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『ファイナルファンタジー』(FINAL FANTASY 、太空戦士、通称 ファイナルファンタジーI(-ワン)、略称 FFI、FF1)は1987年12月18日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたファミリーコンピュータ用ゲームソフト。
ジャンル種別はRPG。ファイナルファンタジーシリーズの第1作。
正式なタイトルは単に「ファイナルファンタジー」であるが、シリーズの人気が高まるにつれリメイクを重ねることとなり、その際に既に慣例的に呼ばれていた「I」の呼称が準正式的に付けられている。この名称は後に発売されたファミリーコンピュータ版およびプレイステーション版『ファイナルファンタジーI・II』とゲームボーイアドバンス版『ファイナルファンタジーI・IIアドバンス』で部分的に現れる。しかし、あくまでこの作品単体の正式名称は「ファイナルファンタジー」であり、これはゲームのタイトル画面で確認することができる。(本項目内「製品バリエーション」にて後述)
リメイク版のタイトルロゴに描かれている絵は「光の戦士」。キャラクターデザインを天野喜孝が受け持つ。
本作は移植・リメイクなどにより、次のようなバリエーションを持つ。
ファイナルファンタジーシリーズはドラゴンクエストシリーズに比べ、グラフィック面を特に強化しているところが特長として見受けられる。ファミリーコンピュータ向けに製作された第一作目である本作より、既にその傾向が見られる。
内容は、現在の目で見れば確かに荒削りで乱雑な面も目立つが、当時としては大変素晴らしい完成度を持っており、開発者の熱意が感じられる。その証拠に高いグラフィック性だけでなく、第1作目にして既に「ジョブの概念」「クラスチェンジシステム」「サイドビューの戦闘画面」「攻撃回数の概念」など、当時の家庭用RPGとしては珍しい要素が取り入れられており、それは世界観も含め、後のシリーズの基礎を築いた。これはまたスクウェアRPG全ての原点でもある。坂口博信をはじめ、サガの河津秋敏、聖剣伝説の石井浩一らが総力戦で作り上げたRPGのひな形としても非常に重要な意味を持っている。
ゲームスタート直後にはオープニングは流れず、ワールドマップ上にいきなり主人公たちが立っており、序盤のイベントを終えると新たに出来る道を通過する時に初めてオープニングが流されるという、変則的な構成が試みられている。
ゲーム自体の特徴から、後のシリーズ作品と同じ感覚でプレイすると難易度は若干高く感じる。攻撃回数の概念により、特に序盤では攻撃をした際に概して回避され易く、さらにそのダメージ量の値が幅の大きいランダムな数値である為、優れた武器や能力を持ったキャラ以外は攻撃に苦心しやすい。魔法効果もダメージ量と同様にランダム数値の幅が大きいため、MPの少なさも相まって回復や攻撃の魔法が役立つ局面が限られている。
本作は終始4人パーティであるが、FFシリーズでは、移動中に画面に表示されるプレイヤーキャラクターは先頭の1人だけである。
移動中におけるアイテム・魔法の使用やステータスの確認などは、メニュー画面と呼ばれるサブ画面を開いて行う。また、町やダンジョンなどでは、決定ボタンを1回押すだけで目の前の人との会話をしたり、物を調べたりすることができる。
後述のようなMPシステムや魔法の内容、ジョブの特徴、モンスター名などから、テーブルトークRPGの『ダンジョンズ&ドラゴンズ』や初期の『ウィザードリィ』を強く意識していたことを思わせる。
戦闘は、当時のRPGで主流となっていた「ターン制」となっている。ターン開始前にキャラクター全員の行動をコマンド入力により指示し、コマンド入力が終わるとターンが始まるというシステムである。敵を全滅させるか、あるいは敵から逃げることに成功すると戦闘が終了する。敵を全滅させた場合は経験値とギル(所持金)を入手できる。また、主人公たち4人全員が死亡あるいは石化状態になるとゲームオーバーとなり、前回セーブを行った場面からやり直さなければならない。
戦闘画面は、画面右側に主人公たち4人が縦に並び、画面左側に敵モンスターのグラフィックが表示されるサイドビュー方式。主人公たちが行動するときはキャラクターが実際に剣を振ったりする動作が見られ、HPが少なくなったりステータス異常に陥ったりすると、キャラクターが膝を落としてうずくまるようになっている。このように、「戦闘時に自分たちのキャラクターが画面に表示されてアニメーションする」RPGは、ドラゴンクエストのような「敵モンスターだけが画面に表示される」方式が主流であった当時としては珍しかった。また、キャラクターやモンスターの行動時の文字表現は「○○のこうげき」「○○は××をとなえた」のような文章を使わず、行動したキャラクターと相手の名前、魔法や特殊攻撃などの名前、攻撃回数、ダメージポイントがそれぞれ小さなウィンドウ内に表示されるだけである。このようなことから、本シリーズは第1作目から既にビジュアル重視となっており、さらに後の作品になるにつれ、文字によるキャラクターの行動の説明は次第に少なくなっていくこととなる。
黒魔術士、白魔術士、赤魔術士などは魔法を使用することができるが、本作では魔法はレベルアップによって覚えるのではなく、町の中にある「魔法屋」(黒魔法屋・白魔法屋)で購入することによってのみ覚えられるシステムである。購入するときに覚えさせるキャラクターを決める方式であり、購入するとその時点からその魔法が使えることになる。
魔法は1~8までのレベル別に別れており、各レベルごとに白魔法・黒魔法それぞれ2つが存在する。ただし一人のキャラクターが覚えられる魔法数の限度は1つのレベルにつき3つまで。また、魔法の使用回数は魔法のレベルごとに決められており、キャラクターのレベルが上がるほど、魔法の使用回数も増えていく(本作における「MP」とはこの「使用回数」のことを指し、宿屋に泊まることによりすべて回復する)。ただし、GBA版およびPSP版ではレベルごとの回数ではなく、総合的なMPを消費するという、FFIIおよびFFIV以降の作品と同じシステムとなっている。ちなみに本作に登場した白魔法のうち、アンデッドにダメージを与えるディア系は、ケアルにアンデッドにはダメージを与える効果が追加されたことから、次作以降では削除された。なお、本作ではケアルの第二段階は後のシリーズが「ケアルラ」となっているのに対し「ケアルア」という名称である。また、第三段階である「ダ」系も、後のシリーズではFFIIIおよびFFIVで「ケアルダ」のみ登場しただけで、基本的に削られている。さらにFFIII以降で「サンダガ」と表記される黒魔法は本作においては「サンガー」と命名されている。
本作に登場する乗り物は3種類。なお、船や飛空挺に乗っているときは、それぞれ波の音、プロペラの音が効果音として鳴るようになっている。
FFシリーズでは第1作目である本作からバッテリーバックアップが採用されている。ただし、ファミコン版では、セーブファイルが1本のカセットにつき1つしかないのが欠点である。だが、当時のRPGは、ドラゴンクエストの「ふっかつのじゅもん」等に代表されるパスワード式(ゲームをやめるときパスワードをメモして、再開時にそのパスワードを入力する方式)が多かったため、セーブ機能があるだけでも画期的と言えた。
本作では、町の「宿屋」に泊まるか、あるいはワールドマップ上で「テント」「コテージ」などの宿泊用アイテムを使用することによってセーブするシステムである。ただしGBA版、PSP版では移動中であればどこでもセーブが可能になっている。
この作品では、「15パズル」と称したミニゲームをプレイすることができる。船を入手し、船の上でAボタン(○ボタン)を押しながら、Bボタン(×ボタン)を一定回数押すとこのミニゲームがはじまる。
このミニゲームをクリアすると特典が得られる。ファミコン版では100ギルのみであったが、リメイク版はクリアタイムを更新するごとに高額の賞金や貴重なアイテムがもらえるようになっている。しかし携帯電話機への移植版ではこのミニゲームは存在しない。
ちなみに、ファミコン版の15パズルは、プログラマーのナーシャ・ジベリがある日勝手にお遊びで入れたそうで、周囲のスタッフはあまりに嬉しそうにその旨を報告するナーシャを見て何も言えず、そのまま採用される運びとなったらしい。[1]
前述のように、本作はシリーズ中でも特に多くのリメイク・移植がなされている。その中でも、特に大きな変更が加えられたリメイク作品について説明する。
基本的には移植の域を超えていないが、次のような特徴がある。
当初はゲームボーイカラーで発売する予定だったが、当時対立していた任天堂がリリースを許さなかったテンプレート:要出典ため、このハードで出したという経緯がある。その後のリメイク版の基本とも言える多くの新要素が追加された。
基本的にワンダースワン版の移植だが、視聴覚面が大幅に強化された。ゲームの各所で3Dムービーが流れたり、進行状況によって様々なイラストを閲覧できる「イラストギャラリー」がある。他にはモンスターのデータを閲覧することができる「モンスター図鑑」が追加されている。
システム面では、レベルアップ頻度や魔法使用回数が大幅に増えた「イージーモード」でプレイすることができる。また「メモファイル」と呼ばれる簡易セーブシステムを導入。電源を切ると失われるデータだが、移動中は任意の場所でデータをセーブ・ロードすることができる。
『ファイナルファンタジーI・II』として発売される。本作と『ファイナルファンタジーII』を同じカセットに収録している。画面はワンダースワン版に近いようで色数を増やして描き直されている。戦闘画面では主人公キャラは少しだけ小さめになり、背景画のデザインも異なっている。また、従来の移植ではほとんど手つかずだった基本システムが大幅に変更された。
ファイナルファンタジー20周年記念作品。システム、バトル画面の各種デザインなどはGBA版『FFI・II』に収録してある『FFI』(以下、GBA版『FFI』)を基にしているが、画面の高解像度化にあわせてモンスターイラストなどが美しく描き直された。
マップ背景もリニューアルされ、村の中で光が差し込む演出などが加わった。PS版のCGムービーと、「ソウル・オブ・カオス」、「サウンドモード」など、GBA版『FFI』の内容がすべて収録されている。
また、PSP版オリジナル要素として、天野喜孝ギャラリーや新ダンジョン「時の迷宮」といった新要素も収録され、「時の迷宮」ではPSP版オリジナルのボスが登場する。追加されたダンジョンは難度が高く、謎解きやパズルの要素も含まれている。
FFシリーズでの「ジョブ」とは職業(キャラクタークラス)のことである。本作はゲーム開始時に4人のキャラクターのジョブを選択し、物語の後半になるとそのジョブをパワーアップすることができる。これをクラスチェンジといい、本作でのジョブシステムの大きな特徴である。クラスチェンジはプレイヤーの任意で行えるが、4人全員が同時に行うことになり、元のジョブに戻すことも不可能。
クラスチェンジをすると新たな武器や魔法を扱えるようになるとともに、キャラクターのグラフィックも変わる。しかしファミコン版ではグラフィックの頭身が変わり、まるで子供から大人に変身したかのような全くの別人の姿になるため違和感を覚えたプレイヤーが多かった。そのためか、リメイク版では変更されている。
矢印の右側に記した名称は、クラスチェンジ後のジョブである。
戦士→ナイト重装備に身を包み、武器を使った戦いを専門とするジョブ。クラスチェンジ後は一部の白魔法を習得できる。シーフ→忍者戦闘はやや苦手だが「こううん」が高く、戦闘で「にげる」の成功率が高い。クラスチェンジ後は装備が大幅に増え、一部の黒魔法を習得できる。モンク→スーパーモンク肉弾戦の専門家。素手の攻撃力がレベルアップに従って加速度的に強くなる。最終的には全ジョブの中で最も攻撃が強くなる。赤魔術士→赤魔道士ある程度の白魔法・黒魔法を使うことができ、武器攻撃もこなすバランスのとれたジョブ。白魔術士→白魔道士白魔法(主に回復魔法など)を使用できるジョブ。直接戦闘にはあまり向いていない。黒魔術士→黒魔道士黒魔法(主に攻撃魔法など)を使用できるジョブ。直接戦闘には全く向いていない。後のシリーズで採用されるジョブチェンジは無い。上位職へのパワーアップができるのみであるため、最初の選択が重要と言える。「戦士・シーフ・モンク・赤魔術士」ないし「戦士・シーフ・白魔術士・黒魔術士」がデフォルトで設定されている標準的な組み合わせだが、それ以外のあらゆる組み合わせでもゲームのクリアはできる。複数のキャラクターを同じジョブに就かせることもできる。
テンプレート:ネタバレ
声はディシディア ファイナルファンタジーのみ。
光の戦士(Warriors of Light)(声:飛田展男)プレイヤーキャラ。コーネリアに突如として現れた謎の4人。それぞれがクリスタルを持っている。ゲームの上では4人に個性は設定されておらずセリフも存在しない。『ディシディア ファイナルファンタジー』でも「光の戦士」として登場する事が発表されている(「主人公側は10人」という開発側のコメントから、4人の内の1人が登場するものと思われる)。セーラ(Sara)コーネリア王女で今作のヒロイン的存在(もっとも、殆ど最初しか出番はないが)。ガーランドに誘拐される。コーネリア王(King of Cornelia)古来から伝わる予言を信じて、セーラ救出を光の戦士たちに依頼する。妃はジェーン王妃。ガーランド(Garland) (声:内海賢二)コーネリアのナイトであったが、セーラを誘拐、財宝を盗んでカオス神殿に潜む。光の戦士により一度は倒されるものの、その後カオスとして甦る。『ディシディア ファイナルファンタジー』でも登場する事が発表されている。マトーヤ(Matoya)少し偏屈な魔女。大事な水晶を盗まれて困っている。言葉を話すホウキと暮らしている。ウネ(Unne)メルモンドの町に住む学者。ロゼッタ石を渡すと主人公たちにもルフェイン語を教えてくれる。アストス(Astos)ダークエルフの王。世界を暗黒に包むため邪魔なエルフの王子に呪いをかけた。バハムート(Bahamut)ドラゴンの王。光の戦士たちに称号を与えるべく、試練を課す。カオス(Chaos)本作のラストボス。2000年前のカオス神殿におり、世界を滅ぼすために4体のカオスを未来に送り込む。その正体はガーランドで、光の戦士に倒された後2000年前にタイムスリップし、カオスとして君臨することになった。4体のカオス(Four Fiends of Chaos)土のリッチ(Lich of Earth)、火のマリリス(Marilith of Fire)、水のクラーケン(Kraken of Water)、風のティアマット(Tiamat of Wind)。カオスに送り込まれた4体の怪物。ファイナルファンタジーIXにも登場する。ゲームの世界観の中で、世界を支える根本にあるのは火、水、土、風の4つのクリスタルである。物語は、クリスタルの輝きが失われ、世界が滅亡へと進むところから始まる。
プレイヤー(光の戦士)の目的はクリスタルの輝きを取り戻し、世界を救うことである。その目的を達するまでの過程で、この世界の真実を知ることになる。
テンプレート:出典の明記
スクウェアがRPGの製作に参入したのは、スタッフが当時発売されたばかりの『ドラゴンクエスト』をプレイし、「自分達もこんなゲームを作りたい」と思った事が始まりであるテンプレート:要出典。
本作の発売以前のスクウェアは、ソフト作りがあまりうまくいかなかったらしく、このゲームを作る時に「これがヒットしなければ、ゲーム開発をやめる。これが最後のチャンス」と思い、最後の夢を託す思いでこのゲームは作られた。製作に当たったのは坂口博信を中心とするスクウェアAチーム。当初はわずか4人でのスタートであったという[2]。この時の「最後の夢」を託して作った事から、このゲームには『ファイナルファンタジー』という名前が付けられた。また後に坂口は「あんなに一生懸命ゲームを作ったのは初めてだった」と語っている。坂口は当時在学8年目でギリギリ大学に戻れたことから、最後に一本作って、大学に戻ろうと考えていたと言う[3]。完成したゲームは社内での評価は良かったものの[4]、スクウェアとしては大して売れないだろうと考え、出荷を抑えようとしたようである。それに異を唱えた坂口は、ROMを持ってつてのある出版社などを回り、記事や広告を掲載してもらえるように頼んで回った。当時弱小ソフト会社に過ぎなかったスクウェアの社運をかけたタイトルの広告は、PC関連の雑誌を中心に掲載されるというファミコンのゲームとしては極めて異例の形であったテンプレート:要出典。
また、製作スタッフは先に発売された『ドラゴンクエスト』の差別化として、戦闘メンバーの複数化を図っていた。しかし、完成間近の所で同じように戦闘メンバーを複数化した『ドラゴンクエストⅡ』が発売され、思惑は外れる結果になってしまった。
1987年12月18日、ついに発売となったファイナルファンタジーは52万本という結果を残した。対する『ドラゴンクエストⅡ』は241万本を売上げ、商業面では完敗であった。これを受けて、製作スタッフは今後のゲーム開発を諦めた。しかし、当時社長であった宮本雅史はこの数字に十分な手ごたえを感じ、次回作の製作を命じたテンプレート:要出典。その後、このタイトルは大ヒットシリーズとなり、その時の「最後の夢」が現在まで続いている状態になっている。
後日談によれば、このファイナルファンタジーが売れなければ宮本は会社を解散するつもりであったという事であるテンプレート:要出典。
キャラクターデザインを天野喜孝が担当する事になったきっかけは、坂口博信率いるFF開発スタッフの中に熱烈な天野喜孝ファンがいたためである。寺田は面識は無いものの脚本を担当した『機甲創世記モスピーダ』のキャラクターデザインが天野であると言う伝から坂口と共に交渉に出向いたところ、「面白いからやりましょう」と即答された。当初は断られるか、少なくとも「ちょっと考えさせてくれ」と言われるとスタッフは思っていたそうだ。
その後、天野は主要キャラクターデザイン、イメージデザインの他にもモンスターデザインも手掛けることになり、FFシリーズに登場するモンスターは彼のデザインによる物が非常に多い。また『III』以降は召喚獣のデザインも手掛けている。ちなみに開発スタッフが天野喜孝の絵を見て刺激を受け、ゲーム内容を変更することもあるそうだテンプレート:要出典。例えば天野の描いた「タコのようなものの絵」を見てインスピレーションを受けた開発スタッフがそのイメージのままに創り出したのが『VI』の名脇役「オルトロス」であるというテンプレート:要出典。
音楽は植松伸夫が担当している。特に以下の四作は、質の高さゆえにファイナルファンタジーの顔と呼べる存在である。これらの楽曲は、初出時には全てフラット系の楽曲であった。
FINAL FANTASY(メインテーマ)[]植松がこのゲームの音楽を作るにあたって最初に完成した曲は、最初のイベントをクリアした後、橋を渡った時に流れる「オープニング・テーマ」という曲である。この曲自体は意外にも実に簡単に作曲されたそうであるが、彼は、この曲が自分にとってFFのイメージメロディであり、自分が作ったFFの曲の中で一番の傑作だと語っているテンプレート:要出典。リメイク版では同時発音数が増えて豪華になり、テンポは荘厳性の為にかなり遅く変更された。またこの曲は後にファイナルファンタジーシリーズのメインテーマとなる曲である。今作の調性はヘ長調。後のシリーズでは変ロ長調(IV,XII)、ハ長調(V)、ホ長調(III,IX)などに転調されて用いられている。実はこの曲にもメンデルスゾーンの結婚行進曲からの素材引用があることは、あまり知られていない。当時のBGM路線はクラシック楽曲からの編曲、様式模倣、そしてギャグ系という三本柱でできていた。全シリーズに使われていると思われがちだがII及びXIでは使用されなかった、又リメイク移植が出ても追加される事はなかった。
プレリュード[]同じくファイナルファンタジーの全シリーズを通して使用される事になる楽曲「プレリュード」は、この第一作のみ変ロ長調で作曲されていた。しかも単純な上昇音形ではなく、オクターブ上のB♭から始まって短七度下のCに16分音符分落ちてから上昇する巧妙な仕掛けが施されていた。この他にも四オクターブの音域に詰め込むため、いくつかの音名が後のシリーズとはオクターブ違っている。さらに八分音符分のディレイが加わることにより、音源の貧しさにもかかわらず大変色彩的な効果が得られている。この第一作のみフェード・インが使われていることも見逃せない。ポスト・ミニマリズム的要素をRPG用の楽曲に適用したのは、当時の製作状況を考えると斬新である。これだけ練られた作曲上の効果は、後のシリーズの「プレリュード」では聴かれる事はなく、美しい八分音符ディレイは後のリメイク版IIとXIでまた採用された。(リメイク版では、後のシリーズのような上昇音形と下降音形に改められ、八分音符ディレイも割愛されている。)
当初「プレリュード」のBPMは100に設定され、軽快な印象を与えていた。しかし、後のシリーズではよりゆったりとしたBPMが採用されることが多い。サウンドトラック全体にも、同様の傾向が見られる。また、仮想したハープの音質が最もFFらしく響くようで、その後のシリーズにてアレンジや機材のヴァージョンアップを経ても、ハープで仮想されることが多い。
ファンファーレ[]全シリーズを通して使われる「勝利のファンファーレ」もIで初登場しているが、4オクターブの音域に詰め込むために出だしのアルペジョが二回同じ音域を不自然に反復される。(リメイク版では丸ごとカットされている。)初出の調性は変ホ長調。このファンファーレは後にハ長調(IV)に改められる。
戦闘[]本作はもともと戦闘シーンの音楽が1曲しか存在せず、「ボス戦の曲」というものが無い。更に「ラストボス戦の曲」すら存在しないため、ラストボス戦も普通の戦闘の曲である。これも初出は現在とは違うト短調であった。しかしながら、印象的なイントロはすぐにユーザーに記憶され、後のシリーズでも活用されることとなった。
後のFF作品では、戦闘のBGMはバリエーションに富んだものとなっていき、ボス戦の曲だけでも数曲が作られるという作品も登場する。それに合わせ本作のリメイク版にもボス戦用の曲が新たに作られたが、後年の路線で作曲されているためにやや齟齬をきたしている。
『ドラゴンクエスト』のパーティーが一人だったため、FFは多人数を売りにしようと考えていた。しかし製作中に『ドラゴンクエストII』が多人数パーティーで発売され、悔しい思いをした(『ドラゴンクエスト』のプレイヤーキャラクターが勇者一人であるのは、当時RPG自体がまだ浸透していなかったため、RPGの入門的なものとして一人にした)テンプレート:要出典。
FC版の音源を収録している。
『ファイナルファンタジーI・II オリジナルサウンドトラック』(デジキューブ、2002年)WSC版、PS版の音源を収録している。
海明寺裕によって漫画化され、JICC出版局より全1巻が発行されている。ゲームよりオリジナル色が強い。同作者によれば「II」の漫画も描かれる予定だったが、60ページほど描き上げた所で当時のスクウェアが版権を引き上げてしまい、世に出ることは無かったということである(但しJICCがコミック版「I」の単行本発売後にファミコン必勝本別冊として発行した、ゲームコミックアンソロジー的な内容の雑誌にはこの途中まで描かれていたコミック版「II」が掲載されている。よって、正確には「単行本として世に出ることは無かった」というべきだろう)。
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