楽園

ページ名:楽園

登録日:2016/04/08 Fri 17:48:37
更新日:2024/01/22 Mon 13:41:35NEW!
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「楽園」――安楽な場所。苦しみのない場所。楽土。極楽。パラダイス。
 (広辞苑第五版)


現世や地獄と対比され、この世のあらゆる苦しみから解放される場所として、さまざまな宗教で登場する概念である。
…が、フィクションの世界でさえ「けしてたどり着けない場所」「架空の場所」という意味合いを込めて使われることがままある。


しばしば自由で素朴・牧歌的なイメージとともに語られ、天国よりも気軽に入れる具体的で楽観的な場所とされる。
人工的・合理的な性格を持つ「ユートピア」とも似て非なるものである。
「理想郷」は上述の「ユートピア」の訳語として用いられることが多いが、本項では便宜上「楽園」と同様のものとして紹介する。
また、「楽園」という語句はさまざまな創作物の題名に用いられるが、本項では楽園という概念そのものの解説にとどめる。


『楽園 追想の彼方へ』(真野隆也,新紀元社)によると世界各地の楽園にはいくつかの類型が存在する。
ニライカナイ、アヴァロンのような「の楽園」と桃源郷や隠れ里に代表されるような「の楽園」というタイプが見られる。
どちらも交通手段が発達していなかった時代においては現世から隔絶された特別な場所というイメージを搔き立てられたのだろう。
またヘスペリデスの園や西方浄土の伝承を見る限り「西の果て」に楽園が存在するとした伝承も少なくない。
しばしば林檎や桃などの果実がキーアイテムとして登場するのも特色である。


神話や伝承、創作に登場する楽園および理想郷を以下に列記する。



【神話・伝承に登場する楽園】

■アアル(Aaru、Yaaru、Iaru、Aalu)
エジプト神話に出てくる死後の世界で、オシリスが支配する永遠の楽園。
狩猟ができ魚を捕り永久に暮らせると考えられた。
死後の審判において、正義を司る女神マアトの羽と死者の心臓の重さが釣り合った場合のみ、長い旅を経てアアルにたどり着ける。
天秤が釣り合わなかった場合には心臓は脇に控える鰐の姿の怪物アメミットに食われ、二度と現世での復活が出来なくなると考えられた。コワイ!


■アイティオピア(Aethiopia)
ギリシャ神話に登場する南の果ての国の名称。ギリシャ語の「日に焼けた」という意味のアエオティプスに因む。
緑豊かな土地であったがパエトーンによる太陽神の御車暴走によって砂漠と化してしまった。
星座の由来となったカシオペアはこの国の女王で、アンドロメダはその娘。


■アガルダ(Agartha)
地球空洞説(地球は中身の詰まった球体ではなく、ゴムボールのように中空であるという考え方)において、
地球の中心にあるとされる地底国「アルザル」に存在する高度な文明を持った都市。
インドやチベットなどの仏教信仰でもその存在が語られており、代表的な楽園の「シャングリラ」はアガルダの首都だといわれている。
アガルダは高度な科学文明を持った精神社会で、超能力などを持った非常に長生きである人類や動物が居る。


■アトランティス(Ατλαντίς)
ふしぎの海のナディアでおなじみ。
古代ギリシャの哲学者プラトンの対話篇「ティマイオス」「クリティアス」で言及された。
非常に進んだ文化と科学力を持った王国が繁栄していたと言われていたが、
世界の覇権を手にしようとしたために、神であるゼウスの怒りに触れて海に沈められた。


■アヴァロン(Avalon)
現在のイギリスかフランスに有るとされている島。アケゲーだったり浮遊航空艦だったり。
アヴァロンという言葉はケルト語*4の「りんご」に由来するといわれ、美しいリンゴの生る楽園とされている。
アヴァロンは致命傷を負ったアーサー王が最期を迎えた地で有るほか、
イエスがアリマタヤのヨセフと共にイギリスを訪れた際に上陸した地で、イギリス最初の教会が立てられた伝説の残る場所でもある。


■アンヌン(Annwn、Annwfn)
アンヌンまたはアンヌヴンと呼ばれるウェールズ地方の神話に出てくる異世界で、理想郷であると共に黄泉の世界でもあるとされている。
地上から生きている人間が立ち入ることも出来るが、現世に戻ってくると数百年が経過していた……という竜宮城のような伝承が残っている。
アンヌンの領主・アラウンは灰色の衣をまとって青ざめた馬に乗り、猟犬を引き連れて狩りを楽しむ。
このような妖精や死者からなる狩猟団は「ワイルド・ハント」と呼ばれ、大きな災いをもたらし、見たものは死を免れないという。


■イ・ラプセル(綴り不明)
ケルト神話に登場する楽園の一つで「至福の島」とも呼ばれる。


■ウルティマ・トゥーレ(Ultima Thule)
ギリシア・ローマ時代からヨーロッパで語られた極北の島。
氷雪が全くなく、気候が温暖で、青々とした草木が茂る楽園があると考えられた。


■エデンの園(Garden of Eden)
旧約聖書の創世記に出てくる理想郷で、 アダムとイブがエデンの園を管理し、様々な果実や「生命の樹」「知恵の樹」が植わっていた。
エデンの園は「東の方」にあるとされる。


■エリュシオン/至福者の島(Ēlysion、Elysium)
ギリシャ神話に出てくる楽園で、農耕神クロノスと冥界の審判官を務めるラダマンテュスが支配する死後の世界である。
地のはてのオケアノスの流れのほとりにあり,年に3度豊かな作物が実る理想郷で、神々から祝福された英雄たちが暮らしている。
別称「エリゼの園」のフランス語読みが「シャンゼリゼ」である。


■オフィール/オフィル(Ophir)
旧約聖書に登場する黄金郷。ソロモン王が黄金や香木などの貴重品を大量に手に入れた場所とされ、現在のマリ共和国やジンバブエ付近と考えられる。
ソロモン王が直々にここを訪れたわけではないが、14~15トン相当の黄金とともに白檀の木と宝石がオフィールからソロモンにもたらされたと伝えられる。


■隠れ里
柳田國男の「遠野物語」にも書かれた日本の昔話や伝説に出てくる理想郷の一種。
深い山などに迷い込んだ人がたどり付く場所で、温暖な気候や豪華な家、豊富な農作物や家畜などがある。
しかし迷い込んだ人間が再び訪れようとしても、二度とたどりつけない。東北~関東地方ではマヨイガと称される。


■カナン(Canaan)
旧約聖書で神がアブラハムの子孫(イスラエルの民)に約束したとされるいわゆる「約束の地」。
「乳と蜜の流れる場所」と表現され、「良い地」「主の与えようとしておられる相続の安住地」、「先祖に与えると誓われた地」、
「どの地よりも麗しい地」、「主が絶えず目を留めておられる地」などの別称を持つ。
実際の場所は地中海とヨルダン川や死海に挟まれた地域とされる。


■カリポリス(kallipolis)
古代ギリシアの哲学者であるプラトンによって書かれた「国家」に登場する理想都市の名称。


■キーテジ(Китеж)
ロシア正教古儀式派の中で考えられている伝説上の聖地で、 ニジニ・ノヴゴロド州の北部と推測される。
モンゴル帝国による侵攻から逃れたロシア正教徒により造られ、古いロシア正教の信仰が保たれている。


■幸運の島(Fortunate Isles)
ギリシャ神話に登場するこの島には英雄が住んでおり、あらゆる果物や鳥類が住んでいる楽園とされているが、
海岸には常に怪物の死体が打ち上げられ腐臭に悩まされている。


■シバ国(シバの女王の国)
「サバ」とも表記される。アラビア南西部に位置していたと考えられたが、
現代の研究者たちは女王の国をイエメン(あるいは前述したようにアラビア南西部)であると推定している。
旧約聖書によればシバの女王は約2トンにおよぶ黄金と宝石の山、香辛料(当時非常に高価だった乳香を含む)を携えソロモン王を訪ねたという。
コーランによれば唯一神から素晴らしい果樹園をふたつもらったが、神の怒りにふれ滅亡したとされる。
ある伝承ではシバの女王の名はバルケスまたはベルケイスであったとされる。ちなみに母権社会であった。


■シボラ(Cíbola)
エルドラド(後述)と同様に、16世紀のスペイン人やフランス人の入植者に信じられていた理想郷。新大陸の七つの黄金都市の一つで有ったとされる。
近世以前のヨーロッパでは「金銀島探検」が盛んであり、このような「金島」「銀島」伝説がいくつも作られた。


■ジャンナ(jannah)
イスラムにおける天国で、イスラム教の聖典であるコーランに 「信教を貫いた者だけが死後に永生を得る所」と記される。
イスラムでは楽園と天国がほぼ同一視されており「フィルダウス(パラダイス)」「アドン(エデン)」
「ナイーム(悦楽)」「マアワー(安息所) 」「フルド(永遠)」などがある。


■シャンバラ
インド仏教の経典「時輪(カーラチャクラ)タントラ」に出てくる理想の仏教国。チベット語で「幸福の源」を意味する。
地球内天体≒地底国アルザルに存在する、とも言われている。
ヒトラーはオカルティストとしても知られているが、シャンバラ伝説に並々ならぬ興味を抱いていた。


■仙郷
不老不死の仙人が住むとされている理想郷。中国の道教や仙人思想などで語られている。
秦の戦乱を避けて隠れ住んだ人々が住み、彼らは漢、魏、晋と数百年にわたり外界のことを知らず平和な別天地での生活を営んでいた。


■タモアンチャン(Tamoanchan)
アステカ神話のさまざまな創造説話に登場する伝説上の地名。泉や川や森にあふれ、資源に満ちた楽園であり、神々が人間を創造した土地であり、死亡した乳児の魂の楽園であるともされる。


■ティル・ナ・ノーグ(Tír na n-Óg)
ケルト神話に登場する楽園の一つで「常若(とこわか)の国」 と呼ばれる。
ティル・ナ・ノーグには妖精が棲んでいるほか、生き物の住む島、勝利者たちが住む島、水底の島の3つの島がある。
いくら食べてもなくならない「りんご」、「豚」、飲んでも尽きることのない「エール」があると伝えられる。


■桃源郷
中国の理想郷で道教や仙人思想からできた概念。武陵桃源とも呼ばれる。
詩人の陶淵明が記した「桃花源記 ならびに序」という詩に初めて書かれ、桃の花が咲き乱れ水も田畑も豊かな場所。


■常世の国
古代の日本で侵攻されていた異世界で海の遥か彼方にあるとされる理想郷。
「現世(うつしよ)」に対する「常世」は古代日本での信仰や神道での概念で、訪れたものに富や知識、不老不死をもたらすといわれている。
また、死者の国ともされ死後の世界とも考えられた。
「古事記」「日本書紀」「万葉集」「風土記」などにも記載があり、常世の国に渡った者は若返りや不老不死になるとされている。


■トラロカン(Tlalocan)
古代アステカ文明の雲、雨、稲妻の神であるトラロックの王国が支配していた死後の楽園。
落雷や水害などで死んだ人間の魂を受け入れるとされた。大地の四神の元ネタのひとつ。


■ニライカナイ
沖縄県や奄美群島に伝わっている理想郷。「ニライ」「カナイ」の2文節に分けられるが語源は諸説あり。「儀来河内」と当て字されることもある。
遥か東の海の底に有るとされ、生命の源であり、神の世界であり、死者の魂が戻る場所とされる。
火や稲をはじめ島人の祖先はニライカナイからやってきたと伝えられている。


■ニルヴァーナ(Nirvana)
サンスクリットで「火の吹き消された状態」を指す言葉で、煩悩の火が吹き消された、平安な心の状態を意味する言葉。
つまり「心の状態」を表す言葉であり厳密には特定の「場所」を示す語ではない。
これが音訳されて「涅槃(ねはん)」という言葉のもととなった。


■はいどなん(ハイドゥナン)
沖縄県の与那国島のさらに南方に存在すると伝わる楽園とされる島。
「南与那国島」「大与那国島(うふどなん、うふどぅなん)」などの異名を持つ。


■パイパティローマ
沖縄県の南波照間島の伝説で南方に存在するとされる理想郷。
「パイ」は「南」、「パティローマ」は「波照間」を意味する。
琉球王国時代には重税を逃れて南方の未知の島に船出する話がいくつか存在し、はいどぅなんと共にその行き先とされた。


■パラダイス(Paradise)
英語で楽園や天国を意味する単語。古代イラン語のpaeridaesaあるいはpairidaezaが由来とされ、原義は「周りに土を盛り、壁を作る」。
古代オリエントの宮殿内にあった人口の猟園→庭園、偕楽園→エデンの園と意味が変化していき、paradiseという単語が生まれた。


■ヒュペルボレイオス(Hyperboreios)
ギリシャ神話に出てくる理想郷で、「北風(Boreas)の彼方に(hyper)住む人々」が由来とされる。
彼らはアポロンを崇拝し、病気にならず、労働も必要なく、老年に至ると花冠を頭にいただいて、断崖より海に身を投じた。
この理想郷への入り口を見つけたものは「絶壁に宿る生命」によって抹殺されてしまうという。


■ヒラニヤプラ(アスラの都)
世界3大叙事詩の1つ『マハーバーラタ』や11世紀の説話集『カター・サリット・サーガラ』に記述されている黄金郷。
外界から隔絶され、黄金の蓮華の咲きそろった池や甘露のように甘い果実のなった樹木があり、黄金色や種々の色の翅の鳥が飛び交うという。


■ヘスペリデスの園(Hesperides)
ギリシャ神話に登場する「西の涯の園」。
女神ヘラの宝である黄金のリンゴの木をヘスペリデス(黄昏の乙女たち)と呼ばれるニンフたちとラドンくんが守っている。
ラテン語では「vesper」と表記される。


■蓬莱(ほうらい)
古代中国の仙人思想で出てくる理想郷。某弾幕ゲーで知った人もいるかも。
東方の海の上、霊亀の背にあるとされ、不老不死の仙人が住んでいる。


■マグ・メル/メグ・メル(Mag Mell)
ケルト神話に出てくる死者の国で「楽しき都」「喜びヶ原」とも呼ばれる。
マグ・メルは島もしくは海中にある国で、アイルランドの英雄や修道士が訪れた。
ここでは永遠の若さと美しさを保つことができ、すべての娯楽が集まっている楽園である。


■無何有郷(無何有の郷:むかうのさと)
中国の思想家である荘子の説話に登場する「何も無く自然のままである土地」 を意味する理想郷。


■竜宮城
浦島太郎にでてくる理想郷。浦島太郎が助けた亀の背中に乗って行った乙姫のいる宮。
四方四季という一度に四つの四季が同時に見られる場所である。
裁判が開かれそうになったこともある。


【実在する地名の別称としての「楽園」】

■アルカディア(Arcadia, Arkadia)
ギリシャのペロポネソス半島中央部に実在する地名で、古くから理想郷・牧歌的な楽園・理想的田園の代名詞として使われてきた。
古代ギリシャ時代からアルカディア人が住んでおり、現在ではギリシャ共和国のペロポネソス地方のアルカディア県となっている。
どこぞのレプリロイドが「ネオアルカディア」なるものを建造してしまった。


■エルドラド(El Dorado)
南アメリカのアンデス地方に伝わる黄金郷。スペイン語で「黄金の人」や「金箔を被せた」などの意味がある。
16世紀頃のアンデス地方に存在した『首長が全身に金粉を塗って行う儀式』が元になっているとされ、
この噂を聞きつけた征服者達によって『アマゾンの奥地に存在する黄金郷』を指す言葉となった。
このような黄金郷伝説を真に受けた侵略者たちによって16世紀の新大陸は荒廃したが、
ごく一部の修道士はインディオの救済に苦心し、メキシコでは後述の『ユートピア』を彷彿とさせるサンタ・フェ村が作られ、
少なくとも30年は順調に運営されていたらしい。


■ガンダーラ(Gandhara)
紀元前6世紀~11世紀に実在した古代王国。
ゴダイゴの同名の楽曲の中では「インドにある理想郷」として歌われた。


■コケイン(Cockaigne)
中世フランス語で理想郷を意味する「païs de cocaigne」(満ち足りた土地、飽食の国)。
「トリコ」よろしく食べ物でできた木がにょきにょきと生え、泉からは葡萄酒が湧き、この国の人間は50歳になると10歳まで若返るという。
時代を経て下町ロンドンの別名となった。


■ザナドゥ(Xanadu)
モンゴル帝国のクビライ・ハンが、モンゴル高原南部に設けた夏の都「上都」(ザナドゥ)。
イギリスの詩人サミュエル・テイラー・コールリッジが紹介して以来、幻想的な都市とされ理想郷や桃源郷とも言われる。


■ジパング(Zipangu)
マルコ・ポーロの「東方見聞録で紹介され、大航海時代の火付け役となった東方の島国。
ジパングは『日本国(ジーベングォ)』の音写だとも言われており、東方見聞録において
「中国大陸の東に浮かぶ島国で、莫大な金を産出しており宮殿や民家は黄金でできている。
人々は偶像崇拝をしているが外見がよく礼儀正しい」 と記された。
あと、討ち取った敵将をみんなで食べるとか皮膚の下に石を埋め込んでいて首が斬れないとか


■ワクワク/ワークワーク(Wāqwāq)[[さんをつけろよデコ助野郎>ワクワクさん]]
中世アラブで東の海の果てにあると信じられた黄金郷。日本を指す「倭国」がなまったものとされる。
黄金と黒檀に富み、犬の鎖や猿の首輪、衣服まで黄金でできていたとか。
自生する「ワクワクの木」には人間の顔あるいは女性の形をした実がなったという。
藤崎竜の漫画のタイトルにもなった。



【近年の創作物に登場する楽園】

■イーハトーブ
宮沢賢治の物語などに出てくる理想郷の名前で、エスペラント語風に「岩手」をもじったもの。


■イカリア(Icarie)
フランスの思想家、エティエンヌ・カベーの著作「イカリア旅行記」に登場する理想郷。
後に作者はこの作品で描いた理想社会実現のため渡米し、共産主義的コロニーを建設したが失敗に終わり、失意のうちに帰国した。


■エコトピア
アーネスト・カレンバックが出版した本に出てくる理想郷で環境に影響を与えないエネルギーなどで生活している国。
この本は環境保護運動等に多くの影響を与えたとされている。


■エレホン(Erewhon)
イギリスの作家サミュエル・バトラーのユートピア小説である 「エレホン」に登場する理想郷。
エレホン(Erewhon)は、どこでもないを意味する英単語(Nowhere)を逆から綴ったもの。


■キリンヤガ(Kirinyaga)
アメリカ合衆国のSF作家であるマイク・レズニック書いた「キリンヤガ」に登場する理想郷。
キリンヤガはケニアのキユク族が昔ながらの生活を行うために移住した惑星で作られた。
出ようと思えば1時間で迎えの船が来るらしい。


■シャングリラ(Shangri-La)
イギリスの作家ジェームス・ヒルトンの小説「失われた地平線」に出てくる理想郷。
シャングリラはチベット奥地に有りそこに住むものは非常に長生きをしている。


■スペンソニア(Spensonia)
イギリスの革命家であるトーマス・スペンスが提唱した理想郷。


■テレームの僧院(Abbaye de Thélème)
フランスの作家であるフランソア・ラブレーによって 書かれた「第一の書ガルガンチュア」に登場する理想郷。
「フラン・アルビトル」(自由意志)によって運営され、男女が完全な共同生活を営み(ここ重要)、
「欲するところを行え」を唯一の規則に洗練された心身の快楽を存分に味わうことのできる理想の場所とのこと。


■ヌートピア
ジョン・レノンとオノ・ヨーコによって建国されたとされる国。
ヌートピアはジョン・レノンの曲「イマジン」の内容に基づいている。
国旗は白一色のハンカチ、国歌は6秒間の無音の間に思い思いにヌートピア国民であることをアッピルする、という前衛的なもの。


■ネバーランド
ピーターパンの中に登場する架空の国で、年を取らない子供たちが妖精と共に暮らしている。
マイコォが同名の遊園地を造った。
えっ? 大人になるとSATSUGAIされる?
[[都市伝説ですってば。>サブカルチャーに関する都市伝説]]


■ベンサレム
フランシス・ベーコンの未完作「ニュー・アトランティス」に描かれる学問ユートピア。太平洋上の島に存在するキリスト教国。
「サロモンの家(六日創造学院)」という宗教・学術団体を擁し、非常に高度な文明と科学力を持っている。


■ユートピア(utopia)
イギリスの思想家、トマス・モアが1516年に記した「ユートピア」に登場するびっくりするほど理想社会の国家。
「理想郷」「無何有郷」とも呼ばれ、「人間によって管理された人工的社会」という意味合いを持つ。
οὐ (ou, 無い), τόπος (topos, 場所) =「どこにもない場所」、Eu(美しい)+topia(場所)=「美しい場所」など命名の由来には諸説あり。
この小説がはしりとなり、「ユートピア文学」と呼ばれる作品がいくつも出版された。
原義のユートピアは、健康的な生活を半ば強制されるため、よく考えるとあまり住みたくない気がする…というのが後述のディストピアに繋がった。


[[□逆ユートピア(ディストピア) >ディストピア]]


一見すると平穏で秩序正しい理想的な社会であるが、徹底的な管理により人間の自由が奪われた逆向きのユートピア。
ジュール・ヴェルヌ『二十世紀のパリ』
H・G・ウェルズ『タイム・マシン』
H・G・ウェルズ『モダン・ユートピア』
エヴゲーニイ・ザミャーチンの『われら』
オルダス・ハックスレーの『すばらしい新世界』
ジョージ・オーウェルの『1984年』
エルンスト・ユンガーの『ヘリオーポリス』
レイ・ブラッドベリの『華氏451度』
星新一の『白い服の男』
上記の作品ではユートピア文学で賛辞された全体主義や管理社会に対する恐怖や痛烈な批判が描かれた。





楽園はわれわれひとりひとりのうちにあるのです。
 『カラマーゾフの兄弟』より


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この項目が面白かったなら……\ユートピア/
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  • どれもこれもサブカル系で聞き覚えのある名前ばかりだwそういや、最近のディズニー映画に『ズートピア』ってのがあったね。 -- 名無しさん (2016-04-08 18:08:52)
  • 甲洋の家 -- 名無しさん (2016-04-08 18:33:05)
  • りんごは黙ってろ -- 名無しさん (2016-04-08 18:42:10)
  • ↑2 先に言われた!ww -- 名無しさん (2016-04-08 18:44:22)
  • ヌードピアは無いのか -- 名無しさん (2016-04-08 18:47:29)
  • 快楽天… -- 名無しさん (2016-04-08 18:53:50)
  • ↑4 ル・ラーダ・フォルオル! -- 名無しさん (2016-04-08 19:16:19)
  • 楽園だって?そんなの、竜宮島に決まってるじゃないか! -- 名無しさん (2016-04-08 20:21:35)
  • ぱらいそさいくだ! -- 名無しさん (2016-04-08 20:44:14)
  • 近年のだと幻想郷とか万仙陣とか? -- 名無しさん (2016-04-09 06:51:44)
  • メンソールのタバコ持って小さな荷物で~♪ -- 名無しさん (2016-04-09 06:58:01)
  • ココアソーダクエン酸 -- 名無しさん (2016-04-09 23:01:48)
  • 扶桑ってこれかな? -- 名無しさん (2016-04-10 00:17:44)
  • \ユートピア/ -- 名無しさん (2016-04-11 10:31:50)
  • 随分勉強したな…まるで楽園博士だ -- 名無しさん (2016-04-13 14:29:48)
  • 『タイム・マシン』や『すばらしい新世界』は、ディストピアな筈なのに思わず住んでみたい気になる、という感想をちょくちょく見かける。『SIREN』で「屍人になる方が幸せじゃね?」という話に近いか。 -- 名無しさん (2016-10-03 14:50:28)
  • 「逃げ出した先に 楽園なんてありゃしねえのさ 辿り着いた先 そこにあるのは やっぱり戦場だけだ」 -- 名無しさん (2016-10-03 15:20:29)
  • キリンヤガは作中ではっきりと失敗したんだよなあ -- 名無しさん (2018-01-20 05:16:36)
  • プラトンの「国家」も広義ではそうだな。 -- 名無しさん (2018-08-14 12:48:20)
  • ♪私のそばで~見守ってください~♪(牛角のポーズ) -- 名無しさん (2018-12-05 00:29:10)
  • 全体的にあの世や天国を兼ねている所が多いだね -- 名無しさん (2020-01-18 20:06:39)
  • 良し悪しを欧米諸国や中露を自民党統治下の日本は民主主義国家としてはこれなのがなんとも -- 名無しさん (2022-08-10 23:43:23)
  • ねえぱぱ -- 名無しさん (2022-08-11 22:45:06)
  • 嘘喰いで御屋形様がウートポス(存在しない場所)って言ってたけど元ネタあるのかな -- 名無しさん (2022-12-09 21:41:07)
  • どこかの学者が、欧米人にとって楽園とは「時間的に」隔たっている(ゴールデンエイジという言葉)、東洋人にとっては「距離的・物理的に」隔たっている(黄金郷)、と文化の違いを説明していたのが印象深い -- 名無しさん (2023-11-23 15:14:01)

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