最強のふたり(映画)

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登録日:2018/12/11 Tue 14:15:48
更新日:2024/03/28 Thu 13:10:04NEW!
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■最強のふたり

『Intouchables』は、2011年に公開されたフランス映画。
エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ監督、脚本。
日本ではギャガ配給・PG12指定で2012年9月1日に公開された。


原題のIntouchables(アントゥーシャブル)は英語で言うUntouchable(アンタッチャブル)と同じ意味であり、本来はLesを冠詞に付けて触れられざる者(Les Intouchables)となる。
これは、本来は出会うような身分に無かった2人の出会いを初めとして、出会いの末に結ばれた誰にも触れられない友情のこと等、様々な意味が込められている。


つまり、邦題は「ダサい」「ヒドい」との声もあるが、案外と原題を内容まで込みで意訳出来ているのである。


実話を元にした、小気味のいい感動巨編であり、東京国際映画祭のコンペティション部門に招待されて喝采を呼び、最高賞の東京サクラグランプリを獲得。
主演の2人も最優秀男優賞に冠せられた。


本国でも、同年の第37回セザール賞にて多数の賞にノミネートした末に、オマール・シーが最優秀主演男優賞を獲得している。
こうして、大いに話題を集めた本作はフランスでの歴代興行収入で第2位に(フランス本国で制作された映画としては歴代2位)。


最初に本作の価値を認められた日本でもフランス映画ながら分かりやすいために、仏映画としては歴代最高となる16億円を越える興行収入を得ている。


【物語】

深夜の自動車道を、180kmもの猛スピードで走るマセラティ・クアトロポルテ。
パトカーに囲まれて中から降りてきたのは黒人青年と、その雇い主であるという身体が動かせない白人の富豪。


……雇い主が発作を起こしたという設定で、まんまと逮捕しようとしていた警官隊を騙してみせた2人はドリスとフィリップ。
物語は、2人が初めて出会った1年程前に遡る。



パリに住む大富豪のフィリップは、頸髄損傷で首から下が動かない。
彼の大きな邸宅で行われた介護人の募集に、汚い靴を履いた奇妙な若者が一人。


移民で、貧民層の黒人青年ドリスは雇われる為に来たのではなく、失業保険を継続するために“面接に来たけど失敗した”という証明を貰いに来たのだ。


態度は最悪ながら、相手が誰であれ物怖じせずに本心を正直に話すドリスを気に入ったフィリップは、周囲の心配を他所にドリスを試用期間に入れることを決める。
…ドリスはドリスで貧しい実家に帰った際に、過去の犯罪歴もあり母親に邪魔者扱いされて追い出されたことや、邸宅内に豪華な自室を宛がわれたこともあり、なし崩し的にフィリップの世話をこなしていく。


互いの相性がよかったことと、物怖じせずに相手の内側に踏み込んでいくドリスの働きもあって、少しずつ打ち解けると共に理解を深めていく。


周囲から気難しいと言われていたフィリップだが、ドリスに触発されるように冗談も言うようになっていく。
そして、試用期間最後に起きた、深夜にフィリップの呼吸が狂ったのをドリスが救出した事件を経て、2人は正式に雇い主と介護人の間柄になることを確認し合うのだった。


何気ない出来事でも楽しい思い出に変えてくれるドリスとの毎日に癒しを見出だしていくフィリップだったが、ドリスの弟が傷ついた姿で邸宅に現れ……。



【登場人物】

■フィリップ
演:フランソワ・クリュゼ
吹替:小川真司
かつて、趣味のパラグライダーの事故で頸髄損傷を負い障害者となってしまった大富豪。
大恋愛の末に結婚した最愛の妻のアリスを難病で失っており、彼女から死別するまでの25年の間ファベルジェの卵(インペリアル・イースター・エッグ)を送られており、宝物としている。
その一つをドリスが初めて邸宅に来たときに失敬したのに気付いており、返すように頼んでいた。
卵の行方はドリスにも解らなくなっていたが終盤までに見つけて返却された。
パリの市街に大きな邸宅があり、普段の生活では電動車椅子に乗っている。
これまでの介護人とは馬が合わず、何人もの人間が逃げ出していたそうだが、興味を惹かれて雇い入れた正反対の人間であるドリスだけは例外で、やがては信用を置いていた兼ねてからのスタッフ以上の絆で結ばれていく。
気難しいとの評だったが、ドリスの茶目っ気や心ないとまで言えるレベルの悪戯にも度が過ぎない程度までは目を瞑るような面も。
生まれた時から上流階級の人間だったらしく、クラシックや絵画といった芸術を好み、文通では自作の詩を代筆させて送っている。
ドリスの働きもあり、文通相手のエレノオールと電話で会話するようになり急接近するが、彼女と直に会える可能性が出た時には直前で逃げ出してしまい、何も言わずにドリスに一緒に旅に出てくれることを願い、それに応えてくれたことで信頼を深める。
……しかし、その旅の後でドリスが彼の家族に必要とされていることを悟り暇を出すが、いつの間にか自分の中で大きくなっていたドリスの存在を求めて、彼の後にやって来た新しい介護人を初めとした周囲の人間とトラブルを起こすように。
身体が動かないこと以外は大病等はしていないようだが呼吸困難になる場面があり、これは幻想痛と呼ばれる幻の苦しみだという。
また、映画制作の中でモデルとなった二人を捉えたドキュメンタリーにて、本物のフィリップ自身が胸筋が萎縮し、健常者の三分の一しか肺活量が保てないことの解説をしている。


■ドリス
演:オマール・シー
吹替:菅原正志
移民で、スラム出身の黒人青年。
元々は失業保険の継続目当てに面接をしたという事実の証明のサインを書類にしてもらうつもりだけだったのだが、逆にその態度を気難しい筈のフィリップに気に入られて雇われることに。
ぶっきらぼうで仕事が雑な所もあったが、経験を積んでいく中でフィリップの内面にまで踏み込んで彼を理解し、無礼に見えて正直な心でフィリップが勇気を出して踏み出せなかった事を後押ししていく。
「踊れない音楽は音楽じゃない」と語り、お気に入りのアーティストはアース・ウィンド&ファイアーである。
犯罪の経験があり、腕っぷしも強く粗野な面もあるが心根は優しく、人の為に働くのが早い。
意外にも芸術的な素養が高く、フィリップが落書きにしか見えない絵を高値で買ったことに触発されて自分でも絵を描いてみて悪くない評価を得ることに。
ドリスにとってもフィリップの存在は大きく、終盤にフィリップが調子を悪くしたことを聞くといの一番に駆けつけ、これが冒頭の爆走シーンへと繋がっている。


■イヴォンヌ
演:アンヌ・ル・ニ
吹替:野村須磨子
フィリップの助手をしているおばちゃんで、フィリップの声を伝える“赤ちゃんモニター”をドリスに渡す。
当初はドリスを陰で乱暴な人と評する等、あまりいい感情は持っていなかったようだが、自分と同じく下世話な恋愛話が好きで、フィリップの信用を得ていったドリスとも打ち解けていく。


■マガリー
演:オドレイ・フルーロ
吹替:佐古真弓
フィリップの秘書で妙齢の美人。
口述の文章化などを担当。
ドリスに異性として想いを寄せられており、恋人のフレデリックとは付かず離れずと評されていたこともありドリスは張り切っていたが、確かに仲良くはなっていったにもかかわらず靡かなかった。
……その理由は。


■マルセル
演:クロティルド・モレ
吹替:白川万紗子
毎朝、フィリップのケアにやって来る介護士のおばちゃん。
ドリスにフィリップの世話の仕方を手解きする。


■アルベール
演:グレゴリー・オースターマン
フィリップの邸宅の庭師で、ちょっとした菜園も手掛けているらしい。
ドリス曰く、イヴォンヌに気があるとのことで、イヴォンヌは冗談として信じていなかったが、終盤にはデートに出掛けていた。


■エリザ
演:アルバ・ガイア・クラゲード・ベルージ
フィリップの養女で生意気盛りの16歳。
養父であるフィリップと、ボーイフレンドのバスティアン以外の人間を見下しているような所があるが、自分の我が儘を理解もしているのか情緒不安定気味。


■アントニー
フィリップの親しい友人で、ドリスのことを警戒して犯罪歴を調べさせたりしていた。
誕生パーティーでもドリスに反感を持っていたのが見え見えだったが、ドリスにはあっさりとあしらわれ、フィリップには知らなかったとはいえ、無名の新人画家の絵と信じさせられて、当のドリスの描いた絵を1万1千ユーロ(現在のレートで140万円弱程度)で買わされている。


■ミナ
演:アブサ・ダイヤトーン・トゥーレ
ドリスの妹。
深夜まで働いている母親の替わりに、大勢の兄弟の面倒を見ている。
長い間連絡もせずに家を出ていたドリスには多少の反感を抱いている。
複雑な家庭事情により、ドリスは下の妹と弟達と血が繋がっていない。


■アダマ
演:シリル・マンディ
ドリスの弟で悪い連中と付き合っているようで、同じくワルだったドリスに心配されている。
アダマも本心ではドリスに頼りたいが素直になれずにいたのだが、いよいよヤバくなった時にフィリップの邸宅を訪ねており、これを見たフィリップはドリスとの別れを決意した。


■バスティアン
演:トマ・ソリヴィレ
エリザのボーイフレンドで、非常にボリュームのある髪の持ち主でドリスからモップ頭と呼ばれ、鬱陶しいからバレッタで纏めろ、とも言われている。
中盤でエリザをフったようだったが、エリザに頼まれたドリスに脅されて、毎朝クロワッサンやお菓子を届ける羽目に。


■エレノオール
演:ドロテ・ブリエール・メリット
フィリップが半年前から文通をしている女性で、フィリップからの詩を文句も言わずに受け取り続けている。
ドリス曰く、そんなのを許すなんてフィリップのことも受け入れてくれる変人に違いないとして電話をかけられ、フィリップは怖がっていたが実際に芸術的な感性が通じ合う相手だった。
ドリス曰く、彼女の住んでいるダンケルクにはブスしか居ないとのことだったが、体重53kgのスレンダーで裕福な美人であった。
実際に出会えるチャンスがあった時にはフィリップが逃げてしまっていたが……。



【余談】

  • 2人の話が知られるようになったのは02年のTV番組がきっかけで、同番組の司会者のミレイユ・デュマが03年にドキュメンタリーを制作。これが映画の原作となっている。

  • 映画のドリスはアフリカ系の黒人だが、モデルとなったのはアルジェリア(白人系のアラブ人・ベルベル人の国)出身のアブデルである。
    映画同様に身体の動かないフィリップを外に連れ出すような、破天荒な介護人だったらしい。

  • アブデルとフィリップの関係は、実際には94年から04年までの10年にも及び、モロッコへと移住した際にアブデルが現地の女性と恋に落ちたのを見たフィリップが将来を考えて契約解除をしている。
    また、フィリップの妻はこの期間中の96年に癌で亡くなっている。

  • 映画のラストではフィリップが再婚して二児の父親になると共にモロッコに住んでいることと、アブデルが社長となり三児の父親になったことが語られている。
    時が経った現在でも2人の友情に変化は無く、それはドキュメンタリーからも窺える。




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  • 初めてタイトル見たときプリキュアの映画のサブタイかと思ったのは内緒 -- 名無しさん (2018-12-11 15:29:43)
  • 記事を見る限りは面白そう。特に「フランス映画にしてはわかりやすい」という点。昔、「名作」と世間で評判だった「アメリ」が意味不明だった事もあって、フランス映画はどーしても少し構えてしまう。 -- 名無しさん (2018-12-11 17:05:38)
  • ↑2 基本的にアートっぽいとことかキッチュ狙いっぽいとことかはゼロのまっとうな娯楽映画だよ。個人的には「好感が持てる映画」みたいな表現がしっくりくる。 -- 名無しさん (2018-12-11 18:57:24)
  • エンディング間近の髭剃りのシーンが微笑ましかった。 -- 名無しさん (2018-12-12 08:39:54)
  • ユウジとアオイかと思った -- 名無しさん (2018-12-12 10:25:33)
  • ドンキーコング3のステージとは全く関係ない -- 名無しさん (2018-12-12 20:59:45)
  • ↑3 サルバドール・ダリ風の鬚顔を見たフィリップが「祖父だ…。」と感慨に耽るシーン好き。 -- 名無しさん (2019-10-08 15:00:52)

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