CEL-1-489/MP "ヴァイスファング"

ページ名:CEL-1-489_MP Vice_fang
  

現在、このファイルに記される情報はアーカイブ化されています。


20██年現在、当該セルリアン個体はパーク内では確認されておらず、完全駆除されたものとして再定義されています。その為、これらの情報はアーカイブとしてセルリアンデータベースセンター内に厳重に保管されています。

 

 

セルリアン管理番号: CEL-1-489/MP

種別名: Maleficus Pistrix

世代区分: 第1世代

脅威レベル: 4(危急避難)

駆除状況: 完全駆除済

通称: ヴァイスファング

大きさ: 全長10m

規定対応手順: CEL-1-489/MPは広い水中での活動を得意としており、平常時には行動できるスペースが限られる浅瀬から先には自分から近づくことはありません。予め血液の匂いを付着させた物体を用いてCEL-1-489/MPが不利となる場所に誘導後、駆除を行ってください。

通常、沖でのみ活動している都合上目撃される可能性はありませんが、万が一CEL-1-489/MPが目撃された場合、「試作のサメ型無人ロボット」を流布し隠蔽を行ってください。


説明: CEL-1-489/MP 通称"ヴァイスファング"は通常、海中で活動している第1世代型セルリアンの区分の内、大型セルリアンに区分される個体です。当該セルリアンは現時点で発見されている個体以外に別の個体は確認出来ず1体のみが存在する物とされています。

発見に至った経緯は、職員よりゴコク近海にて「変わったサメ」が目撃されたとの報告が見られた為に実施されたCDCの調査(任務に際し欺瞞情報として「ゴコク近海の水質調査」を流布)により存在が発覚しました。調査以降も棲息する海棲生物に対して危害を加える事例が相次いでおり、早急な対応が必要です。

ヴァイスファングの形状は全長10mのホホジロザメに似た実体で、実在するホホジロザメとの差異として暗い青の体色に赤い発光部位と、外側の縁に鋸歯が存在するナイフのような形状の長い胸ビレ、胴体に計2対連なって格納されたトビウオのものに似たヒレ、鼻と口の間を横切るように形成された緋色のゴーグルの様な形状の単眼を有しています。肌は通常のサメの様に細かな歯状突起に覆われており、これを用いた攻撃も行います。

ヴァイスファングが生物等を発見すると対象に接近し、必ずすれ違いざまに噛み付くか胸ビレの鋸歯で浅く傷を付けて対象をパニックの誘発を試みます。対象が最初の攻撃によって混乱した場合には執拗に攻撃を加え、弱った所に少しずつ捕食を行うことが分かっています。上記のデモンストレーションが不発に終わるか反撃を負った場合には戦闘態勢に入り、明確に外敵を排除するための動きが目立つようになり、既存のサメの様な噛み付き、尾ビレでの攻撃のほか歯状突起を一部だけ目視可能なレベルまで肥大化させ、遠距離の外敵に対して飛ばすといった手段で対抗しますが、窮地にまで追い詰められた場合、ノコギリザメの吻の様な部位を口内から展開させ、歯をチェーンソーの様に回転させた上で近接攻撃手段として用いる事が分かっています。

撤退時には胴体のヒレを展開し遊泳速度を上げて海域から離脱する為、胴体のヒレを破壊すれば退避能力が低減します。

ヴァイスファングは外敵と見なしたものに対して明確な悪意を持って攻撃を行う性質を持っていますが、上記の様な戦闘能力を持っていながら即座に命に関わる様な攻撃はせず、対象をいたぶる様な接触を主に行っている傾向が強く、高い知能を有していることが示唆されています。食事に関しても同様で丸ごと捕食という形はあまり取らず、少しずつ捕食を行う理由についてはヴァイスファングが持つ「悪意」によるものと推測されています。
この「悪意」は他の行動にも現れており、捕獲したアニマルガールを今すぐに捕食せず他のアニマルガールを誘き寄せるための人質として用いる、誘引に成功した場合人質としていたアニマルガールを捕食するといった、狡猾な知恵を持つことを示唆している事例も確認されています。

その他には通常のサメと共通する特徴として、血液といった液体の匂いを感じると興奮状態に陥る点が挙げられています。この状態のヴァイスファングは本能に身を任せた状態となっているため、執拗に匂いを帯びた物体を追跡し、通常より暴れ回るような動きが増える代わりに知性を持って行動する事が不可能となる事が20██/06/15時点の活動記録で判明しています。この習性を利用した誘導方法を規定対応手順に組み込む事が予定されています。

+[CEL-1-489/MPの活動来歴]-
日付 概要

20██/04/24

CDCの水中ドローンがゴコク近海震度150m地点にて初めて存在を確認、発見当初は潜水艇に気づかなかったのか攻撃は行われなかった。

20██/04/29

ゴコク近海周辺の海岸にてヒレや身体の一部が欠損した動物の不審死体(海生哺乳類と推定される)が漂着する事案が発生、不審死体にはサメの歯型に良く似た傷が付けられていた他、首にサメの歯と思われる物体が数個に渡り突き刺さっていた。また、不審死体は外傷が著しいものの、肉体の大部分は残っており、食物として摂取された様な痕跡もなかった。

20██/05/12

アワナミ支部の入り口付近に怪我をした海鳥のアニマルガールが2名発見される。出欠多量であった為直ちに医療施設に搬送され、即座に治療が行われた。当該アニマルガールにはサメの歯と思われる物体が突き刺さっていたが、歯が横一列に連なっている等噛み付かれた際に剥がれた物としては不審な点が多く、この時点から歯を何らかの手段で投擲する武器に転用している疑いが浮上し始める。

20██/05/19

探査中、ヴァイスファングがイルカを基底種としたアニマルガールの衣服を咥え引っ張る形で移動して居る様子が発見され、水中ドローンでの追跡を開始。追跡開始後15分ほどでイッカクのアニマルガールと会敵、イッカクのアニマルガールが攻撃を試みた後に咥えているアニマルガールをスピアが向いている方角に差し向けて攻撃を中止させてしまう。その後は数分の膠着状態の末に、イッカクのアニマルガールが一旦スピアを捨て、ヴァイスファングからアニマルガールを取り戻そうとした矢先にヴァイスファングがイルカのアニマルガールを捕食。捕食後そのまま海域から離脱した事が確認された。

この事案ではアニマルガールの社会性を利用し、悪意を込めた攻撃に転用している様子が記録された為、ヴァイスファングに高い知性の有無が疑われ始める事となった。

20██/05/25

ゴコク近海の海域を探査中にオットセイを基底種としたアニマルガールを襲撃している様子が発見され、ヴァイスファングの追跡を開始。追跡から20分ほどでオットセイのの前にハクジラを基底種としたアニマルガールが通りかかり、その直前にヴァイスファングによって捕食されてしまう。オットセイがヴァイスファングから救出を試みようと接近、その数秒後に捕食行動を停止し、口内にいるハクジラを見せる様にも見える動きをし始めた隙にオットセイがハクジラの手を握って口内から救い出そうとしたが、その寸でのところでヴァイスファングが咬合し捕食。呆然としていたオットセイに対して肥大化した歯状突起を投げ当てた後に逃亡してしまう。

20██/06/19

CDCの水中ドローンが探査を行なっている途中、鯨類のアニマルガールと一緒に回遊していたホホジロザメのアニマルガールに対し、ヴァイスファングが攻撃を行う事例が発生。一方的な戦闘に発展する。発生から數十分後アニマルガール達は無事に逃走するものの、事案後、20██/07/09までホホジロザメの消息が途絶え、安否が掴めない状況にあった。この事案で初めてヴァイスファングの動きが記録され、会敵時のデモンストレーション、執拗にいたぶるような動き、歯状突起を肥大化させての投擲など、詳細な戦法が明らかになった。

20██/06/21

本格的なヴァイスファング駆除に向けての作戦の草案が提示されるが、20██/06/19時点で集積された情報では攻撃に対する対策、対処法しか組めなかった為、その他にも駆除難度の緩和に必要な情報を求め、水中ドローンによる調査が再び行われる。有しているであろう特性として有力視されていた"通常のサメのような血液に対する過剰な反応の有無"を実証する為、ゴコク近海で当該セルリアンを発見後、血液を散布。散布から4分後に血液の匂いを感知したヴァイスファングがドローンに接近。数分に渡る追跡の結果ドローンはヴァイスファングに追いつかれ破壊されるが、血液の匂いを用いれば浅瀬付近への誘導も可能と言う結果が得られた。これにより、ヴァイスファングに対する規定対応手順と、より詳細な作戦が組まれる運びとなった。

20██/06/25

アシカを基底種としたアニマルガールがヴァイスファングに追跡されている様子を発見、対象を行き止まりの岩場まで追い詰めた所で水中ドローンの存在を認識、迎撃のためか歯状突起を飛ばしてカメラを破壊。残存していた録音機器には数分間に渡って悲鳴が記録されていた。

修理のために帰還した水中ドローンを確認した結果、歯状突起が刺さっていたのはカメラのみで他の箇所には突き刺さっていなかった事が発覚した。

20██/06/29

この日の夜、ゴコク近海のあるエリアで、赤い光が約二個出現したとの報告を受け、急遽ドローンが空中から該当するエリアを偵察。海上からの監視が45分間行われた。海中から確認された赤い光は互いにぶつかり合い、争うような動きがよく見られた。映像に確認されたそれぞれの赤い光の形状から推測するに、一方はヴァイスファングのもの、もう一方はアニマルガールのものとの結論が出ている。最終的に光は潜行し目視での確認が困難となった為、偵察は打ち切られた。

20██/07/07

ヴァイスファング駆除作戦発動。作戦を遂行するにあたり現地の海棲生物のアニマルガール「メガロドン」「デイノスクス」「エクスカリボサウルス」の3名のアニマルガールを欺瞞情報「暴走したサメのロボットを止めて欲しい」を付与した上でスカウト。浅瀬付近にて待機させ、血液の匂いを強く塗した人工肉を使ってドローンがヴァイスファングを誘導。手筈通りに戦闘が発生する。ヴァイスファングにとって不利な地形と4人の奮闘もあり、胸ビレの破壊、逃走補助のヒレの破壊など大打撃を与えるも、ヴァイスファングの口から展開された吻によって接近が困難になった所で服への咬合によりエクスカリボサウルスを捕獲、攻撃を牽制すると対象のアニマルガールを放り上げた隙に逃走した事により、作戦は失敗という結果に終わった。

20██/07/09

早朝、ナリモンマリンホテル直近のビーチに意識を失ったホホジロザメのアニマルガールが漂着しているのがナリモン水族館の職員により発見されました。発見当初ホホジロザメは身体の数カ所にサメの歯と切り傷が付けられ、身体的に消耗している状態にあり過剰なサンドスターの欠乏に陥っていたため、その場でゴコクエリア管理センターに緊急連絡が行われ、アニマルガール向け医療施設に搬送された。緊急治療からから21日後にホホジロザメの意識が回復、回復後はアニマルガール「ホホジロザメ」研究チーム主導で一ヶ月間のメンタルケアが行われ、現在は通常の生活に復帰している。

この日付以降ゴコク近海や周辺の海でヴァイスファングが確認出来なくなった為、特定特殊生物対策委員会は当該セルリアンを「完全駆除済」に再定義するに至る。

 

 

補遺: 20██/07/09の事案以降実施されていたヴァイスファングが現存していないかの確認の最中、ゴコク海底24m付近にて紙の入ったボトルが発見されました。CDC内で内容を確認した結果、アニマルガールが書いたものと思われる文章が記されており、日付は掠れて判読が不能になっているかそもそも記述がされていませんでした。内容を類推するにヴァイスファングとの関連が伺えるものであり、この文書を残したアニマルガールの確認が急がれています。

以下はその内容の一部を抜粋したものです。

+[記録を展開]-[承認されました]

 

ひづけ: [判読不能]

 

どうしよう どうしたらいいんだ

なんであのさめ おれさまにかみついてきたんだ

こわいよ あかいやつとまらない

このままじゃまた

みんなはにげられたかな

 

 

 

ひづけ: [判読不能]

 

だいぶおちついてきたんだぞ。でも、あいつは、あのサメはまだあのウミにいるんだ。

あいつなんでオレサマを  ナカマなのに。

このままじゃウミにはいったやつが、あいつにいじめられるかもしれない。

そうなるまえになんとかとめないと。

あいつを、あいつをセットクしないと。

オレサマのナカマが、悪者扱いされるなんてイヤだ。

 

ひづけ: [判読不能]

 

はなのなかがあつ

おはなしなんてできなかった

くるしい

あいつおれさまをてきだっておもってる

どうしたらいいんだ

また またあんなことに

もういやだ

まーてぃんとやくそくしたのに

 

ひづけ: [判読不能]

 

きょうはあいつともっかい話してくる もっかいセットクしてくる。

あのカッコイイゴーグルつけたあいつがなんなのかわかんないけど、でも、同じサメなんだからきっと、仲良くなれるはずなんだぞ。

でも、でも、

でも、もしかしたら、あいつを怒らせちゃって、帰れなくなるかもしれない。

もう二回もあいつとケンカした。だから次あったときゆるしてくれるか、わかんない。

でも、オレサマが信じてやらなきゃ。

あいつだって、きっとイイやつなんだって。

きっとみんなとトモダチになれるんだって。

 

もし、帰れなくなったときのためにこのにっき、海のそこにうめておかないとな。ちょーどよさそうなボトルも見つかったから、あいつの事を書いたにっきだけうめるんだ。

帰れるかな、帰れるといいな。

いかなきゃ。

 

いってきます。

 

 


セルリアン 第1世代 脅威レベル4 完全駆除済

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