よかった……!では、さっそく案内します……!
[その後、スウィングは奇妙な名前のアルバムを出し、多くのファンを困惑させつつも注目を浴びた。"蝦蛄と鴉"……その意味を知るのは、ほんの一握りの者だけである]
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[ADLBキョウシュウエリア駐屯地]
[スウィング達と別れたワタリガラスが自分のテントの中でクッションに身体をうずめながら音楽を聴いている。]
ワタリガラス
♪~
ザク少佐
お、帰って来たか。おかえり。アイドルには会えたか?
ワタリガラス
[片側のヘッドホンを外す。]
まぁね。
ザク少佐
お前から面倒な仕事を引き受けるなんて何事かと思ったがな。サインは貰えたか?
ワタリガラス
うん。
[ワタリガラスが指差した先のボードには額に入れられたスウィングのサイン色紙が貼ってある。ザクが返事をしてテントから立ち去ると、レイは再びヘッドホンを装着する。ヘッドホンからはスウィングのシングルアルバム「Swim Wings」が僅かに音漏れするのだった。]
[ホッカイ・アーケードにて fin]
キャスト
プロトプテルム:キキリシュギ
モンハナシャコ:DerMaltu
レイ / ザク少佐:ZAKU
編集・校正:Nordic
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