かまいたちの夜2_監獄島のわらべ唄

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かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄(かまいたちのよる2 かんごくじまのわらべうた)は、チュンソフトから発売されたゲームソフト。2002年7月18日にプレイステーション2用のアドベンチャーゲームとして発売された。

チュンソフトのサウンドノベル第4弾。前作『かまいたちの夜』を劇中劇のような位置づけとしている。 次作は、本作の続編である、「かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相」。

目次

作品解説[]

脚本は前作に引き続き我孫子武丸(脚本執筆はサブシナリオ「わらび唄編」「ラブテスター編」のみで、脚本監修をメインとしていた)、それに加え牧野修(サイキック編・陰陽編・洞窟探検編・惨殺編など)、田中啓文(わらべ唄編・底蟲村編など)。総監督は落合信也。

ゲーム中流れる音楽の一部は前作の音楽のアレンジだが、新規の音楽は東儀秀樹、パッパラー河合、羽毛田丈史が担当。美術監督は種田陽平。また、テレビ局であるTBSとタイアップを行って2時間テレビドラマ『かまいたちの夜』(内容はゲームと直接関係無し)を7月3日に放送し、本作の初回限定版スペシャルBOX同梱のDVDビデオにドラマの全編を収録している。 

最初にプレイする殺人事件が題材の「わらべ唄篇」の正規エンディングを見ると「底蟲村篇」、「陰陽篇」、「サイキック篇」が追加。それらのエンディングを見ると前作に引き続きピンクのしおりが出現し、「ぼくの青春篇」、「ぼくの恋愛篇」、「官能篇」、「わらび唄篇」が追加。その後黒のしおりが出現し「妄想篇」、「洞窟探検篇」、「惨殺篇」が追加される。

前作同様どのシナリオをプレイするかで各キャラクターの設定は大幅に異なり、サイキック篇では真理の視点で物語が進むことになる。

最初のわらべ唄篇を筆頭に前作の話を下敷きにしている話が少なくないが、予備知識なしでも楽しめる。但し、その後出てくる話の中にはパロディとなっていて前作のあらすじを知らないと理解の出来ないシナリオ等もある。妄想篇は特に前作との繋がりが深く、前作をプレイしていないと意味が全く分からない可能性があるので注意が必要である。

前作と同様に多シナリオ形式を採用しているが、シナリオ間にゆるい関連性や設定の共有などが見られ、全体像としては前作とは若干異なる作りであるといえよう。また「惨殺篇」「陰陽篇」は非常に暴力描写が激しく、「官能篇」は性的描写がシルエットでも分かる程鮮明である。

波の表現に使われたループムービーはアニメーションではおなじみの手法だが、実写映像によるものは目新しく、つなぎ目を意識させない合成は雑誌『ファミ通』、TV番組『ゲームWAVE』等で紹介され評価された。

CDドラマかまいたちの夜2 オリジナルストーリー・ドラマCDが発売されている。

前作と比較した良い評価[]

テンプレート:出典の明記ハードの性能が向上したことで、グラフィックレベルも飛躍的に向上し、サウンドノベルにおける要の一つである高品質な画像をプレイヤーは堪能することができた。

サウンドノベルというゲーム上、一番重要とされるシナリオに関しては、行動のほぼ全てがペンション内部にとどまった、『箱庭型ドラマ』だった前作に比べると、舞台となる三日月館の他に、人造湖や底蟲村など行動範囲が広がったことで、ストーリーに冒険的要素が加わり、より高い臨場感を演出した。

また、前作は中断した場所、物語のはじめから、各章のはじめから(エンディングを迎えた時のみ)しかプレイができず、全てのエンディングを見る為には同じところを何度も読まなくてはならなかった。その為、ライトなプレイヤーはピンクのしおりにする前に飽きてしまうことがあった。
しかし今作は、既読した場所ならいつでもどこへでもリープできる為、利便性が飛躍的に向上し、コンプリートも行いやすくなり、プレイもしやすくなった。

前作と比較した悪い評価[]

テンプレート:出典の明記ストーリーがグロテスクでかつ猟奇的で残酷なものが多い為、万人が楽しめるゲームではなくなった。
(「登場人物全員が殺人に快感を覚え、皆で殺し合う。」「蜘蛛に卵を産み付けられ、人間の穴という穴から子蜘蛛が溢れ出る。」等)

シナリオの結末が、前作では「犯人を推理し、事件を解決する」「彷徨える霊を成仏させる」というゲームをプレイする上での「敵を倒す」というカタルシスに直結するものであったのに対し、今作では「邪神が復活し、この世に厄災をもたらす」、「自分以外全員殺され、復讐を糧に生きる」等がベストエンディングの為、そういったコンセプトはなく、中途半端で後味の悪い結末が非常に多い。

前作では犯人を指摘し、トリックを解き明かすタイミングが3度あり、ベストエンディングの種類も、早期解決により被害者を減らすことができた。
しかし今作は、やはり犯人指摘の場面が3回あるものの、1.2回目で当てても動機やトリックが解明されず、ベストエンディングにならない為、ゲーム性が低くなった。
また3回目は、バッドエンドが存在するキャラクター以外なら何度も犯人指摘をリトライすることができ、ゲームの難易度を大きく下げている。

その他として、「現実に存在するペンションを舞台とした前作と比べ、実写とCGを取り合わせて創造した無人島が舞台となる本作では、臨場感の点において引けをとる」、「脚本は我孫子が続けるべきだった」、「意味不明でシュールすぎる展開や、話の前後が繋がらないバットエンドに突入することが良くない」という意見がある。

登場人物[]

矢島透(やじま とおる)主人公。21歳の大学生。普段は冴えないが、いざという時に鋭い推理力を発揮する。真理とは友達以上恋人未満?の間柄。小林真理(こばやし まり)透のガールフレンド(文字通りの女友達)。才色兼備で、スタイルも抜群。歴史・宗教・時事などに人並み以上の知識がある。大学時代は民俗学を専攻していた。好奇心旺盛で気が強い。小林二郎(こばやし じろう)真理の叔父。45歳。脱サラし、長野で妻の今日子と一緒に「シュプール」というペンションを営む。料理の腕は超一流。招待された訳ではなく、勝手に真理についてきた。趣味は釣り。久保田俊夫(くぼた としお)「シュプール」の元アルバイター。現在はスポーツ用品メーカーで働いている。スキーを初め、スポーツが大好き。身長184cmで色黒のスポーツマン。思いやりがあり、行動力もある。久保田みどり(くぼた みどり)「シュプール」の元アルバイター。俊夫と結婚した。旧姓は「篠崎」。現在は俊夫と同じスポーツ用品店の事務員として働いている。ポニーテールで、スポーティーな外見。年齢は不詳。渡瀬可奈子(わたせ かなこ)19歳のOL。美人だが、キツい性格。会社では受付嬢の仕事をしている。啓子とは同僚で、親友。サイキック篇では、田嶋 可奈子という名前になる。北野啓子(きたの けいこ)可奈子の同僚。食欲旺盛のぽっちゃり体型。可奈子とは正反対のおっとりした性格だが、不思議と馬が合うらしい。美樹本洋介(みきもと ようすけ)32歳のフリーカメラマン。髭面でワイルドな風貌。地方の伝承や風習などに非常に詳しい。香山誠一(かやま せいいち)大阪の不動産会社社長。55歳。金儲けの話には目が無いが、どこか憎めない中年の男性。前作に登場した妻の春子とは離婚しており、現在は夏美と結婚。小林二郎の恩人でもある。大学では国文学科を専攻しており、卒論は『勝者の物語としての古事記』。中学時代はバトントワラーズにやっており、高校時代は柔道をやっていた、さらに関西記憶力連盟の副会長を務めていたという実績があるというが、真偽は不明。香山夏美(かやま なつみ)香山誠一の後妻。茶髪と濃い化粧でかなり派手。関西弁が特徴。勝気でさっぱりとした性格。顔に似合わず博識。サイキック篇では、米倉夏美という名前になる。正岡慎太郎(まさおか しんたろう)ゲームプロデューサー。31歳。かなりの女好きで、女性に対して馴れ馴れしく接する。閉所恐怖症。村上つとむ(むらかみ つとむ)自称「大物作曲家」。41歳。プライドが高く、沸点が低い。事あるごとに大声を出す傾向にある。ピアノが非常にうまく、聴く者を涙させる程の実力を持つ。菱田キヨ(ひしだ きよ)三日月館の管理を任された老婆。77歳。我孫子武丸(あびこ たけまる)招待主。しかし姿は見せず、どんな人物かは不明。本名は、「岸猿 権太郎」。河村亜希(かわむら あき)前作で加奈子と啓子の同僚として登場したが、本作では意外な形で登場する。

スタッフ[]

  • シナリオ:田中啓文、牧野修/我孫子武丸
  • 音楽:東儀秀樹、羽毛田丈史、パッパラー河合
  • 美術:種田陽平
  • オープニングムービー:武藤眞志
  • CG:庄野晴彦
  • 監督:落合信也
  • 総合監修:麻野一哉

移植作品[]

セガ×チュンプロジェクトの一環として、プレイステーション・ポータブルにて『サウンドノベル・ポータブル かまいたちの夜2 特別篇』が2006年5月25日に移植発売されている。

また、プレイステーション2の『かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相』にも、メインストーリー部分のみ「監獄島のわらべ唄編」として収録されている。なおその際、時勢の違いを受け、一部のシーンで台詞回しが変更されている。

移植に伴う変更点[]

プレイステーション・ポータブル版[]

  • PSPの画面サイズに特化し、縦横比を4:3から16:9へ変更。
  • サウンドを再構成し、一部を疑似サラウンド化。
  • サウンドドラマ「ちょっとエッチなかまいたちの夜2」をUMD内に収録。
  • ハードの違いにより「ラブテスター編」はPSP版には未収録。
  • 過剰な暴力描写や官能描写の削除。

携帯アプリ版[]

  • 「わらべ唄篇」、「底蟲村篇」、「陰陽篇」、「サイキック篇」、「わらび唄篇」の5シナリオのみプレイ可。
  • エフェクトやムービーには数秒のiモーションが使われている。
  • 容量の関係で、各シナリオのエンディングを大幅カット。それにより一部内容が変更され、中にはグッドエンディングがバッドエンディング扱いに、代わりにあるバッドエンディングをグッドエンディングとするシナリオも。
  • ゲーム内に登場した音楽を着メロとしてダウンロード出来る。これにはポイントを支払う必要があるが、ある特定の条件を満たせば無料でプレゼントされる物も存在する。
  • ゲームブック「香山さん探偵帳」、サイト小説「聖母篇」(あなただけのかまいたちの夜2より)収録。各80ポント。

特殊な現象に関して[]

このゲームでは、奇怪な現象が起こる。金のしおり出現後、特定ルートプレイ中に画面背景が突如モザイクになり、画面に4択肢が出る。選択後の内容はどれも、怪異なものである。現在までにパターンは4種類確認されている。また、OPムービー中のあるシーンが、心霊写真になっているという説もある。この説はファミ通でも紹介されたが、ムービーの切り替わりが早いので、確認するのは難しい。真偽の程は不明である。

ロケ地[]

このゲームの背景のグラフィックは、そのほとんどが日本各地をロケーションして撮影された写真をスキャンして、それをデジタル加工することで製作されている。各シーンの撮影場所については以下のとおり。シーンによっては特定の場所の写真だけでなく、複数の場所の写真を合成して作られている場合もある。撮影期間はのべ2ヵ月間で、ほぼすべてが日帰りでの撮影だった。撮影された写真の総枚数は6,000枚以上にも及んだ。なおオープニングムービーの撮影は、調布市にある布田天神社や、佐渡の二つ岩大明神、賽の河原などで行われている。

  • 監獄島の全景:猿島(神奈川県)
  • 島の洞窟:石廊崎(静岡県)、あぶくま洞(福島県)
  • ハーバー:黄金崎(静岡県)
  • 風祝波祝神社:泊観音(三重県)
  • 人造湖:切込湖、刈込湖(栃木県)
  • 三日月館:東京都水道局駒沢給水所、JR原宿駅(東京都)、戦場ヶ原(栃木県)
  • 島の丘の上:城ヶ島(神奈川県)
  • ビーチ:黄金崎、下田港(静岡県)
  • 底蟲村:八坂村の廃村(長野県)
  • 網曳村:佐渡の漁村(新潟県)
  • ラブテスター篇のデートスポット:都内のレストラン、居酒屋

音楽[]

ゲーム中にBGMとして以下のクラシック音楽が使われており、とりわけ「サイキック篇」におけるドラマティックな効果に大きく貢献している。

  • 交響曲第3番 (ブラームス) - 第3楽章
  • 交響曲第1番 (マーラー) - 第4楽章
  • レクイエム (モーツァルト) - 第3曲 怒りの日
  • 交響曲第6番 (チャイコフスキー) - 第4楽章
  • 弦楽六重奏曲第1番 (ブラームス) - 第2楽章
  • 交響曲第1番 (ラフマニノフ) - ニ短調作品13

関連項目[]

外部リンク[]

  • PS2版公式ページ
  • PSP版公式ページ

テンプレート:チュンソフトのサウンドノベル

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