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『ファイナルファンタジーII』(-ツー、FINAL FANTASY II) は、1988年12月17日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたファミリーコンピュータ用ゲームソフト。販売本数約76万本。ファイナルファンタジーシリーズの第2作で、ジャンルはRPGに分類される。
幻想画家でデザイナーの天野喜孝が世界のイメージ原画や登場モンスターのデザインなどを担当。ファミコン版だけでなく、他ハードへの移植・リメイクが幾度となく行われている。
本作は経験値・レベルの概念が存在せず、武器、魔法を使用した回数によって「熟練度」が上昇するという成長システムである。本作のゲームデザインに関わった河津秋敏は後にスーパーファミコンで『ロマンシング サ・ガ』を作ることになり、同作のゲームシステムの原型となった作品と見られる。この熟練度システムは後にロマンシング サ・ガシリーズで完成されるが、本作はまだ未開発の部分も多く、堀井雄二によって週刊少年ジャンプ誌上で酷評されたこともある[要出典]。
また、シリーズでお馴染みのチョコボ、シドが本作で初登場した。しかし、チョコボは世界の中で隠されたある一箇所の場所にしかいない、ある場所に行くために行く時は使えるが、降りると勝手に帰ってしまうため、本作でのチョコボの存在感は他のFFシリーズに比べると薄く、探してまでチョコボに乗るメリットもそれほど感じられない。シドは元フィンの白騎士団団長で、飛空艇の魅力にとりつかれた男として登場。また「クリスタル」は初期のFFの象徴だと思われている節もあるが、本作ではある塔を開く鍵であったり、主人公たちの能力を増大させる程度で非常に存在感が薄い(そもそも「世界に関わる存在としてのクリスタル」というイメージが固定化されたのはIII以降である)。
今作品より「プレリュード」の調性がハ長調に改められ、以後のシリーズに於いても単純な上昇音形16音と下降音形16音に変更された。第一作では8分音符分のディレイがかかっていたが、この作品では音符1個ごとに3/1024(3/32*1/32)づつ音価が加算されて32音で初めに戻る複雑なディレイがかかる。(但し、リメイク版では8分音符分)
シナリオは寺田憲史が手掛けたが、本作には寺田によって書かれた小説版『ファイナルファンタジーII 夢魔の迷宮』が存在する。当時のRPGとしては異例の複雑な事情による人間関係や命の尊さなど、色濃い人間ドラマが盛り込まれており、その後のシリーズにおけるストーリー性の重視の始まりとも言える。プレイヤーとなる主人公側が反乱軍、敵が帝国軍となっていることからわかるように、「スター・ウォーズ」旧3部作の影響がシナリオに反映されている[1]。
なお、リメイク作品以降のタイトルロゴのバックに使われている人物は、物語のキーパーソンの一人・パラメキア皇帝である。
ワンダースワン移植版以降はグラフィックが大幅に刷新されており、プレイステーション版・ゲームボーイアドバンス版では音楽も大幅にアレンジされている。またPSP版では20周年記念作品として更に美しく生まれ変わっている。
本作のキャラクター成長システムは「経験値でレベルアップ」という概念が完全に撤廃されている。倒した敵から経験値を得て成長するのではなく、戦闘中にキャラクターが取った行動あるいはキャラクターが敵から受けた攻撃手段によって成長の方向性が決められていく、というものである。そのため、ひとつのキャラクターに持たせられる武器が決まってしまい、同じ種類の武器を持たせないと、急激に弱くなってしまう。
これは発売当時、他のどのRPGにも見られなかった独特のシステムで、かつプレイヤー好みにキャラクターたちを成長させられる自由度の高さも売りとなっているが、本作のシステムそのものは以後のファイナルファンタジーシリーズには継承されていない。しかし、この独自の成長システムを重視したゲーム作りは、後に本作のスタッフであった河津秋敏が中心となって製作するサガシリーズへと継承される事となる[要出典]。
ただ、そのうちの一つである「熟練度」システムは、大幅に形を変えているもののIIIのジョブシステムの中で継承されており、使い込む事により能力が強化していく点は変わっていない。以後もVのジョブアビリティ、VIの魔石、VIIの魔法マテリアなど、経験値によるレベルアップ以外の成長システムとして各種習得システムに応用されている。
ステータスの成長[]戦闘終了後、キャラクターがその戦闘中に取った行動に応じ、ステータスが時折上昇することがある。他のRPGにおける「経験値による画一的なレベルアップ」を能力値ごとに細分化したようなもので、これを積み重ねてキャラクターを成長させていくのである。ただし「上昇することがある」というだけで、必ずしも意図したとおりになるわけではない。
()内はそのステータスが戦闘後に上昇しやすくなる行動・要素を示している。一度の戦闘でそれぞれの行動を選んだ回数や幅が大きいほど上がりやすくなる。
尚、各ステータスの最大値は以下の通りである。特定の項目は一定の数値を超えると正しく表示されなくなり、更に上限を超えると振り切れてしまい、却って低下してしまう現象がある。
特定のステータスを上げると、同時に相対する要素のステータスが下がるという事もある(知性が上がると体力が下がる、精神が上がると力が下がるなど)。なお、防御力を示すステータスもあるが、これに関しては完全に防具に依存で、どんなに成長させても何も身にまとっていない状態では0である。
また本作は「キャラクターがダメージを受けるほどHPが上昇する」というシステムのため、「自分や味方をわざと攻撃してHPを上げる」という裏技が、当時の雑誌などに掲載され定着してしまった。このせいで「難易度が不当に高い」という間違った評価をされることが多い(後述)。
武器・盾・魔法の熟練度[]武器攻撃や魔法攻撃、盾による敵からの攻撃回避などには「熟練度」というものが設定されている。攻撃面や防御面の威力・効果に大きく影響していくもので、熟練度が上がっていくごとに目に見えて分かるようになる。熟練度は戦闘中にその手段を実際に使っていくことで伸びていく。
()内はその熟練度を上げていく手段を示している。
これら全ての熟練度は1~最大16まで成長する。
前作のファイナルファンタジーと同様、本作も「防具の重さ」というものが設定されており、これは前作以上に重要な要素となっている。
鎧・兜・小手など部位を重い防具で固めてしまうと「防御力」は上がるが「回避率」を犠牲にしてしまうシステムになっている。防御が高くても打撃の追加効果は防げず、回避率が下がると行動順も遅くなるので不利である。他にも、魔法を使用した時の効果を減少させてしまうなどの副作用も確認されており、このゲームにおいては重装備にはマイナス面の方が目立つ。装備に頼らず身を軽くし、その分キャラクター自身のステータスアップに努めていった方が効果的である。軽い上に魔法を阻害せず、付加効果をも持つ、胸当て・髪飾り・指輪などが有効な軽装品である。
なお、盾は例外的に重さ0という扱いで、魔法の効果は落ちるものの回避率を高めてくれる非常に有用な防具である。リメイク版では魔法の効果が落ちる副作用も削除されており、さらに重要さを増している。盾は武器と同じように熟練度が設定されており、使い込むごとに効果を増していく(前節を参照)。
魔法は前作と同様、店で買うことによって手に入れる(一部イベントで入手する)システムであるが、本作では「ファイアのほん」などといったアイテムの形で魔法を入手し、それをキャラクターに対して使うことによってその魔法を覚えることができる方式である。また、本作では前述の熟練度システムの採用により、他のFF作品に見られるような「ケアルラ」、「ファイガ」といった"上位魔法"が存在せず、すべて「ケアル」「ファイア」などの基本形のみである。ちなみに、魔法の本を戦闘中にアイテムとして使用すると、その魔法をある程度高いレベルで発動できるが、使用した本は消えてしまう。
また、前作のような使用回数制限制とは異なり、ドラゴンクエストシリーズなどと同様、各魔法ごとに消費MPが設定されている方式となっている。消費MPの値は魔法の熟練度がそのまま適用される。つまり、魔法の熟練度が高くなると、効果は大きくなるが、代わりに消費MPも増大する。
本作では登場人物たちとの会話の中でクローズアップされる重要な単語(台詞の中では【 】で囲まれて表示される)を「おぼえる」ことができる。そこで覚えた単語は、その相手もしくは他の登場人物にその件について「たずねる」こともできる。これによって登場人物たちの反応が変わりストーリーが別展開を見せることもあるため、単にメモ帳代わりに使うだけの機能にとどまらない重要なものとなっている。
また、このほか、目の前の人や物を調べた直後に、「アイテム」コマンドを使用してその人や物に対してアイテムを使用する機能も追加されている。
前作よりも登場する乗り物の種類が増えている。「船」「カヌー」「飛空船」(他のFF作品での「飛空艇」)のほか、本作では下記の2種が新たに登場した。
また、「船」については前作では港か河口にしか上陸できなかったが、本作ではそのような停泊用の地形は廃止され、歩ける地形であればどこにでも上陸できるようになった。
飛空船は隠し要素として、搭乗中にBボタンを31回押す事により8倍速移動(FF3のノーチラス号と同じ速度)ができるようになる。以降はBボタンを押す毎に切り替えられる。
他に、物語の序盤では、所持金を払うことによって特定の場所まで自動で行くことができる交通機関として「定期船」「飛空船」が登場する。また、乗り物としての使用はできないが、帝国軍(敵)の巨大な飛空船である「大戦艦」も登場する。
テンプレート:ネタバレ
以下のうち、フリオニール、マリア、ガイ、レオンハルトの4人は、プレイヤーが自由に名前を設定することができる。ファミコン版に置いては、ゲーム中のキャラクタメイキングでは名前が決まっていないが、雑誌媒体に配布された広報資料や公式スクリーンショットでは、前述の名前が使用されていた。パーティの枠は4人。そのうちレオンハルト以外の3人は、物語の最初から最後までパーティに参加する。残り1人の枠に入るキャラクターはストーリーの進行状況によって変化する。
ゲームボーイアドバンス版、プレイステーション・ポータブル版の追加シナリオ「Soul of Re-Birth(ソウル・オブ・リバース)」では以下のうち、ミンウ、ヨーゼフ、リチャード、スコットの4人がパーティを組む。
フリオニール(Frioniel)主人公。フィン王国の若者で、レオンハルトとマリアの生家で育つ。国がパラメキア帝国に襲撃された際に義理の両親を殺され、自身も殺されかける。その後流れ着いた先で息を吹き返し、マリア、ガイと共に反乱軍に身を投じる決意をする。小説「夢魔の迷宮」ではサラマンド生まれとなっている。マリア(Maria) 声:下屋則子レオンハルトの実の妹で、フリオニールとは義理の兄妹。行方不明の兄を気にかけながらも気丈に振る舞う、健気な少女。リメイクで追加されたムービーにはボイスが当てられているが、台詞は「はぁはぁ、あぁっ!」程度。エンディング(リメイク版)では、フリオニールをめぐってレイラとの恋の戦いが始まりそうになっている。ガイ(Guy)フリオニールたちと行動を共にする若者。大柄で怪力の持ち主でありながらとても寡黙。動物の言葉を理解することができる。小説版「悪魔の迷宮」では10歳まで獣に育てられ、フリオニールに言葉を教えられたという設定になっている。レオンハルト(Leonhart)マリアの実の兄。フリオニールたちと行動を共にしていたが、帝国からの追っ手に襲撃された際に行方不明になり、その後経緯は不明だが、帝国に拾われ帝国の一員となる。その影響か、力が正義という考えを持つようになり、短期間で皇帝直属の騎士に上り詰め、ダークナイトと名乗るようになる。しかしマリアの悲痛な呼びかけによって最終的に味方となる。ミンウ(Ming-Wu)ヒルダの右腕で偉大な白魔導師。反乱軍の指導者として行動する一方、単独での危険な任務にも参加する頼れる存在。ヨーゼフ(Josef)反乱軍の戦士。フィン軍が帝国軍に敗北した原因の一つとされる「ミスリル」という金属の所在を調査するためサラマンドに派遣されている。ネリーという娘がいる。小説版では登場しないゴードン(Gordon)カシュオーン王国第二王子。アルテアの町に居るが、祖国が襲われた際に兄を見捨てて逃げてしまったことを悔い、臆病者な自身に苦悩している。小説版ではそういった描写は薄めになっている。レイラ(Reila)海賊船の女船長。フリオニール達を騙して船に乗せ追いはぎをしようとするが失敗。改心してからは反乱軍の一員として共に戦う。リチャード・ハイウインド(Richard Highwind)帝国に壊滅させられたはずの、ディスト王国の竜騎士の生き残り。ディストが帝国の攻撃に遭った時旅に出ており国に居なかったため、唯一の生き残りとなる。竜騎士は飛竜の言語が理解できると言われている。なおファミリーネームの「ハイウインド」は以降のFFシリーズでも散見されるもので、主に竜騎士やその能力を継承したキャラクターに付けられている。小説版では登場しない。スコット(Scott)帝国との戦争で死んだと伝えられているカシュオーン王国第一王子。ヒルダを愛していた。リメイク版の追加シナリオ「Soul of Re-Birth(ソウル・オブ・リバース)」でのみプレイヤーキャラクターとして登場する。その他[]ヒルダ(Hilda)フィン王国の王女で、重傷の王の代わりに反乱軍の指揮を執る。王国亡き現在、アルテアの町の一角に身を寄せている。ポール(Paul)自称世界一の盗賊。帝国側からしか盗みをはたらかない義賊であり、所々で反乱軍に協力する。当初は忍者のような風貌をしていたがGBA版以降では天野義孝のイラストに近いドット絵に変更。シド(Cid)「飛空船」の魅力に取りつかれた男。元はフィン王国の飛空船技師で白騎士団隊長でもあった。パラメキア帝国が地獄の底から魔物たちを呼びよせ、全世界に総攻撃を仕掛けた。多くの町が占領される中、フィン王国が反旗を翻しこれに抗戦するが、圧倒的な軍事力と魔物たちの前に敗退を重ね、ついには国を追われてしまった。フィン王国に住むフリオニール・マリア・ガイ・レオンハルトの4人の若者たちも、帝国の魔の手から逃れようと必死に逃走を続けていた・・・。
本作は、しばしば「不当に難易度が高い」と言うような評価を受けることがあるテンプレート:要出典。ただしそれは、殆どが当時の攻略本に掲載された"間違った"攻略法が定着してしまっている事に起因する。テンプレート:SpoilerH
パーティアタック本作はとにかく、何でもダメージを受けてHPが減少すればHP最大値上昇に繋がるため、味方を攻撃するパーティアタックによってHPを伸ばす事が出来、これが裏技として攻略本に掲載された。しかし実際にこれを行うと、敵がすぐ逃亡するようになる(こちらの残りHPが一定以上あると逃亡をするようになる)ため、結果的に戦闘回数が減り、その他のステータスを伸ばしづらくなってしまう。また、後半の一部の敵の持つ各種特殊攻撃によって、HPの高さに物を言わせるゲームの進め方が非常に難しい事もある。ちなみに、メインスタッフの河津秋敏によると、敵味方問わずターゲット選択可能なのは、元々、敵にも回復魔法がかけられる等の仕様を目指したものであって、パーティアタックによる成長が出来る事は想定外だったらしく、「色んな人に画期的と言われるが、褒められても困る(笑)」と語っている。回避率の重要性本作では状態異常を引き起こす攻撃が、殆どが打撃に付与された追加効果によって引き起こされるが、これらは耐性のある防具を装備しても防げず、攻撃そのものを回避するしか防ぐ手段が無い(防御力を高めてダメージを0にしても、追加効果は発生してしまう)。また状態異常を引き起こす物以外にも、「HP最大値に対する割合でダメージを決定する」と言う攻撃も存在し、これは防具による防御力が全く役に立たないため、回避率の育成は必須とも言える。しかし当時の攻略本には、しばしば「オススメ装備」として鎧や兜などの重装備によって防御力を重視し回避率を軽視するプレイスタイルが推奨されていたため、特殊攻撃に対する対策を用意しないまま後半へと進み、手詰まりになってしまうプレイヤーが多く存在した。テンプレート:SpoilerF
ファミコン版では次のようなバグ技が存在し、ゲームをクリアするための近道としてこれらの現象が利用されることもあった。テンプレート:SpoilerH
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「ファイナルファンタジーII夢魔の迷宮」はシナリオライターである寺田憲史による書き下ろしで角川文庫より発売された今作を元にしたオリジナルストーリーの小説版である。登場人物は同じであるが、様々な設定が追加、変更されている。
主な変更点は以下の通り。
テンプレート:Navbox genericfi:Final Fantasy IIid:Final Fantasy IIno:Final Fantasy IIsimple:Final Fantasy IIsq:Final Fantasy IIsv:Final Fantasy IIth:ไฟนอลแฟนตาซี II
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