アニマルガール情報
動物名:オグロシギ
愛称:ロシギ
所属:カントー地方~ホクリク地方
管理権限:1
アニマルガール概要:ある特定の場所には定住せず、常にカントー地方からホクリク地方の森林・沿岸エリアを放浪している渡り鳥のアニマルガールです。
他のアニマルガールより知的好奇心が旺盛であり、敢えて人が多いパークセントラルやシンノウ平野の市街地に降り立ち、気になった事を片っ端から職員や来園客に聞き込んで回る姿が目撃されています。
比較的体型はスリムで、よく食べる方ではありますが太りにくいと本人は話しています。
性格としては好戦的であるという事が真っ先に挙げられます。特に近縁種、シギ科のアニマルガールに対して当たりが強い傾向があり、相手に向ける敵愾心を隠すような素振りはありません。かつては自ら職員やフレンズに突っかかり自らの強さを誇示しようとする素振りが見られましたが、今はそのような事は無く、誰に対しても基本友好的に接します。かつての威圧的な態度から、シギ科だけでは無く他のアニマルガールからも敬遠されがちな所が多々あり、その誤解を解こうとしている部分もあるのかも知れません。一年ほど前に一人の男性来園者に私怨から攻撃を仕掛け怪我を負わせたとして、倫理保安局から厳重注意が下されています。
自らの身体能力にはかなりの自信を持っていますが、実際には通常のアニマルガールの持つものと比べて特別優れたものを持ち合わせてはいないようです。
この自信家という側面は、彼女がオグロシギ属の代表種であるという部分から来る誇りの高さに起因していると考えられます。
「調べて貰ったんだけどさ、あたしはオグロシギ属の中でも代表種らしいぜ。ふふふ、代表ってのはなかなかあたしに相応しいと思わないかい?…代表種ってそういう意味で合ってるよね?」 |
※彼女の属するLimosa limosa melanuroidesは東アジア、日本などに生息しており、全三亜種の中で最も小さな個体です。
それ故に以前は自身の能力を過信して突っ走ってしまう事も多く、返り討ちにされることも少なくなくありませんでした。現在は他人に危害を加えようとはしませんが、自信家である事は変わりなく、突っ走ってしまい失敗する様子がよく見受けられます。ただ彼女に言わせると「他の子より持久力には長けている」らしく、これは長距離を移動する渡り鳥の特徴が発現したものと考えられます。
また努力家という側面もあり、職員が本人に頼み込み聞き込みをしたところ、今は散歩がてらに各地の図書館に立ち寄り、そこで借りた日本語で書かれた書物(絵本から小説まで多岐に渡る)をもとにして人の言語の勉強をしているようです。億劫さよりも多くの事を知ってみたいという好奇心が勝った、と本人は話しており、まだ稚拙ながらも見聞きした事柄を郊外で偶然拾ったという測量野帳に纏めていると言います。一つの事が気になるとそれを深く掘り下げて長い間調べ続けるということが多々あり、一度捕まると質問地獄によってなかなか解放されない事から職員には敬遠されがちな所も多々あります。
マニア気質なところもあり、変に細かい分野に拘ってしまう事も少なくありません。彼女に捕まった職員が、三時間ほど岩場に生えた藻の話をされたという記録もあります。ただ完全に突き詰めるという事はせずに、幅広い分野に興味を持っており、パーク中を場所を限定せずにあちこち飛び回って様々な事を調べています。
彼女によるとそのため彼女の知識は増えていく一方であり、以前より簡単には言う事を聞かなくなった、と一時期保護観察を担当した職員が嘆いていました。
交友関係は未だ不明な部分が多いですが、彼女によると同じシギ科で気の置けないやつが一人いるとの事で、文字の読み書きは主に彼女に教えられたと自慢げに語っていました。
職員「じゃあ、そこに座って」 オグロシギ「はい」 職員「では、まず念の為に名前と、出身と、あと出来ればアニマルガールになった時期を教えてくれるかな」 オグロシギ「オグロシギ、アンイン地方の干潟出身。アニマルガールになったのは大体一か月?前。これでいい?」 職員「大丈夫です。一か月経って、その身体にも少し慣れたかな?」 オグロシギ「いや…まだいまいちよく分からないな。翼が頭に移動したから、動かし方が掴めないんだ」 職員「ふむ…一か月も経てばある程度の子は慣れていくものなんだけど」 オグロシギ「それってつまり、あたしが出来損ないって言いたい訳?」 職員「いや、そんなつもりは無かったんだ、言い方が悪かったね。話を変えようか。何か、その姿になって好きになった事とかあるかい」 オグロシギ「好きな事?…うーん、それに当たるかは分からないけれど、干潟の近くで拾った薄くて捲れる、何て言うんだろうなあれ」 職員「ノート?こういうやつ?」[懐からフィールドワーク用の手帳を取り出す] オグロシギ「ああ、それだよ。じゃああんたらが落とした物だったんだな。一緒に書ける、ぺんだっけか、それがくっ付いてたから、気になったものをそこに書いてるんだ。」 職員「書いてるものは文字?」 オグロシギ「あんな面倒臭くて入り組んだものをあたしが書ける訳ないだろ。見つけたものの形とかを描いてるんだ。」 職員「つまり絵ってことだね。いつもどんなものを主に描いているのか、言える?」 オグロシギ「干潟にあった貝殻とか、道端の石とか…人の姿に慣れたやつはあんまり見ないだろうけれど、実際じっくり観察してみると、いろんな形があって面白いんだ。」 職員「確かに普段はあんまり観察したりはしない物だね。他には無いかな?」 オグロシギ「あとは…あんまりしょっちゅうはしないけれど、干潟に来る鳥の観察、とか?」 職員「同種の観察って訳かい」 オグロシギ「あたしの仲間じゃないけれど、人間がシギ科って呼んでる奴らはよく飛んで来るんだ。鳥の頃は大して気にも留めなかったけれど、これもじっくり見てみると、羽の辺りや尾の辺りがちょっとずつ違っていて飽きないね。」 職員「なるほどね。じゃあ次だけど、ここ一か月で友達とかは出来た?」 オグロシギ「一人だけなら…アニマルガールになって何日か後に干潟を訪れてきた鳥類の子と一応仲良くはなったんだ。何の動物か検討を付けてくれたのもそいつでさ。話も合わない訳じゃないし、上手くやっていけそうかなって。」 職員「そのアニマルガールの名前は?」 オグロシギ「名前…えっと…何だったかな、そういえばまだちゃんとした名前、聞いてなかったかも」 職員「そっかそっか、じゃあ次に面会であった時にでも聞かせてくれよ。残念ながら僕は君の面会担当であって、担当飼育員では無いみたいだからね。」 オグロシギ「そうなんだ、それは残念だね。次はちゃんと聞いてくるよ」 職員「そうしてくれると嬉しいよ。…そろそろ身体検査の時間かな。じゃあ移動しようか。」
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この面会を通して、彼女の性格についていくつかの事が判明しました。
まずはプライドが高めである事。他者との差異を職員がインタビューの際に話した時、彼女は強い不快感を表しました。他者からの評価を気にする様子で、これはこの後に行われた身体検査の時にも見られました。
次に好奇心の強さです。これは渡り鳥の特性に基づくものなのか、まだ不明な部分ではありますが、他の鳥類と比較して好奇心旺盛と言えます。彼女の場合は着眼点が独特であり、他の人間があまり目に付けない事を好む傾向にあると思われます。
二回目の面会は予期せぬ形で取り行われる形となりました。行われた場所は試験開放区内の倫理保安局の支部施設です。
[面会室の鉄扉が開く音] 職員B「当該アニマルガールの拘引完了しました。入室させても宜しいですか」 職員A「どうぞ」 [職員二人に連れられて一人のアニマルガールが入室する] 職員C「念の為、手錠は掛けてますよ」 A「了解しました。あなたはこちらに掛けてください」 [Aがアニマルガールに目の前のパイプ椅子に腰掛けるよう促すが、なかなか座ろうとしない] B「どうした、早く座りなさい」[Bがアニマルガールの肩に手を掛ける] アニマルガール「んだよ、急に触んじゃねぇ」 C「なら早く座るんだ。仮にも君は拘束中の身なんだぞ」 アニマルガール「…けっ」[しぶしぶと言った様子で荒々しく腰を掛ける] A「ではまず、名前と…」 アニマルガール「あのさあ、それ前にもあたし言ったよな?前の奴から聞いてねえのかよ」 A「ええ、聞いてますよ。ただ本人確認の為、規則的には必須なんです」 アニマルガール「あんた面倒臭いな…オグロシギ。これでいいか」 A「ご協力感謝します。では事情聴取に移ります。アンイン地方の北部干潟で発生した暴行事件ですが」 オグロシギ「先に言うけど、あたしは悪くない。あいつらが初めに突っかかって来たのさ。せいとうぼうえい、ってやつだ」 A「被害者への聞き込みや現場検証で分かった当時の状況を鑑みるに、そうは思えないのですけれど」 オグロシギ「けっ、あいつらはどうとでも言えるだろ。初めにあたしの縄張りに入って来たのはあいつらなんだから、さっきも言ったようにあたしに非は無い」 A「あの干潟はパークが管理しているものです。元よりあなたの縄張りでも寝床でも無いのですよ」 オグロシギ「人間はそうやって私物化するのが上手いよ。あたしだって望んでこうなったわけじゃない。ここに来たわけじゃない。出来るなら元に戻して欲しいね」 A「取り敢えず、当時の状況をあなたの目線からで良いのでお聞かせ願えませんか」 オグロシギ「あいつらが来たのは二日前の午後。その日はなんだか疲れて眠かったし、岩場の陰で寝ようと思ってたんだ。そうしたら向こうの方からいくつか足音が聞こえたから、寝るのは止めにして岩場の更に裏側に回ったのさ。もとから人と話すのは苦手だったからね。でも移動するときにあたしは大事な事を忘れていた」 オグロシギ「手帳だよ。それくらいならあんた達も前の担当から聞いているだろう。眠かったっていうのが大きな要因だろうけど、とにかくそれを岩場に置き忘れてしまったのさ。そいつらが岩場に入って来た時にその事に改めて気付いたんだ。けれど遅かった。そいつらはあたしの手帳を見つけてさ、馬鹿みたいに騒いでいやがった」 オグロシギ「しまったとその時は思ったね。他人には見られたくないものだったんだ。…いやまあ、あたしの友達には一度だけ見せた事はあったけれど…その日に見つけた色々なものを書き留めてあったんだ。稚拙なものだって自分でも分かってるさ。絵も下手だし、文字も書けないくらいには馬鹿だし…けれど、大事な物なんだ。それをあいつらは、平気な顔して海の方に捨てやがった。面白半分だったんだろうけど」 A「それで、どうしたんです」 オグロシギ「腹が立つって言うよりは、ショックの方がでかかったんだ。それから沸々と怒りが湧いてきてさ。殴ってやろうだとか、そんな気持ちは毛頭無かった。でも何か言ってやらないと収まりが付かなくて、あいつらの前に行ったんだ。どうして手帳を捨てたんだよって、どうして笑ったんだよって言ってやった。そうしたらあいつらはどうしたと思う?今度はあたしの方を指差して笑ったんだ。三人だったよ。こっちに一斉に嫌な顔を向けて、笑ってきたんだ。」 オグロシギ「あたしは悔しかった。悔しくて堪らなかったんだ。あたしはとにかく、手帳は取り戻したいと考えて、海の方へ向かおうとした。が、今度は前に居たやつに足を掛けられたんだ。そう。それがきっかけだった」 A「それで、殴ったりしたんですか」 オグロシギ「…ああ、そうだよ。あそこまでされたら、流石に誰だって、反撃するだろ」 A「ふむ」 オグロシギ「頼むよ、信じてくれ。あたしだってそんな事したく無かったって言ってるだろ」 A「けれど、そうやって言い逃れをする人は少なくありませんからね」 オグロシギ「本当なんだ。あいつらに暴力を振るったのは反省しているよ。でも、あたしがされた事だって考えて欲しい」 A「現在怪我を負った男性一人が開放区内の大型病院で治療を受けています。倒れた際に腕を骨折したみたいで。殴ったのは一人だけですか」 オグロシギ「もちろん。報告書とやらにもそう書いてあるんでしょ」 A「なるほど…」 オグロシギ「…なあ、もういいだろ。話せる事は全部話したよ」 A「あなたから受け取った被害者三人についての情報は、有用に使わせて頂きます。ただ、現時点であなたの処罰が覆ることは…難しいでしょうね」 オグロシギ「処罰ってどんなのなんだよ」 A「まだ明確に決まった訳ではないので、私の口から詳しい事は言えませんが、少なくとも倫理的な教育期間も含めて本部に一か月は拘留、倫理教育期間を含めると二カ月は拘束されるでしょう」 オグロシギ「なんだよそれ…あいつらは、どうなるんだ」 A「怪我をしなかった二人については、パークから厳重注意が下され、既に本土の方に戻っています。治療中の男性については、完治の後同じように注意が下されるかと」 オグロシギ「なんであたしだけそんなに厳しいんだよ…」 A「規定上、力的に上であるアニマルガールの処罰がこの場合重くなるんです。申し訳ありませんが、これからの為にもどうかご協」 オグロシギ「そんなの、どう考えてもおかしいだろ!!」[勢いよく立ちあがり反動で椅子が倒れる] A「規定なんです」 オグロシギ「規定規定って、きっと頭の良い人間様が作ったものなんだろうが、あたしは納得いかねえよ。そんなのひどいじゃんか」 B「落ち着きなさい」 オグロシギ「落ち着きを無くさせたのはあんたらだろうが!」 C「拘束期間が延びるだけだぞ」 オグロシギ「っ…なんだって…?」 A「そう。君がここで忍耐力を見せれば、きっと事は上手く運ぶよ。我々もなるべく上手く立ち回るから」 オグロシギ「そんなことって…」 C「混乱しているようだ」 B「念の為に聴取はここで終了させて、彼女を元の部屋に戻しましょう」 A「そうですね。では、ありがとうございました」 オグロシギ「ちょっ、ちょっと待てよ…あたしだってもっと言いたい事、あるのに」 C「あとあっちで聞くから。扉開けて」 B「はいはい」 オグロシギ「そんな……ごめんなさい…でも二カ月は長いんです…友達に伝えたい事が一つあって…」 B「君が問題さえ起こさなければさ、こうはならなかった訳。分かる?」 オグロシギ「はい…」 B「じゃあ行こうか」 [退室] |
この後、結局の所彼女は倫理教育期間を含めて約二カ月半本部で拘束される事となりました。
しかしそれにも関わらずその後はさらに素行が悪化し、翌年に至るまでに確認できるだけでも5回、同じように聴取を受けています。彼女に関連する報告書によると、実際に危害を加える訳では無く、そのような素振りを見せて自分よりひ弱なアニマルガールを脅して、ジャパリまん等のアニマルガール全体に等しく行き渡るべき物資を奪っていたそうです。
職員が直々に出向いて身柄を押えようとした事もありましたが、オグロシギ特有の発達したフライトディスプレイで脅し、拘束は困難を極めました。この際に野生開放も僅かながら確認されています。
二年ほど経過した後、彼女は自ら倫理保安局の元を訪ねてきました。彼女によるとあの時の謝罪をしたいとの事で、様々な部署を巡って担当職員に謝る素振りを見せていました。
彼女の人格が素行が悪化する前に突如として戻った、いやそれよりも明るくなった理由は、実の所本部も掴めていません。彼女と面会を再度行った際に尋ねましたが、頭を掻くだけで曖昧な返答しか寄こさなかったと言います。
その際に行った8回目の面会はこの場では伏せますが、9回目の面会の掲載を彼女が快諾してくれたため、以下に載せます。
-インタビュー-
[数秒間の静寂の後、突然大きな羽音が鳴る] 職員:うおっ!? オグロシギ:よっと…指定された場所ここで合ってる? 職員:合ってますよ。えっと[紙を捲る音が聞こえる]…オグロシギさん、でよろしいですか? オグロシギ:ふふん、そうだよ、あたしこそがオグロシギ!でも居心地悪いしロシギ、って呼んで貰ってもいいかな? 職員:勿論です。では、早速インタビューに移りますが… オグロシギ:待った!その前に聞いておこう、謝礼のジャパリまん、ちゃんとくれるんだろうね? 職員:ええ、一応本部の方には数十個準備しておりますが……もしかして足らないですか? オグロシギ:いやいや、飛ぶ時に携行するには十分な量だね。それにあたし達渡り鳥は長距離移動が多いから身体の上手い使い方を知っているのさ。だからそう簡単に飢餓に陥る事も無いしね![自慢げに鼻を鳴らす] 職員:なるほど…では早速質問に移りますが、まずフレンズ化したのは大体何時ごろでしょうか?その時の記憶も残っていればお願いします。 オグロシギ:またその質問かぁ。うーん、確か一年半ほど前だったかな?越冬の時期、ヒトが確か秋と呼んでる頃にここらの干潟に飛んで来て、ミミズやらゴカイやらを喰ってたんだけど、ちょうどその時は霧が濃くてさ。あたしは群れでも結構食べる方だったから、飛行条件が悪くなる前に食い溜めしておこうと考えて仲間より少し長くその場に居座ってたらこの有様だよ。その後霧の中で仲間を探したけど見つからなかったし、きっともうオーストラリアの方に行っちまったんだろうな。 職員:[フィールドノートにペンを走らせる音] オグロシギ:あの時はまず食いもんに飢えていたなぁ。近くにいたミミズとかを拾って食ってみたんだけど、やっぱりこの体だとあんまり美味しいとは思えなくて。数匹ばかし食った後に付近を散歩してたらラッキービーストに逢ってさ。でまあジャパリまんを貰える事を知って、今は食べるものに困る事も無いんだけど。 職員:やっぱり食生活の変化は辛いですか? オグロシギ:辛くないよ。というのも、味覚が変わっちゃったのが大きい気がするけど。鳥の時は行く先々で干潟の状態が異なるから食べ物を安定的に得られるとは限らないし、むしろ律儀に決まった時間に食べ物を恵んでくれるここでの生活の方がいいと思うけどね。 職員:なるほど、ありがとうございます。他の職員の方々からは常々好奇心が旺盛だという話を聞いていますが、実際はどうなのでしょうか? オグロシギ:好奇心?何かを知りたいと思うとかそういう事? 職員:そうです。 オグロシギ:そうだねぇ。でも他の渡り鳥だってそうなんじゃない?別な鳥類に比べて遠い場所まで行くんだし、行った先でも現地調査は欠かせないし、後代にその地域の渡り方も受け継いでいかなきゃいけないしね。 職員:大分年季が入っていますね。これと一緒なのでは? オグロシギ:それそれ!でもまあ、これは二つ目なんだけどね~ 職員:二つ目?これは本部からの支給品なんですけど、もしかしたらそれも職員が落としたものかもしれませんね。 オグロシギ:確かに初めの方に何か書いてあったなぁ。まあヒトの事情なんてあたしからすればどうでもいいんだけどね。 職員:もしかして文字も書けるんですか? オグロシギ:ちょっとだけなら、ね。漢字?っていうのはまだまだだけど、「ひらがな」っていうものは大体書けるようになったかな。このノートと一緒にペンが落ちてたから、それも使ってるんだけど。 職員:なるほど…[フィールドノートに書き込む音] オグロシギ:まさか。ちょうどこの街に知り合いがいてーそいつあたしより頭が良いからさ、そいつに教えて貰ってたんだ。ただそいつ、図書館とか郊外の方に外出している事が多いから、タイミング合わないと会えないんだよなぁ。 職員:試験開放区に知り合いが一人、と… オグロシギ:おっ、それ聞いちゃう?ふふふ… 職員:な、なんですか…? オグロシギ:……って言ってもまあ特に深い訳があるわけでも無いんだけどね。昔はちょっとやんちゃしてたってだけで… 職員:やんちゃ、ですか。例えばどんな? オグロシギ:そうだなぁ。人間とか、あたしより弱いと見做した奴には積極的に喧嘩を売ってたね。 職員:ふむ、それはまた何故? オグロシギ:何故?もしかしてあんたもあの報告書を見て無い感じ?まあいいけどさ。理由としては、気に入らなかったから?それに一番手近だったし。 職員:気に入らない? オグロシギ:昔は人間が定めたパーク内の規則が嫌いだった。自己中心的だし、フレンズの事なんか全く考慮していないと思っていたんだ。例の事件が起こって取り調べを受けた時も、人間達はあたしを殆ど擁護してくれようとはしなかった。だからあたしはその後の二年間、あらゆる注意を受けようとも自らの行いを正そうとはせずに、好きな事を好きなようにやって暮らしてたんだ。人間の規則にわざと背いてね。 職員:それで、結局の所規則の変更は オグロシギ:結局ほとんど変わらなかったさ。でも、言えただけで随分気持ちは楽になったよ。 職員:なるほど。それなら良かったです。 オグロシギ:『一体、獣でも人間でも、もとは何かほかのものだったんだろう。初めはそれを覚えているが、しだいに忘れてしまい、初めから今の形のものだったと思い込んでいるのではないか?』 職員:…? オグロシギ:さっき話した、喧嘩っ早かったあたしを諭してくれたやつがさ、道に迷ってたあたしに教えてくれた言葉さ。なんかの本の一節らしいよ。まあその本の主人公は、聞いた限りではちょっとかわいそうなヒト?だったけどね… 職員:言いたかっただけなんですか…とにかく、今回は御協力感謝します。インタビューの記録は本部にて厳重に保管しますので、御安心を。 オグロシギ:はいよ~。話してたら血が騒いできちゃったな…ちょっと一戦交えてくるわ。それじゃっ![轟音と共に飛び去る] 職員:ええっ、喧嘩はやめたんじゃ無かったんですか!ちょっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー [録音終了。この対話資料は、クラウド内の電子アーカイブに保存されています。] |
野生解放について:
解放名「Long-Term Plight」
直訳すると「長期的な苦境」。開放中は羽の肥大化が確認されます。
また通常時よりも機敏な動きが可能になり、オグロシギ特有の発達したフライトディスプレイを彷彿とさせます。解放時間も他のフレンズと比べて比較的長い為、攻撃対象により長時間ダメージを与え続ける事が出来ます。
解放時間の長期化は渡り鳥特有の高い持久力によるものではないかと推測されています。
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