あなた何様?リクマ様!

ページ名:kanmurikumataka_memo_1

 オレは“カンムリクマタカ”。名前は『リクマ』。ついさっき、キラキラしたモンに当たって、体が変化しちまった。いきなりでビックリしたから、落ち着くために巣に戻った。

でも巣に降り立ったら、自重で壊れやがった。オレは体重が重くなったようだ。
補強しただけの古い家だったから、別にまた作ればいいんだ。皆オレに怖気づいて近寄ってこないしな。

で、腹が減ったから獲物を木の上から待ち構えていたんだが・・・そこに猿が通りかかってな。ちょっと変わったナリした猿だったが、オレの下を通ったことが運の尽きだと思って襲い掛かった。

が、そいつが持ってた如意棒ってので応戦されちまった。

「ただの猿と奢ったな?私は悟空をいずれ超える身。今さらキジに遅れは取らんよ。」

オレはこの一言で、コイツはヤバイと直感した。だから戦略的撤退をした。
何なんだアイツ。猿だよな?あんな器用な猿なんて見たことねぇ。
あれは環境に対応した新しい猿ってか?こりゃあ手応えありそうだ。


夕暮れ時、また猿が木の下を通りかかった。
今度も手に得物を持ってる。さっきの猿のとは違うみてぇだが、最強の猛禽類たるオレ様の敵じゃねぇ。というわけで不意打ちした。

が、熊の手っていう得物で応戦されちまった。

「サイキョーだからね、キミは私に挑戦するの?」
「おいおい、最近の猿は進化しすぎだろ!」
「猿?私はヒグマだけど?」
「・・・・・は?」

一時休戦して、ヒグマを名乗る猿みたいなのから色々聞いた。

オレたちはサンドスターって物質に触れて、アニマルガールっていうヒトの姿をした動物になったらしい。言葉が話せるようになったから、ヒトとコミュニケーションが取れて便利だとか。

だが、オレ様には関係がなかった。
犬だろうが鳥だろうが魚だろうが虫だろうが、問答無用でヒトって猿になるんだ。最高じゃねぇか。多少骨の折れる強さにはなってそうだが、頭が頂点に来るなら格好の獲物だ。


で早速、アニマルガールの多い場所に行った。

尖った耳の生えた黄色い猿・・・・まぁアニマルガールか。そいつは白い食べ物を大量に抱えて座ってた。美味そうな肉の匂いだったから、ターゲットをソレに変えた。
恐る恐る、音を立てずに飛んでいって奪おうとした。

が、ピンク色のヒトがオレを見ていたらしく、「コラ!」って怒られた。


「他人の物を勝手に取ったら泥棒だよ!」

なんか言い慣れた口調だった。まぁそんなことはいい。
とにかく空腹も限界だった。強行突破して奪おうとした。

が、連れの黒いアニマルガールに応戦されちまった。


「キタキツネ殿、お怪我はありませんか?」
「オレへの文句の前に味方への心配かよ・・・嘗められたもんだな・・・・・ガクッ」

 


目を覚ますと、キタキツネが“肉まん”ってのをくれた。
「あ・・・・ありがとな。」


屈辱だ。
最強の猛禽類たるカンムリクマタカが、まさかキタキツネに情けを掛けられ、しかも食べ物まで与えられるなんて!


周りにはヒトが沢山来た。そして色々文句やら注意やら言われた。
ヒトが色々協議した結果、“サンダイ鳥類センター”ってとこで生活しろとのこと。どうやらオレは危険らしく、他のアニマルガールに危害を加えないように監視するらしい。

 

 


理解者はいない。周りはオレを怖がるばかり。今日も館内の大木からヒト共を眺めるだけ。不審な動きをすれば、即座に関係者が飛んでくる。

 


リクマ「縛り付けるくらいなら、いっそ・・・・・」


独り寂しそうに、その鳥は空を眺める。

それを遠巻きに見つめる、一人の飼育員。

 


???「カンムリクマタカ・・・・そうか、あのアニマルガールが・・・!」


Tale

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