璃刃壊左(忍者と極道)

ページ名:璃刃壊左_忍者と極道_

登録日:2021/06/20 (日曜日) 22:28:40
更新日:2024/05/27 Mon 13:49:22NEW!
所要時間:約 8 分で読めます



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布団が――…吹っ飛んだ…!!!




璃刃あきば 壊左かいざとは『忍者と極道』の登場人物である。


●目次



【プロフィール】

年齢:94歳
生年月日:1925年5月29日
身長:162cm
体重:50kg
好きなこと:コーヒー、日本酒、笑点(林家三平を応援している)



【概要】

東京を極道などの悪の手から守る忍者集団『帝都八忍』の第二席。
第二次世界大戦時の極道による忍者狩りハント神賽惨蔵と共に生き延びた大ベテラン。
表の顔は銀座のカフェ「でいびす」の老主人。


若い頃は超の付く美青年だったが右目はとある戦いで視力が悪くなっており、片眼鏡をかけている。
この片眼鏡は極道との闘いで目を負傷した折に、当時パンパンに擬態していた惨蔵が客の米兵に貢がせたもの。
なお若い頃は「小豆蠟斎」と呼ばれていた模様。



【人物像】

一人称はわたくし
超高齢ながら穏やかで理知的な老紳士で、忍者しのはらからは壊爺かいじいと呼ばれ慕われている他、壊左自身も忍者しのは忍者坊しのはぼうと呼んで可愛がっている。


長である惨蔵も苦言をもらすほど「甘い」優しく温厚な性格だが、忍者しのはらを鍛える際は「鬼死荒行オニシニアラギョウ」などのかなり苛烈な修行を行っていた模様。
(具体的には忍者しのは陽日の能力で周囲が火の海になっても燃えている身体を直に触っても「慣れっこだ」と言ってのけるレベル


暗刃の産みの親にして惨蔵を除いた東京忍者達の師匠も務める知恵者で、人格も実力も含め八忍からの信頼も厚い。
忍者しのはを笑わせるべく様々なダジャレ爆笑ギャグを考えては披露しているが、彼のトラウマは根深く上手くいかないのが目下の悩み。



【戦闘能力】


極道風情が如何に謀りやがれど


裏社会ウラ悪事わるさかませばブッ殺すのみで御座います



長である神賽かさい惨蔵ざんぞうに次ぐ忍者陣営でもNo.2の実力者。
武術と発想力に長けており、惨蔵曰く「300年余り観て来た中でも突出した武の天才」
自身の特異体質と開発した暗刃との相性は抜群であり、一瞬で数十人の極道の首を刎ね、屍の赤絨毯レッドカーペットを作り出す。


流石にほぼ1世紀程生きている手前全盛期と比較して攻撃速度に若干の衰えが生じてしまっている。
それでも尚戦闘力は絶大。『地獄への回数券ヘルズ・クーポン』をキメた極道きわみ「紙一重の勝利だった」と言わしめたのは間違いなく彼の実力を顕している。


忍装束は羽織袴。むしろ極道っぽい…。
また体内には爆弾を仕込んでおり、最後の奥の手としている。



如意暴にょいぼう

壊左が持つ特異体質。
ゴムのように伸縮自在に伸び縮みする両腕であり最大射程は50m。
伸びるだけでなく屈曲も自由自在。暗刃と合わさって神速で伸びる両腕は空中を生き物のようにうねり、一回の攻撃で数十人の極道を殺戮し、敵の肉体を穿ち抉る。
暗刃開発以前は武器を併用しており、横綱を一撃で失神させるほどの威力の打撃を遠距離から叩き込むことが可能だった。


惨蔵の全視全能同様暗刃開発以前から使用している技なので、現代忍者の異能とは異なり暗刃には入らない。
欠点はあくまで2本しか腕が無い為、両腕の攻撃を掻い潜られ懐に潜り込まれると成す術がない点。



◆技

  • 暗刃あんじん

銃器を始めとした最新の近代兵器で武装した極道に対抗すべく、惨蔵の命を受けて壊左が開発した現代忍者の基本技となる技術。
音速の壁を突破して敵を穿ち抉る貫手であり、実態は「弾丸の象形拳」
異能の性質上アウトレンジかつあらゆる角度から暗刃を放つことができるため、他の現代忍者達とは異なり暗刃による三次元的な攻撃も可能となっている。
威力も凄まじく、「地獄への回数券」を服用した極道きわみですらしばらく深く大きな傷が残り続けるほど。



【関連用語】

  • 喫茶店「でいびす」

壊左が経営する喫茶店。店名はジャズ歌手のマイルス・デイビスから取られている。
戦後の時代から経営しており、当時はタンポポ珈琲を淹れていた。


  • 妖精長老

『フラッシュ☆プリンセス』に登場するキャラクター。
世界の危機を救うために4体の妖精と共に人間界に来るが、第3話にてヒースと戦い殺害される。
主人公アブの師匠である彼の退場は多くの視聴者に良くも悪くも衝撃を与えたという。



【劇中での活躍】

第一章にて登場。
忍者しのはが仕事先から持ち替えった新種の麻薬「天国への回数券」の分析を行った他、忍者しのはの暗刃の腕前が自身を超えたことに喜びを抱いた。


その後べしゃり烏の情報により赤坂の料亭「京兆」にて極道きわみの手により極道達が集結していることを知ると、忍者しのはのための新たな爆笑ギャグを考えつつ出発。



どうやら悪しき企みのようですので――みなごろしで御座います



しばらくは情報集めのために静観していたが、その企ての内容を聞くと上記の台詞と共に極道達の首をまとめて跳ね飛ばしながら三つ指を突いて登場


その能力を用いて多くの極道を蹂躙するも、逃げるどころか武器を持って立ち向かおうとする極道きわみの姿に不吉な物を感じ取る。
その片手には忍者しのはが見つけた麻薬と似た物が握られていた。



超遠間合アウトレンジから神速で襲いくる伸縮自在の殺手…
…見切ればれる 見切れねば―――…死ぬだけさ


此奴―――嫌な予感しか致しません…らねば…!!
”長”と”帝都八忍”の皆に――忍者坊しのはぼうに伝えねば――…極道がヤバいと!!



おっと…死ぬわけにはいかんな
忍者しのは君――……彼と語っていないプリンセスシリーズがまだ9作も……!!
不思議な男だ忍者しのは君 次は…彼と何を語ろうか



――そうそう忍者坊しのはぼうには明日…わたくしめの入魂の洒落ギャグを聞いて頂かねば…!!
忍者坊しのはぼう――…きっと笑って頂けますように…!!



忍者しのは


忍者坊しのはぼう



両者共に知る由もなかったが、皮肉にも両者が想う相手のことは同じだった。この戦いを制し、再会することが叶うのは勝者となったどちらか片方のみ……


決着は、一瞬でついた。壊左の攻撃は紙一重の差で極道きわみに届かず、短刀を頭部に刺された上で幾度も銃撃を受け、倒れたのだ。


なんということ…!! 極道が…極道がこれほどの――――忍者に並ぶほどの力を…!!


鳴呼ああ―…このわたくしめに若き頃の力があれば…忍者坊しのはぼうほどの速さがあれば……!!


だが、壊左はまだ生きていた。極道達が勝利に浮かれる中、最後に一矢報いようと力を振り絞る。
忍者しのはが若い頃……初めて会ったあの時のことを思い出しながら虚空に手を伸ばし……




では…忍者坊しのはぼう まずは――――しのびの基本型から…………さあ


…手を――――






次の瞬間、料亭は跡形もなく吹き飛んだ。壊左が万一のために用意していた爆弾の爆発により、その場にいたほぼ全ての極道達は全滅したのである。
だが極道きわみを含めた破壊の八極道は直前で「地獄の回数券」を使用していたために生存。
残った壊左の肉片は挽肉にされた上で短刀を突き刺すという形で池袋に放置される。市民達が何なのか分からず戸惑う中、忍者しのはは”それ”を見て悟る。正体も、何が起きたのかも、全て。


ぺしゃり烏よ”帝都八忍”の皆に伝えろ 壊爺かいじいが極道に殺られた


極道ツブすぞ…!!


静かに、それでも確かな怒りを抱く忍者しのは。その仇がすぐ真後ろにいる男だとは知る由もなく……。


かくして壊左の死により、日本全土を巻き込む忍者と極道の果てしなき全面戦争が切って落とされた。



尚、残された壊左の片眼鏡には小型カメラが内蔵されており、自身を討ち取った極道きわみの姿を映して忍者しのはへのメッセージとした。
結果的にではあるが、これが色の死の遠因になってしまったのは皮肉としか言いようがない



本人の出番はここで終了しているが、その後も回想シーンで幾度も登場している。





外伝「獅子の華」

外伝においては彼の若き頃の姿が描かれている。
暗刃の完成にまつわる話の他忍者しのはに似た印象を持つ友人の話を窺い知ることができる。







以下、外伝のネタバレ






時は1945年、戦後の銀座。
東京大空襲による忍者狩りを辛くも生き延びた壊左は、喫茶店を経営しつつ長である惨蔵の命令により”忍者の大改革”に取り組んでいた。
極道達に敗北したのは、極道達が米軍から横流しして入手した最新兵器だけではなく、物資不足と武器の枯渇も一因。
武器に頼らぬ無手の殺手が必要……しかしそれを作るのは当然容易ではなく、壊左は惨蔵の出した無理難題と売春婦に変身して楽し気に諜報活動を行う様に頭を悩ませていた。


そんな中ふとしたことから出会った男、輝村獅門
彼が長い間探し求めていた物……”亡き母親が幼い頃に作ってくれたタンポポの珈琲”を提供したことから、互いの素性……忍者と極道であることを知らぬまま、奇妙な友情が生まれることになる。


獅門は宣言通り毎日店に通うようになり、珈琲を飲んだり、様々な話をしたり、一切口をつけていない状態で珈琲チップの僅かな焙煎の不足を当ててみせたりなど、楽しい時を過ごした。


やがて獅門は壊左のために彼がずっと欲しがっていた10万円(当時の公務員の初任給の10倍以上の価格)もするドイツ製のコーヒーミルをプレゼントする。
突然降ってきた幸福に壊左は歓喜し、涙し、最愛の親友に深く深く感謝する。この友情は永遠であると、固く信じていた……





苗字で気付くだろうが、獅門の正体は極道きわみの祖父。同時に東京大空襲にて民間人諸共100人以上の忍者を惨殺し、壊左にも深手を負わせた「獅子口の極道」でもある。
鋭い味覚の正体も極道技巧ごくどうスキル超絶対味覚」によるものであり、単純な味だけでなく広範囲の感情・殺意といったもの全てを”味”として感知してしまう。
これにより惨蔵も暗殺を試みても半径50mまで近づくこともできず、さらに殺意以外ならより広範囲の感情まで読み取ることが可能。


前述のコーヒーミルも盗品であり、それを奪うために店の主人や警備員に死傷者を出している
(ただし獅門自身は純粋に壊左を喜ばせるために入手したのは間違いなく、当初は普通に購入するつもりだった)
壊左が喜んでくれたことで満足した獅門だったが、直後音羽商事の社長から壊左の暗殺依頼を受けてしまう。
迷う獅門だが自身を拾ってくれた組長への恩義、多額の報酬金を息子の学費に充てるのを薦められたこと、何より無理に拒んだところで他の誰かが実行するのが確定していること……迷いに迷った末、獅門は自身の手で壊左を殺害することを決意した。


かくして戸惑う壊左を置き去りに、惨蔵が見守る中、忍者と極道の戦いの火ぶたが切って落とされたのである。


二丁の機関銃による激しい銃撃と「超絶対味覚」に追い詰められる壊左だが、激戦の中でも逆転の糸口を探し続ける。かけがえのない親友との殺し合いに、戦いながらも、共に涙を流しながら……



馬鹿じゃねえの壊左ああ!!! てめえは本当に甘いよおおう!!!


さっきからずっとしてるこの味…砂糖たっぷりの珈琲の味・・・・・・・・・・・…!!!


”友情”の味だ……!!! 壊左てめえ…オイラをまだ友達ダチだとよう……馬鹿じゃねえ!!?


獅門!!!


壊左にも獅門の味覚を一瞬封じる策はあったものの、封じられるのはあくまでも一瞬。自分の攻撃が届く前には感知されて反撃されることは目に見えていた。
速さがほしい……そう願う彼の目の前を、一発の弾丸が通過した。


その瞬間、壊左の中で革命が成就する。


逆転の糸口を掴んだ壊左は、手に持っていたものを空中に放り投げる。それはかつて獅門が母の味を思い出して動揺したタンポポ珈琲のチップ
その味を感知して動きを止めた獅門の一瞬の隙をつき、手を弾丸の象形拳……円錐型にまで収めた状態で、攻撃を放つ。
反応した獅門が反撃するよりも早く、その身体を両断してみせたのだ。


現代忍者の基本型「暗刃」が誕生したのである。
だが壊左にはただ一つ、誤算があった。息絶える間際の獅門の口から聞かされた”真実”……


おう……お前また…チップの”煎り”を2秒…サボった…ろ


思わず…動揺しちまった…よう いつものコクが…全…然…無ぇ…壊…左――…


相手を友だと思っていたのは、壊左だけではなかった。獅門もまた同じく……!!


さらば獅門!!! さらば…親友ともよ…!!!



そして壊左は理解した。
惨蔵が自分達の関係も正体も、何もかも全て知っていたことも。その上で惨蔵がこの哀しい死闘の全てを仕組んだことも。

  • 獅門を密かに焚き付けて、コーヒーミルを盗ませたこと
  • 音羽商事の社長を殺害して成りすまし、自身の暗殺依頼を出したこと
  • 獅門が凶行に走って民間人を殺害したことを壊左に伝えたこと

これらも全て「忍者の革命」を成就させんとした惨蔵の非情な計略であった。


死闘の後「恨んでもいい」という惨蔵だが、壊左は恨まなかった。その非情さを尊敬しているから。
何より獅門は仲間を虐殺した仇敵の極道。遅かれ早かれこうなるのは運命だった。


これが忍者と極道なのだと……



そして壊左は知る由もない。
同じ頃、母と共に獅門の帰りを待つ幼子の清一が、窓から入ってきたタンポポの種を手に取り、何かを悟り、決意したかのように拳を握りしめていたことを。その後の行方も、知る由もなかった。


そして本編にて、壊左は知らずとは言えどもかつての親友の孫に討ち取られることとなる……



【余談】

作者によれば「気高さと美しさを失わず歳を重ねた理想の強キャラお爺ちゃんを描きました」とのこと。



追記・修正はタンポポの珈琲を淹れてからお願いします。




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  • 穿ち過ぎなのかもしれんけど、この人が極道相手に名乗らなかったのが気になる。裏マナーに反して殺す覚悟を決めておきながら名乗らなかったのは、やはり何かの伏線なんだろうか? -- 名無しさん (2021-06-20 22:38:59)
  • 獅子の華はやたら読後が爽やかになる終わり方だと思った。なんか獅門の倫理観が現代の極道と比べてわりかしまともに見えるせいかなぁ -- 名無しさん (2021-06-20 23:50:55)
  • 極道さんが戦績増やす度に比例して上がっていく株価。No.2が飾りにならない展開好き -- 名無しさん (2021-08-17 18:00:06)
  • ↑↑壊爺が言うように時代が時代で誰もが盗みその他を働いてもおかしくない時代だったから、ってのもありそう。あとやっぱり二人の友情が綺麗すぎる -- 名無しさん (2022-02-15 12:00:53)
  • どこぞのゲキマズコーヒー量産執事のせいで不味そうと思ってしまったけどちゃんと美味しいんだよね… -- 名無しさん (2022-11-05 01:16:08)
  • 長(オサ)の猪指示見てるとこの人最初に退場したの滅茶苦茶痛いんだなと… -- 名無しさん (2023-05-30 15:54:04)
  • ↑長の絶対的ワンマン体制の中、唯一意見を言えたであろう八忍にとって参謀役とも言える壊爺の死はガチで致命的よ…。 -- 名無しさん (2023-05-30 16:18:17)

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