SCP-3155

ページ名:SCP-3155

登録日:2020/11/18 Wed 08:32:50
更新日:2024/05/23 Thu 12:49:51NEW!
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scp scp foundation 迫害 アメリカ 現実改変者 プロメテウス 機動部隊オメガ-12 ピンカートン探偵社 bananarepublic





生まれ持った才を罪と呼ぶならば、それを害し排斥することは罪か否か?





SCP-3155とは、シェアード・ワールド「SCP Foundation」において登録されたオブジェクトの一つ。
オブジェクトクラスは「Keter」。
項目名は『我々は決して眠らない』。




説明

SCP--3155は、1883年から1905年頃に活動していた要注意団体ピンカートン探偵社に所属していた、とある部門の約200人の職員たちである。




ここで、ピンカートン探偵社について簡単に纏めると、



  • 実在していた武闘派の探偵集団

  • リンカーン大統領(選挙時)の暗殺未遂を食い止めた実績から、政府御用達のボディーガード集団(ストライキ妨害用)として活動

  • 南北戦争前後で国の治安システムを、混乱した警察の代わりに請け負うなどの、地方法処理機関として活躍

  • その後、1899年に政府が彼らを利用しての増強を恐れた議会が、ピンカートン探偵社の動きを押さえるべく、名指しの反ピンカートン法(ピンカートンの人間は公的な職種に付けないという内容)を作成、彼らの行動を抑制した。

  • 組織としては収縮したものの、探偵としての実力も宛らだったために生き残り、現代でもボディーガード専門の企業として活動している。現在の経歴は完全にクリーン。

  • 彼らの組織的実力を参考に、FBIが考案されたとか



ざっとこんなもん。
さて、今回の主題は、そんな嘗て名を轟かせていたピンカートン探偵社がなぜ要注意団体として指定されていたのか。



実は上記の200人全員が、低レベルの現実改変者を含めた異常実体であったから。
どうやらピンカートンの社長、そういう異常性を持った人々を見つけては自社に勧誘し、まともな待遇と引き換えに後ろ暗い仕事をやらせてたのである。要は暗殺とか、インチキ宗教とか。



よって特別収容プロトコル、


  • 存命のSCP-3155個体は、割り当てられた個体特有の能力に対応が施された、ヒト型生物収容チャンバー・タイプBに収容せよ。

  • 未収容のSCP-3155個体を発見するために、アメリカ各地・各層に工作員を潜入させ、日夜情報を集めろ。



低レベルの現実改変能力とは言え、200人も集まれば脅威である。強力な部隊を護衛につけるのは当然と言えるだろう。





構成された人員は、白人黒人黄色人種に老若男女とかなりバラけている。しかし後ろ暗い仕事をやらされていたのにも関わらず、彼らの中にピンカートンに悪い感情を持っている人間はいない。


それは何故か。



発見

1899年に財団が発足して以降、アメリカ各地で様々な異常性を持った人々を発見した。そんな中、異常実体によって引き起こされた事件が発生、これを調査したところ、かつてピンカートン探偵社に所属していたことから組織の実態が明らかになった。


その事件では、傷害を起こした男性(以下、SCP-3155-1と呼称)が独房で突如として発火。その後に財団が確保したが、以後、SCP-3155-1はまともな精神状態ではなく収監されている。



この時に入手した物品や、後の調査で得ることの出来た情報によると、同じく要注意団体プロメテウス研究所が作成した初期のスクラントン現実錨に先んじて、現実性を安定させる能力を持った複数の現実改変者の存在が示唆されており、彼らによって能力などを抑えていたと推測される。


このことから、ピンカートン探偵社は、能力の制御とそれを生かせる職種を餌に、自身らの異常性に苦しむ人々を勧誘していたと推測されている。


発見された人々



SCP-3155-13(男性)

南部の小さな田舎で雑貨屋のしたっぱとして働いていたSCP-3155-13は、ある日押し掛けてきた強盗を、偶然発現した発火能力で焼き殺してしまった


現実を受け入れられないSCP-3155-13に、突如現れた男が、死体の処理をした後に彼を組織に勧誘、仕事と引き換えに安全を保証したのだという。


世界で一番の申し出と証言していることから、SCP-3155-13にとってピンカートンの環境は居心地の良いものだったのだろう。





SCP-3155-22(男性・白人)

サーキック・カルト由来の血筋だったSCP-3155-22は、自身の肉から危険な怪物を始めとした生物を産み出すことができた。
しかし家族は彼を拒絶し、死んだほうが良いとまで吐き捨てた。


SCP-3155-22曰く、ピンカートンに迎えられてからは取り調べや能力の確認、戦闘のやり方などを学んだらしく、負傷こそしたものの、充実した毎日を送っていたとのこと。





SCP-3155-27(男性・白人)

SCP-3155-27は指を弾くだけで人を裏返しにする能力をもっていた。
当然ながら社会では生活していけない。そんな状況下の中ででピンカートンに勧誘された彼は、警備などを担当することに。


自分以外にも異常性をもつ人が存在し、寄り添いあうピンカートン探偵社は、彼にとって救いであり、同時にかけがえのない誇りであったのだ。





SCP-3155-33(白人・女性)

此方はインチキ宗教に特化した能力の持ち主。
死体を操ることの出来るSCP-3155-33は、死者と会話することの出来る人として、愛する人を失くした者への心のケア(という名のエセ儀式)を担当。


後ろ暗い仕事をやらされていたが、概ね仕事環境には満足していた。





SCP-3155-44(男性)

此方は、反ピーカントン法によってピンカートン探偵社をクビになった男性の証言。能力は不明。
彼曰くピンカートン探偵社という拠り所を失った者たちの多くが絶望し、自暴自棄になったらしい。心を病んだ者も多くいた。


希望を捨てず前に進んだ者たちもいたが、彼の知り合いは全員亡くなったか、行方不明になったとのこと。


正義感を失わず、シカゴ・スピリッツ(現実改変者や異常物品を利用し悪行を重ねる組織)を始めとした、他の要注意団体に果敢に立ち向かった者もいたらしいが、その後どうなったかは定かではない。





SCP-3155-11(女性・黒人)

ピンカートンを離れたSCP-3155-11は、アメリカにおける差別に絶望したという。能力は不明。
白人限定のエリアや建築物、道路なども制限された状況下の中で、SCP-3155-11は如何にピンカートンでの生活が恵まれていたかを語った。



ピンカートンに所属していた人々は、皆周りから異常な存在であると遠ざけられてきた者たちであった。


相次ぐストライキに対抗すべく駆り出されたものの、誤って暴力が発生、双方に被害を出したことから世間のバッシングを受け、挙げ句の果てに多くのメンバーがピンカートンを追われてしまった。


SCP-3155-11はインタビュアーに語りかける。自分たちは異常な能力を持ってはいたが、それを望んでいた訳ではないのだと。
周りから"バケモノ"扱いされ、漸く居場所を見つけられたと思ったのに、それすらも失った。なぜ我々がこんな目に逢うのかと。


ピンカートンの生活は、彼らが自分らしくいられた"唯一の場所"だった。肌の色や男と女といった事柄など関係なく、誰もが平等だったのだと。


全てに絶望した彼女は、自らの意思で財団に留まり続け、心が壊れた嘗ての同胞たちの面倒を見ている。





事案事案-3155-01

ある年、サイト-43にSCP-3155個体と思わしき高齢の男性(最新の個体、SCP-3155-58と呼称)が施設に侵入、これを機動部隊ベータ-22(“ホイッスル吹き”)が対処した。



どうやら他に捕らわれたSCP-3155個体を奪還すべく行動を起こしたらしく、上記のSCP-3155-11の収容室に現れた。
以下はその抜粋である。



SCP-3155-11: 一体何が起こっ— ケニー? あ、貴方なの?


<くぐもった声>


SCP-3155-11: 一体何を言って— 私たちは攫われたんじゃないわ。


<くぐもった声>


SCP-3155-11: いいこと、私は囚われの乙女なんかじゃない。彼らは私たちの世話を—



SCP-3155-11: 何をやってるの?!



SCP-3155-11: 大変! ケニー、貴方、大丈—




どうやら施設の周りに施された高圧電線をワイヤーカッターで切り裂いて侵入したらしいのだが、その際に重症を負ってしまったらしく、途中で合流した職員らによって鎮圧・治療された後に収容された。


今後、意識が回復次第、SCP-3155-58との接触が予定されている。


彼のように、仲間を思い続けることの出来る者がいるというのは、また救いがあると考えるべきか。









これらの情報から、SCP-3155個体のほとんどが自らの異常性によって迫害を受けていた被害者であることが分かったはずだ。


だからといって、それに財団が手を緩めることは絶対に逢ってはならない。一歩間違えていれば、彼らの多く、または全員が財団世界に仇を成した可能性も十分あったのだから。


幸いにも、多くの個体が社会に戻ることを望まず、望んでサイトに収容されることを選んだ。


彼らの未来に幸あれと願わずにはいられない。




SCP-3155


我々は決して眠らないWe Never Sleep



余談

本家メタタイトルの「We Never Sleep」だが、これはピンカートン探偵社の社訓であり、当時の企業主が従業員の行動を監視させるために、探偵社に依頼したことが由来。


だが、当時のSCP-3155の視点から捉えてみれば、また違った意味を見つけることが出来よう。




即ち、我々はいつも、迫害してきたお前たちを監視し続けているぞと。




最も、今となっては意味など為さないだろうが........。



追記・修正宜しくお願いします。




SCP-3155 - We Never Sleep
by BananaRepublic
www.scp-wiki.net/scp-3155
ja.scp-wiki.net/scp-3155(翻訳)
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  • 恵まれし子らの学園 -- 名無しさん (2020-11-18 08:40:10)
  • 著者BananaRepublicさんじゃないの? -- 名無しさん (2020-11-18 08:41:31)
  • まとめて財団で雇って機動部隊とかを担当させてやれば丸く収まりそう。要は探偵社と同じことをやって財団が管理する -- 名無しさん (2020-11-18 10:37:11)
  • ↑人種差別も何もない社員同士の平等な扱いが彼らの根幹だったわけで、3155-27のインタビュー時に「人種の分離すらしていなかったの?」とヘンダーソン博士が驚いているあたり、当時の財団でもそのあたりはデリケートな問題だったと伺える。財団じゃ彼らを探偵社と同じ時の扱いにはできないかと -- 名無しさん (2020-11-18 10:43:43)
  • 人種や血統に反応するオブジェクトも財団には収容してるからなぁ -- 名無しさん (2020-11-18 18:48:01)
  • ↑5 SCPでは単純な異能力者をオブジェクトとして執筆すると「X-MENでやれ」ってDVされるのがテンプレだけど、これ凄くまんまX-MENだな。能力のせいで迫害されてる辺りとか -- 名無しさん (2020-11-18 20:32:32)
  • ↑それでもお帰りくださいされてない辺り、やはり素材に多少の難があっても料理の仕方次第なんだと思い知らされる。でも、財団視点かつ実在のすごい組織という入れ物を使わずに個々の活動の方にスポットを当てたら凡百の厨二作品でしかなくなってしまうだろうな -- 名無しさん (2020-11-18 22:18:30)
  • 滅茶苦茶好きな記事なので項目が出来て嬉しい -- 名無しさん (2020-11-19 11:07:30)
  • 『X-MENは帰れ』は金科玉条ではなくあくまで原則であり、面白ければなんの問題もないぞ そこらの怪物や魔法のアイテム、施錠ポルノも然り -- 名無しさん (2020-11-20 14:27:48)
  • ピンカートン探偵社みたいに面白いなら個々の能力はX-MEN的で構わない。X-MENが問題になるのは面白くなくなるときが多いからであって -- 名無しさん (2020-11-20 14:29:19)
  • 用語の方にも「ただ異常性を持つだけの人型実体」はお呼びではない。「その異常性を持つことでどんなストーリーが生まれるのか」が重要なのである。と書いてあるとおり、X-MENっぽいのを作らないでという意味ではない。 -- 名無しさん (2020-11-20 23:10:01)
  • 「紛いなりにも現実改変者で構成されたチームを護衛に回す辺り、財団世界における彼らへの警戒が高いことが伺える。 」紛いなりにもの用法おかしくないです?別にオメガ12って現実改変能力者として能力不足ってことはないですよね? -- 名無しさん (2021-09-19 00:55:59)
  • よく負けてる印象だが不足してるってことはないだろう。往々にして相手が悪いだけ -- 名無しさん (2021-12-08 01:46:13)
  • Who watches watchmen -- 名無しさん (2022-11-30 08:18:01)
  • ↑2むしろ腕がいいから危険度が高いのを相手してるんじゃないか? -- 名無しさん (2023-06-30 10:15:09)
  • ピンカートン探偵社ってホームズの長編「恐怖の谷」にも出てくるよね。探せばもっとあるのかも。 -- 名無しさん (2023-12-30 00:36:41)

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