マカロニほうれん荘

ページ名:マカロニほうれん荘

登録日:2018/02/18 Sun 00:17:06
更新日:2024/02/19 Mon 11:43:25NEW!
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ボク、トシちゃん25歳!




40年後にアニヲタWikiに


項目が立つ男ー!!




『マカロニほうれん荘』は77年から79年まで『週刊少年チャンピオン』に掲載されていた鴨川つばめ漫画作品。
連載以前に増刊号に掲載された新撰組をネタにしたギャグ漫画作品『呪われた夜』を前身とし、主人公達の名前は同作から引き継がれている。




【概説】

わずか2年弱の連載期間ながら、数々の先進的な漫画表現により、同時期にデビューした江口寿史を初めとして、同世代やその後のギャグ漫画家や作品に大きな影響を与えた作品として知られる。
まだ若干20歳であった作者が己の感性のみで紡いだ異常な密度とテンションを持った作品は、児童から思春期真っ只中の少年少女、頭の柔らかい大人までと幅広い層に話題となり、当時の『週刊少年チャンピオン』の売り上げに大きな貢献を果たしたと云われる。


作者は同作の連載中に漫画家としてのピークに達しており、短い期間とはいえ週刊、月刊の両誌のレギュラー連載のみならず、本作をタイトルに掲げた増刊にてオールカラー16ページにも及ぶ書き下ろしを定期的にこなしていたりと、現在からは考えられないような逸話も残している。
一方、余りの激務と本人のテンションが切れたことによる連載後半の虚無感もまた語り草となっており、連載終了を申し出るも断られたことによる編集部との軋轢もあったらしく、最終回間近のマジックインキのみで描かれた5話分の原稿が余りの完成度の低さから本人の希望により単行本に未収録となっており、該当回が収録された本誌は高値で取り引きされている。


単行本全9巻は連載当時より40年を経た現在でも重版がなされている。
文庫版は全3巻だが掲載順がバラバラになっており、最終回とそれに繋がるエピソードが収録されていない。


これ程の人気作、歴史に残る作品ながら、連載当時や終了後のしばらくはラジオドラマ以外のメディア化がされなかった。*1
これは上記の連載時の作者のテンションの推移や、連載終了後も後年に至るまで雑に仕上げてしまった原稿の件を気に病んでいた為にアニメ化などの話を作者が断っていた、との噂も聞かれる。
ラジオドラマは78年にTBSラジオの『夜はともだち』内のラジオ劇画コーナーにて、当時のテアトルエコー所属の声優(俳優)により演じられている。


【本作の特徴】

『マカロニほうれん荘』は、ギャグ漫画に初めて、思春期を描いた青春漫画と同じ舞台設定を持ち込んだ作品であるとして語られている。
それまでのギャグ漫画作品は、読者である子供を主人公とする場合が多かったが、本作は初めて主人公を十代として設定しており、彼らの視点を通じた学園生活や恋愛の話題をも内包したエピソードが描かれた。


また、最初から異常人として描かれることが多かった、この作品以前のギャグ漫画のキャラクターに対して、一見するとまともに見える人物がギャグシーンで脈絡もない変身やコスプレをするパターンを示したのも本作が元祖であるとされている。
キャラクターの変身自体は同時期にチャンピオン誌上にて連載され、同時代を代表するギャグ漫画として認識されていた山上たつひこの『がきデカ』が元祖だが、本作の変身とコスプレは圧倒的な物量と突発的な繋がりの無さが特徴であり、特撮や時代劇、芸能人やロックミュージシャンといった他のジャンルの作品のパロディやコスプレをギャグとして取り入れたのも本作が初であったともされる。


また、青春をテーマとしているが故に下ネタの方向がより生々しい方向の男女関係やセックスを連想させるものにまで踏み込んでいるのも特徴。


こうした舞台設定故に、登場してくる女の子もオシャレで可愛いく描かれているのが特徴で、前述のように江口寿史と共にギャグ漫画発の美少女キャラクターを定着させた作品でもあるとされる。


また、作者の趣味として異常に詳細なミリタリー描写が挙げられ、読み切り作品等では全編ミリタリーをテーマにしたエピソード等も描かれた。



【物語】

ピーマン学園入学を機に念願の一人暮らしを許された沖田そうじは、夢の生活の舞台となる高校で、高校には似つかわしくない強烈なオッサン二人組を目撃する。
ガラの悪いOBかと思っていた二人は、何故かそうじのクラスにも出現。
実は二人は留年を繰り返し続ける学校の名物にしてお荷物二人組だったのだ。
……この先の学校生活に不安を感じつつ下宿先の「菠薐(ほうれん)荘」へ。
管理人の娘で美人のかおりさんから同じ下宿人の変な二人組と付き合わないようにと言われた矢先に、そうじの部屋に先回りして入り込んでいたのは件の落第生二人組。
その後のドタバタの果てに何故かそうじの部屋に居着いてしまった膝方歳三金藤日陽……。
強烈な二人に挟まれたそうじの前途は如何に!?


【主要登場人物】


■沖田そうじ
ラジオドラマ:安原義人
一応、この漫画の主人公。
真面目で優等生でイケメンな高校一年生。
名前の元ネタは沖田総司。*2
押し掛け同居人となったトシときんどーさんに振り回されつつも、二人の滅茶苦茶へのツッコミの腕を研いていき、最終的には戦艦長門の砲撃で突っ込むという前代未聞の荒業を見せる。
こうした、周囲の変態に振り回される一見普通のキャラクターの元祖といえる。
可愛い男の子の為に割とモテモテで、正式にガールフレンドとしたのは弘美ちゃんだけだが、中嶋敦子&麻美の姉妹の他、恋愛感情とまでは行ってなくても関心を寄せている女性は多い。
こっちに住むおぱさんが居り、最初はトシに目をつけて金持ちの令嬢とお見合いさせるなどしたが、二人の実態を知ってからは危険人物としてそうじから引き剥がそうとしたりもした。
定番台詞というかオチ部分の「もうイヤ!こんな生活!!」を言うことが多いのはそうじ。
続編の『マカロニ2』では目の描きかたが少女漫画風にキラキラになっており、作品の不満点として槍玉に挙げられてしまっている。


■膝方歳三
ラジオドラマ:山田康雄
一見すると長身で肩幅が広いサングラスと紳士髭がトレードマークのイケメンだが、その実態は本作のギャグ成分と人気と話題と思い出の7割~8割を独占する本作最大のギャグマシーン。
落第十回生の25歳で落ちこぼれ変態コンビの片割れ。*3
名前の元ネタは土方歳三。
見た目だけは良いので、そうじと並ぶかそれ以上にモテるが、本人が大人になることを否定しているモラトリアム人間なので基本的にフラグは立たない。
トシちゃん本人もスカートめくりをしたり痴漢的な行為をしていたこともあるが、本気で好意を寄せてくるルミ子のような相手に対しては子供を装ったりと純情な一面を見せる。
大脳の周りを小脳が周回しているという特異な体質で、小脳がある一定のポイントにくると、巷で噂の童話作家七味とうがらしに変身して、この三日位の間に新刊を一冊書き上げる。
この時の原稿料や印税が生活費となるのだが、全額を募金に寄付したりすることもあるために、きんどーさん共々に所持金が数十円しかないということも少なくない。
七味とうがらしは別人格とされるも、トシちゃんにも記憶が残っていれば、七味とうがらしとしてもギャグをかますので、単に仕事モードのトシちゃんと言えるかもしれない。
マッチョ体型でスポーツ全般が得意で格闘技の達人でもある。
ススキ小次郎(ラジオドラマ:納谷悟郎)という、かおりさんが好きな生涯のライバルも居り、20年毎に戦う宿命にある(ということにしている)。
共に遠当て(百歩神拳…etc.)を使える達人同士だが、勝負の内容は変態ギャグの応酬である。
超人的な能力と云うギャグ補正で大規模破壊をしたキャラの元祖でもあるかもしれない。
ギターもプロ並で、不良達からも慕われている。
このように多くの才能を持ちながら、その全てを無駄にするような生き方をしている男である。
嘘か真か両親は火星人とオオミミズ(カンガルー)らしい……?
ダメージを受けると唐突にバラバラになって小さいトシちゃんに分散したりといった特徴も。
ギャグ化しているときの“◇”口は、真夜峰央の『パタリロ!』のタマネギ部隊の元ネタとの噂がある。
定番台詞は「トシちゃん25歳◯◯で◯◯な男!」と「トシちゃんかんげきーっ!!」


■金藤日陽
ラジオドラマ:二見忠男
小柄でオカマなオッサンで、落第二十四回生の40歳。
通称はきんどーさん(自称はきんどーちゃん)
心は乙女でゴリラダンスが得意。
実はクマせんせいと同じ大学まで行っていたが出戻ったらしい。
この為、化学や科学に明るく屋根裏に研究室を持っていたり、5年振りの風呂で垢ごと骨格以外の細胞を落としてしまったトシを復活(改造)させたこともある。
名前の由来は近藤勇と金土日曜。
トシとは名コンビで数々の悪ふざけや騒動を起こす間柄だが、ツッコミの立場になった時には辛辣なことを言っていることも多い。
欲深でがめつく、純情な善人であるトシちゃんに比べると人間的に汚い部分を剥き出しにすることも。
回が進む毎に小型化していき、後に主役三人がママチャリに乗る場面では荷物かごが定位置になった。
赤字に悩んでいることが多く、たまにトシと共に正式なのかインチキなのか判別しにくいアルバイトをしていることもある。
定番台詞は「おーっ!」


■姫野かおり
ラジオドラマ:松金よね子
「ほうれん荘」の管理人の娘で、喫茶店「アップルハウス」の経営者でもある。
美人だが空手が得意で狂暴な面も。
迷惑な下宿人にして、ツケを払わない常連のきんどーさんと特にトシには態度が厳しく、容赦ない暴力を振るうことも。
七味とうがらしの大ファン。
『マカロニ2』ではそうじと同じキラキラ目になっている。


■後藤熊男
ラジオドラマ:村越伊知郎
そうじ&変態二人の担任で、ハゲで髭の中年教師。
通称はクマせんせい。
きんどーさんとトシの最大の被害者なのだが、二人に乗せられてロックアーティストばりのステージパフォーマンスを披露するのが持ちネタになっているなど、被害者ばかりとは言えない部分も。
メガネ美人の奥さんゆかりと、不幸にも父親そっくりな顔の長男熊太郎がいる。
定番台詞は「ノォッ!」


■八千草文子
ラジオドラマ:火野カチ子
ピーマン学園の美人女教師で、クマの代理としてそうじ達のクラスに来て変態の洗礼を受ける。
以降は様々な折に変態との関わりを持つ内に鍛え上げられ、不良にも屈しない逞しさを発揮するまでに。
トシちゃんは初めての出会いで文子先生に一目惚れしてしまっており、何の発展も見せなかったが彼女の前では緊張してギャグをやりきれななくなり、苦手としている。
ちなみに七味とうがらしのファンでもあり、サイン会に足を運ぶも緊張状態の七味とうがらし(トシちゃん)に油性マジックで顔にサインされてしまう。


■益田弘美
そうじのガールフレンドで、奥手な性格。
付き合いはじめた時に秘密にするという約束をそうじにバラされたと思いこんで別れるが(当然、二人の仕業)、後によりを戻す。


■斎藤ルミ子
ラジオドラマ:田中真弓
中野そう子白水由紀子と同じ女子大生三人組の一人で、トシにぞっこん。
「ですわん」や「キャイーン」*4といった特徴的な喋りかたをしてファンタジーな妄想をしたりもするが、現実的で強かな面も。
三人組は全員がトシが好きだが、熱心にアプローチしていたのはルミ子のみで、終盤には自分から唇を奪ったり、ままごと遊びに誘っておいてから処女を捧げようとするなど、直接的な手段にまで出たが成功しなかった。
トシもルミ子を嫌っている訳ではないのだが、どうしても大人になれないことが最終回への伏線となっていた。
三人組の中では圧倒的に出番が多く、代表的なヒロインの一人である。


■中嶋敦子
ヤクザの娘で、見た目は清楚な美人だが気が強くワガママな性格。
そうじのことを一途に思ってはいるが、その愛情表現が相手の気持ちを考えない一方的なものであるため、そうじは苦手としているのは勿論、二人にすら毛嫌いされている。
妹の麻美もそうじが好きで、小学生ながら姉と同じく色仕掛けを使ったりするマセガキ。
姉との仲は最悪でそうじ不在の恋の鞘当てを演じたが、最終的にはそうじの話を聞き入れた点では麻美の方がマシだったとも言える。


■少女A子
トシを慕う学園のスケバングループのリーダーで、昔のモガ風のボブカットの大人びた見た目の美人。
仲間達には恐れられているが、愛しの“先輩”に対しては猫なで声になり、積極的なアプローチに出ては逃げられている。
敦子とは昔馴染みらしいが、敦子が退場するのと入れ替わりでサブレギュラーになる。
グループでは彼女のみ白い制服を着用。


■テディ・ボーイ・ギャング団
伊達兄樹(アニキ)森田沢松の三人組で、大スターを夢見るミュージシャンの卵だが、不良として汚い仕事もしており、元々はただのチンピラ扱いだった。
初登場時にトシにコテンパンにのされて以来、逆らえなくなっている。
後に苦労する若手ミュージシャンとして描かれるようになると共にいい奴らになっていく。


■前田馬之介
いつも鼻を垂らしている怪人物で、後半の再登場と共に異様な存在感を発揮してメインキャラクターの一人に。
一歩引いた位置から畳み掛けるようにギャグやボケをかますという、他に類を見ない芸風の持ち主。
『マカロニ2』ではトシときんどーさんと共に主役三人として扱われている。


【続編】

80年に『マカロニ2』として続編が連載されるが、世界観が地続きにも関わらず、前作の最終回からの展開が無視されていたり、前述のように一部キャラクターのデザインに違和感がある、等の理由によりファンからは不評で、作者のモチベーションも低かったのか、単行本一冊分のみの期間で終了している。
内容そのものは悪くないとの意見もあり、矢張り一度終了したことによるブームの終焉や、物語から青春漫画としてのキャラクターの関係性の変化といった要素が失われていたことで、前作のファンからも興味を引けなかったとの分析も。


更に後に作者は『週刊少年キング』誌上に『AAO』を連載していたが、本作の熱狂的なファンからの手紙だったのか、女子からのファンレターを受けて発奮し、突如として『マカロニ』をタイトルはそのまま始めることをしていたりするそうである。
この作品は単行本化されておらず、当時の読者以外には情報のみが伝えられている話である。


この他、作者は本作のキャラクターを後の連載作品などに登場させており、作者にとっても連載自体は投げ出すような形で終了させたものの、世界観から抜け出せなくなっていたことが伺える。




やーねぇ追記修正するの!?




アタシはきんどーちゃん!!



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  • 本当に深刻な事態の時には至ってまともな行動をとったりするのはパタリロに通じるような。 -- 名無しさん (2018-02-18 02:05:02)
  • トシちゃんもFateGOにサーヴァント化されないかなぁ。自分含めたミドルたちの思い出の中に、伝説として残ってるだろうから、英霊化されてもいいと思うんだ。 -- 名無しさん (2018-02-18 12:53:42)
  • 最近知った漫画だけど当時にアニメ化してたらトシちゃんは神谷明さんだったんだろうかと思う。すごい面白いよね。 -- 名無しさん (2018-02-18 12:57:01)
  • そんな昔の作品だったんか、これ……70年代……。 -- 名無しさん (2018-02-18 13:28:01)
  • 正式な続編の「マカロニ2」とか実質的続編の「AAO2」についての追記を希望。 -- 名無しさん (2018-02-18 16:07:07)
  • 柳田理科雄先生が唯一化学的考証を諦めた漫画 -- 名無しさん (2018-02-22 22:40:40)
  • NHKで昔やってた「漫画日本史」でラッキィ池田にトシちゃんそのままの平賀源内を演じて貰ってたな -- 名無しさん (2018-02-23 18:27:07)
  • ポプテピピックの元祖?(トシちゃんときんどーちゃん) -- 名無しさん (2018-08-01 14:47:29)
  • 単行本は当時品と90年代の重版を保管用に持ってる、小学校半ばからの -- 名無しさん (2020-07-24 20:49:56)
  • 途中で送信してしまった -- 名無しさん (2020-07-24 20:54:56)
  • 人気作だったのは知ってるが実は歯医者さんの待合室に置いてあった掲載誌で一話分を詠んだのみ。恋人が出来たそうじ君がかおりさんの喫茶店に立ち寄るが、何とトシちゃんときんどーさんが「歌手」として出演しており、しかも「某カップルに捧げる歌」と称して一曲ぶちかましたものだから、正式に結婚が決まるまでは皆に内緒にして欲しかったカノジョさんは激怒、見事にフラれて暗涙にむせぶ…という悲劇(?)回でした。 -- 名無しさん (2020-07-24 21:09:54)
  • ↑項目にも書かれてるけどその後ちゃんと復縁したのでご安心を -- 名無しさん (2020-10-07 00:50:07)
  • 実は山口貴由が描いたバージョンのもあるんだよなあz -- 名無しさん (2020-10-07 07:22:18)
  • ↑3 麻美に手を出したと誤解されたり(ルミ子の勘違いだった)、敦子への対応を巡って喧嘩したりと、見てて何かとハラハラするカップルであった -- 名無しさん (2021-03-28 22:06:22)

#comment

*1 後に幾つかのゲームが発売。
*2 他の二人と同様に『呪われた夜』では、そのままの名前。
*3 ただし、校長を脅して途中から志願して入学したらしい。
*4 お笑いコンビ『キャイーン』の由来。

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