登録日:2009/08/26(水) 21:06:33
更新日:2023/08/18 Fri 19:51:48NEW!
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事件は凄腕の<風術師>八神和麻が四年ぶりに帰国したと同時に起こった。
古より日本を陰から支えてきた<炎術師>の一族神凪家の術師が、次々惨殺されたのだ。
疑いの目はかつて一族から追放された和麻に向けられるが……。
風の聖痕
レーベル:富士見ファンタジア文庫
著者:山門敬弘
イラスト:納都花丸
本編6巻 短編6巻
第13回ファンタジア長編小説大賞準入選作品。
著者が亡くなったため絶筆。
最新刊である短編第6巻が2010年3月に発売、長編第7巻として準備中であった未完成の遺稿が収録された。
著者は執筆中に白血病であることを公表しており、あとがきではその経過が記されていた。
退院はしたものの闘病は続いていたが、2009年7月20日に病没。ご冥福をお祈りします。
■主要登場人物
- 八神和麻(ヤガミ カズマ)
CV.小野大輔
主人公にして今作最大のチート野郎。最強の風術師。
神凪宗家の嫡子として生まれ様々な才能に恵まれていたが、神凪が誇る“炎術”に関しては全く使えず、
炎術を最強と思っている一族からは無能呼ばわりされていた。
故に勘当され、以降八神姓を使っているが実態は宗主のヒモ。
本来の風術師は戦闘向きではなくサポートの方に優れているが、
神凪の血が影響してるのか、風術の常識を笑ってしまうくらい軽く覆しており、無茶苦茶強い。
しかも風の精霊王と契約しており、彼を知る者は世界最強の風術師と称える。
精霊王の力を使う時は目が蒼くなる。
性格はハッキリ言って外道。女癖は能力が開花しなかった時期から悪く、勘当された当時付き合っていた彼女を捨てて国外逃亡し現地で新しい恋人を作った。
『ボランティアは金持ちの道楽』と豪語し、基本方針は『敵対するもの老若男女平等に皆殺し』。1巻では黒幕に操られた面々を煉の眼前で粛清。後述する亜由美の一件があったにもかかわらず敵に操られた煉の友人を躊躇なく殺そうとし、煉に怒られるのが面倒という理由で気絶に留めた。
また5巻では復讐の為にヴェルンハルトから能力を与えられた若者を多数廃人に追い込み、ストーカー被害に遭う七瀬を利用して内海をおびき寄せ、彼女を警護していた霧香の部下(とアニメ版ではキャサリン)を返り討ちにする等、凡そかつて虐げられ恋人を失ったとは思えない非道な行為を繰り返した。だが主人公補正で誘拐ほう助、脅迫傷害殺人、公務執行妨害等には一切問われなかった。
皮肉屋・自己中心・軽薄・怠惰と絵に描いたような人柄で、自分で動く必要が無いときは主に他力本願。
真正面から敵に戦おうとはせず、それどころか不意打ち、
人質をとる、味方を騙す、敵前逃亡を必要ならば何のためらいも無くやる。
ただ、そういった外道戦法をとるのは本人の性格というか趣味みたいなものであり、
戦闘力自体は世界最強の風術師の何恥じずチートレベル。
具体的には
- 相手が発生させた五本の竜巻に対し、ダウンバーストで破壊して術者にもダメージを与えた(同じような竜巻を生み出すのは無理だったので、風術を下降気流の勢いで威力を増加させた)。
- 周囲100km単位の風を操り空間内の妖魔を浄化する。
- ミサイル1ダース+サブマシンガンの雨を食らっても無傷。
- 文字通り光速で飛んでくるレーザー光線を認識した後、風で切る(アニメ版では風の結界で弾いている)。
- ってか風で空間を切る。
- ついでに人の首も切る(アニメ版ではやっていない)。
- 空を飛べるのにバイクで走行する一般人を攻撃しバイクを強奪(アニメ版ではry)。
とわりとやりたい放題だが相手も同じレベルでチートなので無双と言うほど無双してなかったりする。短編では雑魚ばかり相手をするので探査能力をほとんど活かせていない。
仕事も楽して儲けるがモットーだが、一度契約した仕事は解雇されない限りやり抜くプロ。え?1巻冒頭で雇い主をわざと見殺しにして倍の料金脅し取ってたって?
己の実力は軽視しないし過信もしない。え?2巻冒頭の宴会で自分がやったジェノサイドを声高に自慢してたって?
このように原作ではやりたい放題のクソ外道なので、アニメ版では目に余る外道行為は控えられ多少善人寄りの性格に変えられた。また盗撮犯が撮影したビデオをこっそり見ようとするなどムッツリスケベなシーンが追加されている。
4年前綾乃に敗れた件は全く意に介しておらず、彼女の扱う紅炎に興味を抱く程度。
また、綾乃が陰陽師の次男と見合いをした時は相手の前で綾乃を抱き締めて挑発、学園へ護衛に就く場合も彼女との密着度を周囲に見せつける等、綾乃を自身の所有物として扱っている描写が多く見られる。
- 神凪綾乃(カンナギ アヤノ)
CV.藤村歩
神凪次期宗主として期待されている16歳の女子高生。
12歳の時、一族の宝剣・炎雷覇(えんらいは)を継承している。そこ、シャナ言うな。
外見は「光り輝くような美少女」で、学校で彼女に一目惚れする者は跡を絶たないが、実の所性格は単純かつ短気。
どれぐらい短気かというとナンパ男をフルボッコして時には相手の睾丸を潰してしまうくらい。
素の顔を見せるのは家族や親友など一部の者に対してだけで、
普段は猫をかぶって良家のお嬢様を完璧に演じている(ただし綾乃には演じているという自覚はないらしい)。
火力は非常に高いが細かい技術は苦手。体術も優秀だが経験不足なせいか、結構負けている。
とはいえ亜音速の雷球を体術のみでかわせるあたり常人でないことは確か。
格上の相手と戦う事で着実に成長している。
神炎(もどき)は紅色。
和麻にはツンデレ。直前まで一族の仇と憎しみを抱いていた相手なのだが和解した途端にデレた。
実力的には神凪のNo.3だが、上二人には大きく引き離されている。どのくらいかと言うとNo.2の厳馬は、綾乃の10倍は強い(控えめな評価)。
アニメではヒロインらしくパンチラというかパンモロ担当。原作では編集の意向によりパンチライラストは一切ないが、一度だけパンチラ描写があった。
原作は原作で和麻や資料室の爺からセクハラ・モラハラを一身に受ける苦労人。
- 神凪煉(カンナギ レン)
CV.森永理科
和麻の弟にしてショタ。ヒロインの綾乃よりもヒロインっぽい男の子。
1巻の時点で主人公を泣き落とす、ホテルのスイートルームで主人公と一夜を明かす、
敵対勢力にさらわれる、そして主人公に助けられる、とヒロインフラグを立てまくった。
浄化の金色の炎を使い、作中では綾乃にできない妖魔だけを焼き尽くすことも可能になる。だが後に火力不足が露呈、活躍はこれっきりとなった。
3巻では実質的な主役であり、人間的に大きく成長した…かに思えたが、やっぱり敵にさらわれたり、和麻の暴走を止めると言い張るもいざ当人と対面するや二度も言いくるめられ戦意を喪失したり、
隣の国からやってきた同級生が帰国する際に「二度と会えない」と勘違いして泣き出したり、
そばで綾乃が面倒ごとに巻き込まれてもため息ついて何もしなかったりと、むしろ諦め癖が目立つようになる。
しかしそこは武闘派一派の若君、大人の歯をワンパンで砕いたり公然で不良の胸倉を掴んで失禁させたりと格下の敵には容赦ない。
ホモダチとか老師とか友達が結構ブットビ。
- 神凪重悟(カンナギ ジュウゴ)
CV.てらそままさき
綾乃の父親にして、神凪現当主。交通事故で両足の自由を失っており、第一線を退いている。
長編では渋くて話のわかる親父だが、短編だと親バカで和麻と綾乃をくっつけるため色々画策する。
暴走した和麻を説得できなかったケースを考えていなかったり、ベリアル召喚を予想していなかったり、
街で起こっている怪奇現象の解決に権力を使わないなど、いまいち当主としての能力を見せていない。
- 神凪厳馬(カンナギ ゲンマ)
CV.小山力也
和麻と煉の父親で、現役最強の炎術士。和麻いわく、炎雷覇をもった綾乃の倍強い。
その強さゆえか、一巻で和麻に病院送りにされて以降、治療や出張で出番があんまりなかったりする。
退院後まもなく暴走した息子の処理を投げっぱなしにするのは現役最強としていかがなものかと。
- 橘霧香(タチバナ キリカ)
CV.大原さやか
2巻から登場。日本唯一の公営退魔組織「特殊資料整理室」の室長を勤める美女。
2年前ロンドンで復讐鬼だった頃の和麻と出会っている。
探査能力に長けるが、攻撃力に欠ける特殊資料整理室の欠点を補うために、神凪と共同戦線を張ることが多い。
ぶっちゃけ言うと仕事は全て神凪や和麻へ丸投げし、仕事時間中に繁華街喫茶店に入り浸っていたり、
殺人事件の現場封鎖や指揮や野次馬の避難誘導や人質の安全確保確認etc.は一切やらず重悟の愚痴聞き役をしたり、
和麻とつるんで綾乃をからかってストレス解消してたり…と働いている描写がほとんどない。
公僕としてそれでいいのか。
- 久遠七瀬(クドウ ナナセ)
CV.伊藤静
2巻から登場。綾乃の親友で陸上部の花形選手。原作では途中から綾乃が能力者と知るが、アニメでは最初から彼女の素性を知っている。
いわゆる「ヅカ系」のボーイッシュな性格で同性からの人気が高い。
同級生の内海からストーキングされ、一旦は綾乃の助力で追い払うも能力者化した内海に囚われ操られてしまう。
彼女のボンデージ姿は必見。
- 篠宮由香里(シノミヤ ユカリ)
CV.猪口有佳
2巻から登場。綾乃の親友で新聞部部員。漫画版ではぼっち飯をする綾乃に声をかけ、彼女と友情を築いた。
情報通で好奇心過剰なところがあり、七瀬が囚われた際もリサーチのため自ら首を突っ込み内海に捕まってしまう。
このとき超タイト丈のメイド服を着せられたが挿絵はなく、アニメ化の際にようやく日の目を浴びた。
なお短編で騒動が大きくなるのはだいたいこいつのせい。
- 大神操(オオガミ ミサオ)
CV.植田佳奈
2巻ヒロイン。神凪一族の末席に名を連ねる大神家の娘。
1巻の騒動で兄弟を失い、その渦中にいた和麻を逆恨みしていたところを「天使」を自称する少年に誑かされ、和麻への復習のため実父を含む多くの人々を死に至らしめる。
子供の頃にいじめられていた和麻を救ったことがあり、和麻はその恩があって操を討たなかった。
その後なんらお咎めもなく出家して尼になる。
- 石蕗亜由美(ツワブキ アユミ)
CV.酒井香奈子
3巻ヒロイン。地術師・石蕗一族によって生贄用に作られたクローン。
脱走したところで煉に出会い二人で海を見に行ったりした。
わずか1ヵ月で無理矢理12歳まで成長させられたため非常に短命。
富士山の魔獣との戦いで煉のために自分の力を使いきり、煉の手の中で息絶えた。
登場はわずか1巻のみだが、その後も彼女を思う煉の描写が度々登場する。
実は彼女と出会う以前に煉は亜由美そっくりの妖魔(未来の悪夢)に襲われ、あっさり倒している。
- 翠鈴(ツォイリン)
CV.牧野由依
和麻が神凪から逃げた先の香港で知り合った恋人。
和麻と幸せな普通の生活をしていたが、アーウィン・レスザールによって魔術儀式の生贄となった。
1巻から度々名前は出てくるが、本格的に語られるのは4・5巻の万魔殿編である。
だが肝心な和麻と出会った経緯、生贄にされた理由が語られることはなかった。
- アーウィン・レスザール
CV.小西克幸
魔術結社アルマゲストの首領で世界最高の魔術師。
本編開始前に翠鈴の仇として和麻に殺害されている。
- ヴェルンハルト・ローデス
CV.堀内賢雄
4巻に登場するアルマゲストの評議会議長。
ヴェサリウスと名乗って、日本でインターネットを使った妖魔憑依実験を行った。
ラピスともども和麻との決着は付いていない。
- ラピス
CV.牧野由依
翠鈴の残留思念からヴェルンハルト・ローデスが作りあげた人形。巨大な剣で都庁をぶち壊した。
和麻は暴走から立ち直った後も彼女を綾乃から庇ってしまい、過去を完全に振り切れない様が窺える。
- 凰 小雷(ファン シャオレイ)
6巻に登場する風術師の大家、凰(ファン)家の娘。
神器を狙う者達のことを神凪に伝えようと密入国してきた。
風の神器・虚空閃を所持しているが正式な継承者ではない。後に和麻によって略式の継承が行われた。
壊滅的な貧乳。そして和麻に胸をグリグリと踏まれた。
ちなみに小雷は本名ではない。
- ゴート
遥か昔に絶滅したと言われるの精霊喰いの男。
6巻の黒幕であり、結局こいつに関しては多くの謎が残ってしまった。
- キャサリン・マクドナルド
CV.たかはし智秋
アメリカの炎術師の名家マクドナルド家の娘。
最強の称号と神器・炎雷覇を求めて来日する。
短編集に二度出演しただけのゲストキャラクターだったが、
アニメでは準レギュラーとして特殊資料整理室のメンバーと行動を共にしていた。
コンヨーク。
- 柊太一郎
短編2巻以降に登場する綾乃の後輩。
物語開始早々綾乃に告白し玉砕。由香里から和麻が恋人だと唆され、なんやかんやあって綾乃の素性を知るも彼女を慕い和麻を敵視する。
以後も由香里と和麻にいじられ、煉を女と勘違いし危うく惚れかけたりするが、どうにか綾乃とデートできるまでの関係になれた。
- アニメ
2007年4月より9月まで放送。タイトルが『風のスティグマ』とカタカナ表記になっている。全24話。アニメーション製作はGONZO。
基本的に長編の1~5巻をベースに途中に短編が挿入されている形。
この時期のアニメらしく細かい改変は多めで、原作では絡まないキャラが先に出てきたり、1巻の封印された『神』が『妖魔』になっていたり。
ちなみに1巻のラストバトルの舞台となった京都北西の山である愛宕山山頂では実際に火の用心の御札が買える。
ネット上ではシャナのパクリと謂れなき叩かれ方をしていたが、実のところ原作1巻の刊行はこちらの方が約十ヶ月早い。
シャナは刊行ペースがかなり早かったので(本作も2007年までは順調に刊行していたがそれより早い)、ラノベヲタでもシャナが後なのを意外に感じた人は割といるかも。
F.E.A.R.社の汎用システム「スタンダードRPGシステム(SRS)」の流用作品(SRS同士で互換性があり混合してプレイ可能)の一つとして『風の聖痕RPG』が2007年に発行されている。
追記、編集をお願いします。
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▷ コメント欄
- 作者が病没してしまい、もう二度とこの人の作品を見れないと思うと時折悲しくなる・・・ -- 名無しさん (2013-11-28 18:54:52)
- 煉君って和麻がコントラクターって 見抜いたり 実はあの一族で一番有能かと思った -- パキスタン (2013-11-28 19:03:51)
- TRPG版はSRS使ってるんで普通に遊べる良作 -- 名無しさん (2015-01-15 21:07:46)
- 原作は、ドラゴンボールでいうとベジータとナッパが来襲してこれからサイヤ人編、ってとこで絶筆なんだよな。話が広がろうというところで惜しい作品だ。 -- 名無しさん (2015-02-10 23:02:43)
- 風属性の理不尽な弱体化にビックリしたのを覚えている。 -- 名無しさん (2015-06-23 02:57:18)
- 作者が亡くなったから憚れるけど、正直ストーリーは褒められたもんじゃないと思う。 -- 名無しさん (2016-02-21 17:15:50)
- 好きだったけど、今でいうところの最低系や俺tueee系的な要素もある作品だからねえ -- 名無しさん (2016-07-04 20:23:53)
- 正直小説レベルはなろうの域を出ない。 -- 名無しさん (2017-07-26 11:56:47)
- シャナのパクリと叩かれたのはどの辺りなんだろうか。精霊王と契約して、目の色が変わるから? -- 名無しさん (2017-07-26 19:16:55)
- 原作は読んだことないけどアニメと二次SSは多少知ってるって人は結構いるかも -- 名無しさん (2017-07-27 23:56:56)
- やたらとダーティな主人公を持て余して気味だった。戦闘描写はよかった気がするけど -- 名無しさん (2017-07-28 00:53:27)
- 続きが出るの聞かないなと思ったら亡くなってたのか… -- 名無しさん (2017-09-27 10:11:40)
- 翠鈴の件とか精霊喰いの件とか伏線ばらまきまくってたとこで絶筆だからなあ… -- 名無しさん (2021-01-19 20:50:25)
- 富士見ファンタジア文庫のソーシャルゲームの参戦希望ランキングで11位にランクインしてて、愛された作品だったことを感じて泣いた。・・・可能性低いとは思うけどでも、あわよくば参戦してくれないだろうか。 -- 名無しさん (2021-02-28 19:04:06)
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