Aの行為とAによる隣人

ページ名:3姉妹

 

クマムシ「なに……?K博士の家族だと?」

田沼「うん、なんか今日ラボに来るらしいよ……それは?」

クマムシ「世界平和とはなんたるかを説いた経本だが?」

田沼「ボッシュート!」

クマムシ「私の神なる導きが!? 何をする千恵!?」

田沼「布教活動は相手を選びなよ!?だってK博士だよ!?常識の範疇にいる家族なワケ無いって!」

クマムシ「愛に境界線など無い!ブルジョワだろうがプロレタリアートだろうが須らく私は救いの手を」

田沼「ソースもない架空経典に傾倒するとか、クソアニメにハマる萌え豚かな!?」

クマムシ「豚だとしても年中無休で愛は貴様を拒まんぞ?今なら素晴らしき神と美しき私のユニットソング付きだ!」

田沼「いらねー。てか、家族が来るってのにK博士は?」

クマムシ「別件で用があるとかで居ないな。最近何故か忙しそうにしている」

田沼「だろうね。……はぁ、とっととこっから退散しない?絶対このままだったらK博士の家族と鉢合うじゃんダルっ」

クマムシ「行くなら貴様一人行け、私は全なるお方である神の命にてここにいる」

田沼「プラナリアか、なんて?」

クマムシ「客人をもてなして欲しいという宣託を賜ったのだが、それがK博士の家族の事だとはな」

田沼「…………んー」

クマムシ「どうした、世界を救いたくなったか」

田沼「生憎、私はそんな殊勝な考えとは隔絶してるのさ。どうしてプラナリアは客人の存在を知ってたんだろう?」

クマムシ「神だからだ」

田沼「そうだったコイツ狂信者だった、道理がまっさらだった」

クマムシ「ふむ。では美しき軍人たる我が、尊き神が如何にして世界を救うに足る御方なのか語るな?」

田沼「語った瞬間ヘッドフォンつけてアニソンメドレーに没入してやる」


コンコン


田沼「うわ、来たよ……今日は引きこもってSNS三昧でもしてりゃよかった……」

クマムシ「覚悟を決めろ、栄誉ある死は二階級特進だ」

田沼「ゆとりに言っても効果ないよそれ。……はぁ。あ、開いてまーす」

??「お姉ちゃん!おっひさー!」

田沼「(ブレザー着た私と同い年くらいの……ギャル?結構普通だけど……)」

クマムシ「ようこそK博士のラボへ。私はクマムシのフレンズだ。本人は不在でな、いつ帰るのかもわからん」

田沼「私は博士の部下で、田沼千恵。人間だよ」

??「はーいよろー……ってK博士?……お、そっかお姉ちゃんそう名乗ってるんだっけ。それなら……あーしはぁ」

K学生「K学生って感じでよろしくぅ!お姉ちゃん、あ、K博士の妹だよ♪」

田沼「あの博士の妹にしては常識の範疇だ……!」

K学生「あはは、私なんて普通っしょ。お父さんとかお母さん、二人のお姉ちゃんに比べれば常識人だし」

クマムシ「お、こんなところにK博士の残したメモが……なになに」

田沼「なんて?」

クマムシ「『ギャルな妹は賭博師、世界レベルの天才ギャンブラーだよ』」

田沼「もーすぐそういう濃いのぶつけてくるー」

K学生「あはは、お姉ちゃんも相変わらずマジウケるし!たぬっち今度バカラる?」

田沼「たぬっちって急に距離詰めてくるなよ陽キャ、こちとら万年影キャだぞ!」

クマムシ「よくわからんが、貴様は私と同じ感じがするな。K学生」

K学生「だったらよっぽど頭イッてるけど?私賭けの為に生きてる感じあるし。ベットの無い人生に意味ない系だし?」

田沼「一般人に同意を求めるな。ったく、ギャルで賭博狂いのギャンブラーだと?速攻捕まれ未成年」

K学生「それじゃ一年以内に捕まるか捕まらないかどっちに賭ける?なに賭けちゃおっか!あーしは人生だけどたぬっちは?」

田沼「そんなカラオケでなに歌う?みたいなテンションで破滅を誘うな!」

クマムシ「狂った者とは本当に理解の外に居るのだな」

田沼「うるせぇ狂信者」

K学生「あ!ラインきた!んにゃ?お父さんから……あ、お姉ちゃん来てるって!」

クマムシ「K博士か?」

K学生「いやー、そっちじゃなくて。長女のほう」

田沼「K博士は次女だったんだね」

K学生「きゃははは! あーしよりはマトモだよ?」

田沼「基準が狂ってるからなにも信じらなれないよ!」


コンコン


クマムシ「噂をすれば、だな。入るがいい」

??「ギャハハハハハ!!おい愚かな妹ォ!お姉ちゃんだぞ?あ”ぁ”?」

田沼「(なんだこの個性の塊。なんだあの尋常じゃねぇローライズと革ジャン)」

クマムシ「ヤバいな」

田沼「テンション上がったお前もあんな感じだよ」

クマムシ「?」

田沼「自覚なしかよ!!」

K学生「ヤバー!お姉ちゃん今日もキレッキレなんですけど!」

??「ん?お前に先を越されたか、それで?あの愚妹は何処だ」

K学生「なんか今居ないんだって。それよりお姉ちゃん、そっちの人生穿って見てる感じの子が田沼千恵ちゃんで、そっちの明らかに狂ってそうな軍服の子がクマムシのフレンズだって」

田沼「ど、どうも。K博士の部下です」

クマムシ「初めまして。世界平和の信徒だ」

K歌手「愚妹が世話になってるな貴様ら!私は……そう、愚妹の意に沿えば。K歌手だ!」

K学生「あれ、お姉ちゃん。そのピンマイクどうしたの?つけっぱなしだよ」

K歌手「あぁ?これか、このパークに来る前までロック・フェスに出てたからな、外すの忘れちまってた」

田沼「ロック・フェスって!パークに行く予定あったのにハードスケジュールじゃない!?」

K歌手「ロックは世界に傷跡を遺す私の生き様だ!止めたら死ぬより無残だろうが!!」

K学生「あーしが趣味で学生やってるのと同じだよぬまっち!」

田沼「学生が趣味とか新人類か。それでどんな歌を歌うの?ロックでも種類あるでしょ」

K歌手「私はメタル系だな、ゴリッゴリの爆音響かせて世界ぶっ壊す勢いのギター掻き鳴らす恋愛ソングだ!」

田沼「最後の一言で常軌を逸脱しないでほしい」

K学生「でもお姉ちゃんの恋愛ソングあーしの学校で流行ってるよ?悪魔みたいなデスボパートもかっこよくてみたいな!」

田沼「生きてる世界が違うってはっきり分かった」

クマムシ「いいや、違うぞ田沼千恵よ。人の心を揺らすいうのに世界は関係ない」

K歌手「あ”?テメェ……話が分かるじゃねぇか!!フレンズってのもいいもんだな!」

クマムシ「フッ、音楽に国境などない。その姿勢は世界平和にも通ずるぞ!同志!」

K歌手「ギャハハハハ!気に入った!今度テメェの為に曲作ってやるよ!」

クマムシ「おぉ素晴らしい!これも我が神!我が信徒としての敬虔が成せた所業!では頼むぞ賛美歌を!私はアイドルなのだ!」

K学生「きゃははははは!!クマちゃんアイドルだったんだ!やばめっちゃいいじゃん!」

K歌手「いいねぇいいねぇハードコアの賛美歌!ブチ殺してブチ壊して殲滅に壊滅を重ねた感動の音楽作ってやるよ!!ギャハハハハ!!!!」

田沼「なんだこの空間」

K学生「でもお姉ちゃんに比べたら私常識人っしょ?」

田沼「マグナムも対戦車ライフルも致死には変わりないよ?」


 

K博士「ちょっと峰岸君」

峰岸「はい」

K博士「このパークに私の家族。父親、母親、姉、妹が来たのは……どう思う?」

峰岸「……『御惨家』の介入を案じているのですか」

K博士「そんなのとっくにアイツらは動いてるだろ?道明寺リカが現れたのが何よりの証左だ。そしてだからこそ。私も『不具合』も、超極秘案件としてこうして動いている」

峰岸「であるなら『御惨家』のうち、どの家の息がかかっているか。という意味でしょうか…………あぁいや、違いますね。博士のご家族の来園には意味があります」

K博士「……だよねぇ。姉と妹だけならともかく、父さんと母さんまでいる。これは……間違いなく何かがある」

峰岸「直接お尋ねしてみては」

K博士「それなら直接私の居所を掴みにくるだろう。このパークに来ても私は姿を現さない前提で、会えない事を踏まえてあの家族はパークに来ているだろう」

峰岸「表向きはK博士への面会として、本来は他の目的がありそうです」

K博士「とりあえずパークの情報集取って感じかな……まったく、家出娘に変な気を回すものだよ」

峰岸「嬉しそうですね」

K博士「そうだね。だが、私の問題に家族を巻き込むわけにも、パークを巻き込むわけにもいかない」

峰岸「はい。完璧な偽装をご覧にいれましょう」

K博士「それは心強い、期待しているよ」

峰岸「…………博士」

K博士「その問には答えられない」

峰岸「…………はい」

K博士「まぁ安心し給えよ。皆に内緒で私が進めている事柄があるのは事実だがね」

峰岸「それが判明しただけでも十分です」

K博士「もーそう言って抜け目ないからなぁ峰岸女史は、だから頼もしいんだけど」

峰岸「博士、これ以上お時間を取らせるのは申し訳ないのですが、一つよろしいですか?」

K博士「一つ聞き出そうとして100の情報を得るのが君なんだ。そんな前置きなんていらないよ」

峰岸「……パークを巻き込まない、と仰っていましたが。裏を返せば『パークを巻き込まなければ」

K博士「そこまでたどり着いてるならわざわざ聞く必要もないんじゃない?」

峰岸「……パーク外では、フレンズは干渉できません」

K博士「だから『不具合』が、そして私という天才が居るんだ。元より、フレンズの協力を計画に組み込んでいないよ」

峰岸「それは何故です。フレンズを利用すればその計画も精度がより高まるのでは」

K博士「フレンズは私の所有物でない、みんなのフレンズだってのが一つ。だけど、一番大きいのは、何か分かるかい?」

峰岸「……未熟な為、検討も」

K博士「私が……私達が人間だからだよ、峰岸くん」

峰岸「……ですが、それでもフレンズの協力は……」

K博士「いいかい?パークにいるとそういう意識も芽生えるかもしれない、けど」

K博士「結構、人間もやれるもんだぜ」


Tale

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