この記録は20██/09/█3にナカベエリアの森林エリアにて、調査対象のアニマルガール「ロボ」に対するインタビューが初めて成功した例です。彼女の肉声も記録されたのはこれが初めてのことです。
調査者は██ミライ調査隊長。詳しくは以下の記録を参照してください。
[足音]
『ミライ、その、ロボは見つかった?』
ミライ「はい…まだ見つかりません。やっぱり警戒されてるみたいですね…」
『そう、ですか…その、とりあえず、引き続き調査をお願いします。通信はこのままオンラインで、記録は継続します。本部にも音声は中継します』
ミライ「了解です。…それにしたって、ロボさんは一体どこにいるんでしょうか…」
「呼んだか?」
ミライ「え」
『えっ?』
[この間、20秒前後の沈黙]
ミライ「…ど、どうも…」
「どうも俺を探しているようだな」
ミライ「あ、貴方がロボさん、ですか?」
ロボ「そういうお前は何だ。名は、目的は何だ」
ミライ「わ、私は██ミライです。その…今日はですね、えっと…」
[衣服を掴んだと思しき音]
ミライ「え、えっ?!」
ロボ「軽いな…くんくん」
[数秒の間匂いを嗅ぐ息遣いが記録されている]
ミライ「え、えっ…」
ロボ「くんくん…なるほど。大体分かった 募る話もあるだろう。座る場所まで連れて行こう」
ミライ「あ、ありがとうございます…」
[足音]
ミライ「ってこのままですか?!降ろしてくれないんですか?!」
ロボ「甘えるな。二本足で立つことに執着するんじゃない」
ミライ「そ、そんなぁ〜!」
[数分後、何かを座らせるような音声が記録される]
ロボ「まあ座れ。話だけ聞いてやろう」
ミライ「ふうっ…あ、ありがとうございます?ですかね…」
ロボ「…」
ミライ「…」
ミライ(どうしましょう…どう切り出せば…)[小声]
『い、いまロボと居るの?え、えっと…暫く静かにするけど、これだけは言わせて。 ミライちゃんの率直な意見を言えば大丈夫だと思う、から…後、えっと、あんまり態とらしく話しても、ダメよ』
ミライ(うう〜…どうすれば…)[小声]
ロボ「…」
ミライ(よ…よし…)[小声]
ミライ「…その服。つぎはぎがいっぱいですね…」
ロボ「自分で編んでる、こんな程度で十分だからな」
ミライ「どうして編むんですか?」
ロボ「汚れる時がある、その時に汚れた所を破いている」
ミライ「そ、そうですか…」
[会話終了、30秒間の沈黙]
ミライ(ど、どうしよう…また話題が尽きて…)[小声]
ロボ「…お前」
ミライ「ひゃ、ひゃい?!」
ロボ「…お前が話したい事はそんな程度か?」
ミライ「ぇ、えっと…」
ロボ「…今の俺の考え、力、そしてやっていることを知りたい筈だが?」
ミライ「そ、それとっ…!ヒトの身体となった気持ちについてとか…このパークやフレンズさんたちをどう思っているか…も聞きたいです!」
ロボ「…話してやろう。少し静まって聞け」
ミライ(よ、良かった、なんとか話にもってけた…)
ロボ「…彼奴らは、皆誰も彼も心配になる位に疑いと汚れを知らない。憎しみも、悲しみすらも」
ロボ「ただただ生きていた。しかし…ヒトになる前も行なっていた、命をかけ争うことすら、ヒトと化してからはそれに命をかける事は無くなった」
ロボ「分かるか?彼奴らは…お前たちが目標とすべき存在なのだ」
ミライ「フレンズさんのことですか…?」
ロボ「他に何がある」
ミライ「そ、そうですね…」
ロボ「…彼奴らを排斥したお前たちを、彼奴らは排斥しなかった。見習うべきだ」
ミライ「…」[話に集中している]
ロボ「…力は彼奴らの危機を払うのに使う。星の力か?」
[サンドスター量の急激な上昇を記録]
ミライ「野生解放…!」
ロボ「だがそれだけでは駄目だ。それは支えられている力に過ぎん」
ロボ「支えている力を鍛えてこそ、初めて強さが完成する」
ミライ「腕っ節も強い、と…」
ロボ「…静まって聞けと言わなかったか?」
ミライ「は、はい…で、でも…私も何か意見を…」
ロボ「…何だ」
ミライ「ロボさんは…本当にフレンズさんたちの事を大切に思ってるんですね」
ロボ「…」
ミライ「私たちは…会った事が無いからよく分からない部分もありますけど…ロボさんと話した事のあるフレンズさんは、皆「優しくて良い人だよ」って言ってました」
ミライ「貴方が何をしているかは分からない所もありますけど…でも、フレンズさんに対しての気持ちが知れて良かったなって思います」
ロボ「…」
ミライ「でも…今のその姿については…どう思っているんですか?」
ロボ「…気に食わないが、何かと便利な身体だ。頭がより回る様になったし…何より、力も増した」
ロボ「これがヒトの出せる力では無いのは知っている。お前たちの言う「サンドスター」とやらの仕業だろう」
ロボ「ヒトがこんな力を出せるほど有能であった試しはないからな」
ミライ「…そんなに嫌ではないんですね」
ロボ「そうも言ってられないからな」
ミライ「強いですね…」
ロボ「そうでもしなければ彼らは守れない。王の名折れだ」
[インタビュー終了]
ミライ「き、今日はありがとうございましたっ!」
ロボ「へり下る必要は無い。こんなに長々と話したのは久しぶりだからな」
ミライ「でもロボさんの方から私たちに歩み寄ってくれたんです。きちんとお礼を…!」
ロボ「構わん。だが…次くるならそれを付けずに来い」
ミライ「えっ…?!」
[小型通信機を指で叩く音]
ミライ「さ、最初から気付いて…?」
『ええっ?!』
ロボ「長く生きると匂いだけで色々分かる、誤魔化しは効かんぞ」
ミライ「す、すいません…」
ロボ「…ミライと言ったな」
ミライ「?はいっ」
ロボ「言っておくが俺は人間を認めた訳では無い。人間に対するこの心は…生涯を持ってしても変わる事はない」
ロボ「だが…彼奴らは、フレンズたちは、無条件にお前たちを認め、受け入れるだろう」
ロボ「疑いも恨みも無く、人間を慈しみ、友として受け入れる筈だ」
ロボ「かつてお前たちに掃滅され、駆除された者も皆、お前たちを受け入れるだろう」
ロボ「フレンズたちを…裏切るなよ」
ミライ「…」
ロボ「ミライ…いや、ミライ達に言うべきことはそれだけだ」
ロボ「数えきれない罪に塗れているんだ。せめて…フレンズのことは裏切るなよ」
ミライ「…はい。絶対に…っ」
ロボ「…それだけが分かれば十分だ」
[足音が数秒間、遠ざかって記録される]
ミライ「…ふう…」
『…お疲れ、様…です』
ミライ「正直掴まれた時はヒヤヒヤしましたけど…ロボさんも、評判通りに良いフレンズさんでした」
『…そうね』
ミライ「これからも、もっともっと頑張らないとですね…カコさん!」
『そうね……き、記録終了します』
[記録終了]
今回の記録で、幾つか明らかとなった点が存在します。
容姿: 灰色のコートと思われていた上着はその実破いては布を編んでを繰り返した結果の継ぎ接ぎの目立つ上着と判明しました。上着の下は通常のメキシコオオカミと同じ服と思われます。またマフラーでは無く大きめのネックウォーマーをつけていた事が明らかになりました。
野生解放の有無: 存在が確認されました。後日██ミライ調査隊長に詳細を伺った所、「顔が半分狼に戻っていた」とのことです。
声: 低い女性の声です。
アニマルガールに対しての考え: 情報の通り、アニマルガールに対しては非常に大切に思っている事が示唆されました。
得意なこと: 現時点の情報では編み物が得意であると考えられます。意外に女子力もある様です
結論としましては、今後対応次第で人間に危害を加える可能性があるものの、アニマルガールには害も無く、我々の把握していない所で彼女たちの為に動いていると見て間違いなく、ただ危険な存在とするべきでは有りません。
そもそも、私たちヒトは彼女の行動に難儀を示せる立場に無いのですから。
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