第4話 嘘の理由

ページ名:第4話 嘘の理由

 

(ルナ視点)

 エトランゼ...?聞いたことない名前だ。
名前で動物名が判別できないってことは...あだ名?それともUMA?
私はよくホートクエリア外に遊びに出かけるリーナに聞いてみた。

「ねぇ、エトランゼって聞いたり会ったりしたことある?」

「いや、会ったことも聞いたこともないな」

ん、予想外の反応だ。たまたま会ってないだけなのか...?

「あ、ちなみに私も知ってるのは名前だけだからね。んじゃ、私は眠いしそろそろ戻るよん」

Athenaがそういってそそくさと会議室をでていった。
...Athenaですら知らない?


(Athena視点)

 あー、つくならもっとましな嘘つけばよかったかな、とそう思いながら私は会議室を出た。
そう、そもそもエトランゼというフレンズは存在しないのである。
エトランゼとは、LAS本部に所属している情報伝達チームの隊長のコードネームである。

知っての通り、LASはいくつかのチームに分かれ、隊員は隊長、副隊長、その他で構成されている。
支部にあるのは


 情報伝達チーム
 動物保護チーム
 気象観測チーム

 

 この三つだが、本部はこの基本の三チームに加え、さらに細かく分かれる。

"異国の人"

階級は私と同じおなじ隊長だが、私は顔すら見たことがないし、どこにいるかも聞いたことがない。
ただ、昔から彼女のことを知っている人が言うには...

そのコードネームがつけられている彼女は動物の心が読める私からしてもバケモノだった。
おそらくはハッキングの天才...
彼女の手元にはありとあらゆる情報が集まる。世界の動向、飛行機の出発時間、さらにはマフィアの取引場所まで。集まる情報の種類は多様だ。ゆえに命や身柄を狙われやすい。

 LASは基本的に、人や動物など命あるものの保護に徹するから、それを良しとしない人間や組織から時たま狙われる。だから、私たちのような上層部は本名を明かさずコードネームで呼びあうよう指示されている。

 余談だが、彼女のコードネームはちょくちょく変わっているらしい。が、私が来る前の話なのでなぜコードネームが変わったかについては知らない。

それと私は密かに彼女にあこがれている。私が嘘をついて疑似的に情報を操るのも、彼女の真似事である。

 

さ、寝るか...
そう思いながら私はベッドに横になり、静かに目を閉じた。

それにしても先程、なぜ私がエトランゼととっさに答えたのかは自分でもよくわからない。正直に言えばよかったのに。

 

ホートクエリアのギアーズをすべて倒したのは___

 

 

もう一人の月兎がやった。ってね。


(ルナ視点)

 

「あら?ドリーじゃない」


「...!あなたは...ルナさんとリーナさんとヤマドリさんじゃないですか。どうかしたんですか?心なしか顔色が優れないような...」


「えぇ...少し厄介なことに巻き込まれててね...」

 

Athenaが会議室をでたあと、少ししてから私達も会議室から出た。
自室に戻ろうとしたとき、廊下でドリーと出会った。

 

「ドリーこそ、体調のほうは大丈夫?」と、ヤマドリが心配そうに声をかける

 

「うん、今日は調子がいいから...それで...厄介なこととは?」

 

その質問で私はあることを思い出した。そうだ、たしか前に彼女が相当な実力を持ったフレンズと出会った話をしていた。でもまずは...彼女の質問に答えなくては。

 

「えっと...複数のセルリアンを倒したフレンズをさがしてるの」

 

「それと今後セルリアンを倒してくれる仲間探し...かな」とリーナが補足する

 

「そうだ、前話してた圧倒的な強さを持ったフレンズについて聞きたいんだけど...いいかしら?」

 

「うん...私が力になれるかはわからないけど...」

 

私達は食堂に移動し、空いている席で話をした。

 

「名前はたしか...ライガーさんと名乗っていたような...」

 

「ライガーか、聞いたことあるな」

 

リーナは聞いたことあるようだ。が私には何の動物なのかさっぱりわからない。

 

そのあと、私たちはドリーに礼をいって食堂を後にし、自室前に戻ってきた。

 

「じゃあ私たちは寝るぜ。おやすみ、ルナ」


「ルナちゃんおやおや~」

 

「おやすみ。あと、明日は新月だから行動できないわ。」

 

「おけ~い」


「あいよー」

 

そういって彼女たちは部屋に入っていった。


(リーナ視点)

 

 先程、ルナの顔が笑っていた。
そう、ドリーからライガーの説明を聞いているときである。

『彼女は一撃で木々を粉砕するほどのパワーを持っていた...』

 その説明の時である。二人は気づいていないようだったが、ルナの口が笑っていた。
その時は彼女にしては珍しいな、としか思ってなかったが今思えばあれは何に対して笑ったんだ?

非常に強力な助っ人が見つかったから?それとも...

いや、このことはあまり考えるべきではないな、明日は新月。ルナはずっと眠ってるだろうし
私がしっかりしないとヤマドリが不安がる。

...寝るか。

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