登録日:2016/02/19 Fri 12:18:18
更新日:2024/01/19 Fri 13:43:24NEW!
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A BAND APART
Revenge is a dish best served cold.
The 4th film by Quentin Tarantino
KILL BILL
『KILL BILL(キル・ビル)』とは、2003年~04年に公開された、全2作の米映画シリーズ。
【概要】
監督は『レザボア・ドッグス』『パルプ・フィクション』の監督、及び『フロム・ダスク・ティル・ドーン』の脚本を務めた、映画界一のオタク監督と名高いクエンティン・タランティーノ。
本来は1本の映画として製作されていたが、撮影中当初の予定よりも構想が膨らみ、3時間以上もの超大作に仕上がったため、前後編の2部作として上映されることになった。
結婚間近に、花婿と妊娠中の子供を殺された元殺し屋の花嫁が、愛人が指揮する殺し屋集団に復讐をするバイオレンス・アクション。
監督次第で硬派な仕上がりになる題材ではあるが、ハリウッド一のオタク監督であるタランティーノが仕上げた本作は、徹底的にエンタメ&オタク路線に走っている。
それは、日本の時代劇を参考とした本格的な殺陣、そして中国のカンフー映画を参考としたカンフーアクションなど、
どうあがいてもネタ方向になるであろう描写に、大真面目に、全力を注いでいる。
無論タランティーノ作品特有の、一見関係のない雑談をしながら登場人物が腹の探り合いをし、緊迫感を高める演出も健在である。
また、日本パートの一部ではProduction I.G.によるアニメが使用されている。
異様なまでの作り込みなのでアニメファンも必見。
音楽を担当したのは、ヒップホップアーティストのRZA。
オリジナル楽曲だけでなく、50~60年代の懐メロ、カンフー映画のBGM、果てには梶芽衣子の『恨み節』まで取り入れている。
テーマ曲は布袋寅泰作曲の「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」。
タイトルからもわかるようにもともとは布袋本人も出演した映画『新・仁義なき戦い』のテーマ曲として作られたのだが、映画を見たタランティーノが使用を希望して使われるようになった。
結果として同楽曲はキル・ビルのみならずバラエティ番組での対決を煽るBGMや侍ジャパン中継のテーマ(テレビ朝日)に起用されるなど、大きく知名度を上げることになった。
これらの面から見ても、それまでニッチな映画ファン向けだったタランティーノの作品の中でもエンターテイメント路線が強く、
タランティーノの名を大きく知らしめるきっかけとなった作品である。
【ストーリー】
アメリカの小さな田舎町・エルパソの教会にて、結婚式のリハーサル中だった参加者が、花嫁を除いて全員惨殺される事件が起こった。
唯一生存し、その4年後昏睡状態から目覚めた花嫁=ザ・ブライドは、身籠った子供すらも殺され、絶望の淵に立たされる。
…そして、彼女は決意する。夫と子供を奪った憎き連中に、残らず復讐することを。
そんな彼女は暗殺集団「毒蛇暗殺団(Deadly vipers)」の一番の殺し屋「ブラック・マンバ」だったのだ。
彼女の愛する人を奪ったのは、暗殺団のリーダーにして愛人のビル。そして彼の部下の4人の殺し屋。
ブライドは、最高の鍛冶師・服部半蔵に刀を鋳造してもらい、暗殺団から足を洗った4人のメンバーに一人ずつ復讐し、着実にビルを追い詰めていく。
そして、最後の最後に対面したビルを前にして、衝撃の事実が判明する……。
【登場人物】
- ベアトリクス・キドー/“ザ・ブライド”/ブラック・マンバ
演:ユマ・サーマン/吹替:唐沢潤
毒蛇暗殺団の元凄腕の殺し屋にして、リーダー・ビルの愛人。
ビルとは子供も宿し、私生活も共にするパートナーだったが、CDショップの店主に恋をし、足を洗うためにビルの前から姿を消し、新しい夫と新生活を送ろうとした。
しかし、その矢先、ビルに友人、夫、そして身籠ったビルとの赤ん坊も殺され、自身も重傷を負い4年間昏睡状態に陥る。
病院で目覚めた彼女は、絶望から立ち直り、5人への復讐を決意。
まず武器として、服部半蔵に日本刀を鋳造してもらい、自慢の体力と、中国でカンフーマスターのパイ・メイ直伝のカンフーを駆使し、ビルの元部下たちを一人ずつ殺し、
仇敵・ビルへと近づいていく。
だが、ビルの屋敷に現れた「その人物」に、彼女は衝撃を受けた。
Vol.1では本名がピー音で消され、執拗に隠されていたが、Vol.2であっさり本名が明かされた。実は飛行機のチケットが映るシーンをタイミング良く一時停止すれば、Vol.1で本名がわかる
- オーレン・石井/コットンマウス
演:ルーシー・リュー/吹替:小山茉美、nona(英語パート)
声:前田愛(少女時代)
ブライドの最初の復讐ターゲット。
日中のハーフで、東京のヤクザ界の頂点に立つ女帝。
両親を目の前でヤクザのボス・松本に殺されるという悲惨な過去を持ち、その復讐のために裏社会へと潜り込み、松本を殺し、殺し屋として生計を立て、あれよあれよという間に日本のヤクザのトップに上り詰めた。
逆らう部下は容赦なく処刑し、凄腕の取り巻きたちによる恐怖政治で周囲から恐れられている。
料亭・青葉屋を襲撃したブライドを迎え撃ち、自身も日本刀で一対一の勝負を挑む。
- ヴァニータ・グリーン/コッパーヘッド
演:ヴィヴィカ・A・フォックス/吹替:高乃麗
ブライドの2番目の復讐ターゲット。
映画の構成上、1番最初に登場するターゲットでもある。
気の強い黒人女性で、今は完全に暗殺業から足を洗い、カリフォルニアで幼い娘を育てる優しい母親。
しかし、突然家に現れた仇敵相手に、娘に気付かれないようにナイフで格闘する羽目になる。
4人の中では一番パッとしない最期を迎えた。
- バド/サイドワインダー
演:マイケル・マドセン/吹替:立木文彦
ブライドの3番目の復讐ターゲット。
ビルの弟で、組織の右腕。金にがめつい、いかにも小物な性格。
テキサスの砂漠の真ん中で、トレーラーで貧乏暮らしをしていた。
兄からブライドの復讐の事を聞き、彼女の復讐に正当性を主張し、罰を甘んじて受け入れることを語っていたが、
実はちゃっかり返り討ちにする算段を立てており、岩塩弾で彼女に重傷を負わせ、日本刀を奪って棺に入れて生き埋めにしてしまう。
その後、それを聞きつけたエルに、刀を高額で売りつけようとしたが…。
4人の中では唯一、ブライドをやり込めた食わせ者。
- エル・ドライバー/カリフォルニア・マウンテン・スネーク
演:ダリル・ハンナ/吹替:富本牧子
ブライドの4番目の復讐ターゲット。
金髪に右目を眼帯で覆った隻眼の女で、ビルの現愛人。
ビルに執着しており、かつての愛人ブラック・マンバに激しい嫉妬心を燃やす。
ブライドが目覚めた際も、ナースに変装して早速毒殺しようとした。
また、自分の手でブラック・マンバを殺す決意をしており、その憎しみたるや、別の人間に殺されたと知ったらその人間を報復として殺すほど。
遂に対峙した憎きブラック・マンバに、彼女から奪った刀で真っ向勝負する。
- 服部半蔵
演/吹替:千葉真一(ソニー・チバ)
日本一の刀鍛冶師。オキナワ在住で、現在は寿司職人。
かつてビルにオリジナルの刀を鋳造した過去があり、それをつてに、ブライドが自分用の日本刀を頼んだ。
一度は断ったものの、彼女の悲惨な境遇を聞き考えを改める。
彼女に日本刀の殺陣を稽古をつけ、最高の刀を作り上げた。
- ゴーゴー・夕張
演:栗山千明
オーレンの用心棒を務める女子高生殺し屋。
幼いながらも一升瓶の日本酒を愛飲し、その美貌を武器に凶暴な戦法を得意とする。
武器は刃のついたモーニングスター「ゴーゴーボール」。
名前の由来は、『マッハGoGoGo』と「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」から。
タランティーノ自身、後者では93年に『レザボア・ドッグス』を携えて来場しており、彼にとって特別な思い入れのある映画祭である。
- ソフィ・ファタル
演:ジュリー・ドレイファス
オーレンの秘書兼通訳。フランス人の女性。
ブライド曰く「スター・トレックの悪役みたいな恰好」。
戦闘力は皆無で、ビルに自分の所業の伝言役として、右腕を斬られたうえで生存させられた。
- ジョニー・モー
演:ゴードン・ラウ
クレイジー88のリーダー。
スキンヘッドの凄腕剣士。ブライドと激しい殺陣を繰り広げる。
- クレイジー88
オーレンの用心棒で、選りすぐりの戦闘者集団。
なお88人いるわけではない。
基本メンバー全員が黒スーツにアイマスク姿で、中には女性メンバーもいる。
やけに幼い若造一人を除いて、ブライドに全員斬り殺された。
ちなみに、メンバーの一人を俳優の田中要次や高橋一生が演じていた。
- ヤクザ親分
演:國村準(田中親分)、麿赤児(小澤親分)、北村一輝(小路親分)、菅田俊(弁田親分)、大門伍郎(本田親分)
オーレンが束ねる東京の各組のヤクザ親分たち。
基本的にオーレンに従っているが、もし逆らったら有力な親分でさえ彼女に処刑される。
- 半蔵の弟子
演:大葉健二/吹替:斎藤志郎
半蔵の寿司屋でお茶くみをやらされていた。
昔は宇宙刑事だった。
- プリティー・リキ
声:緑川光
オーレンの両親を殺した松本親分の部下。
タランティーノのお気に入り。
- ニッキー
演:アンブロシア・ケリー
ヴァニータの娘。母の血塗られた過去を知らない無垢な少女。
目の前で見知らぬ金髪の女に母を殺され、彼女から「憎いのならいつか復讐しに来なさい」と諭される。
- パイ・メイ
演:ゴードン・ラウ/吹替:樋浦勉
数百年を生きている、中国・北京の白蓮寺高僧にして、最強最悪の武道家。
かつて少林寺の僧60人を一人で殺したという武勇伝を持つ。
ビルがカンフーを教わり、その後、彼の話を聞いて、恋人時代のブライドも教わった。
この手の師匠でよくあるように、厳しい訓練で弟子に身体と心を鍛錬させ、逆らう者には容赦はない。
最強の必殺技は、わずか五つのツボをつくことで相手の心臓を五歩歩いて破裂させる「五点掌爆心拳」。
その後、エルも彼に弟子入りし、口答えした彼女の右目を奪ったが…。
- トミー・プリンプトン
演:クリストファー・アレン・ネルソン
ブライドのフィアンセで、エルパソのCDショップ店長。
ブライドの過去を知らない。
アゴにピアスをはめるようないかにもなチャラ男だが、彼女を愛していたのは事実だったようだ。
- ルーファス
演:サミュエル・L・ジャクソン/吹替:世古陽丸
結婚式のリハーサルで同席していたオルガン奏者。
タランティーノ作品の常連で、カメオ出演。
- エステバン・ヴィハイオ
演:マイケル・パークス/吹替:大木民夫
元ギャングで、ビルの友人の一人。
ブライドにビルの居場所の情報を教える。
- ビル/スネーク・チャーマー
演:デヴィッド・キャラダイン/吹替:家弓家正
毒ヘビ暗殺団のリーダーで、ブライドの元恋人。
一見飄々とした、落ち着きのある初老の男だが、自分を裏切る者に容赦はなく、確実に追い詰め、苦しめるという悪辣な性格。
その上、服部半蔵やパイ・メイといったその筋の達人に直接指南も受けており、戦闘力も高い。
ブライドとは、かつて愛し合い、私生活を共にするパートナーだったが、自分の元から去った彼女に激しい怒りと執着をもって、
彼女だけを生かして夫と友人を殺した。
自分に復讐しに来るというメッセージにも逆に面白がっており、自分の屋敷に現れた彼女を笑顔で出迎える。その真意とは…。
- B.B.
演:パーラ・ヘイニー=ジャーディン/吹替:吉田孝見
ビルの屋敷で一緒に住んでいる幼女。
ブライドをビルと一緒に出迎え、彼女に衝撃の言葉をかける…?
【余談】
- 本作には続編の企画が存在していた。
ゴーゴーの双子の妹、ユキ・夕張やヴァニータの娘ニッキーがブライドに復讐するというストーリーだと明かされている。
しかし2023年7月、タランティーノ本人から実現の可能性が否定されており、どうやら立ち消えになった模様。*1
- 製作会社のロゴに混じって登場したのは、香港のB級映画を製作していた会社「ショウ・ブラザーズ」。
もちろんVol.2のカンフー映画のオマージュの一環である。
- Vol.2のEDで使われた『マラゲーニャ・サレローサ』の演奏は、タランティーノの盟友ロバート・ロドリゲスのバンド「Chingon」によるもの。
DVDでは、「Chingon」によるライブ映像も観ることができる。
また、近い時期に公開されていたロドリゲスの作品『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』でも、この曲が使われている。
- 『空想科学読本』の作者である柳田理科雄氏によって、本作の描写が検証されている。
その検証内容は、「敵の腕や首の切り口から血しぶきが噴水のように吹き上がる現象」と「ゴーゴー・夕張の強さ」について。
前者では劇中の日本人の血圧は0.5気圧、すなわち380㎜Hgという平均値の3倍以上の超高血圧ということに。
後者ではキック力は12tでゾウを蹴り上げることもできることが判明。
そのため、わざわざ鉄球を使わずに日本刀を使っていれば勝てていたという結論が出されており、『少林サッカー』に出演してもよかったのでは?とも書かれている。
\ツイキシュウセイハマダ、ツイチャイナイヨ!/
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▷ コメント欄
- 全米のビルさん涙目 -- 名無しさん (2016-02-19 15:35:25)
- やっちまいな! -- 名無しさん (2016-02-19 16:06:30)
- 1はヴァイオレンスアクション活劇 2はロマンスアクション -- 名無しさん (2016-02-19 17:11:36)
- ビル役の役者は首絞めオ○ニーやっていたらそのままポックリ亡くなったんよな -- 名無しさん (2016-02-20 20:38:12)
- 作中では最高にカッコいい死に様だったのに現実では・・・ -- 名無しさん (2016-02-21 01:52:23)
- パイ・メイ、達人のくせにあっさり毒殺されるとか油断しすぎだろう。 -- 名無しさん (2020-03-28 10:00:08)
- 小説でも漫画でも良いから、書籍化してくれないかな(元になった『修羅雪姫』は一応コミカライズ化してるけど)。 -- 名無しさん (2020-04-06 03:25:10)
- 栗山千明さまが美しすぎてびっくりするのと、何度観ても東京の女組長の最後がシュール -- 名無しさん (2022-03-27 20:39:24)
- 3は立ち消えになっちゃったかー。残念。 -- 名無しさん (2023-08-16 07:07:57)
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