第10話 月兎と研究員

ページ名:ヘット 3-5

 

「...それで、今回の作戦っていうのは?」

 

 暗い部屋の中、月兎のフレンズのルナがとある研究員と会話している。なぜ彼女がここにいるのかというと、この研究員、Qと呼ばれる男はLASの監視カメラ、専属ラッキービーストなど、様々なものを作っていて、一言で言ってしまえばLASと協力関係にある。Qは、とある国の特殊部隊の専属工作員だったが、寄る年波には勝てず、退役した。その後、パークにその技術力の高さを買われ、今に至る。といっても、実際彼が行っているのはサンドスターの研究であり、様々なデバイスづくりはおまけみたいなものだという。つまり、彼の今の本来の仕事は月兎のその異例な生活リズムの解明にある。彼は自らその研究を進めたいと言い、その代わりにLASの設備をより良いものにする、といったものだった。

 

「...おそらくだが......あいつはまた負けただろう。人を見た目で判断するくせがある。」

「ふ~ん...」

 

 彼は基本的に部下を信用しようとしない。軍にいたころ何かあったのか、それとも__
それでも、彼はAと呼ばれる男を珍しく頼りにしているようだった。このように小ばかにすることはあっても彼がAに何か依頼するときは必要以上に気にかけているそぶりを見せる。

 

「私の行動が、彼らにバレる時も近付いてきたな...」

 

 正直、私は今の彼が言う【作戦】については賛成できない。

 

「...逃げないの?」

「私は逃げる訳にはいかない。あの作戦が完全に遂行されるまでは…」

 彼とAは今、ジャパリグループが警戒している組織【アクチャーズ】に入っている。いや、Qに関しては入らざるを得なかったというべきか。

「......もしかして、《サンドスター総取り作戦》のこと?」

「あれはあくまで彼らをおびき寄せるためのフェイクだ、私はジャパリグループに入り、その後アクチャーズに入ったが…その理由はわかるか?」

「.........もしかして」

「そう、そのもしかして、だ。知っての通り私はアクチャーズに賛同している訳では無い。かと言って、私1人でなんとかなる問題でもない。今は、Aに活躍してもらってるが…いずれ私の存在に気づくだろう。彼らが私に気付き、ここに来たなら...」

「......」

「総取り作戦は、アクチャーズの連中だと彼らに思わせるため、そして奴らを欺くため、あえて武器をAに渡してるのは彼らに私の作戦に乗ってもらうため...その作戦とは___」

『アクチャーズのトップを狩る』

「私はアクチャーズの連中を許しはしない。それは彼らも同じはず。...まぁ、彼らの協力を得る前に、私はアクチャーズの奴らに殺されるかもしれない。」

「無謀だとは思わないの?」

「...彼らの協力が得られない場合、または彼らが失敗した場合。私は死ぬだろう。だが、当然だ。私は武器こそ作れるものの、動き回るのは苦手だからな。アクチャーズを潰すなら、どうしても、彼らの協力が必要だ。」

「普通に彼らを呼べば?何もそこまで...」

「人嫌いで通ってる私が彼らをわざわざ呼べばアクチャーズに怪しまれるだろう。ここは、作戦が失敗して身元がバレた。の方が1番普通に彼らを招待できる」

「...もう何を言っても無駄、か。」

「...すまないな」

「死なないでね、Q」

「ふん...」

 


Tale

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