登録日:2020/06/23 Tue 20:45:48
更新日:2026/09/22 Tue 20:52:32NEW!
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※ご自身の健康問題については、専門の医療機関に相談してください
潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)は、大腸粘膜がただれて出血し、腹痛や赤い下痢などの症状があらわれる病気。
概要
日本では厚生労働省により難病(特定疾患)指定されている。
通常は完治せず、ほとんどの場合慢性化する。
この病気にかかるはっきりとした原因は未だ不明だが、関節リウマチなどと同じ自己免疫性疾患の一種であることがわかっている。
自己免疫性疾患とは、免疫細胞が暴走し、自分自身の体を傷つけてしまう病気の総称。
アレルギーと似ているが、アレルギーではあくまで特定の異物(食べ物など)が入ってくることで免疫細胞が暴走する病気だが、自己免疫性疾患では異物の存在は一切関係なく暴走してしまうためこちらのほうが厄介である。
今のところ原因として考えられているのは、
- 強いストレス
- 食生活の欧米化
- 腸内環境の悪化(悪玉菌の増加)
などがあげられる。
なぜか肉類や乳製品を多く食べる欧米先進国(アメリカ、カナダ、イギリス、オランダ、ドイツ、デンマーク、オーストラリア、ニュージーランドなど)に多い病気である。
昔は日本では稀な病気だったが、近年は患者数が急増している。
日本での患者数は15万人を超え、国内で最も患者数が多い特定疾患である(ちなみに2位はパーキンソン病。)。
20代から30代の若者に多い病気だが、子供(小学生など)や高齢者もかかる可能性がある。
著名な患者として、安倍晋三内閣総理大臣が有名。
他にも元グラビアアイドル・若槻千夏氏、オリックス・バファローズ所属のプロ野球選手・安達了一氏、プロ棋士の浦野真彦八段などがこの病気にかかっている。
実写版るろ剣で駒形由美役を演じた高橋メアリージュン氏はこの病気にかかっていたため、オムツを着用しながら演技を頑張ったほどである。
漫画家の島袋全優氏はこの病気が重度だったために大腸を全部摘出している。また、自身の闘病エッセイとして「腸よ鼻よ」という作品を発表している。
大腸の粘膜にびらんや潰瘍(かいよう)が多発することで、腹部の激痛や出血性の下痢などの症状があらわれる。
びらんと潰瘍はどちらも粘膜がただれてしまう状態であるが、びらんは比較的浅い粘膜のただれであり、潰瘍はより深い粘膜のただれのことをいう。
さほど致死率が高い病気ではないものの、患者はトイレが近くなったり、重症の場合は食事制限が要求されるなどQOL(生活の質)が大きく下がってしまう。
また、致死率はそれほど高くないとはいえ、稀に大量出血などの合併症を起こしたり、大腸に穴があいて亡くなってしまうケースもあり、侮れない病気である。
潰瘍性大腸炎では肛門に近い直腸から炎症が広がり、重症化すると大腸全体に広がるのが特徴。ただし、炎症が小腸に飛び火することはない。
間違われやすい病気
過敏性腸症候群という病気と誤解されることがあるが、過敏性腸症候群は心の病気であり、大腸そのものに異常はみられない。これに対し、潰瘍性大腸炎は大腸そのものに炎症が起こるため危険な病気である。
そのため、過敏性腸症候群ではストレスが多い日中に腹痛や下痢に襲われることが多く、ストレスの少ない時間帯(夜寝ている間など)に下痢に襲われることはない。逆に言えば、寝ている間に腹痛や下痢に頻繁に襲われる場合は潰瘍性大腸炎や食中毒など別の深刻な病気の可能性が高い。
「最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学」というテレビ番組では、慢性的な腹痛と下痢に悩まされていたIT企業勤務の女性が、過敏性腸症候群と勘違いして病院に行かず放置してしまい、やがて血便が出るようになり激痛で倒れてしまい、最終的には(辛うじて一命は取り留めたものの)手術で大腸を全部摘出することになってしまう(劇症型の潰瘍性大腸炎で壊死状態になっていた)という症例ドラマが放送された。
潰瘍性大腸炎も過敏性腸症候群同様にストレスが引き金になることがある。
また、過敏性腸症候群の患者さんが潰瘍性大腸炎を発症するケースも少なくない。
潰瘍性大腸炎と似たような病気にクローン病があるが、こちらは大腸だけでなく小腸にも炎症が起こる。
また、クローン病では潰瘍性大腸炎よりも厳しい食事制限が要求される。
ちなみにクローンとはクローン病を初めて報告した医師の名前に由来しており、複製された生物という意味のクローンとは異なる。
症状
この病気は完治することはほとんどなく、多くの場合、良くなったり悪くなったりを繰り返す。
主な症状としては腹痛、下痢、そして血便があげられる。
血便はただれた大腸から出血するために起こる。軽い場合は下痢便に少し赤いものが混じる程度だが、重症になると血液そのもののような真っ赤な下痢便が出るようになる。
血便は酷い場合は1日に20回以上出ることもある。
トイレに間に合わないほど酷い場合はオムツが必要になる。
※ちなみに胃潰瘍など胃からの出血では真っ黒い血便が出る。これは肛門から遠いため出るまでに時間がかかり血液が酸化されるためである。真っ赤な血便は肛門に近い大腸からの出血。
腹痛も軽い場合から転げ回るほど激しいものまで程度は様々である。
吐き気や嘔吐を伴う人もいる。
炎症が強い場合は38度以上の高熱が出たり、貧血、全身がだるい、脈が早いなどの症状があらわれたりする。
病気は最初は軽い腹痛や下痢から始まり、徐々に激痛や酷い下痢(血便)に進行していくのが典型的な症状だが、ごく稀にいきなり激痛や真っ赤な血便が出る急性劇症型もある。
合併症
適切な治療を受けていれば致死率はそれほど高くはないが、ろくに治療せずに放っておくと炎症によって腸が狭くなって詰まってしまったり(腸閉塞)、大量出血を起こして死亡してしまうケースもあるため油断は禁物。
炎症が強くてしかも長引いた場合は合併症の危険性が高い。
また、この病気の患者さんは通常の人よりも大腸ガンにかかるリスクが高まる。
しかも潰瘍性大腸炎から移行した大腸ガンは進行が早く予後も悪い。
炎症がなかなか改善せず長引いた場合はガンになりやすいので注意。
きわめて稀に中毒性巨大結腸症という劇症型の合併症が起こることがある。
これは炎症があまりにも酷いために大腸の筋肉が動かなくなり、大腸が著しく拡張してしまう、非常に危険な病気である。
大腸の動きが停止するために猛烈な腹痛に襲われ、便やガスが出なくなるために腹部が著しく膨らむ。激しい嘔吐を伴う。全身状態がきわめて悪くなり、脱水症状や意識障害を伴う。
大腸が壊死したり、穴があくこと(穿孔)もあり、腹膜炎や敗血症などで死に至ることもある。中毒性巨大結腸症の予後は非常に悪い。
意外と知られていないが、この病気は大腸以外にも合併症を起こすことがある。
皮膚や目、肺、膵臓、肝臓、腎臓などに炎症が起こることがある。
目の炎症は放置すると失明する危険もある。
治療
残念ながらこの病気を完治させるのは困難である。
しかし腹痛や下痢などの症状を改善させたり、症状のない状態を維持して再発しにくくすることは可能である。
現在は良い薬も開発されたため、長年の間再発せずに無症状の状態を維持している患者さんもいる。
食事については症状がない場合および軽い場合は普段通りでOK。タンパク質は多めにとり、逆に脂肪分や食物繊維は控えめに。
クローン病ほど食事制限は厳しくなく、肉類や揚げ物も適度に食べることが可能。
むしろ厳しすぎる食事制限はストレスがたまって余計に病状が悪化する。
ただし腹痛や下痢が激しい場合(特に血便が出る場合)は入院して絶食して点滴を受ける必要がある。
食事以外では、炎症を抑える薬を飲んで症状を改善させたり、再発が起こりにくくしていく。
ただし薬には副作用もあるため、医師や薬剤師の指示に従う。
ちなみに自己判断で下痢止めを飲んでしまうと、かえって炎症が悪化したり、合併症のリスクが高まってしまうので、下痢止めは絶対飲まないように。
必ず病院に行きましょう。
検査は肛門から内視鏡を入れて行う。大腸がただれていることを確認し、細菌性の食中毒(赤痢菌、O157など)や薬の副作用など他の病気の可能性を除外してから潰瘍性大腸炎との診断を下す。
細菌性の食中毒では激痛や血便など症状が似ているため、赤痢菌やO157などが検出されなければ潰瘍性大腸炎と診断することができる。
手術
ほとんどの場合は食事制限や薬など内科的治療で病状をコントロールできるが、稀に内科的治療では病状が全く改善しない場合がある。
その場合は外科的な処置(手術)が必要になる。
特に腸閉塞、穿孔(穴があくこと)、大量出血、中毒性巨大結腸症は生命に危険が及ぶため、緊急手術が必要になる。
手術では大腸は全部摘出する。
また、大腸ガンが発生した場合も基本的には手術となる。
通常の大腸ガンではガンが発生した部分のみ切除するが、潰瘍性大腸炎から発生したガンは進行が早いため、やはり大腸を全部摘出する必要がある。
ちなみに患者さん本人が希望すれば、合併症など生命に危険が及ぶほどの状況でなくても手術を受けることが可能。
手術後のデメリットは多少残る(便がゆるくなる、トイレが近くなるなど)が、潰瘍性大腸炎そのものは一応完治する(激痛や出血など辛い症状から解放される。)。
なお大腸は食べ物の水分を吸収する器官であり、小腸のように栄養分を吸収する器官ではないので、大腸を全部摘出しても栄養失調で痩せ細ってしまう心配はない。
(クローン病では小腸にも炎症が起こるが、小腸には栄養分を吸収する重要な役割があるため全部摘出することができず、小規模の手術を繰り返すことになる。クローン病では潰瘍性大腸炎の場合よりも栄養失調の危険性が高い。)
追記、修正お願いします。
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