第4話 みんなを守るために

ページ名:第4話 みんなを守るために

 

午前、アニマル湖。

 

しばらくしてAthenaが林の中から出てきた。

「おう、Athena。どこいってたんだ?」

彼女は十中八九答えてくれないだろうがダメもとで聞いてみることにした。

「あぁ、散歩ついでに見回りしに行ってただけだよん。」

...やはり、彼女は答えてくれない。
これは誰にも言ってないことだが、Athenaには嘘をつくとき癖がでる。
微々たる変化だ。気が付けるのは長く付き合ってる俺ぐらいだろう。
彼女は俺に嘘をつく時、俺の左手を見る。やはり、長い付き合いというだけあって俺に対する嘘は罪悪感があるのだろうか?他の人には平気で嘘をついてるようだ。

それでも、俺は深く問い詰めることはしなかった。いつものことだったからだ。

午後、タズミ海洋動物公園についた。すごく大きな建物だ。入る前からすでに多くの観光客とフレンズを見かけた。
その後は自由行動だった。中に入るとすでに見学を終えた他の班と合流した。

「おう!鋼夜!」

「あ、拓斗じゃん。タズミはどうだった?」

「それがよ、めっちゃひろい!うちの班何人か迷子になったわ!」

わはは!と豪快に笑う拓斗。相変わらずだな。たしかに、彼らの班は7人の班だったはずだが、2名少なかった。

「これから見にいくんだろ?もし俺らの班のやつら見かけたら教えてくれや!あるいは、魚のえさにされてるかもな!!」

「ったくしゃーねーな、見かけたらメール送るわ。それが水槽の中だとしてもな。」

と、俺たちは笑いあった。んん?でもそれって...

「おっと、他のお客さんに迷惑になるな。じゃ、俺たちは先に行ってるぜ!鋼夜!」

「おう!(...というか迷子になった二人を置いてくの?マジで?)」

 

 

 それから数分後、俺はその迷子組と出会った。美術部の佐紀と小町だ。
佐紀は怒らせると怖いからなぁ...小町は秋田出身の子で若干のなまりがある。

「あ!鋼夜!うちのバカ班長知らない?」

「あぁ...さっきタズミでていったよ...」

「うそ!ここ集合って言ってたのに!」

うん。拓斗は終わったな。佐紀さんがお怒りです。

「えぇ~、いづまでもまだへでこれが...うぅ~...」

小町に至っては半泣き状態である。

「あ、さっきって、ほんとに数分前とかだから今行けば追いつけるはず...一応俺からも連絡入れとくよ...」

怖い。佐紀の顔が怖い。

「ほんと!?ありがと鋼夜!ほら、小町!いくよ!」

「うん...鋼夜、ありがどな...へば!」

「おう、気を付けろよ~~」

と、軽く見送ったところで俺は気を取り直してタズミの観光を再開するのだった。


午後、タズミ付近の人気のない森。

 

「もしもし?あ、やっほー!Athenaだよー!あのねー、長谷川に代わってくれない?」

・・・

・・・

・・・


「俺だ。何かあったのかAthena。」

「長谷川ぁ!あ、そだ、要件の前に一つ確認していいかな?」

「なんだ?」

「...ホートクエリアのLAS支部付近にある『アニマル湖』ってさー、うちのカメラって置いてあったっけ?」

「アニマル湖...?あぁ、あそこか。ちょっと待て..................あぁ、あるな。擬態型監視カメラがそこに一台あるはずだ。」

「擬態型ね。じゃあ普通は目視できない場所にあるんだよね?」

「景観を損なわずに監視することが目的だからな。で、何の用だ?」

「それがさぁ...明らかに『うちのじゃない監視カメラ』があるんだよねぇ...あれはADLBが仕掛けたものだったりするぅ?」

「『うちのじゃない監視カメラ』...?CDCの物ではないということか?確かにADLBが仕掛けたものの可能性もあるが...」

「あぁいや、ADLBが仕掛けたんなら問題ないよ。ただ...」

「『部外者が仕掛けた』可能性か...厄介だな...わかった。こちらで確認をとってみる。」

「あんがとさん。じゃあ私はこれで...」

「待て。」

「えぇ~、まだなんかあるのぉ~?」

「この前のことだ。『ラビ』はお前の知り合いか?」

「あぁ、それのことね。私が知ってるのはイソロフィアと三人の仲間。あの記事みたでしょ?私はロペス家の次女。あの時の事件にいなかったメンバーがいるから気を付けろってことよ。」

「そうか、そういうことだったのか。他に情報は?」

「さぁ...私も昔のことだからよく覚えてないけど彼らは力で制圧するタイプの集団だからね。顔写真も四人ともあの時と同じメンバーだった。推測だけど、この四人は犯行慣れしてるよ。」

「なるほど...だから情報のない『ラビ』を警戒しろといったのか。」

「そういうことよん。じゃ、切るね~」

 

 

電話を切った後、AthenaはAthenaではなく、ルナ・ロペスとして人知れず泣いていた。

 


Tale

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