デッキ構築(TCG)

ページ名:デッキ構築_TCG_

登録日:2012/04/09(月) 03:36:42
更新日:2023/08/17 Thu 14:24:24NEW!
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デッキ構築とは、その名の通りトレーディングカードゲームで遊ぶためのデッキを作ること。


自分のデッキを用意するのはプレイヤーとしてゲームを行うための第一歩。


プレイヤーの魂であるデッキを作成するというのは、ゲームを行うための重要な行為である。


己の知識・愛・情熱を注いだデッキで勝利を掴むことはそのゲームを行う最大の目標であると言っても過言ではないだろう。


デッキそのものについては項目参照。





【概要】

TCGというジャンルの楽しみ方は色々あるが、大きく分ければ次の二つになるだろう。
一つは鑑賞や集める行為そのものを目的とした、所謂コレクション。


そしてもう一つがTCGに設定されたルールに基づいてゲームを楽しむこと。
ゲームを遊ぶために組まれるデッキを構築する行為は、ゲームを楽しむタイプの人間が多くの時間を費やす行為であり、
後者の楽しみの一部に含まれると言って問題無いだろう。


TCGは試合が始まってしまえばデッキに入れたカードしか使用できない。
プレイングだけで補える部分はあるが、それはきちんと組まれたデッキがあってこそ。
勝ち負けの半分はデッキの完成度でほぼ決まっていると言っていいだろう。
それぐらい大事な作業なのだ。



【必要な能力】

デッキ構築に必要な能力は色々と挙げられるが、特に重要なのは「カードおよびルールに対する知識」「対戦シーンにおける流行に都度対応できる柔軟さ」「過去の戦績等から今のデッキに必要なものを見極められる分析力」……といったところだろうか。あと財力。


デッキを組む作業というのは、詰まるところ自分が選んだ切り札を活躍させるための工夫を凝らすことである。
そのためにはそもそもどんなカードがあるか知るべきであり、長所や短所を見極める必要がある。



例えば「遊戯王OCG」には「裁きの龍(ジャッジメント・ドラグーン)」というカードがある。
攻撃力は「青眼の白龍」と同等の3000であり、ライフポイントを1000払うことでフィールドの自身を除くカードを全て破壊することができる。
強力なカードではあるが通常召喚はできず、場に出すためには「ライトロード」モンスターが自分の墓地に4種類以上必要となる。


このカードでデッキを組むならば、召喚条件を速やかに満たすための工夫が必要となる。
ライトロード」のモンスターには自分のデッキを墓地に送るものが多いので、
デッキをそれらで固めれば速やかに条件を満たせるんだな、ということが分かるだろう。


他にも手札交換の「ソーラー・エクスチェンジ」、サーチカードの「光の援軍」があることを知っていればそれらを加えることはすぐに思いつく。


更に「ライトロード」にはランク4で優秀な効果を持つ
「ライトロード セイント・ミネルバ」もいるので、「ゴブリンドバーグ」等を入れてエクシーズ召喚しやすくするという戦略もある。
ランク4には汎用性の高いモンスターが多いので、それらを使い分ければ「裁きの龍」で対処できない相手にも対抗できる。


また、「ライトロード」には、シンクロモンスターの「ライトロード・アーク ミカエル」も存在する。
このライトロードに属するカードの多くには山札のカードをランダムに墓地に送り込む効果があるため、
墓地から特殊召喚ができるチューナーである「ゾンビキャリア」や「グローアップ・バルブ」を組みこんで、
シンクロ召喚を狙うという戦略を立てることもできる。
エクシーズ同様にシンクロモンスターも汎用性の高いものが多いので、他のシンクロモンスターも投入すれば戦略に幅を持たせることができる。


と、このようにカードプールに対する知識があれば、自然とデッキの内容が決まっていくのである。



デュエマだったら、重いクリーチャーを出すためにマナブーストをする、
コンボを決めるためにドローソースやサーチカードを入れるなど、やはり相性のいいカードを探していくことには変わりない。
「フェアリー・ライフ」や「霞み妖精ジャスミン」のようなマナブーストのできるカードを採用すれば、
マナコストの重い「不滅の精霊パーフェクト・ギャラクシー」や「悪魔神バロム・エンペラー」も出しやすくなるだろう。


自分の使いたいカードに合わせてどんなアドバンテージを稼いでいくかを考えながらカードを選んでいこう。


興味のあるカードやテーマがあるならば、まずは色々と調べていくのがいい。
大抵のTCGでは有志が運営するwikiがあり、カードに関する情報がまとめられていることが多い。
相性のいいカードや、強力なコンボ、意外な使い道を知ることに繋がるので、一通り閲覧してみよう。


他には、すでに組んだプレイヤーのレシピを見せてもらったり、実際に回している様子を確認するのもいい。
アーキタイプが確立されているデッキならば、初心者でも組みやすいだろう。
動画サイトを覗けば対戦動画がいくつも転がっている。



直接ダメージで勝利する「バーン」や、山札を0枚にすることで敗北に追い込む「デッキ破壊」だとまた違ったノウハウが必要となるのだが、基本となる考え方は同じ。
コンセプトに見合ったカードを探し、色々と組み合わせることでデッキを完成させていくことに変わりはない。



【テストプレイと調整】

こうしてデッキを完成させたら、今度は実際にゲームで使ってみよう
何回か回してみると、枚数が足りないカードや多すぎるカードが分かってくるので、それらを調整していこう。



例えば、サーチしたいカードの枚数に対して、サーチカードを入れすぎてしまったり、
ドローソースが足りなくてすぐに手札切れになってしまうなどの場合が存在するので、自分の戦略に合わせて適宜調整しよう。


もし調整を行ってなお「事故」が起きることもあるが、確率上はよい引きも悪い引きも同程度の割合で発生するので、そういうものだという認識でよい。
どのようなデッキでも多少なりとも事故の可能性をはらむものであり、
そうした運の要素によって思わぬ勝利を得ることができるのもまたTCGの面白さとも言える。


ただし、あまりに事故が続くような場合、何か問題があるはずなので構築の見直しが必要となる。



事故の原因としてよくあるのが、召喚に手間のかかる重いカードを必要以上に採用してしまうケース。
Magic the Gathering」や「デュエマ」には「マナカーブ」というデッキ構築の指針があり、
軽いカードは多めに、重いカードは少なめに、グラフにしたときにカーブを描くような割合で入れていくのが基本とされている。


切り札だからといって3枚積み4枚積みすればいいというわけではないのだ。



また、ゲームに慣れてきたプレイヤーに多いのが、
あまりにも多くの色やテーマのカードを入れすぎてしまったためにまとまりが無くなってしまうケース。
多くの種類のカードを採用するのは、互いの弱点を補ってデッキの動きを多様化させる働きがあるが、
ゲーム中に使える手札は限られているため、必要なカードが揃わずに動けなくなってしまうリスクを伴う。


あくまでも本命となる要素を見失わないようにしたい。


余分と思われる要素が見つかったら潔く切り捨ててしまうことで、結果として回転が安定するようになることもしばしばある。
その他、事故の防止については当該項目を参照されたし。


このように、テストプレイと調整を繰り返し、自分の納得のいく完成度に近付けていくのがデッキ構築の大まかなステップである。


とにかく、デッキ構築に関して言えば先天的なモノより後天的な、すなわち努力の要素が強い。
すなわち、各カードのデータ及びそのTCGにおけるセオリーさえ知っていれば、
対戦で勝ちやすいデッキを作れるようになるのだ。


……いや、ちょっと待ちなさいそこの初心者。喜ぶのはまだ早い。
断っておくが、あくまで勝ちやすくなるだけである。


というのもTCGというゲームは運の要素が強い物が多く、
どれだけ自分の不利な要素を排除できるかで勝率はかなり変わってしまう。


前述の知識の習得という要素だけでは、せいぜい初心者を卒業したというだけで、
プレイヤー、構築者としての道の一歩を踏み出しただけにすぎない。


次のステップに進むとなると話はまた変わり、また別の能力を求められるようになる。



【メタについて】

TCGは対戦型のゲームであり、メーカーの主催で公式大会や公認大会が実施されている。
友人と気軽に楽しむだけでなく、多くのプレイヤーが集まる真剣勝負で勝利を収めこともまた、TCGの楽しみの1つと言えるだろう。


大会で勝つことを目指す場合、当然ながら「高い勝率のデッキ」が求められる。
大抵はカードパワーの高いカードを優先的に投入することで強力なデッキを目指していくわけだが、それだけでは十分ではない



TCGの原則として、どんなカードにも弱点や欠点は必ず存在する
もし、天敵となるようなカードを繰り出されれば、いかに強いカードといえども紙切れ同然となるのも日常茶飯事であり、それがTCGの醍醐味である。


例えば「遊戯王OCG」の場合、「フォッシル・ダイナ パキケファロ」や「虚無魔人」のような特殊召喚を防ぐカードを出すことで、
カオスモンスター」だろうが「征竜」だろうが封じ込めることができる。


デュエマ」だと「キクチ師範代」や「カレイコ」を出すことで山札からのマナブーストやコスト踏み倒しを無力化することができる。


こうした「構築時点での対策」があれば、地力で劣るデッキあっても格上のデッキに勝つチャンスが生まれるのだ。



そのため、相応の情報収集能力と、その手に入れた情報の正確な理解力が必要とされる。
TCGプレイヤーなら「環境」と「メタ」という言葉を聞いた事がある人が多いだろう。


まだ知らない人の為に簡単に説明すると、ここで言う「環境」とはどんなデッキやカードが世の中では流行って使われているのかという事。
そして「メタを張る」とはそれら流行のカードやデッキに対して相性の良いカードの選択やデッキ構築を予測して行う事を指す。


カードプールが決まっているTCGでは、現在の環境で主流となっている「強いデッキ」の種類がある程度絞られてくる。
つまり、大会で勝ちたいならば「仮想敵」を想定し、
それに合わせて相性のいいデッキを選んだり、対策となるカードをあらかじめ用意するのが近道と言える。


このようにして組まれた「大会で勝つためのデッキ」が「ガチデッキ」と言えるだろう。
ガチデッキは単に「強いカードを詰め込む」だけではなく「最初から相手を想定して対策する」という、
通常のデッキを組むのとはまた違ったベクトルで作成される。


また、「相手の妨害」が普段のゲームより重要になってくるため、対策用のカード、すなわち「メタカード」の重みが増す。
「ドロール&ロックバード」や「生贄封じの仮面」のような、
カジュアル戦ではあまり見かけないカードがサイドデッキに入ることもあり、ある意味大会の名物と言える。


これが上手な人はデッキチューナー等と呼ばれ、彼らが手掛けたデッキは大会で結果を残しているものが多い。



ちなみに、こうした「メタ」の話が当てはまるのはガチデッキの場合だけではない。
上記の「ライトロード」の場合、「マクロコスモス」や「ダーク・ロウ」といった、
相手のカードをゲームから除外するカードを使われると、「裁き」を出すどころかデッキが機能しなくなってしまう


そうした事態に備えるため、「ライトロード・マジシャン ライラ」や「ブレイクスルー・スキル」を入れて対抗するというわけである。
デッキの弱点を補うための対策もまたデッキ構築の基本と言える。


また、メタ読みの一貫で敢えてセオリーから外れた構築を行う事もある。
ある程度知識のあるプレイヤーならばプレイされた相手のカードからデッキタイプを推測し、それらに即したプレイングを行う事が常識なのだが、そこを突くのである。
要するにこのカードを使うのならばこういったデッキタイプや構築でこういうプレイングをするに違いないというプレイヤーの固定観念を裏切るのである。
上手く刺されば相手の行動が徒労になりかなり優位に働くが全く刺さらない場合は単なる足枷になったしまったりする。
言うまでもなくかなりの知識とメタ読みの上手さが問われるので上級者向けの戦術となる。



【個性的なデッキを作るには】

多くのTCGには無数のカードが存在し、それらを組み合わせて「自分だけのデッキ」を組むことも、大きな目標と言えるだろう。
自分がやりたい事、例えばそのTCGの販促アニメキャラが行った強力なコンボを再現したい場合などもあるはず。


そうした場合にもまず重要になるのは知識であるが、
それだけでなく、いくつかのコンボやシナジーを繋ぎ合わせて別の動きに繋げるという発想の飛躍も必要となっている。



個性的なデッキを生み出すためのベースとなるのはやはり知識や経験である。
どのカードとどのカードを、どのような順番で使用すればいいか、またはどのような状況で使えば活躍できるか。
そのような情報を収集・整理し、カードの使い方を工夫する必要がある。


かの有名な【ジャンクドッペル】は複雑巧妙なソリティアを行うことで有名だが、
それを可能にしているのはまさにプレイヤーの研究の賜物である。


ジャンク・シンクロン」で「ドッペル・ウォリアー」を蘇生してレベル5シンクロ、
「アクセル・シンクロン」で「ジェット・シンクロン」を落としてレベル調整、
ライブラリアン」と「フォーミュラ・シンクロン」で2枚ドローなど、
いずれも簡単なコンボではあるが、
それらを途切れなく行うために「おろかな埋葬」での墓地肥やしや、「調律」や「増援」でのサーチなど様々な下準備を行っていく。
モンスターの展開順も事前にシミュレートされており、現在の手札から必要なカードを計算しつつゲームを進めていく。


こうした1つ1つの積み重ねがあってこそ、
「シンクロモンスターのチューナー1体+シンクロモンスター2体以上」という無茶な素材指定を満たすことができるというわけである。



しかし、時には知識だけではなく「発想の閃き」が必要となる。


ドグマブレード】は非常に独創的なデッキとして知られている。
内容としては墓地に、魔法カードを貯め込み「マジカル・エクスプロージョン」で大ダメージを与えて勝つというバーンデッキの1つである。


理屈は単純だが、その過程は複雑なものであり、
光帝クライス」+「早すぎた埋葬」で2枚ドロー、
「デステニー・ドロー」で「ディスクガイ」を落としてから蘇生し、2枚ドロー、
コスト要員兼ライフロス役としての「ドグマガイ」の採用、
「アームズ・ホール」での「早すぎた埋葬」「D・D・R」の採用・回収など……


と、綿密に組み合わさった無数のシナジーによってデッキを回転させていく。


これら1つ1つの使い方は多くのプレイヤーに知られていた情報ではある。
だが、それらを組み合わせて1つのデッキとしてまとめるというのは、常人にはできない恐ろしく高度な発想の飛躍が必要となってくる。


新たな発想を生み出すためにはどうすればいいかというと、
「カードの性質やコンボを広く知る」ことに加えて、「様々な組み合わせを試したり」「有効な使い道を探る」ことが必要である。
こうした飽くなき探究心や好奇心によって新たな発想が生まれ、これまでに無かったようなデッキが誕生するきっかけとなっていく。



それらは追加された新規のカードにより、必要枚数が減ったり別のカードとの組み合わせで簡略されたりする事があり、
それらの組み合わせをいち早く閃き・発見する事で、それまでに無い全く新しいデッキを生み出す事につながる。
それが強力なデッキなら周囲が真似をして環境を席巻し、メタゲームの一つの指標になる事もある。



この、全く新しいデッキを生み出す事に長けた人は「デッキビルダー」と呼ばれており、
デッキチューナーが環境が整ってから真価を発揮するのに対し、環境が整う前、
すなわちそれまでの環境を破壊し、新たな環境を生み出す人と言えば良いだろう。


よくも悪くも話題になる1ショットキルデッキを作るのも大体このタイプの人。


他にも高度なデッキ構築について必要なる能力はあるのだが、
説明が更に細かくなってしまうので、以上二つのタイプを中心に進めていく事にする。



【得意なデッキ構築】


前記ではデッキ構築に関してデッキチューナーとデッキビルダー、二つのタイプがあるとしたが、それぞれ得意とされているデッキ構築を挙げる。


まずデッキビルダーだが、自分が気に入ったコンボやセオリーを優先させる傾向が強く、
強力なコンボ・強烈なシナジーによる独特な動きをするデッキを好んで構築する場合が多い。


代表的なのは新規カードによって新たに作れるようになったタイプのテーマデッキや、
環境破壊の代名詞1ショットキルの最速成立を優先したものが多い。


デッキチューナーは勝敗を重視した構築を目指す傾向が強く、その時々の環境を席巻しているデッキの妨害(メタ)を優先したものが多い。


しかし、あくまで勝率を重視している為、メタそのものを軸としたデッキも多い一方、
流行のデッキで勝ちに行った方が早いと判断すれば自らそれらを使用したり、またそれらにメタ要素のチューンを施したりした物を使用する事もある。



【アーキタイプ】


デッキの動きそのものの分類。
TCGの勝ち手段は一つではない。また、同じ勝ち手段を持っていてもその過程が全く違うこともある。
それらの方向性を大まかに分類したものがアーキタイプである。


詳細についてはアーキタイプ(TCG)を参照の事。


ただ、最初からアーキタイプを意識してデッキを組むということはあまりない。
使いたいカードやそれを組みこんで完成したデッキが結果的にどのような勝ち筋を持っているかで、その分類が決まるということである。



【デッキの種類】


大まかに分けて


ガチデッキ
ファンデッキ
ネタデッキ
ロマンデッキ


の4種類が存在する。



ガチデッキ:大会などで勝利するために構築したデッキである。
汎用性の高いカードや強力なテーマカード群を惜しげもなく入れるのが特徴。
また、仮想敵を対策するためのメタカードが採用されることも多い。


「強いデッキ」には違いないが、「大会という限られた環境で勝つためのデッキ」という側面もある。
そのため、大会用のメタビートがファンデッキにあまり刺さらなくて負ける可能性は大いにある。



ファンデッキ:プレイヤーが好むカードやギミック、コンボを使用する面白さを追求したデッキ。
アニメや漫画のキャラクターが使用するデッキを再現したデッキもファンデッキの一種であり、
こちらは「キャラクターデッキ」と呼ばれることもある。


ガチデッキやネタデッキとの境界線は曖昧である。
ガチデッキ同様にデッキの安定性を高める為のサーチカードやドローソースを投入したり、
コンボを確実に成功させる為に妨害カードを投入したりすることは決して珍しくない。
しかし、プレイヤーの好みを重視し、勝率が最優先ではない点でガチデッキと区別される。


また上述のキャラクターデッキも投入カードをどこまで許容できるかで種別が変わってくる。
例えば遊戯王の不動遊星のキャラクターデッキを作りたいと考えた場合には章ごとでの使用カードの差を抜きにしても、

  • 「アニメで本人が所有しているカードのみ」
  • 「アニメで本人が使用したカードまで可」
  • 「ゲームで使用していたカードも可」
  • 「彼が使用したカテゴリに属するカードなら可」
  • 彼をモチーフにしたストラクチャーデッキのカードなら可」
  • 「その中でも本人が使用しても違和感のないカードのみ可」
  • 「いやいやCMで実際に使用したカードのみ可」etc…

とかなり細かく分けられ、さらにそこに漫画版の彼のカードを入れていいか*1、彼が使用していないがOCGで相性の良いカードも入れていいか、
(公式サイドがこの問題に対応したともとれる)漫画版の作者が描いた漫画で(一応)使用したリンクモンスターである「水晶機巧-ハリファイバー」を入れてもいいのか、
などで人によって大きく解釈が変わってくる。中には上述の区分けの一部をキャラクターデッキと認めない人も存在する。


勝率最優先のガチデッキと比較するとデッキパワーが低くなる為、勝率も落ちやすくなる。
その為、構築段階でこの辺りの問題を如何に解決するかが非常に重要である。
きちんと構築されたファンデッキを上手いプレイヤーが使えば、ガチデッキに勝てることも珍しくない。

ただマッチ戦になると厳しいデッキも多い。


環境デッキ程ではなくても実用性の高いデッキは多く、強力な新規カードの追加によって環境デッキの仲間入りするデッキも多い。
遊戯王OCGの【魔導】やデュエマの【連ドラ】はその類であろう。



ネタデッキ:ウケ狙いのコンボや一発ギャグ等を重視し、その名の通りネタ満載なデッキ。
例えば、遊戯王OCGの【ポケモン*2】だろうか。
「切り込み隊長」と「ガガギゴ」や、「ハ・デス」と「深淵の冥王」など、背景ストーリーで関連のあるカードをシナジーを無視して投入したデッキもある。


ファンデッキとの境界線は曖昧であり、「趣味」や「遊び心」を重視した点からファンデッキの一種として扱われることもある。
ただし、勝敗を投げ捨てていることから、一部のTCG界隈ではファンデッキと区別される。



ロマンデッキ:カテゴリ的にはガチデッキやファンデッキに相当する。最大の違いはロマンある展開にすることを重視する点。


例えばアニメや原作のキャラが行ったデュエル展開を再現したり、理論上可能なコンボを実現させることを重視した構築にする。


一種のファンデッキでもあるが、あくまでも再現重視のためそれさえしなければ勝率は悪くない。
というかコンボを完成させようとしたら勝ってるとかザラ。


つまり勝率など完全に度外視しているが、構築自体はガチよりなために勝ってしまうのである。ある意味本末転倒なデッキ。


当然ながら、ファンデッキとガチデッキにはどちらが優れているかといった差はない
TCGには楽しむための遊びとしての面と、真剣勝負を味わうための競技としての面が存在しており、どちらを重視するかはプレイヤー次第である。
自分の好みに合わないデッキを見かけても、頭ごなしに否定するのは控えよう。


自分がTCGに何を求めているかについてはこちらのページを参考にするといいだろう。



【資産】

デッキ構築にはある意味で最も重要なものがある。それはお金
TCGは子供の遊びという印象を持つ人も多い一方で、高年齢層のプレイヤーが多い理由でもある。
どんなカードであれ、入手にはそこそこお金がかかるのは間違いない。
ショーケースに並んだカードの値札を見て驚いた経験は誰にでもあるだろう。


シングル買いを利用するしないに関わらず、必要なカードを必要枚数集めるのは大変である。
身も蓋も無いことだが、強力なカードを入手するには相応の出資が必要となる*3



カードの値段があがる理由は大まかに分けて2つある。
環境デッキで採用されているために需要が上がる場合と、需要に対して流通量が少ない場合である。


どんなTCGであっても、環境で活躍するような強力なカードは当然多くのプレイヤーが欲しがるので需要が高まる。
デッキの切り札となるのはレアリティの高いカードであることも多いので、1枚で数千円なんて事も珍しくはない。
特にMtGの一部フォーマットでは1枚で数万円~数十万円以上するカードもあるので、
これらをデッキに複数枚投入する事を考えると、それなりの資金力が必要となってくる。

しかもそれがデッキの中に複数枚投入される。


しかし、環境によっては高価なカードを使わないデッキでも十分に勝ちを拾える可能性もあるので、
どのカードを使うかは自分の財布との相談になる。



一方、環境デッキに採用されるわけではないのに値段が釣り上がるカードには、
何らかの特典として付属、配布される「プロモーション・カード」が多い。
具体的にいえば、雑誌・攻略本・ゲームソフトなどの付録や、イベントの来場者に配られるようなカードである。


そのようなカードはパックに入っているカードに比べて流通量が極端に少なくなってしまうので、有用なものは値段が上がりやすい。
デッキのキーカードになっていると、構築に必要な敷居が一気に高くなってしまうのである。


作りたいデッキがあるならば、あらかじめ必要なカードと値段を調べて、おおまかに把握しておくのが無難だろう。



ただし、大会に出るのではなく友達と気軽に対戦を行うだけならば、デッキの選択肢も広がるので安いカードでも十分に遊べたりする。
単に自分の好きなカードを使いたいだけならば、そこまで強いデッキにする必要もない。


規制や環境の変化で弱体化したデッキなどはパーツの値段も下がるので集めやすくなる傾向にある。
多くのTCGでは質のよい構築済みデッキが発売されているので、それをベースにデッキを組むのも手だろう。



ちなみに、あまりにも構築費用が高いデッキは「札束」と呼ばれる。
逆にあまりお金をかけずに作れるデッキは「貧乏デッキ」と呼ばれる。
場合によってはお金をかけても事故が頻発する弱いデッキになってしまったり、
安いカードだけでもそこそこ強いデッキができあがったりすることがあるが、その辺は人それぞれ。


なるべく費用を抑えてデッキを完成させるというのもプレイヤーの腕の見せ所といえるかもしれない。



【余談】

日本のTCG界に多大な影響を与えた漫画『遊戯王』の原作者高橋和希氏は
勝ち負けを度外視してデュエルの楽しさや、好きなカードを使うことを優先させたエンターテイメントなデッキを『プロレスデッキ』
勝利だけをリスペクトしたガチガチのデッキを『アルティメットデッキ』と呼ぶことを提唱し、
この二種類のデッキが共存していくゲームを目指すと語っている。(ザ・ヴァリアブルブック1巻でのインタビューより)


なお、同じインタビューで、和希氏も本音のところでは『アルティメットデッキ』の方が好きだと語り、
アルティメットデッキでも華麗な勝ち方や、使いたいカードにポリシーがあれば十分エンターテイメントなデュエルができるとも語っている。


プロレスデッキ→ファンデッキ、アルティメットデッキ→ガチデッキと読み替えれば、この話にも大いに納得がいくことだろう。
基本的にファンデッキはガチデッキに比べて華やかな内容になりやすいが、
ガチデッキは周りもガチデッキだらけの中で戦うため、例え強カード群で構成されていても、そこには細かい計算や工夫がなされているものである。


また、ファンデッキとガチデッキにどちらが上かという区別はなく、それぞれ独自の魅力がある。
要は住み分けが大切であり、場所や相手を考えて使うことが無難だろう。
やっているゲームは同じでも目指すべき目標が違うので当然と言える。



TCG以外にもデッキ構築を重視したゲームがあり、それが「ドミニオン」に端を発する「デッキ構築型ゲーム」である。
デッキ構築に自信があったり、デッキ構築のセンスを鍛えたいなら、この種のゲームにも手を出して見てよいかもしれない(勿論、TCGのデッキ構築理論とは大きく異なる部分も多いが)。
ボードゲームのものはTCG同様に複数人で遊ぶことを前提とするが、近年は「Slay the Spire」を火付け役とした「デッキ構築型ローグライク(ローグライト)」なるジャンルの一人用ゲームも増えている。



【最後に】

当然ながらTCGプレイヤーが全てこれらのタイプに分類されるわけではない。
これらはあくまで傾向であり、それぞれの趣味趣向や性格によってデッキ構築されている事は言うまでもない。


ただ、これらのタイプに似た傾向の人は少なくない事は事実であり、初心者等に自分のスタイルを見極める参考になれば幸いな事だ。


また、フリーで1ショットキルを使って一方的なゲームを繰り返す人や、
メタデッキを使って自分のしたい事を全くさせてくれない人と試合をする事になっても、相手やそのカードゲームを嫌いにならないで欲しい。


みんな、そのゲームを楽しみたいだけ。ただそれだけだなのだから。


それさえ理解できていれば怒ったりする事も無いはずだ。
自分が不快な思いをしたのならきちんと相手にその旨を伝えよう。相手もちゃんと理解してくれるはずだ。


お互いを理解できれば、相手のデッキが何をしたくて構築されたのかも理解できる。ひいては、自分のデッキを強化する事にも繋がる。




デッキの構築力は、すなわち自分の理解力なのだから




アニオタ「遊戯ぃ、なんで俺が追記した項目、見にくいんだ?教えてくれよ?」


遊戯「アニオタ君、項目見せて」


アニオタ「あいよっ」


遊戯「…………なぁにこれぇ。強引に追記しただけじゃない!」


アニオタ「ああ、前後の文を修正せずに追記したからな」


遊戯「ダメだよそれじゃあ。アニオタwikiは、追記と修正、このコンビネーションが重要なんだよ」


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  • 自分はロマンデッキ良く使ってるなぁ。ロマンコンボ求めてるのに毎回できない。しかも勝負には勝つという展開が多くて困る -- 名無しさん (2013-11-22 23:56:29)
  • ガチデッキはなんか面白味がないから別のデッキを使いたくなる -- 名無しさん (2013-11-23 00:12:12)
  • ガチ・ネタ・ファン・ロマンで一番おもろいのはファンデッキかなぁ。やっぱカードパワー云々よりも好きなカード使いたいもんね。それで勝ったらなおさら好きになるし。 -- 名無しさん (2014-01-25 04:41:47)
  • やっぱり最終的にキャラクターファンデッキになってしまう -- 名無しさん (2014-01-25 06:55:39)
  • 種族デッキみたいに、当初はファンデッキでしかなかったけど、あるカードの登場でガチデッキになることも珍しくないから、これらの境界ってかなり曖昧だな -- 名無しさん (2014-01-25 08:51:22)
  • どのデッキでも完成した -- 名無しさん (2014-01-25 08:57:31)
  • ↑ミス -- 名無しさん (2014-01-25 08:58:04)
  • どのデッキでも完成した時より3枚積みか4枚積みかとか悩んで試行錯誤してシミュレートする…つまり作ってる途中が一番楽しいのはオレだけか? -- 名無しさん (2014-01-25 09:03:29)
  • ↑それ、なんとなくだけど分かる気がする。 -- 名無しさん (2014-01-25 09:07:11)
  • ↑遠足の準備や行きのバスの中のが楽しいのと同じだな。 -- 名無しさん (2014-03-10 17:48:21)
  • プラモ作ってる時が一番楽しいのと一緒か -- 名無しさん (2014-03-10 19:02:00)
  • デュエマのスーパーデッキはどれに入るんだろ?かなりガチよりのファンかファンの要素を入れたガチか -- 名無しさん (2014-03-10 20:09:00)
  • ↑両方 -- 名無しさん (2014-03-10 20:10:44)
  • バディファイトのアニメには「デッキビルダー」が出てくるのが新鮮だと思いました(KONMAI感)。 -- 名無しさん (2014-06-06 01:22:00)
  • 強くてもファンデッキだったり、多少弱くてもガチデッキだったりするよね -- 名無しさん (2014-06-06 01:32:33)
  • 【ジャンクドッペル】はこの4要素が上手い事混ざってる感じかな? -- 名無しさん (2014-06-06 03:48:13)
  • ヴァンガード関係ないだろこれ -- 名無しさん (2014-06-06 07:01:36)
  • ↑関係あるだろTCGなんだから -- 名無しさん (2014-06-06 09:08:29)
  • 偏見なしにヴァンガードのガチデッキは構築ワンパだと思う ネタとかなら個性出せるけど大会のデッキレシピとか見ると二、三枚採用枚数が違うカードがある程度 -- 名無しさん (2014-06-07 08:35:45)
  • ↑確かにそれは分かるけどこの項目はネタやファンやガチ全部のデッキ構築って項目だからネタでも個性が出せるんならヴァンガもこの項目関係あるだろ -- 名無しさん (2014-06-07 08:47:34)
  • デュエマでバーレスクで勝つ構築を作ってるんだけど、ファンデッキなのかガチなのかわからなくなってきた… -- 名無しさん (2014-06-10 00:49:03)
  • どの展開にも対応できるデッキが理想だけどそんなものができればもれなく主力を禁止にされるという罠 -- 名無しさん (2014-06-10 13:14:00)
  • ↑そう言うデッキの究極系はソリティアだからね。対人ゲームでのソリティアはゲームじゃないから規制されて当然 -- 名無しさん (2014-06-10 14:07:09)
  • バディファイトのアニメで使われる戦法はTCGでも普通に強い。これが理想的なんだろうなあ。 -- 名無しさん (2014-08-11 16:31:18)
  • ↑アニメと効果が違ったり、アニメ・原作通りにした結果、ぶっ壊れorカスカードになったり、最低のせいで原作再現できなかったりする遊戯王OCGの場合は…… -- 名無しさん (2014-08-11 19:06:54)
  • ↑×2 バディファイトは知らないけどアニメの戦法すれば良いってだけなら自分の戦略がない面白みのないゲームじゃないか?↑遊戯王を擁護する気は無いがそういう書き方は良くないよ -- 名無しさん (2014-08-13 20:04:32)
  • ↑バディファイトは戦う人の要望に合わせてデッキを構築する人がいる。初心者にはそれでいいと思うしね。 遊戯王の方は…他のカードの兼ね合いがあるとはいえ…な。ただ、それをどうにかするのも「ビルダーの腕」だわ -- 名無しさん (2015-06-24 11:59:40)
  • あぁ~このカード入れちゃうとロマンはあるけど勝つのは厳しくなるかな……う~ん……だけどこのコンボが決まった時のビックリ具合で行けば…このカードは外せない。なら決まりだな!!出来た!!男のロマン!!夢のワンターンキルデッキ! -- 名無しさん (2015-07-05 01:42:52)
  • どのデッキも尖りすぎて守りが薄くなるんだよなぁ -- 名無しさん (2015-07-05 08:55:26)
  • 個人的にはTCGはこれしてる時が一番楽しい -- 名無しさん (2015-07-05 11:48:16)
  • ビルダー型がテーマを好みチューナーはテーマを好まないってのは必ずしも真ではない。テーマデッキって往々にしてすでに’デッキビルド’が終わっててあとはチューニングするだけだったりするから -- 名無しさん (2015-12-07 02:18:57)
  • TCG界隈には「わぁい、コンボー」の掛け声と共に、ソリティアデッキすら可愛く見える鬼畜コンボデッキを作り上げる悪魔のようなショタがいるらしい -- 名無しさん (2016-03-01 20:07:55)
  • デッキ構築に悩んだら是非「一撃必殺!居合ドロー」回を観て欲しい -- 名無しさん (2016-03-01 20:13:38)
  • mtgでは、ティミー(デカブツ好き)、ジョニー(コンボ好き)、スパイク(ガチプレイヤー)に分類される -- 名無しさん (2016-09-17 21:48:39)
  • デュエマの【シザー・愛】や【ザガーンビートダウン】はファンデッキなのかネタデッキなのか -- 名無しさん (2016-11-13 01:29:40)
  • ↑ 前者は「通用するはずないものを無理やりにでも通用させる」のがテーマだから「かなりガチデッキ寄りなファンデッキ」。後者はそもそも既に「ガチデッキ」として成立してる物に一種のシンボルとしてザガーンを入れてるだけなのではないかと考える。 -- 名無しさん (2016-11-13 05:13:47)
  • デッキ構築の方法:まず使いたいカードを決めます→使いたいカードを活躍させるために必要なカードを入れます→相手の妨害札を躱す、あるいは使いたいカードが来るまで相手を妨害できるカードを入れます→他の勝利手段としてアドを稼ぎやすい汎用カードや強力なギミックを投入します→テストを行い、デッキを調整します→最初に使いたいと思ったカードがデッキから抜ければ完成です -- 名無しさん (2017-12-13 16:59:53)
  • コンピューターゲームでこれやるのがものすごく面倒に感じる。実物のカード目の前に並べてやるのはそうでもないのだが。 -- 名無しさん (2019-05-20 09:23:00)
  • ↑たしかに感じる。デジタルだとソート自体は楽なんだけどインターフェースが自分好みに出来ないし、カード一枚一枚が小さくて見づらいし、やっぱりカードゲームはデジタルより現物扱ってナンボだよな -- 名無しさん (2019-05-20 12:22:11)
  • 勝ちにこだわるなら勝率高いテンプレデッキコピればいいだけだしな -- 名無しさん (2021-11-26 23:15:04)
  • 何かテンプレ踏襲して作っても調整してたらいつの間にかロマンギミックが入ってる不思議 -- 名無しさん (2022-11-05 02:39:47)
  • MTGに興味を持つ→お気に入りをメインに組めないか調べてみる→4〜5000のカードを4枚複数種要求される……パックから引くにはかなりの運が必要(種類多いし)……MTGの壁は厚いなあ -- 名無しさん (2023-02-05 21:15:59)
  • ↑ワイルドカードのあるアリーナなら… -- 名無しさん (2023-02-05 21:22:56)

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*1 余談だが、遊戯王の場合ゲーム作品や『デュエルリンクス』で本編では未使用のカードに専用ボイスが設けられる場合もある。上記の遊星の場合、アニメ本編で使った自分のカードは勿論、他人の物であるが使った事のあるシグナーの龍や、漫画版で使ったカードにも台詞が設けられている。
*2 ポケモンに似た名前や姿のカードで構築したデッキ。
*3 ただし、再録や環境の変化が理由で、かつての高額カードが安価で入手できるようになる事もある。

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