ウラノス(ギリシャ神話)

ページ名:ウラノス_ギリシャ神話_

登録日:2019/05/17 Fri 23:07:00
更新日:2024/04/04 Thu 13:38:28NEW!
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ウラノス(英語:Ouranos古代ギリシャ語:Οὐρανός)とはギリシャ神話に登場する天空神である。


オリュンポス十二神以前の時代の神であり、大地母神ガイアにして
第一世代の神々の末子にして世界の統治者。*1


クロノスやオケアノスらティターン十二神やキュクロプス、ヘカトンケイル等の異形の巨人たちの父親でもある。
その名前はギリシャ語で、を意味する言葉だというがさらに時代を遡るとを意味する言葉に行きつくという。
正式にはウーラノスなのだが日本においては伸ばさずにウラノスと呼ばれたり、ラテン語でウラヌスと呼ばれたりすることが多い。
また、天空といっても特に夜空の神であり、これは古代ギリシャでは宇宙に輝く星々の見える夜の天こそが本来の空の姿だと考えられていたため。
(対して、陽光は大気の中にあるものと考えられており昼は夜よりも下位に置かれていた。まあ、ある意味合ってるっちゃ合ってるが)
ウラノスには「星ちりばめたる」という称号があり、単なる天空の神ではなく身中に銀河を収めた宇宙その物である大神と見なされていた。
また、この逸話から一説にはインド神話の神ヴァルナと同一の起源をもっているのではないかとする説も存在する。



概要


カオスより誕生したガイアが初期に生み出した神の一柱で先述したように天空を司っており、
生み出されると同時に夫となり、互いが交わることでティターン12神、キュクロプス、ヘカトンケイルらを儲けた…のだが
キュクロプスやヘカトンケイルの醜い姿に恐れを成したウラノスはあろうことか彼らを冥界タルタロスに押し込んで幽閉するという凶行に出る。
これに怒ったガイアは子供たちにウラノスを罰するように唆し、賛同したクロノスはアダマスの鎌を持ち、寝床へ隠れた。


読み通り寝床へガイアと交わるために来たウラノスを待ってましたと言わんばかりに隠れていたクロノスは
手に持っていたアダマスの鎌でウラノスの男根を切断し、海へ投げ捨てた。


この時飛び散った血がガイアに掛かり、エリニュスやメリアス、半身半蛇の巨人族であるギガスを身ごもったともいわれている。
そして捨てられた男根(もしくは精液)からは愛の女神アフロディテが誕生している。なんでやねん。


こうして権威を失ったウラノスは息子であるクロノスに譲ることとなったと言われている。


ちなみにその後のウラノスがどうなったかに関しては諸説あり、アダマスの鎌で
男根どころか肉体をバラバラに切り刻まれて体を世界各地に放逐されたとも、
地の果てへ追放された、或いは幽閉されたとも言われており定かではない。


子供たち


ウラノスはギリシャ神話の主神格ではめずらしく、ガイア以外に妻として迎え子をなした女神・女性は基本的にいない。
ガイアとの間には以下の


  • ティターン十二神
    (オケアノス、コイオス、クレイオス、イアペトス、ヒュペリオン、
    テイア、レア、テミス、ムネモシュネ、ポイベ、テテュス、クロノス)
  • キュクロプス三兄弟
    (アルゲス、ステロペス、ブロンテス)
  • ヘカトンケイル三兄弟
    (コットス、ブリアレオス、ギュゲス)

を儲けているがそのうちキュクロプスとヘカトンケイルはティターン12神とは違い、
それぞれ単眼、多頭百手と醜い姿であったため先述のようにタルタロスへ封印されてしまった。
あとはティターン十二神の十三番目の神として数えられることもある天空の女神ディオネや、エトナ火山の女神アイトナも二人の娘とされている。


あと子供と言えるかどうかは微妙だが、上記の通り彼の血を受け止めた大地ガイアから復讐の女神エリュニス三姉妹(メガイラ、ティシポネ、アレクト)、トネリコの木の妖精ニンフメリアス、
オリュンポス十二神らと宇宙の覇権をかけて戦うことになる巨人族ギガスが生じている。
あとは幼いゼウスを守った勇猛な戦士たちクレテスもこの時生じたという。


例外が前述のアフロディテであり、ウラノスの男根と海…
すなわち原初の海の女神タラッサの娘であるとされる。



他神話との関連


ローマ神話のカエルスと同一視される。
ウラノスの逸話はほかの神話と類似・関連するものもあり、例えば母神とその息子が夫婦となるという逸話はバビロニア神話のキングーに、
息子に男根を切り落とされ、権威を失うという逸話はウガリット神話のイルに、
そしてバラバラにされながらも復活するものの男根を失ったという点はエジプト神話のオシリスに似たものがある。
その為、各地の神話はそれぞれつながっているという説があるのだという。



ウラノスの名に由来するもの


天王星

太陽系第7惑星にはウラノスの名が冠されている。
日本でよく知られる「天王星」は、ウラノスが天空神であることに因んで中国で訳された名である。
当初、1781年に天王星を発見したイギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェル*2は、当時のイギリス国王であるジョージ3世を讃えて「ジョージ星」、つまり「英王星」という名を付けた。*3
しかし、そんなナショナリズム全開な名はイギリス以外の国々*4ではまったく普及せず、発見者の名に因んで「ハーシェル星」など様々な名がヨーロッパ各地で提案された。
最終的にドイツの天文学者ヨハン・ボーデが、土星の名がギリシャ神話のクロノスと同一視されているローマ神話のサターンから採られていることに着想を得て、土星のさらに外側を公転している天王星にクロノスの父である「ウラノス」の名を付けることを提案し、それが受け入れられて一般に普及した。


…何かおかしいとは思わなかっただろうか?。
着想元の土星はローマ神話名なのに天王星だけギリシャ神話名なのである。
土星に限らず、地球*5を除く太陽系の全ての惑星の名はローマ神話の神名から採られており、それは天王星の後に発見された海王星(ネプチューン)*6も冥王星*7(プルートゥ)*8も同様である。
これはウラヌスに対応するローマ神話の神「カエルス」の名が、当時のヨーロッパではあまりにもドマイナーだったので周知されていなかったことが理由らしい。
ということで天王星は、現在太陽系を周る惑星の中で、唯一ギリシャ神話の神の名を冠する惑星となっている。



ウラン

原子番号92の元素。放射性物質として知られる。
発見者であるドイツの化学者マルティン・ハインリヒ・クラプロートによって名付けられた。
ただし、ウランの名自体は同時期*9に発見された天王星に因んだものであり、神話のウラノスとは直接の関係は無かったりする。



登場作品


比較的知られた神ではあるものの、妻であるガイアや息子のクロノスに比べて少ないのが現状か。



漫画

六神体第1号。操縦者そっくり(後のカワラザキ)の顔をした生首。冷気と重力を操る。
他に「ウラエウス」という紛らわしい名前の六神体がいる。


上記の天王星が由来のセーラーウラヌスが登場する。


世界三大古代兵器の一つだが、詳細不明。残るはプルトンとポセイドン。


  • Zマジンガー「ウラノス」

オリュンポスに陣取る機械神の首魁として登場。
ただし本編のラスボスは機械神ハデス(とケルベロス)が務める為、出番はちょっとだけ。



アニメ

ゴッドマーズの右腕となる六神体。上記とは全く異なる姿のかっこいいロボット。


CV:飯塚昭三
神話世界の支配者。上記「Zマジンガー」のウラノスがモデルだが顔は描かれていない。地球人側に付いたゼウスに対し怒りを露にする。



ゲーム

  • パズル&ドラゴンズ

「盤面を3色+回復ドロップに変え、追加効果として進化前は属性吸収無効、
覚醒進化後はドロップが落ちてこない」スキルと「7コンボ以上で自身の攻撃力が8倍になる」覚醒スキルを持つ。
息子のクロノスと属性が違うだけでほぼ同じ性能である。


  • ドラゴンシャドウスペル「ウラノス」

遺跡に眠る古代の叡智「方程式マトリクス」を回収する組織としては最大の存在。
あらゆる願いの具現化を可能とする「至高の叡智アニマムンディ」を狙っており、主人公一行と対立する。





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  • 追記・修正の条件が厳しすぎるw -- 名無しさん (2019-05-18 07:49:31)
  • 闘神伝のボスだかにウラヌスって居たよな -- 名無しさん (2019-05-18 14:06:22)
  • 男根と海…言われてみればアレとアレをアレする儀式の隠喩か -- 名無しさん (2019-05-20 15:33:22)
  • 名前借りてるだけで神話的関係性は皆無だけどDQ11にもウラノスがいるね -- 名無しさん (2020-04-01 01:30:40)
  • ウラノスは原初神であり天空そのものなので、クロノスに斬られた後特にどこかに行ったというわけではなく、ただ大地とのつながり(男根)を断たれて地上の創造に介入しなくなっただけで頭上に天として拡がり存在し続けている、んじゃないのか? -- 名無しさん (2021-01-24 21:50:24)
  • 天空の神格ということは知ってたけど、正確には夜空の神様なのね。勉強になります。 -- 名無しさん (2022-02-23 17:02:10)

#comment

*1 以下、クロノス→ゼウスにも引き継がれる末子相続の価値観が窺えるが、ゼウスは生み直しにより長子ともなっている為、他地域の長子相続の価値観がギリシャにも入り込んだ、と解説されている。
*2 天王星は条件さえ良ければ望遠鏡を使わなくてもギリギリ見えるため、観測例自体は古代からあったのだが、それが太陽を公転する「惑星」であると最初に解明したのがハーシェルなので発見者として扱われる。
*3 この行為自体は当時珍しいことではなく、かのイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイも自身が発見した木星の4つの衛星に自国の君主名を付けてたりする。
*4 特に隣国特有の民族的確執を抱えていたフランス
*5 「Earth」は「大地」を意味する言葉なので、特に神話に由来する名というわけではない。
*6 ギリシャ神話名ならポセイドン。
*7 2006年まで惑星扱いだった。
*8 ギリシャ神話名ならハデス。
*9 1789年

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