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『ファイナルファンタジータクティクスアドバンス』(Final Fantasy Tactics Advance,FFTA)は2003年2月14日に株式会社スクウェア(現スクウェア・エニックス)より発売されたゲームボーイアドバンス用ゲームソフト。ジャンルはシミュレーションRPG。定価は6,090円(税込)で、一般的な略称はFFTA(エフエフティーエー)。ファイナルファンタジーシリーズの外伝的な作品に当たる。
ゲームボーイアドバンスで『タクティクスオウガ外伝』を制作したノウハウを持つ元クエストのメンバーが中心となって開発した。
日本国内の販売数は約44万本。海外は異例の100万本を超えるセールスとなった。
基本は『ファイナルファンタジータクティクス』と同じく、3次元空間の箱庭の中でお互い6人以内のキャラクターを駒のように動かしながら戦闘する。キャラクターを動かす順番は「味方→敵」といった一律なものではなく、アクティブタイムバトルのようにキャラクターのスピードによって順番が決められる。
イヴァリースには『ロウ』という戦闘ルールがあり、クラン同士の抗争(エンゲージと呼ばれる)などでは常にジャッジが見張り、ロウ違反を取り締まっている。ロウで制限された行動を行ってしまうとジャッジから警告が出され、バトル終了後に罰金の支払いなどのペナルティをうけ、イエローカード2枚もしくはレッドカード1枚でエンゲージから強制的に退場となってしまう。退場してしまった場合は山岳都市スプロムにある『プリズン』という収容所に送られる。ただし、一部のボスキャラなどはロウに違反してもプリズンに送られることは無い。主人公(マーシュ)がプリズンに送られるとゲームオーバー。ただし、ジャッジの監視下に置かれたエンゲージにおいて戦闘不能となり、その状態のまま戦闘が終了しても「死亡」することはなく次のエンゲージにも参加出来る。生命の危機に晒されることなくバトルを行う事が出来るシステムなのである(後述するヤクトでは別)。
このロウは守るだけではなく、『アンチロウカード』というロウを打ち消したり新たにロウを追加するなどロウを破ることが出来るアイテムも存在する。さまざまなロウに対応するためタイプの違う多くのユニットを育てる事も、少数精鋭に絞ることで厳しくなる制限をかいくぐろうと思考を巡らせる事も出来るようにと導入されたこのシステムは、(「制限される面白さ」というキャッチフレーズであるが)結果的にはユーザーにとって「ただ制限をされるだけ」と不満の残る出来であったためか、海外版では「~愛護」(~部分には種族名が入る。その種族を攻撃するとペナルティ)のような強力な制限を持つロウの削除や、特定の行動を行うとJPが支給されるという『奨励ロウ』が追加された。
また、イヴァリースには『ヤクト』(ファイナルファンタジーXIIとは定義が異なる)と呼ばれるいわゆる無法地帯がいくつか存在し、そこで行われる戦闘にはジャッジもロウも存在しない。しかし、戦闘終了時に戦闘不能の仲間がいると完全に「死亡」となり2度とゲームには復帰できなくなる。もちろん、主人公が死亡するとゲームオーバーである。こういった面でジャッジの存在の重要さが理解できる。
キャラクターの育成にはFFの他作品にも見られる「ジョブ&アビリティシステム」が採用されている。
この作品ではキャラクターは種族ごとに用意されたジョブに就き、そのジョブが覚えることの出来るアビリティを所有している装備品を装備してエンゲージに参加し、アビリティポイントを規定値獲得する事でアビリティを習得(例:「白魔法」アビリティの「ケアル」を習得したければ白魔道士にジョブチェンジして「ホワイトスタッフ」を装備、エンゲージに参加することで得られるアビリティポイントを一定ポイント獲得することで習得する)。この繰り返しでキャラクターを育成していく。
最初は一部のジョブにしかなれないが、「○○(ジョブ名)のアクションアビリティを2個習得」といった条件を満たすことで新たなジョブに就くことができる。アビリティにはアクションアビリティ、リアクションアビリティ、サポートアビリティ、コンボアビリティの4つがあり、一つずつセットすることができる。
異世界イヴァリースに住むのは人間だけではなく、他にも違う種族が共存している。それぞれの種族には外見、性質的な特徴がある。
人間族(Human)平均的な性能を持つ種族で、ヒューマンとも呼ばれる。突出した能力はないものの、なんでもそつなくこなすことができる。バンガ族(Bangaa)トカゲのような顔立ちとシッポを持つ、誇り高き種族。気性が荒く好戦的で、強靭な肉体を武器にした肉弾戦が得意。男性しかいない。また、彼らにとって「トカゲ」という言葉は差別用語にあたるらしく、彼らの前でその言葉を使うと問答無用で襲い掛かってくるので注意。ン・モゥ族(Nu Mou)長く垂れた耳を持つ種族。争いを嫌う穏やかな性質で、落ち着いた物腰を漂わせる。種族の中で魔法能力に最も長け、自然の力を自在にあやつる事ができるらしい。気の流れや時間の流れ、時にはモンスターさえも力にできる。モーグリ族(Moogle)ふわふわの毛とシッポをもつ、手先が器用な種族。語尾に「~クポ」をつけたり、一人称を「モグ」と呼んでいる個体が多い。魔法能力にも長け、主に基本は黒魔法を使用するものが多い。ヴィエラ族(Viera)ウサギのような長い耳を持ち、女性しかいない種族。俊敏で集中力に長け、生まれながらにハンターの資質を持っている。精霊と交信することもできるらしく、召喚士になれるのもこの種族だけである。前作にはなかったアビリティのひとつにこの「コンボアビリティ」が挙げられる。これはコンボアビリティを使用したキャラクターの周辺にいる味方がコンボに参加することで対象に集中攻撃を加え、大ダメージを与えることが出来るものである。参加する味方が多ければ多いほど、下記の「JP」が多いほどダメージが増加するため「コンボ禁止ロウ」などの存在次第であるが切り札として有効である。
コンボの発動にはアビリティを覚えていることはもちろん、敵ユニットを倒すことで得られる「JP」が1ポイント以上あること(最大10ポイント)、コンボ使用キャラクターの周辺に1人以上の味方がいることが条件になる。各ジョブで一つずつコンボアビリティというアビリティを取得でき(ソルジャーなら戦士コンボ、と言った具合)、コンボの際にJPを使用するのは最初にコンボを仕掛けたキャラだけである。従って上手く敵を囲むことで連続してコンボを発動させることも出来る。
コンボの射程距離はコンボアビリティによって異なり、射程の長さとコンボの命中率は反比例する。コンボアビリティはミスリル装備で習得することができる。
本作では、便利屋組織の「クラン」として情報屋から「クエスト」を請け負う形でストーリーが進行する。クエストには「メインクエスト」と「サブクエスト」があり、基本的には「メインクエスト」のみをクリアすればストーリーは進行していく。クエストの際には「クエストアイテム」を手に入れることがあり、クエストの遂行に必要がある他、クエスト時に持っていくことでプレイヤー側に有利な効果を及ぼすものもある。
弟の病気と両親の離婚により母親の故郷の街へ引っ越してきた主人公・マーシュ。学校でもひとりでいたが、いつしか彼の周りには母を亡くしたいじめられっ子のミュートと、文武両道だが周りから敬遠されてきたリッツが集まっていた…。
物語は、ある日ミュートの買ってきた古書、『グラン・グリモア』(作中に名称は出てこない)を開いた所から始まる。雪に覆われた街St.イヴァリースは、荒涼とした大地に囲まれ、ファンタジー世界の住人が闊歩する、まるでゲームの『ファイナルファンタジー』のような世界・イヴァリースへと変貌してしまった。
見知らぬ世界に一人で放り出されたマーシュは、元の世界に戻るため「始まりの街シリル」で出会ったモーグリ・モンブランたちの協力を得て様々なクエスト解決に奮闘する事となる。
本作では少年達のコンプレックスが主なテーマとして取り扱われている。『FFT』に比べてストーリーが悪いと批判されることが多いが、これは『FFT』が戦争というハードなテーマについて描き出したことが好評を博し、その正当な続編を望むプレイヤーが多かったための反動によるものが大きい。絵本のようなポップなタッチで描かれているが、内包するテーマは暗く、『FFT』と同一視しようとする色眼鏡を外して見れば、本作のストーリーのクオリティはけっして低くはない事が伺えるだろう。(それを理解した上でFFTの名を冠する必要はないと言う意見もある)
※声優はFFT-Aラジオドラマにおけるものである。ゲーム本編には声は存在しない。
マーシュ・ラディウユ(Marche Radiuju)(声:今井由香)主人公。両親が離婚し、その際弟と母親についていく。その後、弟のドネッドの病気の療養のために都会から母親の故郷st.イヴァリースに引っ越す。少女のような優しい顔つきを持つ。クラスメートのミュートやリッツとは友達だが、仲間と呼べるほどの馴れ合いはできていない。ミュートの持ってきた本がきっかけで剣と魔法の世界イヴァリースに迷い込む事になり、元の世界に戻そうと冒険することになる。余談だが、見た目が前作FFTの主人公ラムザに瓜二つである。モンブラン(Montblanc)(声:氷青)マーシュに協力してくれるモーグリ。六人兄弟の長男。FFXIIにも登場する。ちょっとしたきっかけでマーシュを助け、この世界を導くことになる。だが器用なモーグリ族の中ではちょっと不器用なほう。ノノ(Nono)(声:城雅子)六人兄弟の四男でモンブランの弟。兄弟の中ではもっとも器用で、飛空艇工房に丁稚奉公し自分の飛空挺を作ったが、念願の初飛行で当て逃げされてしまう。現在は修理代を稼ぐため飛空挺を使って貿易を始めているらしい。堅実なちゃっかりした性格。リッツ・マルール(Ritz Malheur)(声:かかずゆみ)クラスの優等生だが、白黒はっきりしている性格のため周りからは少し敬遠されがち。生まれつきの真っ白な髪を自身のコンプレックスに思っている。いつもは髪をピンク色に染めている。男勝りな性格の少女。シャアラ(Shara)(声:神田理江)リッツと行動をともにしている。リッツとは正反対の性格だが、シャアラが姉御肌であるためかいつのまにか気が合うようになる。考えるよりも先に行動する性格。虫が大の苦手。ミュート・ランデル(Mewt Randell)(声:真田アサミ)クラスのいじめられっ子。母親はすでに亡くなり、父親はろくに仕事もせずに毎日飲んだくれている。母親の形見のクマの人形を肌身離さず持ち歩いている。彼が「ファイナルファンタジー」の世界を望んだ張本人。エゼル・バルビエ(Ezel Berbier)(声:高木渉)イヴァリースを縛っている「ロウ」の研究を続けていたが、ついにはロウに影響を与える「アンチロウ」を生み出すに至った人物。自身でその秘術を広めて回っているが、その力の強大さゆえにジャッジに追われる身となった。ン・モゥ族には珍しく自信家で金儲けが好きだが、それだけの実力者ではある。通常のアルケミストとは異なる「精錬術」を使用する。バブズ・スエイン(Babus Swain)(声:佐久間紅美)ミュートに仕える。まだ少年であるが、そこいらの人より実力は上。常にミュートを案じており、命がけで主君を守ろうとする。ミュートがマーシュを邪魔者扱いしているため、ことある毎にマーシュの前に立ちはだかる。ミュートの夢を壊さない事に尽力しているが、本当にそれが正しいことなのか、疑問を抱いている。シド・ランデル(Cid Randell)(声:加瀬康之)ミュートの父親。妻が亡くなって以来、毎日酒場に入り浸り酔っ払って帰ってくるため、息子には呆れられている。異世界のイヴァリースにおいて法(ロウ)を監視する白銀の騎士「ジャッジ」の頂点に君臨するジャッジマスターであり、王女レメディと王子ミュートに忠実に仕える威厳ある騎士でもある。ドネッド・ラディウユ(Doned Radiuju)(声:石川寛美)マーシュの弟。病気のため車椅子での生活を余儀なくされている。異世界イヴァリースでは自由奔放に歩き回るほど健康になった。それどころか、変貌した剣と魔法の世界では、あろうことかマーシュを賞金首と呼ぶように…。レドナ・トェム(Llednar Twem)(声:緑川光)レメディ自らが連れてきた少年。出世などすべてが謎。ジャッジマスターに変わり、ミュートのボディーガードになる。ミュートのため、執拗にマーシュを付け狙ってくる。その戦闘能力は未知数だが、女王直属だけあってそれなりの実力らしい。実は名前をさかさまに読むと…?女王レメディ(Queen Remedi)(声:榊原良子)イヴァリースを支配する女王。亡くなったミュートの母。ジャッジマスターであるシドの妻だが、実質的な権力者は彼女であるという。ミュートの言うことはなんでも聞いてくれるので、ミュートにとっては優しくて美しいお母さん。その力は強大で、ミュートの意思のままに王国を意のままに操っている。神獣とは、異世界イヴァリースやクリスタルを守る存在で、召喚獣とはまた別の存在。神獣は各種族を守護する立場でもあり、五体神獣と呼ばれる。神獣とのバトルで勝利するとエンゲージ中にて神獣を召喚できるようになり、召喚した者の種族の守護神にあたる神獣を呼び出せる。なお、本作の神獣はみなFF12の召喚獣として先に開発されたものが流用された形となっている。
暗闇の雲ファムフリート(Famfrit, the Darkening Cloud)(声:真殿光昭)「暗闇の雲」という異名をもつ巨大な神獣。ユレー川に入口のある空間の狭間でアクエリアスのクリスタルを守る力の行使者にして守護者。空間の狭間に偶然まぎれこんだマーシュ達を侵入者と見なし、主の命令により排除しようとする。巨大な壷をかかげ、モーグリ族に敵対する者を爆撃する。ファイナルファンタジーIIIの最終ボスも「暗闇の雲」であるが、見た目は全く違うものである。堕天使アルテマ(Ultema, the High Seraph)(声:幸田夏穂)ローダ火山に入口のある空間の狭間にあるヴァルゴのクリスタルの守護神。アルテマ結晶Ultima Crystalが魔法陣のようにクリスタルをとりかこみ守っている。ローダ火山の調査に訪れたマーシュがひずみを発見し、クリスタルのある遺跡を訪れアルテマ結晶を全て破壊した為クリスタルは破壊される。下半身が大砲のようになっており、それによってン・モゥ族に敵対する者を滅ぼす。前作の最終ボス・聖天使アルテマが、この世界の成立原因・FF12の召喚獣・FF12とFFTの相関性等を含めた、複雑な意味でのモチーフになっていると考えられる。憤怒の霊帝アドラメレク(Adrammelech, the Wroth)(声:森川智之)バンガ族の守護神。ドラゴンのような姿をしている。ナルガエ洞穴にひずみのある空間の狭間でカプリコーンのクリスタルを守護していた。人魂のようなものを呼び吸収しており、その人魂をナルガエ付近の村民に見られたり、そのうなり声を聞かれたりしたため、村民がクランに調査を依頼。ナルガエ洞窟の調査に訪れたマーシュがひずみを発見し、空間の狭間に現れたので侵入したと見なしエンゲージを挑む。高熱のブレスでバンガ族に敵対するものを滅ぼす。名前の由来はアルテマと同様に、前作のボスの名前から。審判の霊樹エクセデス(Exodus, the Judge-Sal)リーブラを守るヴィエラ族の守護神。ひずみが何故かマーシュに呼び出されプリズンに発生し、マーシュ・シド・バブズを空間の狭間に呼び寄せてしまう。クリスタルにばかり魔力が集中していた為神獣としての役割を果たせず、エクセデスの実Exodus Fruitをマーシュにつぶされクリスタルを破壊される。大地の力を借りてヴィエラ族に敵対するものを滅ぼす。名前はファイナルファンタジーVのボス・エクスデスに由来する。FF12にも召喚獣で登場するが、何故か読みが「エクスデス」になっている。背徳の神帝マティウス(Mateus, the Corrupt)人間族の守護神。パイシーズのクリスタルを守る。デライラ砂丘にひずみのある空間の狭間にやってきたマーシュに異世界を求める者達の声を聞かせ精神攻撃で惑わせる。人間族に敵対するものを空間ごと破壊する。名前は他の神獣と同様、ファイナルファンタジーIIのボスの名前に由来するが、やはり、直接の関係は無いようだ。
| 21.退却の知らせ22.敗北の眠り23.プリズン24.こえていく壁25.疲れ果てたもの26.ミュート27.希望への戦い28.レベルアップ29.ロウガード30.リッツ31.不思議なショップ32.ともに目指す道33.解放の風34.とまどい35.ジャッジ36.荒野のむこう37.動きだす世界38.さけられぬ運命39.化身40.消え行く世界41.帰るべきところ42.かなえられた夢のかけら |
2003年1月~3月まで、TOKYO FM「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」の番組内で、ファイナルファンタジータクティクスアドバンスのラジオドラマを放送していた。この時期のみ番組タイトルを「ファイナルファンタジータクティクスアドバンスpresents RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」としており、スクウェアがスポンサーであった。
FFTAの舞台は、イヴァリースであり、FFTやFFXIIとの関連性も多いが直接的に時間軸が同じなのかは不明である。しかし、FFXIIの人物名などが多く登場するため一部の説には、FFXIIをプレイした子供たちが自分たちの考えたイヴァリースの世界へ迷い込んだのではないか?というものがある。
国内版と海外版では若干の追加要素、およびゲームバランスの違いが見られる。一例としては一部ロウの削除および緩和、アビリティの変更、そして国内版では仲間にならないストーリーキャラクター(リッツ、シャアラなど)を仲間にできるイベントの追加などである。海外版のほうが遊びやすいという意見が多く、国内のファンの間ではインターナショナル版(海外バージョンの日本語翻訳版)を希望する声も強い。
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