登録日:2012/05/17 Thu 03:07:25
更新日:2023/08/17 Thu 20:01:14NEW!
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マタンゴ 遊戯王 遊戯王ocg 玄人向け 地属性 戦士族 星3 効果モンスター きのこマン 雑魚 キノコ 効果ダメージ ライフコスト まさかの大出世 再評価 コメント欄ログ化項目 雑魚←おい、デュエルしろよ 返品お断り 局地的メタカード 送り付け 戦士族←戦士族…!? まさかの活躍 過去からの刺客
《マタンゴ》とは、東宝特撮初期の名作ホラー映画『マタンゴ』
…の名前を持ってきたドラゴンクエストのモンスター「マタンゴ」
……の名前をさらに使った遊戯王オフィシャルカードゲームのモンスターである。
マタンゴ
星3/地属性/戦士族/ATK 1250/DEF 800
効果モンスター
自分のスタンバイフェイズ毎に、コントローラーに300ポイントダメージを与える。
自分のエンドフェイズに500ライフポイントを払えば、このカードのコントロールは相手に移る。
概要
見た目はキノコだが、植物族ではなく戦士族のモンスター。
色違いの《きのこマン》(星2/地/攻800/守600)はイメージ通り植物族な事もあり、意味不明な種族設定として挙げられるカードの一枚。
だが恐らく元ネタでの「人間の成れの果て」という特徴を戦士族という種族で表現したものと思われる。
…戦士ってそういうものだっけ?と微妙に納得できない気もするが、遊戯王(特に黎明期)においては人型モンスターを戦士族・魔法使い族に割り振る傾向があったので、その一環だと思われる。
その理由付けすら苦しいハンバーガーやぬいぐるみよりはまだマシと言えなくもないだろう、多分。そもそもキノコは厳密には植物じゃないし…
毎ターン使用者に300ダメージを与える効果と、ライフを500払えばこのカードを相手に押し付けられる効果を持つ。
「放っておくとどんどんライフが削れちゃうよ~」「だからもっとライフを払って相手に押し付けてね~」という二者択一を強いるカード。
自分と相手の間で《マタンゴ》をドッジボールのごとく押し付けあう面白い展開を狙って作られたのだろう。
が、いかんせん遊戯王の初期ライフポイントは8000もあるので、300程度では痛くも痒くもない。
相手に押し付けた所で「よっしゃ!上級モンスターの生け贄になるやんけ!」がオチでかえって喜ばれるだけだろう…
マタンゴを使ってみよう!
シンクロ・エクシーズ・リンク召喚の登場でますます立つ瀬のなくなった《マタンゴ》だが、それでも使おうとするのが決闘者というものだろう。
例えば、相手フィールド場をわざと埋めれば《封魔一閃》を発動するための条件を満たしにいける。
《御前試合》などのロック効果と併用して、このカードのバーン効果でじわじわと相手にダメージを与えるという戦術もできる。
他にも連続攻撃+貫通効果を持つモンスターを組み合わせることにより大きなダメージを与えることも可能である。
《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》とうまく組み合わせれば、相手にモンスターを召喚・特殊召喚・セットするのをためらわせことも出来るかもしれない。
が、どれも実現は難しい。
上記のコンボを決めるにもコントロールが移るのは自分のエンドフェイズ。
なので次の自分のターンが来る前にコストとして利用されて場から離されるのは必至だろう。
また仮に生き残っても、相手が同じように効果を使えばこちらの場に舞い戻ってきてしまう。
正直な所、このカードは玄人向けのレベルを遥かに通り越したクズカードと言える。
…そう、誰もが思っていた。
だが、我々は不動遊星のこの言葉を忘れていた。
どんなカードでも存在する以上、必要とされる力がある。
クズの一言でカードを否定するあんたに、デュエリストを名乗る資格などない!
2022年秋。誰も予想だにしなかった事態が発生する。
この時、環境では【クシャトリラ】というテーマが猛威を振るっていた。
詳細な説明は当該項目に任せるが、これは「自分フィールドにモンスターが居ない時」に出せるモンスターを起点に、すげえつええ効果を発揮するテーマだと思って頂ければよろしい。
遊戯王は基本的に先攻有利なゲームだ。先攻プレイヤーは初手でできるだけ有利な体勢を築き、後攻にターンを回す。
だが、後攻1ターン目の後攻プレイヤーのフィールドは当然モンスターが存在しない。
そこから「クシャトリラ」のすげえつええモンスターが出てきてすげえつええ効果を使って逆転してくる事に、多くのプレイヤーは悩まされていた。
そして1人の決闘者が、誰もが考えに至らなかった恐るべき対策を思いついた。
決闘者「相手にすげえつええ効果でボコボコにされる前にマタンゴを送りつければ良いじゃない。」
先攻1ターン目に《マタンゴ》を相手に送りつける
「自分フィールドにモンスターが居ない時」に出せるモンスターが、すげえつええ効果を使ってくる。
ならば相手に雑魚モンスターを送りつけて、「自分フィールドにモンスターが居る」状態にしてやればいいのだ。
そこで白羽の矢が立ったのが《マタンゴ》。
かくして《マタンゴ》は【クシャトリラ】ミラーマッチ対策を想定した対策カードとして注目を集めた。
《マタンゴ》を送りつけられると、以下のような影響が発生する。
- フィールドにモンスターが存在する状態になるため、「自分フィールドにモンスターが居ない時」に特殊召喚可能な《クシャトリラ・フェンリル》や《クシャトリラ・ユニコーン》を特殊召喚できない。
それぞれフィールドに居る時に前者は「クシャトリラ」モンスター、後者は「クシャトリラ」魔法カードをサーチするすげえつええ効果を持つ。
それが使えなくなるため、この時点で展開の起点を潰されている。 - 一応《マタンゴ》を自身の効果で送り返す事も可能だが、そのタイミングはエンドフェイズなのでターンが終わってしまう。
よって《マタンゴ》を返品した後に上記の《クシャトリラ・フェンリル》達を出す事はできない。 - 【クシャトリラ】に限らないが、《無限泡影》や《拮抗勝負》《ライトニング・ストーム》などの「自分フィールドにカードが無いこと」を条件にした流行りのカードを抑制できる。
もちろん遊戯王の長い歴史の中では、《マタンゴ》と同様相手に送り付けられるカードは《夢幻崩界イヴリース》を始め数多く存在する。
だが、《マタンゴ》には他の選択肢にはない利点があった。
- 《マタンゴ》はスタンバイフェイズ時にダメージ効果が強制的に発動するので、自分の《クシャトリラ・ユニコーン》の効果*1のトリガーにできる。
- 外見に反して戦士族である。
- 自分の立場では、《増援》などのサポートカードを【クシャトリラ】の主力の1体で戦士族の《クシャトリラ・ライズハート》と共有できる。
- 相手の立場では、《クシャトリラ・ライズハート》と同じ戦士族なせいで《空牙団の懐剣 ドナ》のリンク素材として処分できない。
《空牙団の懐剣 ドナ》は自爆して自分フィールドにモンスターが居ない状況を作れるカードなのだが、違う種族のモンスター2体を素材にしないと出せない。 - 他のリンクモンスターを経由して《空牙団の懐剣 ドナ》に繋げようにも《マタンゴ》を素材に出来るリンク1はメインフェイズ2にしか出せない《副話術士クララ&ルーシカ》のみ。《マタンゴ》1体の処理のためだけにバトルフェイズ放棄は痛すぎる。
何かしら出せる前提なら、リンク2だが効果による蘇生*2でリンク2or3に繋げられる《崔嵬の地霊使いアウス》がいる。
しかし、結局のところ、こういった保険のカードは先に《クシャトリラ・ユニコーン》や《No.89 電脳獣ディアブロシス》で除外される恐れがある。 - レベル3であり、レベル4の《クシャトリラ・ライズハート》とレベルが異なるため、ランク4のエクシーズ素材にできない。
- 地属性なので、光・闇属性メタの「ビーステッド」の特殊召喚のエサにならない。
- 特殊召喚を挟まないので、《増殖するG》などの特殊召喚メタに強い。
- 仮に《マタンゴ》を送り返されても、自分も再び効果を使用すればまた相手の動きを封じることが可能。
それこそカードのドッジボール 相手に嫌がらせで300、送り返しも含めたら800ものダメージを与えられる。*3
…と送り付けること前提で見れば【クシャトリラ】限定メタとしては驚くほど完璧な性能である。そのためこのカードは大注目を浴びたのだ。
同時に遥か昔の、見向きもされなかったこのカードの予想外の活躍には多くのプレイヤーも驚く他無かった。
それも登場当時の最初期ですらあまり強くないとまで言われた奴が、である。古参プレイヤーにとってはにわかには信じがたい未来だろう。
スタン落ちがない遊戯王であるからこそ日の目を見たカードと言えよう。
現状では対【クシャトリラ】の部分ばかりが注目されており、それはつまるところ長い活躍にはならないことを意味している。
そしてこれに前後して【クシャトリラ】と環境を二分していた【ティアラメンツ】が【クシャトリラ】対策を組み込んでシェアを伸ばし始め、【クシャトリラ】が環境トップから陥落して【クシャトリラ】ミラーが起こりにくくなってしまったため、《マタンゴ》が活躍する機会がなくなってしまった。
しかし、自分から相手に押しかけるモンスターの中では意外と運用が簡単なことを生かした、別の使い道が考案される日もいつか来るのかもしれない。
そしてそれ以上に、今回のこの注目は今評価されていないカードたちを勇気づけることに繋がっている。
カードプールの変化でオキニのカードがパワーアップすることを夢見ておくのも良いだろう。
収録パック
初登場は「Vol.7」。後に「鋼鉄の襲撃者~METAL RAIDERS~」で再録。
しばらくして「DUELIST LEGACY Volume.4」でも再び再録された。
…しかし、「DUELIST LEGACY」シリーズを再編した「BEGINNERS EDITION」シリーズには入れてもらえず、現在は絶版。
ただこのような「環境の変化でいきなり需要が生まれたカード」はトーナメントパックで再録されるケースがよくあるため、希望はあると言える。
原作及びアニメ
登場しない。
そもそも原作出身の《きのこマン》の色を変えたモンスターが《マタンゴ》である。
ゲーム
●下級モンスターの攻撃力が1350までのDM4では主力モンスターとして活躍する。いやぁ、ホントに良かったね!
ゲーム内のテキストによれば《きのこマン》が進化した姿らしい。
●『タッグフォース』シリーズではこのカードが入ったデッキを使う佐藤謙羊(KENYoU)という名前のデュエリストが登場した。
このカードと同じようにコントロールの変更に関係するカードが入ったデッキを使う。
デッキ名は『キノコマン』。まんまである。
効果とデッキ名のインパクトからタッグフォースをプレイして《マタンゴ》を初めて知った人も多いのではないだろうか。
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*2 相手の墓地からに限られるが、素材となって相手の墓地へ送られたマタンゴの存在により、蘇生対象の不在はまず避けられる。
*3 とはいえあって困るものではないし、800ダメージは初期ライフポイントの10分の1なので案外馬鹿にできるものではない。
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