ワタリガラスの野生開放を目撃した人物の記録

ワタリガラスの野生開放を目撃した　　　の記録

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畏縮してしまった、鋭く闇を纏い降るその姿に

いや、立つ姿に、か？、もう空を飛んでいない

既に降り立って

俺がそう感じる頃、目の前は真黒く染まっていた

 

………………

野生開放、と言ったか

サバンナでサーバルというフレンズに何度か見せてもらった覚えがある

ここらへんにはあんまりセルリアンがいないから、

最近（野生開放を）使わないんだよねー、とか言ってたな

実演もして見せてくれた

セルリアンがいたわけじゃないし

こちらが「野生開放を見せてくれ」とせがんだわけでもなかった

爪が、手が、白く、輝き、光り、速く、それより速く

彼女は空に向かって空を切、手を振りかざしていた

笑う姿がなんともかわいらしかった、フレンズっていうのはそういうものではないのか？

 

俺はそう思って、信じてたんだ

なら目の前に聳える奴は？

俺の知ってるフレンズと違う！ああ！

何だ？、今目の前に広がるのは、黒だ

決して灰色なんかじゃない

場所がサバンナではないから？

陽の光が届かない林の中だから？

だから、黒？

標的はなんだ？セルリアンか？それとも嫌いな職員...フレンズ？

あの様子ならそのような標的でも何らおかしくはない

そう考えてしまう自分は酷いやつだと考えながらも

奴がモノトーンに立つ姿はもっと「酷かった」

フレンズから殺意って感じるものなのかと

信じがたかった

十人十色だとか、千姿万態だとか

そういう面を尊重すべきだとか

そういうところがジャパリパークの良いところなのだとか

そういうフレンズ達を見に俺はやってきた

はずだった

そういうフレンズ達を見に俺はやってきた

その事実は変わらない、今も、彼の野生開放を見た後も

ただし、

俺は誰に向けてか分からない殺意を感じに

俺はやってきた、訳ではない

では自分の見たい姿を振りまくフレンズだけを見て回ればいいのか？

目の前で繰り広げられている惨劇(あくまで雰囲気の表現)に目を瞑れ、背け、忘れろというのか？

否、パークには様々なフレンズがいる

フレンズを見に来た俺は今此処に屈んでいる

こんな怖いフレンズがいるだなんて

期待外れだったなんて

とんでもない！

俺の固定観念を突き刺すフレンズの新たな一面だ！

 

今俺がそう思えていたらよかったんだろう

空に敷かれた鱗雲ですら鈍色に見えてしまってるんだから

平和なことが考えられるはずがない

ましてやフレンズのことなんて

よし、…………よし

……「見る」以外、身体が選ばせてくれないようだ

目を瞑れ、背け、忘れろ

脳の望む命令を送る電線はどうした？ショートしたか？

目の前の光景に釘付けになれなんて俺は考えてないぞ

いや何も考えることはできていないが

ならいっそ開き直って観察に勤しむとしようか、

えー…彼は……日頃から、殺意衝動を抑制している？

笑顔の裏にはイライラが溜まっている？

よくある話だ、俺も、俺の上司も同期もそうだ

それがこんなにエモいカタルシスに進化するとは

世の心理学もまだまだだなあ………………

…………

 

ああ、うん、バラバラに綴りすぎたか

俺は混乱しているようだ。今更か

彼が野生開放をする前だな、そうだ、そこからだな

いや覚えてない、……思い出せない

視覚的...感覚的ショックが強すぎた所為？笑わせる、

それ以外可能性が考えられないってのに

いや何も考えることはできていないが

彼の

口角が上がった、飛んだ、俺の視界から外れた、

上空を見た、俺の視界から外れた、

正面を見た、倒れた何かと黒い何かが立っていた

ものの数秒の単純凄惨野生的プロセスで俺は何を感じただろうか

それが上の雑記なんだが、まあ、その、

……(読み返す)

 

これは、俺が彼の野生開放を見て思ったことを綴ったものだ

 

確かに……そうなんだ、

だから、直接的で……叙情的でいいはずなんだよ、もちろん

 

「なんだ？この感想は」「気が触れたか？」

俺はおかしくないぞ、全く気は確かだ

確かだよな

 

dämonisch(ドイツ語)　デモーニッシュ 鬼神に取り憑かれたような人間離れしている様。 悪魔的。

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※ワタリガラスさんはフレンズなので女性です、”彼”ではありません

ワタリガラスさんについて

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筆者: idola
お読みいただきありがとうございます。

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