第2話 虚構太陽

ページ名:第2話 虚構太陽

 

 私達は今ホッカイエリアにいる。寒い。
11月にもなるとここはとても寒くなる。ホートクエリアもかなり冷え込む方だが、ここまで寒いのはホッカイの特徴だろう。なぜ私たちがホッカイにいるかというと...



「で、今後のことなんだけどさ、ルナ。」

リーナが真剣な顔で私に問いを投げたのは昼ご飯を食べている時だった。

今後のこと、というのはおそらくセルリアンのことだろう。
私達が"アポロ"を倒してからはや一週間。ジャパリパーク上層部は頭を抱えていることだろう。
脅威レベル5のセルリアンが最近増えつつあるのだ。なぜかは分からないが...

「あ~、あんな奴が何体もいるなんて~私もう駄目だわ~」

次にヤマドリが口を開いた。

「そんなに絶望するほどでもないんじゃない?あいつの弱点は割れてるし、恐れるほどでもないわ。」

そう、あいつとは"アポロ"のことである。あのセルリアンは複数体いる可能性があるのだ。
私達が戦ったのはおそらく11号。となると、もう数十体いる可能性があるのだ。1号、2号、3号...あ、最近調べて分かったことなんだけど、本物のほうの2号と3号は欠番となってるらしいから、セルリアン化はしていないかもしれない。

「あの監視団体が言うにはホートクエリアに限らず、いろんな場所でそれっぽいの見かけたって言ってるからなぁ...」

「ふむ...なにか、"アポロ"がいるっていう目印的ななにかがあればいいのにねぇ...」

確かにそれを探すのはいい案かもしれない。前兆を観測できれば、被害が出る前に人間やフレンズを避難させることができるかもしれない。

「それは恐らく"砂漠化"ね。あいつら周囲の植物とか水とか、問答無用で枯らせていくからそれが観測できれば...」

そこまで声に出して私は誰かに見られているような気がして、あたりを見渡す。

「ルナ、どうしたんだ?」

「いえ、誰かに見られているような...あ」

いた。食堂の入り口でニコニコしながらAthenaが私を見ている。
Athenaがこちらに駆け寄ってくる。

「げ、私あの子苦手なんだよね。」
「ヤマドリ、そういうことは思ってても口にするもんじゃないぜ」

...まぁ、そういいたくなる気持ちもわかる。彼女がここにきてからほぼ一週間たつが、私も彼女のことをあまり受け入れられない。

「やっほー!LAS最高幹部のAthenaちゃんだよー!なになにどうしたのー?そんな深刻な顔しちゃってさー
あ、セルリアンのことでしょ!わかるよー、その気持ち。あの人たちに討伐依頼されちゃったしねー
まー私でよければ力になるよー」

「なんであんたがそのこと知ってるのよ...」

 本当に理解不能である。極秘情報のはずのセルリアンの存在は初日で彼女に知られてるし、この一週間の間で"アポロ"の
情報まで手に入れている。それどころか私たちが事情聴取で聞かれた内容すら知っているとは...

「あ、知りたーい?なんで私が"アポロ"の情報もってたりー、イザベラと衛が恋仲という情報もってるか、知りたーーい?」

ちょっと待て、あの二人が恋仲とか意外すぎる。ふだん不愛想な態度とってる二人がそこまで仲が進展してると考えると...なんか笑えてくる。まぁ、どうせ嘘だろうけど。

「あ、じゃああいつが出てくる前兆みたいなのわかったりしない?」

ヤマドリがAthenaの質問をガン無視して話題をもとに戻した。

「...ん?割とまともな質問来ちゃったなー」

うーーん、とAthenaが唸る。
しばらくして、Athenaが「ちょっと待ってて」とだけ言って食堂を後にした。

数分後...

「よーし!君たち!今からホッカイエリアに行くよ!ほら、準備して!」

は?と私、リーナ、ヤマドリの声が一致する。
意味が分からない。は?

「なにボケっとしてるの!前兆探りに行くんでしょ!だったら実物見に行く方が早いじゃない!
さっきホートクエリアで観測されたっていう情報入ったから!行くよ!電車の切符も予約したから!」



 と、いうわけでAthenaに連行されてきたのである。人間の15歳とは思えないような行動力だ。
ここはその目撃情報があった森だ。私たちは木々の間をゆっくり慎重に進んでいく。

森に入って一時間ぐらいだろうか、砂漠化の後を見つけた。

「よし、じゃあここからは分かれて調査開始だね。はい、これ持って。」

そういってAthenaがトランシーバーを手渡す。

 私は東側を、リーナが西側でAthenaが北にまっすぐ。ヤマドリが上空からそれぞれ調査を始める。それから30分探索したが、これと言って新たな発見はない。やはり砂漠化だけなのだろうか。できれば発生する前兆が知りたかったのだが...一応みんなにもいろいろ聞いてみる

「ヤマドリ、どう?なんか変わったこととかない?」


「う~ん、砂漠化以外にとくにこれといって変なものはないなぁ...本体もみつからないし。」


「そう...こっちも特になかったわ。」


「あ、それとさっきAthenaがさっきの場所に集合っていってたよ」


「ん、了解。」

 

この調子だと残りの二人も特に収穫なさそうだ。

 

「はーい!それじゃあホートクエリアに帰還しまーす!みんなー!帰るよー!」

 

 本当に収穫なしのようだ。私たちは帰りの電車の中で寝ることにした。時刻は19時くらいだろうか。

20時になるかならないかくらいの時間で私たちはLASに帰ってきていた。

とにかく疲れた。それじゃあ、各自部屋で休憩しようか...と話していると

「ちょぉーーーーっとまった!!22時に会議室集合ね!んじゃ!」

と、それだけいってAthenaは自室に消えていった。

「まだなにかあるの~?」とヤマドリがため息をつく。正直、私も予想外だった。
まさかなにか収穫があったのだろうか。

まぁそれは後でわかることだ。今はとにかく眠気がすごい。私は自室で仮眠をとることにした。

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