第11話 兄の思いと弟の想い

ページ名:シン 8-10

 

【録音の音声】
〈雑音〉

〈男の声〉

「よし、録音開始だ。」
「聞いてくれ、弟よ。私は、自分の両親がアクチャーズに殺されたものだと思ってたよ。」
「あぁ、言わないでくれ。わかってる。前々から不思議には思ってたさ。」
「どうしてわざわざジャパリグループから離反した組織なんかに俺の親が殺されなきゃならないんだ…ってね。」


「…だが、ようやく気付いたよ。あれはアクチャーズなんかじゃない。もっと、腐った奴らの仕業だ。」
「最悪俺は死ぬだろうが…弟よ。俺はあのクソッタレ共のしっぽをつかんだ。」

「奴らは捕まえねばならない。アクチャーズは後ででいいさ。だが…くそッ!奴らはここ、パークにも来るぞ。」

「最悪の事態を想定しておけ。ADLBと協力すれば、勝てない奴らではない。」

〈電話のコール音〉

「ちっ、もうきやがったか。」

 

「...もしもし...そうだ、私がQだ。一体何の用だ。そしてお前は誰だ。」

 


「...なに?」

 

「......これが盗聴されている可能性は?」

 

「...」

 

「そんなことも考えずに重要機密を連絡しようとしたのか」

 


「...なるほど、了解した。」

 

 

「はぁ、クソッタレ。二時間後に奴らが来る。俺を始末しに来るんだろうな。なるほど、俺が気付いたことにもう気付かれたのか。」


【録音の音声】
〈雑音〉

 

〈扉の開閉音〉
「おまえがアクチャーズの頭脳、ピュッツ・クヴァントか」

「...言葉には気をつけろ。」
「ふふ、これは失礼Q博士...」

「悪いが、私はお前を信用していない。貴様は何者だ?」

「電話で名乗ったつもりだが...私はあなたと同じアクチャーズの者だよ。君に重要任務を伝えに来た。」

「...重要任務だと?こんなちんけな場所で一体何をさせる気だ?」

「単刀直入に言おう。ADLBを潰せ。君なら簡単だろう?」

「...は?それは社長の命令か?冗談だろう?」

「あぁそうだ、ボスの命令さ」

「おいおいおい、私が聞いてるのはそういうことじゃない」
「いくらアクチャーズといってもだな、今までそんな行動取りはしない。」
「ADLBに何の恨みがある?」

 

「...」


「...フレンズやサンドスターの情報を抜き取るには、彼らが邪魔だ。」
「我々の次の目標はLASAPOだ。最近はサンドスターの観測も任されてるらしいからな。」

 

「はは、躊躇ったな。」


「...何の話だ?」

 

「そもそもの話、おかしいと思わないか?今までパーク内の情報を渡せという任務を俺はこなしてきた。」
「それが突然、ADLBを潰せ、だと?ハッ!!笑い話にもなりやしねェ!何が目的だ?」

 

「…私が聞きたいのは貴方がこの任務を受けるか、受けないかです。もっとも、受けない場合はそれなりの対処をさせてもらいます。」

 

「あぁ、どうやらお前さん、俺の質問には答えてくれないらしいな。そんなにADLBが怖いか?モノトーンイデア!!」

 

「おや、すでに気が付いていたのですか…」

 

「は、お前は嘘や人をだますのが苦手そうだな。」

 

「……もう一度聞きましょう。この任務、受けますか?受けませんか?」

 

「さっさとくたばれよ、人殺しめ。」

 



「以上が、あなたの兄弟、ピュッツ・クヴァント博士の遺したボイスレコーダーです」

「...」

「その…残念ながら遺体のほうはまだ発見されてません…」
「警察にも一応通してあります。おそらく、『いのちのみほし』でしょう。」

「わかってる!そんなことは...(だが兄貴、これが伝えたかったことか…?だとしたら…)」
「...なぁ、このボイスレコーダー」

「なんでしょう?」

「コピーを取ってADLBにも送ってくれないか?」
「オリジナルは君たちにやるよ」

「そう...ですか。」
「あなたはこれからどうするおつもりで?」

「...ADLBに入るよ。」

「...そうですか、お気をつけて、ルーク・クヴァントさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


Tale

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