人生は二度しか無い。
生まれた時と死に直面した時の。
"You only live twice: Once when you're born, And once when you look death in the face."
- Ian Fleming
人生は二度しか無い。
生まれた時と死に直面した時の。
「ハァッ ハァッ ハッ……」
(ここの木陰なら大丈夫かな?)
息が苦しくなってきたから木陰に隠れつつそんなことを考える。
『████!?』
『██████!!』
(まだ追ってきてる!)
さっきまであんなに晴れてた筈なのに雨が降ってきて段々と薄暗くなってきた。
「痛っ」
何回も転んで枝で擦切った箇所に泥水が入って思わず声が出た。
『███!!』
『████?』
(気付かれた!)
逃げないとと思うけど体が震えて全く動けない。
『████』
『██』
影が投げてきた何かが私の動きを奪い、身体に鋭い痛みを感じた後に急にねむくなって……
気が付くとどこか分からない薄暗くひんやりとした壁の中に私はいた。
周りに私を食べようとしてきていた██や██████がたくさん居た。
ずっと地面が揺れていて不思議だなと思っていたら影が眩しいものを何かを持って近付いてきた。
影は『██████』と何か言いながら壁を叩きながら中に居る██を棒で殴ると『████!!!』という██の叫び声が響き渡った。
怯える私に影は近付いてきて私のことも棒で殴った。
それから投げ入れられた食事を私は必至に食べた。
殴られた後に食事を与えられてまた殴られるという繰り返しを一体どの位たったのだろう?
何回も繰り返していく内に視界がぼんやりとして力が入らなくなったなと感じているときにそれは起きた。
影が慌ただしく走り回っていたと思うと追われていた時に聞いたような雷のような音が響いてきた。
《閃光》
《一瞬で暗転する視界》
《銃声》
「またあの夢だ……」
そう呟きながら机から顔を上げると、歪む視界の縁に消えたランプと読んでいた途中の小説が置いてあった。
どうやら読んでいる途中で寝てしまったらしい。
少し開けていた窓から大通りから活気のいい声が聴こえてくる。
「今日は市場の日だっけか」
(折角の休日だし市場で美味しいものでも食べに行こう)
他の子によっては前の姿だった頃の記憶がはっきりと残ってたりするらしいけど、私は以前の記憶は殆ど覚えていない。
でも今に不満を感じたことは無いしあの時、衰弱していた私を助けてくれた人達に憧れ今では同じ場所で働くというとても充実した日々を過ごしてるつもりだ。
人生は二度しか無い。
生まれた時と死に直面した時の。
これはとある小説の作者が遺した言葉だけど、私の場合はこうなるんだと思う。
人生は二度しかない。
死に直面した時と生まれた時の。
だから折角のチャンスを精一杯楽しんでいこう。
そんなことを考えながらドアを開けると、ほんのり暖かい風と木漏れ日が私の肌を撫でていく。
ドアの鍵を閉めながら思ったことを呟いた。
「うん、今日もいい天気だ!」
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