「で、今日はどこに行くんだい?」
ふと、エトランゼさんが俺に聞く。
「え?」
「え?って言われても...君たちは修学旅行でここにきているんだろう?」
「あ、ああ、そういう...」
「今日は...ホートクエリアの見学...だったはずです。」
「明日もね。」
咲良が補足する。そう言えば、パークは結構広いから何日かかけてそのエリアを回るんだった。
と、そこに...
「んもー、来るなら来るって言ってよー、心臓止まるかと思ったじゃん。」
Athenaが階段から降りてきた。
「ふふ、悪かったね。」
「全員揃ったみたいだし、行きますか。」
ホートクを移動するルートは特に決めていなかったので、Athenaに任せることにした。
LAS支部は、『オクバネ山脈』と呼ばれる山の中腹辺りにある。そこから、北の方向に下っていくと大きな湖が見えた。
「さ!ついたよ!!ここがフレンズ憩いの場でも有名な『アニマル湖』だよ!」
「おぉ...!」
「綺麗...!」
「すげー!あれ、泳げんの?!」
と、各々が声を上げる。...ん?
「おいまて優斗、お前マジに言ってんの?」
「あははー、まさかそんな」
とは言ってるものの目がガチだ。いやいや、今12月なんだけど。
「そういえば、なんでAthenaはここを最初の目的地に選んだの?確かに綺麗なところだけど。」
Athenaは唯の質問に対し、少し違和感のある態度でこう答えた。
「ん...まぁ...目的地って程でもないけど...山中だし歩き疲れてきたでしょ?次のバス停までもう少しあるし...」
あぁ、つまりは休憩の場所として選んだわけか。
...? なんか...今のAthenaの態度、彼女らしくないような感じがしたのは気のせいだろうか。
「鋼夜君、ちょっといいかい?」
後ろからそっと、エトランゼさんは俺に耳打ちをした。
「あ、はい...?」
俺たちはみんなが休憩してる場所とは反対側に移動し、そこで話をすることになった。
「で、話ってなんです?」
「まぁ大したことじゃないんだが...先ほどのAthenaの様子、違和感を感じなかったか?」
「違和感...ですか?確かにいつもと違って辛気臭い感じはしましたけど」
「ふむ...やっぱりか...」
「あの、どうかしたんですか?」
「...」
エトランゼさんは結局、僕の質問には答えてくれなかった。
ふと、みんなのほうを見るとAthenaがいない。
...もしかして、エトランゼさんとAthenaが俺たちに同行してる理由って...
アニマル湖付近、とある木々の中___
(...ルナ......)
(君の意志は...私が...必ず......だから、それまで.........)
Athenaは、一本の木の下にカントウヨメナの花束を置いた。
「およ?捨てちゃうんですか?」
長い耳を持ったフレンズがAthenaに話しかける。
Athenaはその姿格好に驚きつつも、こう返す。
「い、いや、捨てたわけじゃないよ!ただ...」
「ただ...?」
「...私の友達に対するメッセージみたいなものだよ」
「そうなの...あ!私!トウホクノウサギのバジル!よろしくね!!」
「ふふっ、私はAthenaだ。よろしくね!」
「もー!どうして笑うの?!」
「いや、あまりにも私の友達そっくりでつい」
「なにそれー!」
二人は笑いあっていた。
私達は、いつまでも笑いあえるだろうか?
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