ある日のミチアト古生物研究所。
通りかかったついでに、レイナはティニーの部屋の扉をノックする。
「ぁ、レイナ? ちょっと待ってね!」
扉の向こうからゴソゴソと音がする。
しばらくして勢いよく扉が開き、
「じゃじゃーん!!!」
サンタクロースの格好をしたティニーが出てきた。
「あら、サンタクロース?」
「うん!今日は私がプレゼントを配るんだ!レイナも一緒に配ろう?」
「私も? ...まぁ、良いわ。ついていってあげる」
「ほんと!?やった!それじゃあ行っくよー!」
「ああ、ちょっと走らないでって!私はそんなに足速くないんだから!」
プレゼントの入った袋を担いだティニーは、レイナと一緒に意気揚々と駆け出す。
「鹿島さーん!」
「ん? お、レイナとティニー。その恰好はサンタかな?」
「その通り、今日だけは騎士じゃなくてサンタクロース!というわけではいこれ、プレゼント!」
ティニーは小さなプレゼント箱を袋から取り出して渡した。
「お、開けてみてもいいかな?」
「どうぞ!」
鹿島所長がティニーから渡されたプレゼント箱を開けると、中には野球ボールが入っていた。
「鹿島さん、野球が好きって聞いたから!」
「そうなの?」
「はは、ありがとう。その通りだよ。
この歳になってもクリスマスプレゼントは嬉しいものだね」
「アカネさん!」
「ティニーさんとレイナさん! その恰好は...サンタですね!」
「うん!一日サンタクロースしてるんだ!だからあなたにもプレゼント!」
「おお、なんでしょうか...!」
プレゼント箱を受け取った朱音が箱を開けると、中には髪留めが入っていた。
「わぁ、かわいいですねこれ!」
「アカネさんに似合うかな?」
「ワタシは似合うと思うわよ?」
「ふふ、ありがとうございます、サンタクロースさん!」
「リアちゃんいる?」
「ん、ティニーとレイナ......サンタクロース?」
「中生代のサンタクロースだよ!」
(中生代にクリスマスあったのか...?)
「というわけで、リアちゃんにもプレゼント!」
「おー、中見てもいい?」
「いいよ!」
リアが箱を開けると、中には氷と一緒に何種類かの食用エビが入っていた。
「...実は好きな『物』がわからなかったから、食べ物にしちゃったけど...よかったかな?」
「素直に嬉しいぞ!今から食べていいか?」
「うん、いい......いいのかな?」
「そうねぇ...じゃあワタシが許したって事で良いわよ!」
「やった!いただきまーす!」
「カルノー!」
「お、サンタクロースがお嬢を連れてきた」
「連れられてるんじゃなくて自分で付いてってるのよ!」
「あはは...サンタクロースだからみんなにプレゼント!はいこれ!」
「なんだなんだ~?」
カルノが受け取った箱を開けると、中にはノートのようなものが入っている。
「なんだこれ?」
「『カード入れ』だって!ほら、中の薄いところに隙間あるでしょ?」
「あ、ここにカードを入れるって事か!へぇぇ...」
「いままでポケットに詰め込んでたでしょ?それじゃポケットぱんぱんになっちゃうからいいかなって!」
「ああ、助かる。ありがとなティニー!」
「リオー!」
「ん、ティニーとレイナ......おおサンタクロースになってる!」
「似合ってる?」
「似合ってると思うんだぞ。騎士もいいけどサンタも相性いいんじゃないかな?」
「...クリスマスの騎士?」
「あ、それいい!今度からそう名乗ろうかな?
...ってそうじゃなかった、はい、クリスマスプレゼント!」
「おお、なんだろな~」
箱を開けると、中には魚の形のクッションが入っていた。
「お~...!」
「魚とか食べるの好きならこれもいいかなって...」
「うん、ありがとうだぞ!」
こんな調子で、ティニーは一日かけてミチアト古生物研究所の職員やフレンズ全員にプレゼントを配って回った。
配り終えた頃には夕方になっていた。
「ふー...さすがに疲れちゃった」
「全員分のプレゼント抱えて建物中歩き回ればそりゃ疲れるわよ...。
というか、全員に合わせたもの渡すなんてやるわね。どこで調べて、何時用意したの?」
「う~ん、秘密!」
「また秘密? 気になるわね...。
......プレゼント、それが最後の一つね」
ティニーはちょっと大きめのプレゼント箱を抱えていて、袋は空になっていた。
「だね。はいどうぞ!」
「...え?」
「レイナへのクリスマスプレゼントだよ!」
「ほ、ほんとに...!?」
「ほんとだよ!開けてもいいよ!」
そう言われたレイナは、受け取ったプレゼント箱を尻尾に乗せ、箱を開けた。
「......!!!」
箱の中身は、大きめのテリジノサウルスのぬいぐるみだった。
「ほら、最近カードゲームでよく使ってたから、ぬいぐるみとかどうかなって...」
「......。」
「...あれ、ひょっとして...そんなに好きじゃなかった?」
突然、レイナは箱を放り出してぬいぐるみごとティニーに抱きついた。身体だけでなく尻尾まで絡めて。
「わぁっ!?」
「馬鹿......好きじゃないわけないでしょ......! 最高よ...!」
[翌日]
「ティニー!出てきて!」
「はいはーい」
何故かレイナに急かすように催促され、部屋から出てきたティニー。
「朝早いけどどうしt...え?」
ティニーの部屋の前に、プレゼント箱が置かれていた。
「ぷ、プレゼント...!? 誰から!?」
「それはわからないけど...開けてみたら?」
「うん...!」
おそるおそる開けてみると......中に入っていたのは、
「わぁ......!」
ティニーの剣にぴったり合う「鞘」、そして白い付けひげだった。
メッセージカードも同封されていた。
~Merry Christmas! サンタになるなら髭も忘れずに!~
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