【怪物の名】
※テキトーに書いたので文法とか無茶苦茶な駄作です。
※この作品には出血描写があります。苦手な方は、この作品の閲覧をしない事をオススメします。
※この作品はフレンズ同士がガチバトルします。ほのぼのか見たい方はこの作品の閲覧をおやめください。
※これで最後になりますが、この作品は「サムライアリ」の生態について学んでおくと、より楽しめると思います。
これは、或る秋の噺。
雲一つない快晴の夕暮れ。空の全てが橙色に染まる時間。
ゴコクエリアにあるとある山林で、1匹の蟻が人の姿となった。
「何が…あった…?」
彼女の名はサムライアリ。他の蟻を隷属させ、身の回りの全ての世話をさせる事で知られる蟻である。彼女はそんなサムライアリの女王蟻であり、奴隷を得るため近場のクロヤマアリの巣に乗り込もうとしている途中でサンドスターに接触し、アニマルガールとなったのだ。
「とりあえず…奴隷を捕まえる…」
人の身になった彼女は自らの姿を見て、指針を決める。そしてしばらく歩くと彼女は森を抜け、麓へと降りる山道へと出た。
そして道の先を見ると、運良く隷属させて使えそうなアニマルガールが1人で歩いていた。彼女は、このアニマルガールならば奴隷として使えると本能的に理解し、腰に巻きついている鞘から刀を抜く。
「お前!私の奴隷となれ!」
無意識に叫び刀を目の前のアニマルガールに向けて振るう。
その言葉に反応して、目の前の標的はこちらを向く。
「いきなり物騒だな…だが、面白い。相手してやるよ!」
目の前の者は、振り向き様に腰から生える尻尾で刀を弾く。
「!?」
その一回の接触で理解する。奴は強い。だが、見渡す限り奴隷候補は奴しかいない。
故に絶対に勝って奴を奴隷にしなくてはならない。
腰にぶら下がっているもう一本の刀も手に取り、奴へ向ける。そして、奴に向けて走り、日本の刀を鋏のように左右から叩きつける。
「筋はいい。だが、動きが直線的だな」
奴はそう言い放ち、身を引いて刀を避けていく。
「絶対に…従わせる…!」
奴に逃げられないよう、距離を詰め、何度も刀を振るう。一回の攻撃で避けられるなら、避けられないぐらい攻撃し続ければいい。
そしてサムライアリの攻撃は時間と共に正確さを増して行く。
(ちっ…アイツ、この短時間に学習してやがる。最初はただ振り回してるだけだったのが、少しずつフェイントを混ぜてきてやがる…)
サムライアリと対峙しているアニマルガール。リヴァイアタン・メルビレイことメルビィは、ただひたすらに彼女の攻撃を避け続け反撃の機会を伺っていた。
「このままだといつか当たる…」
メルビィは地面に尻尾を叩きつけ、砂煙を巻き上げた。
「っ…!」
サムライアリは突如、砂色に染まった視界に驚き、ほんの一瞬だけ動きが止まる。メルビィはその一瞬を逃さなかった。
「ガラ空きだ!」
砂煙の中から突如としてメルビィが飛び出してきて、サムライアリの腹に力強い拳を叩き込む。
「がはっ…!」
腹部に刺さる痛覚で体の中の空気が全て吐き出されるのを実感しながら、サムライアリは背後にあった大木に叩きつけられる。
「見たところ、アニマルガールになったばかりみたいだな。このまま降参してくれるなら、職員に保護させるが?どうする?」
と、問いかけるがサムライアリには、メルビィの言葉が耳に入っていなかった。
(このままだと…負ける…?負けたら…奴隷がいない。奴隷がいないと…ご飯も食べれない…負けたら…死んじゃう?)
自らの死を意識した途端、サムライアリは胸の奥から何か熱いモノを感じた。
(負けない…アイツを必ず奴隷にする…!)
その次の瞬間、全身に力が溢れてくるのを感じた!
「野生解放!?」
メルビィは力に溢れ、覚醒したサムライアリを見て驚愕する。
「お前は…私の…奴隷だ…」
次の瞬間、サムライアリは自らの刀の射程範囲内にメルビィを捉えていた。
「なっ…」
メルビィは慌ててガード姿勢をとるが時すでに遅し。刀がメルビィの脇腹に叩きつけられる。
「ぐっ…」
さっきとは逆に今度は、メルビィが吹き飛ばされ、地面を何度も転がる。
「痛ぇな…だが、刀が鈍で助かった…」
サムライアリの攻撃をモロに受けたメルビィの脇腹からは赤い体液が滲み出ている。サムライアリの方へ目を向けると次の攻撃の為に刀を構え直しているのが見えた。
「やべ…」
即座にメルビィは立ち上がり、突進してくるサムライアリに向けて、カウンターの拳を叩き込む。だが、先ほどと違い、拳はサムライアリの体を捉えず、肩をかすめるだけだった。そして、サムライアリはメルビィの横を通り過ぎる瞬間、背中に蹴りを入れていく。
「力が…溢れる!」
サムライアリは、一方的に自身の攻撃を喰らうメルビィを見て勝利を確信していた。
そして、完全に服従させるため、殺してしまわない程度にトドメの一撃を与えようと刀を振り上げる。
だが、メルビィの顔を除くと刀を振り下ろすのを一瞬躊躇ってしまった。笑っているのだ。メルビィはここまで痛めつけられ、今にもトドメの一撃を受けそうになっているこの状況で笑っていたのだ。
「なぜ笑う!」
本能的に問いかけると同時に刀を振り回すが、刀はメルビィに当たっていなかった。
突如として現れた巨大な牙が盾となっていた。
「面白い。その強さ。面白い!故に私も!野生解放を見せるとしよう!」
そう言い終わると、牙は刀を押し込み、そしてサムライアリの体をメルビィから突き放す。
サムライアリはもう一本の刀を即座に叩きつける。だが、その刀は回避され、同時にメルビィの脚に蹴り飛ばされる。
地面を数度転がった後、立ち上がると牙がすぐ目の前に、身体を噛み砕かんとして迫っていた。
「くっ!」
刀を前に出して防ごうとするが、牙は刀を捉え刃を噛み砕いてしまった。
「なに…!?」
反射的に噛み砕かれていないもう一本の刀を叩きつけようと振り下ろす。だが、牙は先程と同じように刀を捉え、その刀身をまるでクッキーでも食べるかのように砕いてしまう。
得物を奪われた本能的にサムライアリは後ろに向けて走り出す。奴隷にしようと襲った相手が強すぎると本能で理解した。
サムライアリの全身に悪寒が走り、恐怖が思考を占領する。
強すぎる。奴は…『怪物』だ。
「おいおい…もう終わりか?」
怪物は走り出し、ジワジワと距離を縮めてくる。距離が縮むほどにサムライアリの中には恐怖が蔓延っていく。
そして、手が届く距離までメルビィは距離を縮めていた。
「これで終わりだ。」
サムライアリは瞼を閉じる。だが、いつまで経ってもトドメの一撃は来なかった。
「…………?」
気になって目を開くと、怪物はそっと頭を撫でてきた。
「とりあえず、お前はパーク職員に預ける。付いて来い」
そう言ってメルビィは、サムライアリの袖を引き、歩き始める。サムライアリは戸惑うが、メルビィはそんな事を気にしていない。
「お前…は…?」
サムライアリの問いにメルビィは足を止めて、こう答える。
「リヴァイアタン・メルビレイ。最強を自負する存在だ。メルビィと呼ぶといい。問いを返すが、お前は何のアニマルガールだ?」
「あにまる…がーる…?」
困惑するサムライアリの顔を見て、メルビィは何かを察したのか苦笑いで自身の頭部に手を当てる。
「あちゃー…自身の動物名がわからないパターンか。それなら、さっさと職員に引き渡して調べてもらわないとな…」
そう言ってメルビィは、再び歩みを進め始めた。
サムライアリが自らの名を知ったのは翌日の話であった。
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