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その時電話が鳴り、また一人犠牲者が出たという連絡が入った。
SRIに案内を頼まれた市井に、統三が突然実家に帰らせてもらうと言い出す。
「この忙しいのに」と文句を言う市井に統三は「忙しいのは事件で商売は関係ない」と言って出ていってしまう。
統三の行動を怪しんだ牧は、三沢と野村に後をつけるように指示を出す。

街を歩く統三に、市井の娘の信子がさっきの事を気にかけて話しかけてきた。二人は恋仲だった。
父と統三の仲が何かおかしい事がとても気になると言う信子を、統三は一緒に実家へ連れていく。

統三の父親は、信子が一緒に来た事に驚いたが、統三に「信子はんはみんな知っている」と言われると納得した。
すると、父親はふいに「あれ、もう売れたんか？」と切り出した。
統三に「ちょっとした騒ぎで開店休業状態」と言われると慌てた様子で「わしが作ったんがばれかけたんか！？」と言った。

実は、日野家は父親の祖父の代から市井家のために偽物の壺を作り続けていたのだ。
統三は腕のいい陶芸家である父親の作品が、関係なくただどこかの金持ちの家に飾られるのが我慢ならなかった。
父親に「もう、市井の親父への義理はちゃんと果たしたはずやないか。いい加減にお父の名で、壷を発表してもええのんとちゃうか？」そう言っても父親は市井家への義理から止めようとせず、それどころか信子に「ええのができたぞ」と青磁の壺を見せる始末だった。

統三が信子と一緒になろうとしたのは偽物をどんどんはびこらせ、成金共を心の底から笑ってやりたかったから。
しかし、偽物は何時までたってもばれず、ばれないどころか「珍しい掘り出し品」として保証される有り様だった。

統三は言った。

このまま行ったら、親父の名は永久に出ず終いや。こんな事あってええ訳はない…！許せん、絶対に許せん！

僕は死ぬまでに一切合財のけりをつけたかったのや。代々自分の名をつけられん壷を作らせてきた市井家を、いっぺんにぶっつぶしたいのや！

親父の壷を買うた金持ちはどんどん死んで、市井は潰れる。こんな気持ちのええ事はあらへん…！

統三は信子を連れて地面から何かを堀出し、それを黒い紙に包んだ。
その様子を見ていた野村は一体何なのかと怪しんだ。

一方、牧と的矢所長は犠牲者の所にあった壺を集めて調べていた。
すると、全ての壺の中に同じ黒い砂が入っていた。
そこへ、三沢と野村が帰ってきて統三が掘っていた黒い砂を見せる。
紙に包まれていた砂が日光に当たったその時、突然的矢所長が目に異変を感じて目を抑えた。

牧が機械で砂を調べると、それは「リュート物質」だった。
この物質は、太陽光線に刺激されると中にある「リュート線」を全部出しつくす性質を持っているのだ。
ただ、そのリュート線が人体にどのような影響を及ぼすのかは分かっていない。

その時、電話がかかってきてまたも犠牲者が出たという連絡が入った。
現場を調べると、どうやら事件の謎が分かってきた。

壺の中にはまだ少しリュート物質が残っていた。
壺はめったに直射日光は入らないが、老人は壺をよく見ようとして光の中に持ち出した。
普段なら、わずかに光が蓄積されて爆発するのに時間がかかる。
リュート線が外部に放射される時、毒物の上薬を伴う。
まずやられるのが、目というわけだった。

現場にあった壺に、三沢と野村は見覚えがあった。
それは、統三の実家で見た青磁の壺だった。
開店休業と言いながら、壺を売った市井に町田警部が詰め寄ると市井は黙ってしまう。
そこで牧が壺を割り、さらにこれは統三の父親が作った偽物だろうと言われると市井は観念したかのようにうつむいた。

土蔵の中で壺にリュート物質を仕込んでいた統三の所に、三沢と町田警部が踏み込んだ。
すると、統三は壺いっぱいのリュート物質を手に二人を足止めすると、

思うたより、早うかぎつけましたな。待ってましたわ。これで僕も犬死しないですむ…！

そう言うとリュート物質を黒い紙に包んで走り出した。
逃げる統三は、とうとうとある寺に追い詰められた。

https://img.atwiki.jp/aniwotawiki/attach/43292/8571/KIMG0808.JPG
出典：同上

これでいいのや、これで…！思い通りや！

この寺は本物か、偽物か…！わしの道連れやで！

そう言って統三は激しく咳き込み、リュート物質が舞い上がった。

https://img.atwiki.jp/aniwotawiki/attach/43292/8572/KIMG0807.JPG
https://img.atwiki.jp/aniwotawiki/attach/43292/8573/KIMG0811.JPG
出典：同上

統三の目が変色し、その場に倒れ込む。
寺は、舞い上がったリュート物質によって激しく炎上し、崩れ去った。

その後、統三がリュート物質を掘り出していた場所が調べられた。
何でも、ここは旧陸軍の秘密研究所があった所らしい。
リュート物質は、ここで開発されたものだったが、終戦の時に山崩れで埋もれてそのままになっていたのだった。

https://img.atwiki.jp/aniwotawiki/attach/43292/8574/KIMG0814.JPG
出典：同上

それを見ていた統三の父親は、家に駆け戻ると泣き叫びながら壺を壊しはじめた。
的矢所長と町田警部は、その様子を黙って見つめるしかなかった……

【その他・見どころ】
本作と同じく京都ロケで撮影された『京都買います』のインパクトに隠れがちなエピソードだが、「怪奇大作戦」としても「特撮」としても見どころが多い傑作として高く評価する人が多い。

「犯行がバレること」が目的の犯人

統三の目的は、日野家を自分達のいいように使う市井家を滅ぼす事である。
統三がSRIに接触して自分に目を向けさせたのはそのためであり、自らSRIを誘い込む事で市井の行いは暴かれた。
それは、市井が偽物を売りさばいているという事を世間に知らしめる事であり、自分の犯罪が発覚する事で全てが明るみに出るという事なのだ。
SRIが戦った犯罪者の中でも、ある意味では最強と言える犯行内容であり、京都弁が飛び交う本作の雰囲気も相まって、ドラマの重厚さを高める要因になっている。

リアルかつ大迫力のクライマックス

寺の炎上シーンで、そのあまりにリアルな映像に本当に寺を燃やしたと思った檀家や視聴者から電話が相次いだという逸話は有名。
ウルトラマンなどの怪獣もので組まれるミニチュアは25～12分の1の縮尺で作られるが、この寺は6分の1という大きさであった。
何でも、最初は4分の1でやろうと話していたが予算の関係で6分の1になったのたが、何故か瓦だけ4分の1で上がってしまった。
さらに、このシーンは同時に4台のカメラで撮影していたが一番引きのメインポジションのカメラが何らかのトラブルで撮影できていなかったため、アップの映像を多く使った結果、あのような大迫力の映像になったという。

追記・修正お願いします。

▷ コメント欄

部分編集

寺の炎上シーンで話題になる事の多い名作回だが、シナリオも秀逸なのよね。家同士の諍いに端を発する、誰一人として救われない結末。 -- 名無しさん (2019-11-20 07:24:48)
エピソード項目が、あと少しで全話出来そうって言うのに作品自体の項目は未だに経たない…何故？(こんなこと言ったら自分で書けって話だろうが。) -- 名無しさん (2019-11-20 17:08:45)
あとは１話と２話と絵から出てきた女神が弓矢を撃つ話だけかな -- 名無しさん (2019-11-21 10:16:14)
放射性物質を殺人に用いるというこの手のドラマ作品ではかなり残忍な手口だよな。クロス探偵物語の第３話を思い出したぞ。 -- 名無しさん (2019-11-26 09:36:17)
実相寺回屈指の愛憎劇。統三の屈折した情念（怨念）がこの回を支配していて、SRIの皆さんの存在感が多少薄くなってると思うの。 -- 名無しさん (2021-09-08 20:59:47)

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呪いの壺(怪奇大作戦)

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