第3話 アポロ捏造説

ページ名:第3話 アポロ捏造説

 

 

「よく来たねぇ諸君!脅威度レベル5"アポロ"の対策作戦会議を開くよ!!ささ、座って座って!」

あいかわらずテンションが高い。

「一見、砂漠化以外にこれといった異変はなかったけど。何か見つけたの?」

私の問いにAthenaは顔色一つ変えず答える。

「ふっふーん!それが見つけちゃったんだなぁ!ま、なんといってもLAS最高幹部だし!当然かな!」

「すごく自慢げに語るが、いったい何を見つけたんだ?」

と、リーナが言うと彼女は「まーまー慌てない慌てない」といいながらプロジェクターの準備を進める。

「実は、私本体のところまで行っちゃってさ、凄いものを録画してきたからまずはこれを見てみてよ。」

そういってAthenaがリモコンを画面に向け、動画を再生する。

 

 

動画の内容はこうだった。

画面中央に銀色の塊が見える。Athenaがそれに近づくと彼らはAthenaをにらみつけた。
そう、銀の塊とは、セルリアンだったのだ。姿はまるで歯車のような形をしていた。

 

あれ?このセルリアンって…

 

「ギアーズじゃないか。こんなところにもいたんだな。」とリーナ。

「まぁまぁ見ててよ見ててよ~」

 

 そのまま数分間、セルリアンとのにらみ合いっこが続いた...が、Athenaが動いた。
手にはナイフを持っている。いつの間に取り出したのだろうか。セルリアンにかなり近づいてナイフで攻撃する。
裏側に石があるようだ。が彼らは微動だにせず、攻撃を受ける。そのままそのセルリアンは消滅した。

『なんだ、レベル1か。にらみつけてくるからどんな奴かと思えば...』

と、動画内でAthenaが口にした時...同じようなセルリアンが複数体木々の間から姿を現した。

『なるほど、君たちそういうタイプか』

と、Athenaが撤退しようとすると...奥にうっすら"アポロ"の姿が見えた。

『...あぁ、そういうことね』

 

 

 

「動画は以上!わかったでしょ!こういうことさ!」

「いや、全然わかんないよ!」とヤマドリが口にする。

「でも、そこの兎さんは分かってるみたいだよ?」

おっと、そこで私に来るか。でも正直私も今のだけでは何が前兆なのかわからない。

「さあ...?」

「なんだ!わかってないのか!まったく!君たちは推察したり考えたりしないのかね!
んじゃあ説明するよ!」

「いいかい!"アポロ"が姿を現す条件はこの歯車セルリアン!
いうなれば"ギアーズ"をすべて倒すこと!」

「それはなぜ断言できる?」とリーナがAthenaに聞いた。それは私も思った。
そう断言するには推察するにしろ少し情報が足りない気がする。

「あぁ、それについては順序だてて説明する必要があるからまずは何も言わないで聞いてくれ。
ただし、"何故それを知っている"という質問は受け付けないからね。」


「まず一つ。君たちが以前戦った"アポロ"だけど、あいつの周りにも以前は"ギアーズ"が沢山いたのさ。
君たちがいきなり"アポロ"と戦えたのは誰かが"ギアーズ"を殲滅したからだね。この"ギアーズ"は前々から観測されていたんだ。だが"アポロ"は観測されなかった。いや、できなかったという表現のほうが正しいかな。これは後々分かったことだが"ギアーズ"は"アポロ"を隠す作用があるみたいだ。原理は分からないけどね。」

「そして二つ目。今回分かったのは、"ギアーズ"は普段人気のないところか薄暗い場所にしか出てこないということ。
それと、数が減れば減るほど"アポロ"はその姿を現し現実世界にも被害を与え始めるということ。
これは以前の"我々"の予測データと一致した。現に砂漠化が始まっていたし、以前観測された"ギアーズ"より数が圧倒的に少なかった。恐らく付近のフレンズやハンターが狩ったからだろうね。」

 


「で、なにか質問は?」とAthenaがニコニコしながら私たちの反応を待っている。

「うにゃーーよくわかんなーーい」とヤマドリが悲鳴を上げる。それに対し、Athenaが補足する。

「ま、要約すると【アポロはギアーズを全員倒すと出てくるが、中途半端に倒し残すと砂漠化だけが現象として残る。】だね。本体をきっちり倒したいのならまずは"ギアーズ"だね。でも本来"ギアーズ"は人気のないところやうす暗いところにいる筈だから黙ってれば向こうは何もしてこないはずさ。問題なのは...」

「フレンズ及びハンターが倒し損ねた"ギアーズ"ね」と私がAthenaに続けて答える。

 なるほど、大体Athenaが言いたいことは理解した。だが今の説明でまったく別の疑問が生まれた。
彼女はこの質問に答えてくれるだろうか。

 

 

「あなた、さっき"なぜそれを知っている"という質問は受け付けないと言っていたわね。じゃあ...」

 

 

 

『貴方は何者?』

 

 

 

Athenaが笑みを浮かべる。

 

 

 

沈黙がしばらく続く。先に口を開いたのはAthenaだった。

 

 

 

「......ふふ...好奇心は猫を殺すってね......」

 

 

 

「あら、私は兎よ?」

 

 

 

お互い視線で牽制し始める。

 

 

 

沈黙が再び始まる。

 

 

 

辺りの空気がピリピリと緊張感を持ち始める。

 

 


この沈黙を破ったのもAthenaだった。

「...ふふ......言ったじゃないか、私は"LAS最高幹部"とね...」

 

「それは答えになってないわ。いくらLASでもジャパリパークの"監視カメラ"までは見れないでしょう?」

 

「なるほど、ただの兎だと思っていたが少しはやるじゃないか。」

 

「おかげさまでね。」

 

「ふふ...その質問は"今は答えられない"と答えておくとするかな。」

 

「その代わりと言っては何だが...」とAthenaが続ける。

 

恐らく彼女が今答えられないのは、ここのカメラが"ジャパリパーク"の監視カメラではなく"LAS"の監視カメラだからだろう。

 

「君たちが戦った"アポロ"の"ギアーズ"を全て倒したフレンズの名前を教えてあげるよ。」

 

 私は、一見関係ない情報だと思った。が、これはチャンスである。もしそのフレンズ達を味方にできれば以前より"具現化したアポロ"の討伐が楽になるだろう。先ほどの説明と動画を踏まえて考えると、"ギアーズ"は相当な個体がいる。
それらを全て倒すとなればやはり、ハンター達だろうか?そういえば、以前であったフレンズにも相当な実力を持っているのが何人かいた。それ以外にもドリーから聞いたフレンズを合わせると相当な戦力になるだろう。
一体、どんなフレンズ達なんだろうか。

 

「そのフレンズの名前は...」とAthenaが口にして違和感に気付く。フレンズ...?フレンズ"達"ではなくて...?

 

「待って。」と私が制止する。一応聞いてみるだけだ。この重要な場面で嘘をつかれては困る。

 

「フレンズ"達"よね?」

 

 

 

「いや、1人だよ。名前は...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エトランゼさ。」

 

 

 

 

 

 

 


 

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