登録日:2025/09/03 Wed 06:55:00
更新日:2026/06/25 Thu 15:21:14NEW!
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わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
風景やみんなといっしょに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかに ともりつづける
因果有機交流電燈の
ひとつの青い照明です『春と修羅』序
『イーハトーヴォ物語」は、1993年3月5日にヘクトから発売されたスーパーファミコン用ゲームソフト。
メーカーによるジャンルは「RPG」となっているが、戦闘やそれに伴う成長要素などは存在せず、実質的にはRPGのシステムを利用したアドベンチャーゲームやビジュアルノベルであると言った方が近い。
【概要】
童話作家 宮沢賢治 が物語の舞台として用いたイーハトーヴォをゲーム中に再現し、そこで起こる様々な物語を体験していくという内容。
メインストーリーは全九章からなり、それぞれの章で賢治の童話や小説が原作となる物語が展開される。
そのほかにも小ネタとして物語には直接関係ないが「雨ニモマケズ」などの詩に関する要素や、「シグナルとシグナレス」のようなゲームの進行と並行して個別に展開していく話も盛り込まれており、なかなかに作り込まれている。
また、メインストーリーの進行に伴い作中でも時間が進んでいき、ゲーム開始が春、終了が冬となって拠点となるイーハトーヴォの街にも変化が訪れる。
これに合わせて各章ごとに行ける場所は異なり、次の章に移ると過去行った事のある場所でも戻ることは出来ない。
自由度の低さと収集要素の無さ故、額面通りRPGとして見てしまうといわゆる「お使いゲー」でしかないのだが、
「宮沢賢治の世界を再現し、それを楽しむ探索要素のあるノベルゲー」として見ると完成度は高い。
…とはいえ、前述した小ネタも含めて細部まで楽しみ切るには原作となる童話たちをある程度知っている必要があるという中々マニアックなゲームではある。
ハマる人(特に賢治の童話に親しみがある人)にとっては心を掴んでくる作品と言えるだろう。
【キーワードと登場人物】
イーハトーヴォ
「まるで童話の中から抜け出してきたよう」と主人公が形容する、この作品の舞台となる地方。
呼び名としてはほかにも「イーハトーブ」「イエハトブ」などがあるが、このゲームでは「イーハトーヴォ」で統一されている。
主人公の拠点となるのはこのイーハトーヴォの市街地で、ここから各章の物語がスタートする。
市街地は大正~昭和期のような西洋建築と和式建築が混在する街並みで、汽車の駅や主人公の泊まるケンジントンホテル、街の人の娯楽である活動写真館(映画館)などの様々な施設がある。
また市街地から川を渡ると農村地帯になっており、そこには賢治の主宰する羅須地人協会(後述)の本部が建っている。
モデルは宮沢賢治の出身地である岩手県(特に花巻市の周辺)。
- 「私」
この物語の主人公。
当てのない旅を続けていたある日、偶然立ち寄ったイーハトーヴォで様々な物語に立ち会うことになる。
- レオーノ・キュースト (ポラーノの広場)
イーハトーヴォ市役所で働く役人。旅人である主人公に対して主に街の情報を教えてくれる。
かつては都会であるモリーオ市*1の博物局で働いていたのだが、色々あって今の職場に来たという。
- かま猫 (猫の事務所)
猫が営む案内事務所で働く所員猫。キューストとはまた異なる視点でイーハトーヴォの情報を調べてくれる。
ちなみにかま猫とは品種ではなく、いつも火の消えたかまどの中で寝ているので顔がすすで汚れていることからついたあだ名。
- クーボー博士 (グスコーブドリの伝記)
イーハトーヴォ農学校に勤める化学教授。クーボー大博士とも。
かなり高名で様々な場所にツテを持っている。後述するグスコーブドリも彼の教え子の一人。
羅須地人協会
宮沢賢治が教員を辞めた後に開いた私塾で、主に農業に関する科学の知識と、詩や工芸品といった民芸を若い農民たちに教えている。
しかしながら主人公が訪ねてきた時には賢治は不在で、代わりに彼が収集しながらもどこかに失くしてしまった7冊の手帳についての話を聞くことになる。
そこで主人公は賢治が帰ってくるまでの間、各地を回りながら7冊の手帳を代わりに集めることにするのであった。
こちらも実在した団体で、実際に岩手県立花巻農業高等学校*2には、その活動拠点だった建物が保存されている。
とはいえ現実は中々厳しかったようで、年長の農民たちには活動内容が理解されなかったり、「若者に社会主義教育を行っている」という風評から警察に「思想集団だ」と睨まれて思うように活動できなかったりしたとのこと。
晩年の作品には、自らをモデルにしたらしき夢想家な小金持ちの長男が失敗を重ねる話の構想があったりと、相当な悔いをにじませる記録が残っている。
- ファゼーロ (ポラーノの広場)
賢治の思想に心酔し、羅須地人協会で働く農夫の子。
細かい作業が得意という長所を持っており、特に張り子細工を作るのが得意。
第一章「貝の火」
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貝の火
持っていると動物たちの声を聞くことができるという宝玉。
とても取り扱いの難しいもので、持ち主の行いによりその輝きが増す事もあれば曇る事も、果ては粉々に砕け散る事もあるのだという。
かつては「動物たちの大将にあたるものがこれを持つ」ということになっていたが、現在は持ち主がおらず、後継者が現れるまで主人公が預かることになる。最終章のエンディング的になんか持ち逃げしてしまっている形に見えなくもないが…
ちなみに原作によると一生これを持つことができたのは鳥に二人、魚に一人あっただけなのだという。
モデルとなった宝石はオパールで、こちらもひびが入りやすく取り扱いが難しい鉱石である。
- ほらぐま先生 (洞熊学校を卒業した三人)
森に住む物知りの熊。人語を介し貝の火を持たぬ者であっても話せるが、その分気難しく礼儀にうるさい。
また、貝の火の番人でもあり、悪しきものが使えぬよう貝の火に施された封印を解くことができる。
手帳を探しに来た主人公は彼の助言を受けて、動物に賢治の手帳の在りかを聞くため貝の火を求める事になる。
ちなみに彼は「貝の火」からの出展ではなく別作品からの出演。
…なのだが、原作の彼は森の賢者などではなく誰よりも一番になる事を至上として教える俗悪な教師。
当然そんな彼に教わった生徒たちの末路はというと……
- キツネ (貝の火)
貝の火が眠るほこらで道を塞ぐ動物。ほらぐま先生から許可を得ると貝の火が眠る宝箱への道を譲る。
後述にあるとおりホモイをそそのかした悪いキツネその人で、すべてが終わった後にほらぐま先生に捕まり、貝の火を受け継ぐものが現れるまで見張りをさせられるという罰を与えられていた。
- ホモイ (貝の火)
貝の火の一つ前の持ち主であるウサギ。作中ではすでに故人。
ある日、川で溺れているヒバリを助けた事で貝の火を贈られ動物たちの王になるが、しだいに慢心してしまったこと、そしてキツネにそそのかされ悪事を見逃したことで貝の火を曇らせてしまい、最後は砕けた貝の火の破片が目に入り失明する。
そして砕け散ったはずの貝の火は、後日森の中に無傷の状態で転がっている所をほらぐま先生に発見され、以来そのまま後継者不在のまま管理されていた。
本作では失明したのちそのまま亡くなってしまったようだが、原作では父親に「お前の目はきっとよくなる」と励まされて物語が終わるほか、
ホモイの行動が直接的に貝の火の輝きに連動しているのではなく、むしろホモイを育て時に諫める家族の行動の方に貝の火は影響されているらしいことが伺えるなど、一筋縄では解釈できない描写も多かったりする。
第二章「カイロ団長」
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- カイロ団長 (カイロ団長)
イーハトーヴォ市街地にバーを構えるカエルのバーマスター。
しかしその正体は客としてやって来たアマガエルたちをベロベロに酔っぱらわせた上でぼったくり、代金を払えないカエルたちをタダ働きさせようとする悪党。
そんな彼の本性を見抜く人たちもおり、人間や猫たちをはじめとした他の動物からの評判は悪い。
傲慢不遜な態度を見せるがとある弱点が存在し*3、それを突かれると「私」に降参して持っていた手帳を差し出す。
その後何かしらトラブルをやらかしてしまったらしく、結局店を潰してしまい、失意の中イーハトーヴォを後にする。
それから心を入れ替えて本格的なバーテン修行を経たらしく、しばらく経った後にまともな形のバーを再開した。
- アリの兵隊たちと女王 (ありときのこ)
カイロ団長の取引相手。花の蜜を集めて作った酒を団長に卸しているが、悪どい事業に利用されそうになっていることは知らない模様。
当初「賢治の手帳が彼らの住む花畑にある」という情報を得て向かう事になるものの、辿り着いた時に手帳は既にカイロ団長に拾われてしまっていた。
ちなみに元ネタである「ありときのこ」は「アリの兵隊の偵察隊が突然生えてきた巨大な何か(キノコ)に大慌てする」というコメディ系の童話で、本作の内容にはあまり関係なかったりする。
第三章「虔十公園林」
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- 虔十 (虔十公園林)
イーハトーヴォ市街地から少し離れた村に住む少年。周囲からは「変なやつ」「ちょっと足りない奴」と評される。
父親から杉の木の苗を買ってもらったことをきっかけに、自分の畑を杉の木の林にしようと世話を始める。
第三章は立派に育った杉の木を笑顔で眺めるシーンで終了するが、その後重い病*4にかかり、この世を去る。
原作では虔十亡き後も杉林は子供たちの遊び場となって親しまれるが、やがて村の開発が進み町となって近代化していく。
そんな中で帰郷してきた高名な博士が、子供の頃に親しんだ虔十の杉林を見つけ、いまだ健在である事に感動。
そこで「虔十公園林」として保存、維持していく事を決める所で物語が締めくくられる。
- ヘイジ (虔十公園林)
虔十を毛嫌いする村人。その理由に「杉の木が育つと自分の畑が日陰になってしまう」という事を挙げるが、そもそもヘイジの畑は植物の育たない土壌*5のため、理由が後付けである事を匂わせる。
その後、密かに苗を掘り返して虔十に嫌がらせを続けるも、その証拠を突き付けられたことで村から逃亡し、行方不明となった。
原作では虔十が亡くなる十日前に同じ病気で亡くなっているが、最終章の描写を見る限り、恐らく同じ理由で本作でも亡くなったものと思われる。
- フクロウ (二十六夜)
村の北にある大きな樫の木に住む博識な老フクロウ。しかし人間の大人を信用せず、貝の火を持つ「私」にも警戒を崩さない。
なお、出典元である「二十六夜」は彼がフクロウの世界におけるお坊さんとして登場し、お経を交えながら説法をする(しかもどちらも賢治がオリジナルに作った独自の物)というかなり異色な内容。
第四章「土神と狐」
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- 樺の木 (土神と狐)
野原に生える美しい樺の木。
フィールド上のグラフィックは本当に木でしかないのだが、話しかけると精霊のような女性に擬人化された顔グラフィックが表示される。
- 土神 (土神と狐)
土神の森にあるほこらに住む土地神さま。粗末な格好で顔も怖く乱暴者だが、根は悪い奴ではない、良く悪くも直情径行な男。
樺の木に惚れているものの想いを伝えることができず、彼女に近寄るキツネへの嫉妬を募らせる。
そしてある夜、ついにキツネの殺害を決行してしまうのだが…
- キツネ (土神と狐)
土神の森に住むキツネ。第一章のホモイを騙したキツネとは別人。
物腰柔らかな態度をしており、天文学や芸術について詳しく博学。
また彼も樺の木に惚れているようで、自分の知る知識を語ったり、沢山所蔵している本を樺の木に貸したりして気を引こうとしている。
しかし何か気がかりなことがあるようで、あとで「私」に譲りたいものがある、と話して別れるのだが、再会する前に土神に殺されてしまう。
…土神を追い、やって来たキツネの家には、しかし彼の死体以外何もなかった。
彼の持っていた本は偶然拾った賢治の手帳1冊だけで、あとはその辺に生えているカモガヤに変身術をかけて化かしたものばかりだったのである。
なお原作では手帳ではなくハイネの詩集で、倒れたキツネは薄笑いを浮かべていたという。はたして彼は息絶えるとき、何を思っていたのか…
第五章「グスコーブドリの伝記」
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イーハトーヴォ火山局
イーハトーヴォ中の火山を管理するほか、各地の気候調査やその対策を行う団体。現代日本で言う所の気象庁や環境庁に相当すると思われる。
市街地から更に北にある海辺の村に、観測所を兼ねた本拠地が存在する。
カルボナード火山
イーハトーヴォ海岸の沖にある火山。
ただし現在は休眠しているらしく、火口は赤く灯っているものの、噴き出すガスも少なくマグマが漏れ出る様子も見られない。
- グスコー・ブドリ (グスコーブドリの伝記)
火山局に勤める若く優秀な局長。クーボー博士の教え子で、彼の推薦で火山局に入局すると、農業に影響を及ぼしそうな気候変動を予測したり、飛行船を使って肥料の雨を降らせたりと、自身の持つ科学技術をイーハトーヴォの為に捧げる。
イーハトーヴォを襲う冷夏による不作と飢饉を憂い、カルボナード火山を人工的に噴火させることで温室効果ガスを噴出させ、気温を上昇させる計画*6を立てる。
しかし爆薬を使って火山を人工噴火させることは、最低でも誰か1人が火山島に残り犠牲にならなければならない方法でもあった。
ブドリはクーボー博士や「私」を説き伏せ、自ら火口を爆破する為に単身で島に残り、博士がブドリの身を案じてわざと減らした爆薬を増やして確実に火山を大爆発させ、自らを犠牲にしてイーハトーヴォを飢饉から救ったのであった。
なお経歴が原作通りであるならば、飢饉により両親を失い唯一残った家族である妹のネリとも離散、その後幼いうちに雇われ労働者として各地を転々としていた出自を持つ。
彼がイーハトーヴォを救うため身を粉にして働くのは「自らと同じ思いをする子供を作らないため」と考えられ、原作の物語は「このお話の始まりになるようになるはずの、沢山のブドリのお父さんやお母さんは、沢山のブドリやネリ達と一緒に、楽しく暮らす事ができたのでした。」という一文で締めくくられる。
- ネリ (グスコーブドリの伝記)
イーハトーヴォの為に働くブドリを案じ、そして支える彼の妹。
原作とは異なり火山局のある村で兄と同居しているため、ブドリと共に経歴は一部原作と異なると思われる。
ちなみに原作では物語冒頭で人さらいにあいブドリと離別。
その後売られる前に森に置き去りにされるものの、偶然近くの牧場に住んでいた夫婦に拾われてそこで育ち、夫婦の息子と結婚して牧場を営んでいた。
第六章「オツベルと象」
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- オツベル*7 (オツベルと象)
イーハトーヴォいちの大金持ちな地主。
絵にかいたような拝金主義者で、他人を利用し使い潰すのに躊躇が無く、抜け目のない性格である。
また珍しい手帳の収集家であるとのこと*8で、彼が賢治の手帳を入手していないかを聞きに彼の屋敷へ向かう事になるのだが、「私」もまたうまく言いくるめられて彼の為にお使いで街と屋敷を行ったり来たりする羽目になってしまう。
- 白象 (オツベルと象)
オツベル邸西に広がる森に住む象の若者。
人間の営みに興味を持って屋敷に姿を現したところ、オツベルに言葉巧みに誘導されて下働きをはじめさせられる。
さらに大きなブリキの時計や張子の靴をプレゼントと称して脱走阻止のために身に付けさせられた事で逃げ出せなくなり、さらに酷使されたことでどんどん衰弱していってしまう。
ちなみにこのこのために用意された品こそ「私」がオツベルにお使いで用意させられた品々だったりする。預かった貝の火が砕けてそう
- 黒象 (オツベルと象)
西の森に住む象たちの長。もともとオツベルを警戒しており、屋敷にはめったに姿を現す事が無かった。
弱った白象の助けを求める手紙を「私」が届けた事で窮地を知り、仲間たちと共にオツベル邸を襲撃し、屋敷を無残なガレキの山に変えてしまう。
ちなみに原作によれば屋敷で働いていた人たちは象たちの襲撃に早くも降参してしまい、飼っていた犬たちも気絶してしまったという。
しかしオツベルは象たちに「くしゃくしゃに潰されてしまった」とあり、本作でも最終章の描写を見る限り…
第七章「セロ弾きのゴーシュ」
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金星楽団
イーハトーヴォ市街地で唯一のプロ楽団。
普段は活動写真館で演奏を行っているが*9、秋に街で行われる音楽祭では毎年コンクールに出場して演奏を披露するのが恒例になっている。
- ゴーシュ (セロ弾きのゴーシュ)
金星楽団に所属するセロ弾きで、普段は市街地近くの村にある水車小屋に住んでいる。
普段は自らを先生と慕う動物たちと練習をすることで見事な腕前を披露していたが、あるときそのうちのカッコウが病に伏せてしまったことで練習ができなくなり、スランプに陥って本来の下手な腕前に戻ってしまう。
「私」の尽力によってカッコウが回復すると、音楽祭に向けて今までを取り返すように猛練習を続け、ついに本番ではアンコールでソロ演奏を成功させるに至る。
しかしその後は金星楽団を辞め、水車小屋も引き払って行方も知れぬ旅へ出てしまった。
ちなみに原作だと「動物たちと仲良く演奏する」のではなく、「一人水車小屋で黙々と下手なままセロの練習を続けていたところへ動物たちがやってきて、騒動を持ち込みゴーシュを引っ掻き回すのだが、それが本人の知らぬ間に音楽センスを磨く修業になっていたのだった」という筋書き。
そのため原作のゴーシュは上手く演奏できない鬱屈から怒りっぽく曲がった性格として描かれており、ゲーム版のゴーシュは原作よりもかなり性格が良かったりする。
第八章「雪渡り」
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- コンザブロー (雪渡り)
雪深い山間にある「雪渡りの村」にある神社に住む白ギツネで、隠されたキツネたちの村の代表でもある。
「キツネ村に入ることができるのは12歳を越えない子供たちだけ」という掟があり、それを守っているが、一方人間たちに広まる「キツネは人を化かして悪さをする」という評判を何とか改善したいと思っている。
- シロウとカン子 (雪渡り)
雪渡りの村に住む子供の兄妹。
村人のせいさくが逆恨みで仕掛けた罠にはまったキツネを「私」と共に助けた事で、キツネ村の幻燈会*10に招待される。
兄妹2人と「私」が幻燈会に差し入れられたキツネのまんじゅうを信用して食べてくれたことで、コンザブローは「誠実な行いを続けていけばキツネに対する悪評はきっと取り除かれるだろう」という希望を持った。
- せいさくとたえもん (雪渡り)
雪渡りの村に住む村人。
寒さを理由に昼間から広場で酒を飲むが、呑み過ぎて酔いつぶれているダメな大人たち。
せいさくは酩酊して道に落ちている馬糞をまんじゅうだと思い込み、あろうことか「私」にまで食べさせようとしてくる。
後に酔いが醒めた後で失態をキツネに化かされたせいだと逆恨みし、捕獲罠でキツネ狩りをしようとする。
最終章「銀河鉄道の夜」
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後生車
手帳を全て集めた「私」が、賢治に指示されて向かった広場に設置された謎の石でできたオブジェ。
「石の車輪を回しながら祈ればあなたの願いが叶います」と説明が刻まれているが、車輪はどこかに取り外されてしまっている。
ちなみにこれは現実世界にも存在する仏教由来のものらしく、車輪には念仏が刻まれており、回す事で死者の供養や功徳を積むことができるのだという。
「天気輪」や「地蔵車」「念仏車」といった別称もあり、チベットにある同種のオブジェ「マニ車」が元なのではないか、とも。
幻想第四次
我々が住むこの世「現象第三次」空間とは全く異なる別世界。
まるで星々がきらめく夜空のような世界の中に、島のように建物や地形が浮かび上がるという不思議な構造を持つ。
しかし非常に不完全で未知な部分が多いらしい。
銀河鉄道
幻想第四次の中を運行する鉄道。
乗客はあるどこかへ向かう定めを背負っている人たちであり、それに従ってこの列車に乗りどこかへと去ってゆく。
そのため本来はそのどこかへ行くための片道運行な乗り物なのだが、ある特殊な資質を持つ者の証があれば、本当に自由にどこまでも行けるという。
- 宮沢賢治
詩人であり、童話作家であるかたわら、教師や科学者、技師としての一面を持つ。「私」が集めてきた7冊の手帳の本当の持ち主。
幻想第四次に存在する銀河ステーションの街で、ついに「私」と落ち合う事に成功する。
7冊の手帳を銀河鉄道の切符替わりにすることで、どうしても会いに行きたいのに会えない"ある人"*11に会うため、銀河鉄道に乗り込む。
旅立つ賢治に同行し一緒に銀河鉄道に乗り込むか、はたまた遠くへ旅立つ彼を見送るかは「私」の意思次第である。
- 銀河鉄道の乗客たち
銀河ステーションの街の民家で出発を待つ、どこかへ向かう定めを背負った人たち。
その中には「私」が旅の中で出会った顔見知りの姿もちらほら…
- 銀河鉄道に乗る2人の子供
銀河鉄道でどこまでも旅をしようと誓う2人の少年。
彼らの名前は原作小説を読んでいるならば察する事ができるはず。
【音楽】
音楽はのちにドラゴンクエストシリーズの編曲や、ポケモンコロシアムなどの作曲を手掛けることになる 多和田吏 が担当。
ストリングスやアコースティックギターなど弦楽器を中心とした楽曲の質はどれも高く、美しさと郷愁をかきたてる名曲が物語を彩る。
森の中を列車が走る情景にピッタリなOP曲「イーハトーヴォ賛歌」はネット有志の投票による「みんなで決めるゲーム音楽ベスト100」の初回にランクインし、以降もTOP1000に入り続けているため謎の常連扱いされている。
ほかにもゲーム音楽専門コンサート「PRESS START 2012」で演奏され、以降度々ゲームミュージックを題材としたコンサート演奏の題材になるなど、むしろ音楽からこの作品を知った、というゲーム音楽マニアな人も多いのではないだろうか。
サウンドトラックはアレンジ版を含め現在4枚が発売されている。
最初のサウンドトラックは1995年に発売されたが2002年に再販され、現在でも新品が容易に入手可能。ただし90年代ゲームサントラ事情のご多分に漏れず、メインで収録されているのはアレンジ版で、ゲーム音源版はボーナストラックとして最後にひとまとめにされる形となっている。
とはいえゲーム未収録ながら名曲の「スノーフレーク」が収録されているほか、コンサートで演奏される際はこちらのアレンジ版が元となる場合が多いので一聴の価値あり。後述のアレンジCDもこちらの編曲に沿う形となっている。
ゲーム版を忠実に収録したサウンドトラックはそこからさらに時が経った2023年に、作曲者である多和田が所属するインディーズレーベル Nano Music Productions から発売された。流通経路が故に購入可能な実店舗は数少ないので、直販のオンラインショップから購入するのが手っ取り早い。
ほかにも多和田自らが編曲したオーケストラアレンジと、ピアノソロアレンジCDも同様にオンラインショップで販売されている。
【余談】
- このゲーム、地味にスーパーファミコン用マウスによる操作に対応していたりする。
- 取り扱い説明書には操作方法やゲーム内容の軽い紹介だけでなく、宮沢賢治の世界観やイーハトーヴォに関するかなり突っ込んだ解説、さらには賢治の生涯をまとめた年表など、賢治に関するかなりガチめの情報が掲載されていた。ゲーム内容が内容だけにある程度前提知識はあった方が良いのだが、手の込んだ充実ぶりに製作スタッフの賢治童話への入れ込み具合が感じられる。
- かつては岩手県に存在する宮沢賢治記念館などの施設で、このゲームの体験版が設置されていたこともある。賢治作品のダイジェスト版と捉えるとかなり優秀な出来である事を買われて置かれていたのだと思われる。
- カルトな人気を誇る本作品ではあるものの、開発及び発売会社のヘクトが2002年に倒産してしまったため、リメイクやバーチャルコンソールなどへの再収録は絶望視されていた。
ところが2024年に発売された、いわゆるTVのHDMIに指すだけで遊べるのがウリなタイプのゲーム機「脳を鍛える大人の娯楽ゲーム 4 in 1」に、「麻雀俱楽部」や「将棋倶楽部」、競馬ゲームの「サラブレッドブリーダー3」にならんで本作が収録され、ファンを驚かせた。現在ではこれが一番遊ぶための難易度が低い状態となっている。
詳しい事は知らねえだが、賢治先生のゲームがあるらしいだ。
あんた、詳しい人だろう? オレのかわりに先生の項目を、追記・修正してくれねえだか。
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▷ コメント欄
- 懐かしいなおい。昔大好きで何周もやってたわ。自分の初宮沢賢治体験。 -- 名無しさん (2025-09-03 21:26:50)
- フォントのサンプル文のイメージが強い人も多いと思われる -- 名無しさん (2025-09-04 16:02:31)
- SFC屈指の「なぜこの題材をゲームにしたのか?」と思いたくなる怪作。 ちゃんと真面目に作っているからなおのこと凄い。 -- 名無しさん (2025-09-04 22:46:34)
- 大人になってから賢治にどっぷりハマった身としてもすごくいい作品だった。各作品のキャラや賢治本人にイーハトーヴで会えるという設定も嬉しい。何故この題材を選んだ?とは思う -- 名無しさん (2025-09-05 03:36:01)
- 懐かしい、母親がやってたなぁ。 -- 名無しさん (2025-09-05 07:01:07)
- 四本入りで6000円弱ならアリかな 対応したTV買う方が先だけど -- 名無しさん (2025-09-06 22:22:54)
#comment()
*2 宮沢賢治が教諭として勤務した「岩手県立花巻農学校」の後身に当たる学校として知られる。
*3 原作には言及の無いゲーム独自の設定。
*4 原作では腸チフスとされる。
*5 他の村人が粘土質の土壌であること、作物を育てていない事に言及する。
*6 今では逆に地球温暖化として問題になっている現象と理屈は同じである。
*7 原作の版によっては「オッペル」と表記されることもある。
*8 こちらもカイロ団長の弱点同様、ゲーム独自の設定で原作にはない。
*9 この頃の映画は後にサイレント映画と言われる方式で、音の無いフィルムに合わせて楽団が音楽を演奏し、弁士と言われる専門の演者が台詞をリアルタイムで吹き込む方式だった。
*10 活動写真館のように、スクリーンに光で絵を投影して行う映画観賞会を指す。
*11 若くして亡くなり賢治自身がその最期を見届けた、最大の理解者である妹トシを指すのではないか、とされている。原作「銀河鉄道の夜」に関してもトシの死後に執筆され、その影響が色濃い。
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