ページ名:豆

登録日:2026/04/01 Wed 19:34:18
更新日:2026/07/20 Mon 20:03:23NEW!
所要時間:約 20 分で煮あがります



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いいか、プーキー...豆は栄養あるんだ。

豆食ってるだけで人間、死にゃしねえんだ

――『エリア88』より



まめとは、以下の意味を持つものである。


  1. マメ科の植物の種子。

  2. マメ科以外の植物の種子で、小さくて丸みを帯びている形状のもの。
    例:コーヒー豆(アカネ科)、カカオ豆(アオイ科)
    なお、英語圏でも1. 2.を総称して“beansビーンズ”と呼ばれる。(コーヒー豆 ⇒ Coffee Beans)

  3. 1.から転じて、小型のもの。たいてい名詞の接頭語として用いる。
    例:豆電球、豆戦車、豆知識、豆本

  4. 手や足にできる小さな水ぶくれ。皮膚に摩擦が慢性的に加わるとできやすい。
    1.のように、丸みを帯びていることに由来する。「肉刺」とも表記する。

本稿では1について解説する。






●豆とは何か●

簡単に言えば、「豆」とは、マメ科の植物の種子で、食用や加工用にされるものの総称である。
マメ科の植物の果実の構造は、雌しべの子房の心皮が成長して形成された鞘の中に種子がある「莢果」というものである。
莢の内部の種子は胚乳が発達せず、子葉が発達して栄養を蓄える。
これらの果実の莢は熟すと裂開して種子を散布する「裂開果」や、莢の内部に節があって熟すと仕切り毎に分かれる「節果」に分けられる。


マメ科の有用植物はたいていが一年生の草本である。
ただ、多年草で牧草ないしは芽生え(もやし)を野菜として利用されるムラサキウマゴヤシ(アルファルファ)、常緑高木で熱帯果樹として知られるタマリンド、同じく常緑高木で熱帯果樹として知られるインガ・エドゥリスなどの種も知られている。
タマリンドとインガ・エドゥリスの両者については熱帯果樹の項目で詳しく解説させていただく。


豆は他の植物の種子より大きく栄養豊富なので、人間を含む多くの動物にとって重要な食料となっている。
穀物の中ではそれほど多量の水分は必要としないので、様々な気候の地域での栽培が可能となっている。
種子は丈夫な皮を持つため、収穫後に乾燥させてもその過程で粒が割れてしまったり、カビの被害や虫による食害を受けたりすることが少ないので、貯蔵の面では大いに利がある。
ただ、主食として各地で栽培される米・麦類・ヒエ・アワ・キビ・トウモロコシなどのイネ科の穀物や芋類などと比較して、特有の風味を持つものが多かったり、単位面積あたりの収穫量が少なかったり、調理の手間がかかりやすかったりするため、豆類を主食として栽培する民族は少ない。
とはいえ、栄養価が高くまた主食作物の弱い所を補う効果があるため、主食として栽培される作物と組み合わせる副食として利用される形が多い。
インドなど菜食主義者が多い地域では肉に変わるタンパク源として食べられる事も多い。


マメ科の植物は多くの種が、空気中の窒素を取り入れてアンモニアなどの物質に変換する窒素固定*1という能力を持ったバクテリア「根粒菌」のクラスターを根の中に共生させており、植物の生育に必須な窒素化合物を半ば自前で用意できるためやせた土地でもよく育つ。

  • 農業が盛んな土地で暮らす人なら、まだ水が入っていない春の田んぼ一面に赤紫の花を咲かせるレンゲソウに見覚えのある人も多いだろう。あれも典型的なマメ科の草である(目立たないが、熟するとサヤエンドウのミニチュアみたいな豆果が実る)。窒素固定で土を肥やし、夏~秋のイネの生育の糧になってくれる仕組みだ。
  • このページでは草本な連中が主に紹介されているが、木本のマメ科という植物ももちろんいる。ニセアカシア(ハリエンジュ)がよい例で、根粒菌のおかげでやせた土地でも大木がぼんぼん育つ。荒れ地や海沿いなどのきつい現場もとりあえず森にしてくれるありがたい樹だが、どんどん増えるせいで侵略的外来種扱いされたりしてもいる。

上記のように栄養価が高い事も合わせて、気候さえ合えばどこでも食用植物として植えられ、頼られている。
一方で難点が連作障害がひどい事で、同じ畑で同じマメをえんえん収穫するのはほぼ無理。
それぞれの土地でこれに対応した工夫がされる。


●日本において●

《歴史》

それぞれの豆類の植物としての歴史はそれぞれの豆の解説において後述するとして、この章では我が国における豆類の利用の大まかな歴史について解説させていただく。
我が国での豆類の利用の歴史は古く、農耕が開始された縄文時代後期の遺跡からダイズの原種・ツルマメの炭化した豆が出土している。
そのほか、アズキの祖先と考えられる野生種のヤブツルアズキや、栽培化されて現在流通するアズキとほぼ同じ大きさになったアズキの豆のそれぞれ炭化したものが弥生時代の遺跡から発掘されている。
奈良時代ごろ(8世紀)には中国を経由してソラマメやエンドウが渡来した。余談だが、天平七年~天平十年(735年~738年)に大流行した天然痘は、皮膚の膿疱の症状をエンドウの豆の形になぞらえて「豌豆瘡わんずかさ/えんどうそう」と呼ばれたという。
この頃には味噌や醤油の製造方法が伝えられ、鎌倉時代には各地でダイズの大規模な栽培が始まるに至った。
平安時代(9世紀ごろ)にはササゲが渡来している。
仏教伝来後には僧侶によって羊羮(ようかん)などの肉料理がもたらされる際に肉の代用として用いられたりしている。
そうして、江戸時代初期(17世紀)には中国からインゲンマメやフジマメが渡来し、江戸時代中期(18世紀)にはラッカセイが渡来している。


《縁起物として》

古くから、各種豆類が縁起物として扱われてきた。


本国に限らず、東アジア圏では赤色は、太陽、血を象徴し、邪気や魔を払う力があると信じられていた。
そのため、赤色をした小豆は邪気を払う食物として扱われてきた。
小豆をコメに炊き込んだ赤飯をハレの日に食べたり、お彼岸におはぎ/ぼたもちを食べるのもその風習の一部である。


2月3日の節分の豆まきには煎った大豆が用いられる。
この豆まきの風習は、「穀物は生命力と魔除けの呪力が備わっている」という信仰と語呂合わせの「魔目」に通じている。
(魔)に豆をぶつけることにより、「魔」を「滅」して邪気を追い払い、一年の無病息災を願うという意味合いがある。
また、煎り豆を用いる理由も「魔の眼を射る」に通じているという説や、煎る事で撒いた豆が発芽しないようにし「邪気が芽を出す」ことを防ぐ、といった説がある。


おせち料理にもよく豆が使われる。
ここで使われるのが多いのは黒豆(黒大豆)であろうか。
これも理由は語呂合わせで、「まめに暮らす」「日焼けして黒くなる程まめまめしく働く」といった願いが込められている。
余談だが、「健康・真面目・勤勉」といった意味の「まめに~」だが、これは豆とは関係ない。
ちなみに、漢字で書くと「忠実まめに~」である。



●豆カタログ●

ダイズ(大豆、Glycine max)

中国東北部が原産の一年草。
草丈は30㎝から90㎝に達し、葉は三出複葉で互生し、夏から秋にかけて茎の先端や葉腋から総状花序を出す。
花はマメ科特有の蝶形花で、白色もしくは薄紫色である。
豆の色は薄黄色であるほか、くすんだ黄緑色(青大豆)や黒(黒大豆)が知られている。
さらに、くすんだ緑色だが臍の部分が黒くなる「くらかけ豆」や、赤茶色の品種も知られている。
莢は短くてやわらかい毛でおおわれ、果実が熟しても残る。


種実を若いうちに摘み取ったものは、「枝豆」と呼ばれる。
「豆ちしきー。枝豆は大豆やねんで」
塩ゆでや炒め物、煮豆などの煮物やずんだ餡を作るのに用いられる。
また、日本各地にブランド枝豆も存在し、「茶豆」(「黒埼茶豆」や「だだちゃ豆」等)「毛豆」(「いたや毛豆」等)は、枝豆の一種である。
一方、熟した種実は「大豆」の名称で豆腐醤油、油揚げや味噌、納豆や大豆油に加工される。
酒の肴の「卯の花」こと「おから」は、豆腐を作るときに出た副産物である。


近縁は健康志向の高まりもあって、大豆に含まれるたんぱく質から作り出された、「植物肉」が人気を浴びている。
当初は独特のにおいがあって嫌われたが、技術の進化によりにおいを消すことに成功した。
また、種子をとった豆がらは燃料や肥料に用いられる。
大豆を収穫するために株を引っこ抜くと、根に数㎜程度の粒状のものが付着していることがある。
これは「根粒」と呼ばれる器官で、この中に「根粒菌」というバクテリアの一種が住んでいる。
「○○菌」というといかんせん何か植物の生育に悪い影響を与えるようなイメージが強いが、この「根粒菌」はさにあらず。
大気中の窒素をアンモニアに変換する「窒素固定」という働きをしていて、植物の生育に欠かせない窒素を供給する役割を果たしているのである。



インゲンマメ(隠元豆、Phaseolus vulgaris)

中央アメリカや北アメリカが原産の一年草。
わが国には江戸時代初期に中国・明代の僧侶の隠元が持ち込んだとされる*2
草丈は1mから1.5mで、茎がつる状になるもの(ツルアリインゲンマメ)とつる状にならないもの(ツルナシインゲンマメ)がある。
夏に、白またはピンク色の蝶型の花をつけ、晩夏から秋に長い莢の豆果をつける。
莢は普通緑色だが、紫色や黄色、黄色地にピンク色の虎皮模様が入るものなどがある。
莢が円柱形になるものと平たいものがあり、前者は「どじょういんげん」と呼ばれ、後者は「モロッコいんげん」と呼ばれる。


生育が早く、丁寧に管理すれば1年に3回種付け~収穫が出来るという。その上で栄養価が高い、肥料が少なくて済むなど、優れた栽培種である。



未熟な莢は「さやいんげん」の名称で利用されている。
さっとゆでてから天ぷらや炒め物、ピラフなどの炊き込みご飯類、煮物、汁の実や和え物、サラダ、カレー等々に調理される。
熟した豆はいわゆる腎臓型で、黒味を帯びた赤色(金時豆)や黒色(フリホル)、白色(手亡豆)、薄い褐色に赤褐色の模様が入る「虎豆」や「うずら豆」などの色合いがある。
煮豆やスープ、カレー、茹でてからサラダにするほか、同じく茹でたのち、裏ごししてから餡子にする。その他に甘納豆の材料の一つとして使われる。
メキシコ料理のフリホレス(いんげん豆の煮物、スペイン語でインゲンマメ)、ブラジル料理のフェイジャン(いんげん豆の煮物、ポルトガル語でインゲンマメ)など、各地で言語(生活)と重なる「いつもの料理」であり、なくてはならない大切な食材である。
また、インゲンマメの一品種で金時豆に似た「キドニービーン」という黒みを帯びた赤色の品種は、欧米諸国でポークビーンズなどの煮込み料理用の豆として利用されてきた品種である。
わが国では生産されていないが、缶詰が輸入食材店や通信販売で入手可能である。


種子はレクチンというたんぱく質系の毒素を含んでおり、これが失活するようにしっかり加熱しないと腹を壊すという注意点はある*3ものの、多様な栄養分を含む優れた食材。
特にイネ科の穀物の弱点である一部の必須アミノ酸を豊富に含んでおり、食べ合わせる事で健康を保つ事ができる。
中央アメリカの人々は2000年かそれ以前の古代からこれを経験的に知っており、
トウモロコシ加工品の主食とインゲンマメの煮物で命をつないできた。
また、同地ではトウモロコシとインゲンマメ、カボチャの三種を組み合わせた「三姉妹農法」も知られている。
これは、まっすぐ育つトウモロコシを支柱としてインゲンマメが育ち、窒素をトウモロコシやカボチャに共有する。
そうして、カボチャの蔓が地を這い、広がる葉で地面を覆い、インゲンマメやトウモロコシにとっての天敵である雑草と乾燥を防ぐという仕組みである。



ベニバナインゲン(紅花隠元、Phaseolus coccineus)

メキシコから中央アメリカが原産の多年草で、わが国には明治時代に渡来している。
当時は花を観賞用にするため栽培され、それ故「花豆」の名称で呼ばれた。
同属のインゲンマメとは異なり、地中にある塊根から芽を出して春に成長し、晩春に地上部が枯れ、翌春に再び芽吹くという多年草の性質を持つ植物である。
ただ、我が国の冬の低温には耐え切れずに株が枯死してしまうので、一年草の扱いを受けている。
冷涼な地域でないと結実しにくいので、わが国では北海道や東北地方、甲信越地方での栽培が盛んである。


豆果の莢はダイズのそれを大きくしたような形状で、表皮は短い毛が生えてベルベット状である。
この莢の内部には、腎臓型で、黒紫色地に淡い紫色の独特の模様が入る豆が入っている。
豆は煮たり、茹でてサラダにしたりして食する。
また、元々観賞用として渡来したので、蔓や葉の緑に映える朱色の花を生け花にして鑑賞することもある。
園芸品種として、朱色ではなく白い花を咲かせる「白花豆」もある。



ライマビーン(莱豆/葵豆、Phaseolus lunatus)

南米が原産の二年草で、我が国には江戸時代に渡来し、「アオイマメ」の名称で栽培された。現行の「ライマビーン」や別名の「リママメ」のそれぞれの名前の由来は、本種がペルーの首都・リマから世界各地に伝播したためである。
夏に大きな蝶型の白い花を咲かせ、花の後に長い楕円形の豆果をつける。
豆は、未熟なものは枝豆のように黄緑色だが、熟すとクリーム色地に焦げ茶色の独特の模様が入る。
古くから食用にされてきた豆だが、ファセオルナチン(リナマリン)という青酸配糖体を含むため、しっかり加熱してからでないと危険である。煮えた豆を指やスプーンでつぶしてみて、潰れればよく煮えているサインである。そうして、しっかり煮えたものを餡の材料や煮込み料理にする。また、若い豆も野菜として枝豆のように茹でてから食することができる。



エンドウ(豌豆、Pisum sativum)

中央アジアや地中海沿岸が原産地の一年草である。わが国には奈良時代に渡来している。
巻きひげを使って他の植物や支柱に絡みつきながら成長する。
葉は羽状複葉で、春に白色またはピンク色の蝶形花を咲かせる。


この種は「硬莢種」と「軟莢種」に大別される。
前者は若いうちから莢が硬いので、完熟した赤褐色の豆を蜜豆などの菓子の材料や、煮豆などで食用にする。
和菓子の蜜豆やあんみつなどの材料で有名な「赤エンドウ」はこのタイプである。
後者は若い莢を「絹さや」の名称で野菜として食用にする。
また、ある程度成長した豆はグリーンピースまたは「実えんどう」と称してスープや炒め物、煮物、炊き込みご飯チャーハンシュウマイの具材などにして食す。
さらに、この「グリーンピース」を完熟させたもの、いわゆる「青エンドウ」を砂糖などで甘く味付けして煮たものは「うぐいす豆」と呼ばれ、甘納豆など和菓子の原料になる。
エジプトのツタンカーメンの墓から出土したといわれ、濃い紫色の莢をもつ「ツタンカーメンの豌豆」という品種はこのタイプである。
また、発芽して間もない頃の芽やある程度成長した植物体の蔓の先端部分は「豆苗とうみょう」と称し、炒め物やスープにして食す。
ただ、あまり「豆苗」部分を収穫しすぎると成長点を摘んでしまうことになり、その結果肝心の豆が育たなくなることがあるので、現在は豆苗専用の品種も改良されている。
オーストリアの植物学者のグレゴール・ヨハン・メンデルが遺伝子の実験の材料に本種を用いたことでも知られている。



ササゲ(大角豆/豇豆、Vigna unguiculata)

アフリカのエチオピアが原産の一年草で、Vigna unguiculataは大まかに次の三者に分けることができる。
以下の三者とも、花は薄い青紫色の蝶型である。


A:蔓性で、莢の長さは30㎝~100㎝。
B:蔓性または蔓なしの矮性で、莢の長さは10㎝~30㎝。
C:蔓なし矮性で、莢の長さは10㎝程度。


この中で、Aに分類することができるのは「ジュウロクササゲ(Vigna unguiculata var. sesquipedalis)」である。
これは主に若い莢を野菜として利用するもので、前述のインゲンマメの「さやいんげん」と同様の要領で利用できる。
莢はふつう鮮やかな黄緑色だが、沖縄県で栽培される「フーロー豆」と呼ばれるものには、莢が赤紫色になるものがある。


Bに分類することができるのは、「ササゲ(Vigna unguiculata)」である。
こちらはもっぱら熟した赤茶色の豆を利用するもので、アズキのように赤飯や餡子の材料とする。
アズキと異なり、水に浸してから加熱しても豆の皮が破れにくい(=「胴切れ」を起こしにくい)。
その様子から、「切腹」を連想させやすいアズキの代わりとして武家社会のハレの日の食べ物に用いられた。
関東の一部では現在でも赤飯にはササゲを用いる。


Cに分類することができるのは、「ハタササゲ(Vigna unguiculata var. catjang)」である。
2本の莢が向かい合ってⅤの字状に実るのが特徴で、豆はササゲと同じ形状だが一回り小さい。
豆が黒褐色のものを「ハタササゲ」と呼び、豆が黄色に近い褐色のものを「ヤッコササゲ」と呼ぶ。
いずれも江戸時代には救荒植物として知られ、昭和時代(戦前)までは栽培されていたが、現在はほとんど畑の雑草と化している。
アメリカでは飼料作物として栽培される。



アズキ(小豆、Vigna angularis)

中国東北部原産。
我が国においては縄文時代後期に農耕が開始されたころに栽培されており、アズキの祖先と考えられる野生種のヤブツルアズキや、栽培化されたアズキの種子が縄文時代後期~弥生時代の遺跡から発掘されている。
やや蔓性で、8月から9月に葉腋に黄色い蝶型の花を咲かせる。
マメ類特有の形状の花だが、花の真ん中にある「竜骨弁」という部分がくるんと丸まったような形状になっているのが特徴的である。
豆は楕円形で、いわゆる「小豆色」と呼ばれる特有の赤茶色である。なお、沖縄県の宮古島で栽培されるものは豆が黒い在来品種である。
小粒であるが甘みがあり、まんじゅう・もなか・どら焼きたい焼き・あんパン・今川焼き地域によって名前が違いすぎて毎回論争が起きる、丸くて中にあんことかが入ったホカホカの和菓子…etcに入れる餡子、ぜんざい、お汁粉、甘納豆など菓子類に利用される。
また、コメに炊き込むこともあり、ハレの日の食べ物の赤飯や小豆粥の材料でもある。
また、カボチャなどの他の食材と一緒に煮る「いとこ煮」でも賞味される。



ヤエナリ(八重生/緑豆、Vigna radiata)

インド原産の一年草で、草丈は30㎝から1m程度。
茎はややつる状になり、三出複葉を互生する。夏に黄色の小型の蝶形花を咲かせ、細長い莢を多数つける。
種子はくすんだ緑色で「緑豆」や「ムング豆」と呼ばれ、発芽させたものが「もやし」として広く利用される。
また、デンプンを取り出して麺状に加工して乾燥させ、春雨の原料とするほか、餡や菓子の材料にも用いられる。
春雨は消化が良く、清涼感のある食材としてアジア各地で重宝され、スープや炒め物、和え物の具材にされる。
「ヤエナリ」という和名は、収穫時期が複数回にわたることに由来する。



ケツルアズキ(毛蔓小豆、Vigna mungo)

インド原産の一年草で、つる性または半つる性の性質を持つ。
葉は三出複葉で、黄色い小型の花をつける。
種子は黒色で、表面がやや光沢を持つ。
この豆を発芽させたものが「ブラックマッペもやし」であり、シャキシャキとした食感が特徴である。
また、インドではダール(豆の煮込み料理)の原料としても重要であり、煮込みや発酵食品にも利用される。



バンバラビーン(Bambara豆、Vigna subterranea)

アフリカ原産の一年草で、サハラ以南の乾燥地帯において重要な食料作物の一つである。
草丈は30㎝前後で、地表を這うように広がる匍匐性の茎を持つ。
葉は三出複葉で、地際に近い位置に黄色い蝶形花をつける。
受粉後、ラッカセイと同様に子房柄が地中に潜り込み、その先端で莢を形成するという特異な生態を持つ。
莢は地中で成熟し、内部に1~2個の種子を含む。
種子は丸みを帯び、白色・赤褐色・黒色など多様な色彩を示す。
栄養価が高く、タンパク質と炭水化物をバランスよく含むため、「完全食品」に近い性質を持つとされる。
利用法としては、煮豆や焼き豆、粉にして粥やパン状の食品に加工するなど多岐にわたる。
また、乾燥や貧栄養土壌でも安定して収穫できるため、気候変動への適応作物として近年注目されている。



モスビーン(Vigna aconitifolia (Jacq.) Marechal)

インドが原産の豆類。草姿は約40㎝と全体的に小型で、茎が蔓のように地面を這う。乾燥に非常に強く、黄色い花と深く裂けた葉を持つ。豆はササゲやアズキと同様に楕円形だが、直径は3mm~4mmほどで、明るい茶色である。
原産地では現在でも栽培が続けられており、数日間水に浸したうえで冷暗所で発芽させて「もやし」にしてサラダやスープの具材にするほか、煮豆にして食する。
さながら前述のケツルアズキと似た利用法である。
アメリカや中国雲南省、ボツワナやセネガルでは飼料用として栽培がみられるという。



ツルアズキ(蔓小豆、Vigna umbellata (Thunb.) Ohwi & H. Ohashi)

中国南部からベトナム、ラオス、タイの北部、ミャンマーとインドが原産で、インドシナ、中国南部、インド、ネパール、バングラデシュなどで栽培される。
全体的な特徴はアズキに似ているが、茎がつる状となることや、鞘が長くなること、そして豆がアズキよりも小さくなり、かつ細長くなることなどが異なる。おそらくはこの豆の形状からか、古くは「カニノメ(蟹の目)」と呼ばれた。
また、生育初期の双葉の形が、アズキはハート型なのに対し、本種は竹や笹の葉をおもわせるような細長い披針形である。このため、「タケアズキ(竹小豆)」と呼ばれることもある。
我が国においては、古くは何らかの原因でアズキが用意できなかった場合の代わりとして、赤飯などのハレの日の食べ物や餡用に栽培されていた。アズキよりも小さかったため、「バカアズキ」の名称でも呼ばれて利用された。しかし、現在はアズキの代替品としての存在意義が薄れてきたことで、栽培量や需要が減少した。
東南アジアでは現在でも利用され、米のようにそのまま炊いたり、また米と混ぜて炊いたりして賞味する。このため、Rice beanという英名でも知られている。



ソラマメ(空豆/蚕豆、Vicia faba)

地中海沿岸から西アジアが原産とされる一年草で、古代エジプト時代から栽培されてきた人類最古級の作物の一つである。
草丈は50㎝から150㎝程度に達し、太く直立した茎を持つ。
葉は肉厚でやや光沢があり、互生する。春になると、白地に黒と淡い紫色の斑紋が入る特徴的な蝶形花を葉腋に数個ずつつける。
豆果は厚みのある莢で、内部には大粒で扁平な豆が数個収まる。
莢が空に向かって立つように実ることから「空豆」と呼ばれる。


未熟なものは鮮やかな緑色で、成熟すると淡褐色に変化する。
未熟種子は塩ゆでや焼き物、揚げ物(単体でも、小エビなどの食材と合わせてかき揚げにしてもよい)などにして食され、独特の風味とほくほくした食感が春の味覚として親しまれる。
成熟種子は乾燥豆として利用され、中華料理には欠かせない調味料の豆板醤や、炒ってからお酒のおつまみの「いかり豆」にする。
なお、種皮が分厚くてごわごわしており特有の青臭さがあるため、調理前に皮を除くことも多い。
日本においてはこの皮ごと食べるのが好きという人も少なくないが、かなり人を選ぶのは間違いない。


豆(マメ科一年草の種子)はたいがいタンパク質系の毒素を含んでおり、生食すると中たる(前述のインゲンマメなどは激しい例)。
が、ソラマメの豆はそれとはやや異なる、ビシン(vicine)およびコンビシンという加熱でも失活しない有毒成分が含まれている。
この毒素は、幸いなことに日本人を含めた多くの人々にとっては分解できる毒素である。
しかし、地中海沿岸各地、北アフリカ、中央アジア各地などに住む人々の中にはこの毒素を分解する酵素を持っていない人が多い。
WW2後にイスラエルが建国された当初、ヨーロッパ各地に散っていたユダヤ系の人が同地に集まった際、メソポタミア地方で普通のものだったソラマメの料理を食べた人に重症中毒を起こした人が多くいた。
そういうわけで、同地域では有毒植物として知られている。
ソラマメの黒い部分が死のシンボルになった文化圏すらあるほどだ。



ナタマメ(刀豆、Canavalia gladiata)

熱帯アジア原産のつる性多年草であるが、日本では一年草として扱われることが多い。
草丈は2mに達し、太い蔓を伸ばして周囲の植物や支柱に絡みつく。
葉は大型の三出複葉で、夏に淡紅色または白色の蝶形花を総状につける。
最大の特徴はその莢で、長さ30㎝以上にもなる刀状の大型豆果を形成することから「豆」もしくは「豆」の名がある。


若い莢は柔らかく、野菜として炒め物や煮物、味噌漬けなどに利用される。
我々が一番目にするのは、莢を輪切りにした状態で福神漬けに入っているものであろうか。
ただ、その形は、鉈や刀というより、弥生時代の銅剣のようであるが…。
成熟すると白または赤褐色になる。
しかし、硬い上にたんぱく質系の毒素を含んでいて有毒であるから、そのままでは食用に適さない。
このため、焙煎して茶として利用されることが多い。
また、古くから民間薬としても利用されてきた経緯がある。



タチナタマメ(立刀豆、Canavalia gladiata var. erecta)

ナタマメの変種で、熱帯アジアを中心に栽培される一年草。
通常のナタマメがつる性であるのに対し、本種は比較的直立性(半つる性)を示し、草丈は1m前後に達する。
葉は大型の三出複葉で、夏に淡紅色または白色の蝶形花をつける。
莢は刀状で長大になり、内部に大型の種子を含む点はナタマメと共通する。
若い莢は柔らかく、野菜として炒め物や煮物、漬物などに利用される。
成熟種子はやや硬く、そのままでは食用に適さないため、焙煎して茶として利用されることが多い。
ナタマメと同様、民間的な健康食品として扱われることもある。



フジマメ(藤豆、Lablab purpureus)

インド原産のつる性多年草で、熱帯から亜熱帯にかけて広く栽培される。
葉は三出複葉で、夏から秋にかけて紫色または白色の美しい蝶形花を総状に咲かせる。
その姿が藤の花を思わせることからこの名がある。
余談だが、藤もマメ科なのでソラマメのような実が生る。
しかし、食べると耳が聞こえなくなる…のは迷信としても、食べ過ぎるとウィスタリンという成分のために下痢や腹痛を起こす*4ため、通常食用にはせず豆にはカウントしない。


莢は扁平でやや幅広く、未熟なものは黄緑色または紫色になる。
花が白く、また莢が黄緑色のものは「シロフジマメ」の名称で呼ばれることもある。
若い莢や未熟な豆は野菜として炒め物や天ぷら、胡麻和えなどで食用になるが、シアン化合物を微量に含むため、十分に加熱してから食べる必要がある。
観賞用としても栽培されることが多く、莢が紫色のものの完熟した莢は、秋の花材として用いられる。



シカクマメ(四角豆、Psophocarpus tetragonolobus)

東南アジア原産のつる性植物で、高温多湿な環境を好む。
草丈は2m~3mに達し、支柱に絡みついて成長する。現在はニューギニアや東南アジア、沖縄県並びに九州南部(鹿児島県)で野菜として栽培される多年草である。
本州でも家庭菜園用の野菜として栽培される。葉は三出複葉で、青紫色の花をつける。
莢は四つの翼状のひだを持ち、断面が四角形になる独特の形状をしている。
このため、英語圏ではWinged beanの名称で呼ばれる。若い莢はシャキシャキとした食感で、炒め物やサラダに適する。
また、若い莢だけでなく、熟した豆、花、地下のサツマイモのような形状の塊根(薄く切って揚げるとジャガイモのような風味があるという)まで食用になる極めて利用範囲の広い植物である。



ラッカセイ(落花生、Arachis hypogaea)

南アメリカ原産の一年草で、草丈は30㎝から60㎝程度。
わが国には江戸時代中期に中国やフィリピンを経由して渡来。
当時としてはこれまでの豆類の概念を崩す見た目であったため、「異国産の豆」という意味で、「唐人豆トウジンマメ」と呼ばれた。
黄色の蝶型の花を咲かせた後、受粉すると子房柄が伸長して地中に潜り、その先端で果実を形成するという特異な生態を持つ。
莢は網目状の殻に覆われ、その内部に種子が1~3個入る。
種子は脂質に富み、炒って食用とするほか、ピーナッツバターや食用油の原料としても重要である。
その他にチョコレート菓子やスナック菓子にも多用される。
また、未熟なものを塩ゆでにして食べる「ゆで落花生」も日本の一部地域で親しまれている。
沖縄県では「ジーマーミ」と呼ばれ、これを原料に作った豆腐「ジーマーミ豆腐」が知られる。


ミックスナッツの面子の定番であり英名もピーナッツであるが、狭い定義でのナッツ(種実類)には含まれない(とりわけ、地中に実る性質がナッツとは異なる点)。
……が、素知らぬ顔してミックスナッツの一員として入り込んでいる



ヒヨコマメ(雛豆、Cicer arietinum)

西アジア原産の一年草で、乾燥に強い性質を持つ。
草丈は30㎝から60㎝程度で、白色または淡紅色の花をつける。
種子は薄橙色で丸く、突起がある独特の形状で、ヒヨコの頭部に似ることからこの名がある。
茹でてから煮込み料理やペースト(フムス)として利用されるほか、粉にしてパンや菓子に用いられる。
栄養価が高く、世界的に重要な食材である。
ただ、我が国の高温多湿な気候は本種の生育に向いていないため、経済的な栽培は皆無に等しく、ほぼ100%を輸入に頼っており、家庭菜園程度の栽培しかない。



レンズマメ(扁豆、Lens culinaris)

西アジア原産の一年草で、人類最古の栽培植物の一つとされる。
草丈は30㎝前後で、細い茎に小さな葉をつける。種子は扁平な円盤状。
鉄分やタンパク質が豊富で、保存性にも優れるため、古来より重要な食料とされてきた。
平べったいその形状は乾燥品をいきなり煮込んでも火が通るほど加熱調理が容易
(他の豆の乾燥品は、水に漬けてもどすなどの手順を経ないと調理が厳しい)
で、スープやカレーなどの煮込み料理に適する。


なお、光学用途で使われる「レンズ」の語源は、このレンズマメである。
開発当初の凸レンズは、本種の豆の形状によく似ていたことから、本種の学名にちなんでLensと呼ばれたのである。豆の方が先なのだ。



クラスタマメ(瓜尔、Cyamopsis tetragonoloba)

インド原産の一年草で、乾燥地でもよく育つ。
草丈は1m前後で、細長い莢を多数つける。
種子にはガラクトマンナンを多く含み、これを精製したグアーガムは増粘剤、増粘安定剤、ゲル化剤として広く用いられているとして広く利用される。
また、原産地のインドでは若い莢をインゲンマメ(さやいんげん)のように野菜として利用し、カレーやサブジ(野菜の炒め煮)に調理して食べる。



ハッショウマメ(八升豆、Mucuna pruriens var. utilis)

熱帯アジアが原産で、我が国には江戸時代に渡来し、温暖な太平洋沿岸で栽培されていた。
近年はほとんど経済的な栽培がなくなっており、各地で経済的な栽培の再開の動きがみられつつある。
茎は蔓状となり、長さは15m以上になる。
葉は3出複葉で、小葉は卵型となる。夏に円錐花序を葉腋から出し、白色や紫色の蝶型の花を咲かせる。
莢は完熟すると黒色に変色し、表面は白いビロード状の毛でおおわれる。
この莢をうっかり素手で触ってしまうと、ビロード状の微細な毛が手に刺さり、激しいかゆみを引き起こすので、収穫の際にはゴム手袋が必要となる。
莢の中には5個から7個の豆が入る。豆は乳白色で、臍部分が隆起している。豆を煮てきんとんや餡にして食する。
和名は八升(約12㎏)とれるほど豊作であることに由来するとも、元々八丈島で栽培されており、「はちじょうまめ」と呼んでいたものが訛った者ともいわれている。
マダガスカルでは「ムクナ」と呼ばれ、前述の特性から先生の椅子に莢を仕込んで授業を中断させるという悪戯に使用されるとか。
熊本県山鹿市のアイラトビカズラ(M.sempervirens)は樹齢1000年と推定され、国の特別天然記念物に指定されている。



ガラスマメ(硝子豆、Lathyrus sativus)

地中海沿岸から西アジア、インドにかけてが原産とされる一年草で、乾燥や痩せ地に対する耐性が非常に高い。
植物学上でいえば、花を観賞用にするスイートピーに近縁の種である。
草丈は30㎝から100㎝程度で、細い茎が半ばつる状に伸び、他の植物に絡みつきながら生育する。
葉は羽状複葉で、先端は巻きひげとなる。春から初夏にかけて白色や淡青色の蝶形花を咲かせる。
莢は細長く、その内部に角ばった豆を数個含む。この豆の形状が砕いたガラス片に似ているため、「グラスピー(Grass pea)」という英名で呼ばれ、それが和訳された。
豆は灰褐色や淡黄色を呈し、乾燥地帯では貴重なタンパク源として古くから利用されてきた。
煮込み料理や粉にしてパン状に加工されるなど、利用法は多岐にわたる。
しかし本種の種子には神経毒性を持つ「オキサリルジアミノプロピオン酸」というアミノ酸が含まれており、これを長期間大量に摂取すると下肢麻痺などを引き起こす「ラチリズム」と呼ばれる神経障害を発症することがある。
このため、よく水に浸したり、ゆでこぼしたりするなどの処理を施して毒性を低減させる工夫が行われてきた。しっかりと水に浸したうえで、かつ他の食材と一緒に調理して食べれば危険性はほとんどないが、この毒抜き処理の際に栄養分が多く失われ、これを常食すると今度は栄養失調となりがちとなる。
また、干ばつとなると、他の食材はおろか、その豆を浸すために必要な水すらも不足する。そうして、生き残るためにやむなくこの豆を食べるわけだが、処理をする間もなくそのまま食べることとなり、中毒症状に苦しめられることになってしまうというわけである。しかも、ラチリズムに罹患するのはたいていが一家の働き手であったという。
極限環境下で人命を繋いできた「救荒作物」であると同時に、扱いを誤れば健康被害をもたらすという、功罪併せ持つ豆である。
現在は毒性を抑えた品種が開発されているが、従来のものより耐病性が弱まり、収穫量も減ってしまっているという。
そもそも本種はあくまでも「救荒作物」であって、本腰を入れて栽培するような作物ではない。
そのため、本種を栽培する大多数の農民には新品種を購入する資金も必要性もない訳で、改良種の普及はいまひとつといったところである。



イナゴマメ(蝗豆、Ceratonia siliqua)

地中海沿岸地域が原産の常緑高木で、乾燥した温暖な気候を好む。
樹高は10m前後に達し、厚く光沢のある羽状複葉を持つ。花は小型で目立たないが、秋から冬にかけて開花する。
果実は長さ10㎝から20㎝ほどの扁平な莢で、内部には甘味の強い果肉と硬い種子が含まれる。
この果肉部分を乾燥・粉砕したものが「キャロブパウダー」として利用される。
カフェインを含まず、ココアに似た風味を持つことから、チョコレートの代用品として菓子や飲料に用いられるほか、健康志向食品としても注目されている。
また、種子は非常に重量が安定していることから、宝石の質量単位「カラット」の語源になったともいわれる。
『新約聖書』にも登場。
その頃の時代には豆の収穫後、甘味のある莢は子供たちのおやつにされたほか、家畜の飼料でもあった。
ヨーロッパの多くの言語ではこの事実にちなみ、本種の莢を「洗礼者ヨハネのパン」と呼び、この莢を粉にひいたものを増粘剤として用いる。



ネジレフサマメノキ(捩房豆木、Parkia speciosa)

東南アジア原産のマメ科高木で、熱帯雨林地域に自生する。
樹高は20m以上に達し、大型の羽状複葉を広げる。
花は球状に密集した特徴的な花序を形成し、独特の外観を持つ。
果実は長い莢でやや捩じれた形状になり、内部に大きな楕円形の豆が並ぶ。
豆は鮮やかな黄緑色で、ニンニクネギのそれに近い独特の強烈な臭気を放つことから、英語では「スティンクビーンズ(臭い豆)」とも呼ばれる。
しかし、現地ではこの強い風味が好まれ、生食や炒め物、発酵食品として広く利用される。
栄養価も高く、タンパク質やビタミンを豊富に含む。
その一方で、においの強さから好みが大きく分かれる食材であり、初見では敬遠されることも多いが、慣れると癖になるとされる。



キマメ(木豆、Cajanus cajan)

インドを中心とする南アジア原産の低木状多年草で、熱帯・亜熱帯地域で広く栽培される。
草丈は1mから3m程度に達し、やや木質化した茎を持つ。
葉は三出複葉で、裏面には細かい毛が生える。
花は黄色地に赤褐色の斑紋を持つ蝶形花で、総状に開花する。
莢は細長く、内部に数個の種子を含む。
種子は未熟なものを野菜として、成熟したものを乾燥豆として利用する。
インドではダール(豆の煮込み料理)の主要原料の一つであり、カリブ海地域やアフリカでも重要な食材である。
乾燥に強く、やせ地でも生育可能なため、持続的農業においても重要視されている。



ゼオカルパマメ(Macrotyloma geocarpum)

西アフリカ原産の一年草で、乾燥地帯に適応したマメ科植物。
草丈は20㎝から60㎝程度と低く、地表近くを這うように成長する。葉は三出複葉で、小型の蝶形花をつける。
本種はラッカセイやバンバラビーンと同様に、受粉後に子房柄が地中に潜り込み、その内部で豆果を形成するという地下結実性を持つ点が特徴である。
種子は小型で丸みを帯び、褐色から暗色を呈する。
栄養価が高く、タンパク質と炭水化物をバランスよく含むため、地域によっては重要な食料資源となっている。
しかし栽培規模は限定的で、主に自給的農業の中で利用されることが多く、国際的にはあまり知られていない作物である。
また、現在でも本種の栽培は続いているが、ラッカセイと比較して収量および換金性が劣るため、栽培は減少傾向にある。



ルピナス(羽扇豆、Lupinus spp.)

南北アメリカおよび地中海沿岸を中心に分布するマメ科ルピナス属(和名のハウチワマメ属で呼ばれることも)の植物の総称。
一年草から多年草まで多様な種が存在する。
草丈は30㎝から1m程度で、掌状複葉の葉を広げ、早春~春の盛りに総状の美しい花序を形成する。
観賞植物としても広く栽培される。
種子は豆状で、古くから食用とされてきたが、多くのルピナス属の種の豆にはアルカロイド系の苦味・毒性成分が含まれるため、長時間の浸水や加熱などの処理によってこれを除去する必要がある。
ルピナス属の中でも毒性が低い*5シロバナルピナス(L.albus)は食用品種として利用されることも。
大豆アレルギーを持つ人々への代替食品やスナックとして地中海地域や南米で親しまれている。
栄養価が高く、タンパク質を豊富に含むことから、近年では健康食品や植物性タンパク源としての利用が注目されている。



ヤブマメ(藪豆、Amphicarpaea edgeworthii)

我が国や中国を原産とするつる性の植物。
我が国においては北海道から九州において分布がみられるほか、インド、韓国、ロシア、ベトナムでも生息が確認されている。
葉脇から総状花序を出して、少数だが花弁がない薄い紫色の閉鎖花をつける。
更にこの閉鎖花は地上部だけでなく地下にも咲き、まるで前述のラッカセイのように地下でも果実が育つ。
地上部にできる果実(豆果)の莢には3つの豆が入っており、地下にできる果実の莢には1つの豆しか入っていないが、ひと粒の大きさは地下にできるものの方が大きいとされている。
アイヌの人々は地下の果実を「アハ」または「エハ」と呼び、米や粟に混ぜて炊くことで食用としてきた。
収穫時期も、ラッカセイのように秋に地上部が黄色く枯れてから掘り起こす場合や、冬を越させて翌春に土から掘り出す場合の両方があった。
冬越ししたものの方が甘味が濃いとされていたのである。



モダマ(藻玉、Entada tonkinensis)

「世界最大の豆」として知られる蔓性の木本植物である。アフリカからアジアの熱帯や、亜熱帯の地域の海岸、マングローブ林に生息し、わが国においては奄美大島などに生息している例が知られている。また、莢の形状が面白いので、各地の植物園や博物館で展示されることもある。
果実が海を漂着する様子を、「これは海藻に由来するものだ」と考えられたことから「藻玉」という名前が付けられた*6
幹はつる性で、捩じれる。樹高は3mほどに達し、全長1m程度の巨大な平たい莢をつける。莢は節があり、一つの豆が入っている部分ごとにくびれるのが特徴である。豆は平たい形状で黒味を帯びた褐色であり、直径5㎝程で光沢がある。
この豆はとても硬いうえ、有毒なので食用にはされない。その代わり、印籠や楊子入れに加工するほか、磨いて幸福を祈るためのお祈りや置物にする。



トウアズキ(唐小豆、Abrus precatorius)

東南アジア原産の蔓性の小高木。
我が国では沖縄県の八重山諸島で野生化している個体がみられるほか、植物園で栽培される。
樹高は3mから5mほどで、葉は偶数羽状複葉で10対~20対の小葉からなる。
葉腋から短い花柄を出して総状花序をつけ、その花序は薄紫色の蝶型花からなる。
花の後には長方形の全長4㎝程度の豆果をつけ、その莢の内部には3個~7個程度の豆が入っている。豆は赤くて光沢があり、基部が黒くなる。
この種子は見た目が美しいので、装飾用ビーズやネックレス、お数珠、マラカスなどの楽器の材料に使われた。
古い時代のインドでは、本種が金の重さを図るための標準的な目方として用いられたという。


本種は「アブリン」という有毒成分が含まれることで知られる。
摂取すると嘔吐、悪心、腹痛、下痢、溶血、血尿、発熱、痙攣などの症状を引き起こし、ひどい場合は呼吸不全により死に至ることもある。
この豆に含まれている有毒成分は、トウダイグサ科の有毒植物・トウゴマ(Ricinus communis)に含まれる「リシン」という毒素*7よりもさらに強力であるといわれる。
毒性は煮るとなくなるともいわれるので、アフリカやインドで食用にされることもあるが、多量に食べると頭痛が起こるといわれるため、食用にするべきではない。
致死性の高い有毒植物であるが、中国では本種の豆を「相思子そうしし」と呼んで駆虫、頭痛、皮膚病の薬とする。



カラバルマメ(Physostigma venenosum)

アフリカ西岸のカラバル地方を原産とするつる性の多年草で、系統としては、前述のフジマメに近いとされる。
草姿はインゲンマメに似ていて、蔓の長さは15m内外に達する。花の形状はマメ科の花によくあるような蝶型ではなく、勾玉のような湾曲した独特の形状が特徴で、色は鮮やかなピンク色である。開花後に薄茶色の先端の尖る楕円形の莢をつけ、莢の内部で楕円形のこげ茶色の豆が熟す。
この豆は猛毒の「フィゾスチグミン」というアルカロイドを含んでいる。誤って食べると、フィゾスチグミンが神経ガスのような働きをし、神経と筋肉の間の交感に作用する。
その症状として、大量の唾液分泌、吐き気、嘔吐、下痢、食欲不振、めまい、頭痛、胃痛、発汗、消化不良、てんかんの発作を経験し、ひどい場合にはそのまま命を落としてしまうことすらあるという。
古代のナイジェリアでは、本種の豆を神明裁判の道具として利用してきた。死の危険がある猛毒の豆を被告に食べさせるという裁判のやり方は、遠回しな死刑宣告のように感じられなくもないが、そこには次のような仕組みがある。
まず、「自分は明らかに無実である」と胸を張って言える被告人は、本種の豆を一瞬で飲み下す。そうすると、嘔吐の症状が発生して、豆は吐き出されてその被告は命が助かり、無罪であることが証明される。
一方、やましいことがある被告人は死を恐れ、この豆をゆっくりちびちびとごくわずかな量だけ噛んでいくのだが、これはむしろ死を早める結果にしかならない。その行為は、こなれた劇毒を徐々に摂取しているのと同じことになるのだ。
前述のように、猛毒を持つ本種であるが、豆は瞳孔縮小や眼圧下降のための薬ないしは鎮痙薬として用いられる。

●豆にまつわることわざ・慣用句・比喩表現…etc●

  • 炒り豆に花が咲く

ありえないことが起きること。
また、勢いが衰えていたものが復活することも意味する。


  • 影裏の豆もはじけ時

日陰で育った豆でも熟す時期が来れば莢がはじけてくるように、だれでも年頃になると、男女の情に目覚めるということ。
また、物事が成功するにはそれなりの時間が必要であり、その時がくれば自然に達せられるということ。
同様の意味合いで「豌豆は日陰でもはじける」「蚕豆は日陰でもはじける」など、様々な言い回しがある。
また、「日陰の豆も時が来ればはぜる」ということわざもあるが、そちらは「人より成長が遅れていても年ごろになれば一人前になるから心配は要らない」と、励ます意味合いが込められており、ニュアンスがやや異なる。


  • 戸板に豆

戸板に置いた豆が転がっていくように、すらすらと早口でしゃべることのたとえ。
また、戸板に豆を置いてもすぐ転がって行ってしまうように、思うようにならないことをたとえて言う場合にも用いる。
類語表現:立て板に水


  • 這っても黒豆

自身の間違いを頑なに認めないこと。
黒くて丸みを帯びた小さな物体を目の前にして「これは黒豆だ」「いや虫だ」と言い争い、そのうちにその黒いものが動き出して、虫だと明らかになってもなお「これは黒豆だ」と言い張り続けたことから。


  • 鳩が豆鉄砲を食ったよう

おもちゃの豆鉄砲で撃たれた鳩が、突然のことにびっくりして目を丸くしている様子から、突然の驚き、きょとんとした顔つきになる様子を言う。


  • 鳩を憎み豆を作らぬ

畑の豆をついばむ鳩を憎がって豆を栽培するのをやめてしまい、その結果自身が飢えることになってしまう。
そこから転じて、ほんの些細なことにこだわって本来すべき大事なことをおろそかにしてしまい、自身や世間に損害をもたらすことのたとえ。


  • 豆を煮るに豆がらをく(煮豆燃萁)

兄弟や仲間同士で互いを傷つけあったり争ったりすること。
時は三国時代の魏の王朝。曹操の子に曹丕曹植の兄弟がいた。父親の没後、曹丕が皇帝に即位したが、彼は弟の才能を妬み、弟が謀叛を起こすことを恐れ、厳しく弟を監視した。
ある日、曹丕は曹植に「私が七歩歩く間に詩を作れ。できなければ罰を与える」という無理な命令を下した。
この時、曹植が詠んだのが、兄弟の争いを、釜の中の豆とそれを煮るための燃料の豆がらにたとえ、同じ家に生まれて血を分けた兄弟が争うことの虚しさと悲しさを訴える詩であった。


煮豆燃豆萁豆を煮るのに豆がらを燃やし
豆在釜中泣豆は釜の中で泣いています
本是同根生もともと同じ根から育ったのに
相煎何太急なぜそんなに激しく燃えるのか


曹丕はこの詩を聞いて自身の弟への振る舞いを深く恥じ、弟を罰することはしなかったという。
余談だが、この逸話は原典の『三国志』にはなく、魏晋南北朝時代に編まれた『世説新語』にのみ記載されているので、創作の可能性が高いことが指摘されている。


  • 豆泥棒

言葉通りの意味ではなく、「服役中の極道の妻を寝取って脅迫して金を奪う」という一種のヒモ行為。
ここで言う豆とは女性器の陰核の隠語。
極道界隈では最低最悪のゲス行為、ご法度中のご法度とされ、この禁忌を犯してしまった者は報復で殺されても仕方がないとされるほどだという。


  • 渡辺正行

クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』や『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』の頃、「マメ~!!」という一発ギャグを持ちネタにしていた。
これはハウス食品のジャックという100%豆スナックのCMに当時出演していたのが元ネタ。


  • 豆しば(MAMESHIBA)

豆と犬の特徴を併せ持つ謎の存在。厳密には犬でも豆でもない。
豆が使われている料理を食べている人間の下に料理の中から突然現れ、およそ食事中の話題に相応しいとは言い難いお下品な知識を伝授して来る。




「誰が豆つぶドちびかーーーーッ!!!」

そこまで言ってねえー!!




追記・修正は豆ごはんを炊き上げてからお願いします。




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  • ???「誰が豆つぶドちびかーーーーッ!!!」 -- 名無しさん (2026-04-01 19:55:46)
  • レンズに似ているからレンズマメなのではなく、レンズマメに似ているからレンズなんじゃなかった? -- 名無しさん (2026-04-01 20:15:36)
  • 「豆は栄養あるんだ。豆食ってりゃ、人間死にやしねえんだ」(ある強欲武器商人の言葉) -- 名無しさん (2026-04-01 20:18:13)
  • 豆時雨 -- 名無しさん (2026-04-01 20:44:50)
  • 数ヶ月間も豆だけのスープで暮らしたことがあるの? -- 名無しさん (2026-04-01 21:05:51)
  • 根粒菌!根粒菌!根粒菌! -- 名無しさん (2026-04-01 23:30:20)
  • それはきっと孫の必殺技豆豆フラダンスのせいじゃな! はぁ~ま~め~ま~め そんな必殺技ねぇよ!! -- 名無しさん (2026-04-02 00:45:08)
  • 失礼ながら隠語の方かと思ってしまいました… -- 名無しさん (2026-04-02 06:24:24)
  • tankette(タンケッテ)を「豆戦車」と呼んでいるのは日本だけで、海外でBean Tankなどと呼ばれているわけではない -- 名無しさん (2026-04-02 10:41:24)
  • ↑9(;・w)<わーっ!兄さん落ち着いて!!!兄さーん!! -- 名無しさん (2026-04-02 12:06:34)
  • 実にマメに書かれた良い記事 -- 名無しさん (2026-04-02 13:51:39)
  • 小、中学校の給食で豆が嫌いな同級生が多かったが、そんなに食べるのが嫌なものなのかなといつも疑問だった -- 名無しさん (2026-04-02 15:20:15)
  • ピタゴラスは豆が嫌いすぎて死んだって話もあるな たしか豆畑に入るの嫌がって追われてた兵士に捕まったんだったか -- 名無しさん (2026-04-02 17:53:36)
  • 大豆とシーチキンとニンジンを入れた、しょうゆ味の炊き込みご飯が好きな給食メニューだったんだよね。 -- 名無しさん (2026-04-02 20:35:57)
  • ???「仙豆だ、食え」 -- 名無しさん (2026-04-02 21:35:43)
  • GO空伝のオリジナル妖怪に『豆(マーメ)イド』ってヤツが居たなwww -- 名無しさん (2026-04-02 21:56:16)
  • 日本の食卓に欠かせないものとは思えないほど大豆の自給率は低い。日本で育てるのに向いてない作物がよく日本の食文化の中心になったもんだな -- 名無しさん (2026-04-02 22:53:42)
  • 「壮絶な...色気ぇ」 -- 名無しさん (2026-04-03 06:37:58)
  • ↑14松野氏によると「具が豆だけスープという意味じゃなくて豆のダシスープ(しかも出涸らし)」というものらしい。そりゃ一揆おこすわ。 -- 名無しさん (2026-04-03 13:19:04)
  • こんなに優れた食品なのにアメリカ国内ではさほど消費しないという -- 名無しさん (2026-04-03 19:59:17)
  • ハリーポッターに登場するパブ「漏れ鍋」の豆のスープって美味しいのかな? -- 名無しさん (2026-04-03 20:12:07)
  • ヤブ豆も追加して欲しい(自分で書いてもいいけど色指定どうしたらいいのかわからないので) -- 名無しさん (2026-04-03 20:42:46)
  • ぽこあポケモンじゃハンバーグの材料と化していた。そりゃ畑の肉だけどさあ -- 名無しさん (2026-04-04 14:48:09)
  • 曹丕と曹植の話がより詳しくなって助かる -- 名無しさん (2026-04-04 16:01:54)
  • ↑5 メキシコの影響を受ける南部州ではご家庭でも豆料理やるらしいが… まあ、食文化が多様すぎますわな -- 名無しさん (2026-04-04 16:34:07)
  • なんとも珍しい豆推しのゲーム「マリオ&ルイージRPG」。 -- 名無しさん (2026-04-04 23:19:41)
  • 窒素固定のこと書きたいけど文章がまとまらん -- 名無しさん (2026-04-04 23:37:06)
  • ↑ たたき台を追記してみたので修正してくんなもし -- 名無しさん (2026-04-05 12:54:22)
  • 「豆腐に鎹」は豆関連というより、豆腐関連だと思うので、豆腐の項目に移動させました -- 名無しさん (2026-04-14 10:35:47)
  • ナッツ、ラッカー、まめおじさん、あずきういろう、そらまめおばさん(それいけ!アンパンマン)            -- 名無しさん (2026-05-31 06:49:30)
  • しかしまあ、「腹の減る項目」は追記修正の進みが早い。アニヲタWiki籠もりも食い意地は張っているらしい -- 名無しさん (2026-07-12 20:51:43)

#comment

*1 他の植物にもこれを持つものがいるが、現代の地球で一番大規模に窒素固定をしているのはマメ科の面々だと考えられている
*2 異説もあり、隠元が持ち込んだマメはフジマメではないかともされる。植物学者の牧野富太郎はこのフジマメ説を採用している
*3 わが国でも、2006年に「完熟したインゲン豆を軽く炒り、粉状にしてご飯に振りかけて食べる」というダイエットの方法が紹介され、実行した約150名が嘔吐や下痢といった食中毒の症状を引き起こした例が知られている
*4 この作用を生かしてごく少量の種子を下剤にすることもあるが、さじ加減が難しいのでむやみに試すべきではない
*5 ただし、ほかの豆と比べて毒性は強いので、長時間水に晒すなどの毒抜き処理が必要
*6 ちなみに「玉藻」は藻の美称であって無関係
*7 青酸カリの数百倍の強さを誇るとされる。1978年にブルガリア人ジャーナリストの暗殺に用いられた例が知られている

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