狼王クルトーに関する補遺・臨時調査報告書

ページ名:クルトー大王

 

 

補遺:以下は20██年█月にホッカイエリアにて発見された報告書形式の文書です。
    発見当時、木に張り紙のように打ちつけられていました。

 

 

20██/11/10

狼王クルトーと話をした。 どうやら彼女はフレンズの事はもちろん、人間の事もある程度気に入っているらしい。
だったら他のフレンズみたいに町や施設に居ついてもいいんじゃないか、と言ったら、肩をすくめて「僕は狼だから」と言った。
オオカミとは言え今はフレンズなんだからそれはいいんじゃないか? 何がいけないのだろうか。

 

20██/11/15

クルトーに前から気になっていたことを聞いてみた。 彼女の逸話で刺し違えた「ボワスリエ」についてだ。
彼女は「彼は勇敢だった。そしてただの狼だった僕を、一人の戦士として認めてくれた、ただ一人の人間さ」と言った。
群れの仲間を皆殺しにされたことは恨んでいないのかと聞いたら「あの冬は厳しかった。人間も狼も、生き残るのに必死だった。仕方のない事さ」と答えた。
家族同然の身内を殺されてもそれを受け入れられるとは...フレンズになると憎悪だとか、そういう心理は薄まるのか?だがそうなると狼王ロボの説明がつかなくなる。
...クルトーの研究を続けねば。その為にも彼女と親しくならなければならない。

 

20██/11/17

クルトーが姿を見せなくなった。 どうしたのだろうか。
調査対象に逃げられては困る。ホッカイエリアの冬は厳しいが、探さねばなるまい。

 

20██/11/18

エゾオオカミから彼女を見たという話を聞いた。重要な情報だ。
どうやら彼女は新月や満月が近づくと人間から離れるらしい。狼男でもあるまいに、どういうことだ?

 

[ここから一部が血で汚れている]

 

 

 

20██/11/20

これを誰かが読んでいる頃、私はもう故人だろう。
今夜は満月だった。満月の時に彼女に接触したのは間違いだった。

彼女は野生解放していた。 そして群れのオオカミ達とともに何かを食べていた。
...人間だった。こんな場所にいたとなると恐らく要監視対象か何かに所属していた人間だろう。

 

そんなことは重要じゃない。なぜ彼女が人間を食べている?
答えは簡単だ、それは彼女が『狼王クルトー』だからだ。

 

15世紀にパリで猛威を振るった人食い狼の群れのボス、それが彼女だ。
恐らく彼女は本能的には、人間を『獲物』として見ているのだ。
だがフレンズである以上、人と関わらなければならない、だから彼女は満月や新月という「わかりやすい周期的な目印」をつけて本能を解放していたのだろう...いつも人を喰らっているかはわからないが、危険なのは間違いない。

 

そして私は、彼女たちに見つかり攻撃された。
左腕と脇腹からの出血が止まらない。さっきも書いたがもう長くはない。
だが、彼女は今私の目の前にいる。皮肉にも私に致命傷を与えてから正気に戻ったらしい。(いや、狼からすれば本能の方が正気かもしれないな)
これを書き終えたら、報告書を人に見つけてもらいやすい位置に置いてくれるそうだ。

どうか、新月と満月の日には彼女に近づかぬよう。もし近づいてしまえば、そこは15世紀のパリ郊外。逃れる術はない。

 


そして...どうか彼女を、一人のフレンズとして、認めてやってほしい。
特別扱いされることは、彼女自身望んでいないのだから。

―██████

この報告書の発見後、クルトーは数週間にわたり姿を現しませんでしが、現在は以前と変わらない生活をしています。

報告書にもありますが、満月・新月の日に彼女を探さないでください。

 

狼王クルトーの概要:1420年代末にフランスのパリに現れた、赤毛のオオカミの群れのボスです。クルトーの群れはパリに侵入し多数の住民を殺害・捕食しました。 その後も数年にわたってパリを包囲し、町から出てきた人間や支援隊にすら襲いかかり、獲物としていました。
パリ警備隊長のボワスリエという人物はこの状況を打開すべく、ノートルダム広場に餌を撒いてオオカミたちをおびき寄せ、城門を閉じて閉じ込めた後矢を射かけ、生き残ったクルトー達に白兵戦を挑みました。 最後はボワスリエとクルトーの一騎打ちになり、その結果はクルトーが串刺しにされると同時にボワスリエの喉を食い千切り相討ちになったと伝えられています。

 

 

 

 

 

 

 


アニマルガール 負の遺産

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧