Aの御前とアグレッシブさ

ページ名:道明寺リカの新世界

 


たにし「フハハハハ! 我の君臨せしは世界に福音≪スイートサウンド≫を轟かさん!(こんにちは!)」

たにし「え、不和の協調? (あれ? 誰もいない?)」


PPPPP!


たにし「は、はい。もしもし」

K博士『やあやあ! たにし君! ごめんね今私いないでしょ!』

たにし「う、うん。呼ばれてラボに来たけど……誰もいなくて……」

K博士『いやー、天才たる私は結構予想外にスケジュールが開かなくてね! それまで私の親戚の子をよろしくお願い! んじゃ!』

たにし「き、切れちゃった……。K博士の親戚の子のお守りかな? ……うぅ、出来るか心配だよぉ……」


トントン


たにし「は、はい! どうぞ!」

リカ「…………? 博士は……」

たにし「博士は今、ちょっとスケジュールが合わなくて来てないの。ちょっと待っててね」

リカ「…………」

たにし「(すっごい可愛い女の子だ……! ごすろり、って言うのかな? 可愛い!)」

たにし「あの、お名前は? 私はたにし。フレンズだよー」

リカ「……我は」

たにし「我!?」

リカ「我は道明寺家長女、道明寺リカである。此度はK博士に用があり参った次第。だが、肝心要の奴はおらぬようだな」

たにし「!?」

リカ「貴様はK博士の何だ? モルモットか」

たにし「わ、私は友達だよK博士の! え、ええと……リカちゃんは、何歳?」

リカ「齢6歳の若輩者よ。であるが能力の程はそこいらの小学生と同一に語ってくれるでない、我は世界を統べし王たる器である」

たにし「……さ、流石K博士の親戚…………濃いッ」

リカ「それで我はいつまで待てばよいのだ。それとも汝が我の暇を潰すのか」

たにし「あ、ええと! うん! お姉ちゃんと一緒にあそぼう!」

リカ「では申してみよ。如何様にして我を楽しませる?」

たにし「ええと……。そう! 絵本読んであげる!」

リカ「てんで話にならぬな。汝の浅慮なる失言に目をつぶってやるとして、我の年齢を考慮しての行動は控えよ。我は神童である」

たにし「自分で言う!?」

リカ「我は王たる身であるぞ。神童であって、世を統べる素養を身に着けし我だ。その身を下々に太陽の如く指し示すのは王として当然であろうよ」

たにし「やだ……なにこの自己肯定力……王様みたい」

リカ「みたいではなくそう成るのだ、汝に申しても意味の無き主張ではるが。して絵本と抜かしたな、そもこのような研究室に絵本という童の玩具は置いてなさそうだが」

たにし「いやいや、大抵の童話くらい頭に入ってるでしょ」

リカ「それは絵本を読むとは言わぬのではないか?」

たにし「それじゃ語り聞かせって事で」

リカ「朗読か。吟遊詩人にしては頼りないが……せいぜい我を楽しませよ道化」

たにし「そ、それでは……コホン。むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました」

リカ「……桃太郎か?」

たにし「おじいさんは山に『神狩り』に、おばあさんは川へ『選択』しにいきました」

リカ「……? 噛んだのか?」

たにし「おばあさんに川は問います『我は触れられざる狂気深淵なる闇の渦。老いた命の揺らぎよ、何も求むるか』」

リカ「!?」

たにし「おばあさんは言いました『神は既に死んだ! 今在るのは我欲に狂う鬼である! さればそれを討つのは我が身我が命に他ならぬ!』」

リカ「ちょっ、ちょっと待て! なんだそれは!!」

たにし「桃太郎~ザ・ロストソウル~だけど……」

リカ「聞いた事ないが!?」

たにし「普通のじゃつまらないかなって、ちょっとアレンジしてみたんだけど難しかった?」

リカ「最早別物ではないか……」

たにし「んーだったらもうちょっとダークファンタジーからポップにするね」

リカ「……まぁ、奇抜な物語ではあった。続けてみよ」

たにし「川はおばあさんの『選択』を受け入れ、一人の男を召喚しました。鬼へと成り果てた神を討つ男です」

リカ「一応、軌道は修正できたのだろうか……」

たにし「あばあさんは山へ『神狩り』に行っていたおじいさんに、この事を話し、この男を鬼退治に向かわせました」

リカ「おぉ一応桃太郎にはなぞらえておるな」

たにし「男は言います『俺、死んだはずなのに、まさか転生したのか!?』」

リカ「ん?」

たにし「そう! 男は別世界で異世界転生してきた人間だったのです! 『あれ? 今の軽く魔法唱えただけなんだけど』と、次々と出てくるチート感! すごい!」

リカ「はぁ!?」

たにし「全属性魔法に全属性耐性! そして幻の『無属性魔法』を使って、道中のちょうどいいヤンキーや不良やならず者をばったばったとぶっ飛ばす!」

リカ「いや道中の猿、雉、犬はどうした!?」

たにし「そして旅を続けていると、処女ビッチの猿、ツンデレの雉、そしてメイドの犬がハーレムに加わりました」

リカ「ハーレム!? ハーレムと言ったか!?」

たにし「ダメ……かな?」

リカ「お供ではないのか!?」

たにし「いや基本チート主人公だけで倒せるから、それに主人公をよいしょする美少女は読者の醜い本心である自己顕示欲を満たすのに必須だし……」

リカ「汝は何を目指しておるのだ! なんだこの桃太郎は!」

たにし「これは、異世界転生したら桃太郎になってました!?~チート魔法と美少女ハーレムの簡単最強物語~だけど」

リカ「タイトル長いな!! お供のところからやり直せ! あと主人公はもっと弱く!」

たにし「ええとそうしたら……桃太郎は道中で苦戦を強いられます、そう鬼を倒すためには仲間が必要なのです」

リカ「……よしそうだ、そういう事だ」

たにし「桃太郎が歩いていると、犬が現れました。『桃太郎さん、桃太郎さん、お腰に着けたきびだんご下さいな』」

リカ「普通だな」

たにし「桃太郎は『ウチはトゴで貸してんだ。きびだんごは回してやるが足りねぇ額はどんな手を使っても回収する』」

リカ「トゴ!? 桃太郎何者だ!?」

たにし「闇金業者」

リカ「童話であろうがコレ! 子供泣くぞ!!」

たにし「だったら。桃太郎が歩いていると、犬が現れました『あ、桃太郎じゃん! なーにやってんの?』」

リカ「誰だコイツ」

たにし「幼馴染キャラ」

リカ「擬人化させんと気が済まんのか!?」

たにし「でもあと少しでエロCG回収できるよ!?」

リカ「エロゲか!! 何度も言わせるなこれ童話であろう!」

たにし「仕方ない……犬ルートは諦めて何ルートにする?」

リカ「もう三人を仲間にせぬのだな……では雉でよい」

たにし「雉ね。桃太郎は、とある蔵の中で雉と邂逅する。雉は言った『問おう、貴方が私のマスターか』」

リカ「……いやもう擬人化しておるのは良い、だがマスターとはなんだ」

たにし「そりゃ鬼杯戦争を戦い抜く選ばれし者だけど……ダメ?」

リカ「却下!!」

たにし「だったら……雉は言う『先輩……ようやくこの修復の旅が終わりを迎えましたね』」

リカ「いや鬼倒せさぬか!! 修復の旅って何やっておった!?」

たにし「これも仕方ない事なんだよ。えーっとじゃ、まぁ普通に鬼が島に着いたとして」

リカ「あぁそうするのが賢明であろう」

たにし「探索者桃太郎はこの世のものとは思えぬ異形『鬼』を見ました、2D6でSANチェックどうぞ」

リカ「誰がTRPGにしろと言った!」

たにし「GMが絶対です! いあ! いあ!」

リカ「普通に倒せ普通に鬼を!」

たにし「キャラロストするよ!?」

リカ「させるな! これ童話であろうが!」

たにし「注文が多いなぁ……。なら、雉は言います『ここは鬼ヶ島、鬼たちの巣窟です油断はしないように!』」

リカ「そう。そういうのでよいのだ」

たにし「桃太郎『待て雉京院! こいつあ、ただの”鬼”なんかじゃあ断じてねぇぜ!』」

リカ「止めろ! もうこれから脱線する未来しか見えぬわ! 鬼は倒されたことにせよ!」

たにし「おめでとう! 鬼は倒されました!」

リカ「そう、それでよい」

たにし「鬼は言います『私を倒したという事は、君は人殺しでないと思っているようだけれどそれはお門違いというものよ。桃桃木くん』」

リカ「桃桃木くん!?」

たにし「桃桃木くんは言います『それもそうかな。そういう風にしてやるよ……戯言だけどね』」

リカ「最早意味が分からぬ無駄に冗長なセリフ回し……もう良い! ラストだ、ラストで仕上げよ!」

たにし「なんやかんやで、桃太郎は財宝ざっくざくで幸せに暮らしました!」

リカ「……ようやく終わった」

たにし「次回、揉める遺産相続」

リカ「続くな!」

K博士「おやおや、何を楽しい事をしているんだい! 私も混ぜておくれよ!」

リカ「やっときたか博士……フレンズとはこうも御しがたいものなのか?」

K博士「はっはー、道明寺家の御令嬢、将来のメアリースーらしからぬ洞察だね。フレンズなんて人間に比べれば優しいものだよ。それで、この天才に何かようかい?」

リカ「単刀直入に言えば……」

K博士「『御惨家』関連の話なら全面的にNOだよ、民川はなびの後釜に私を据えようなんて提案も、勿論却下だとも」

リカ「それは未だ家柄に縛られる父上を含めた老害の意見であろう。王たる我が、そのようなモノを望むはずもない」

K博士「なら何が欲しい? ままごとセット?」

リカ「汝、将来我の下で働く気はないか? 今よりも更なる待遇を用意しよう」

K博士「断る。さ、たにし君! ゲームしよゲーム!」

たにし「え、ええ!? いいの!? 話まだ途中なんじゃあ」

K博士「あれで終わりだよ。そうだね、でもあえて何か言うのであれば。道明寺リカ君、君はそろそろ馬鹿を覚えたまえよ」

リカ「くだらんな。我の覇道には不要……だが」

K博士「?」

リカ「たまには、常識から外れた児戯も良いものである」

K博士「やったね! たにし君! 楽しかったって!」

たにし「そう? なら良かったなぁ。えへへ」

リカ「そのゲームとやら、我にも操作をさせるがいい」

K博士「いいだろう。これも将来の為に大いにプレイしようね!」

リカ「して、ジャンルは?」

K博士「ジャパリパーク版のギャルゲ」

リカ「なんだこのパーク」


Tale

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