登録日:2020/07/13 Mon 17:51:21
更新日:2024/05/20 Mon 11:18:37NEW!
所要時間:約 5 分で読めます
▽タグ一覧
北海道 コンビニ 酒 カツ丼 セイコーマート インフラ 美味しい 企業 会社 最古参 セコマ ホットシェフ ライフライン 独自路線
おにぎりは温めますか?
セイコーマートとは、北海道を中心に展開するコンビニエンスストアっぽくないコンビニエンスストア、
そして北海道のライフラインである。愛称は「セコマ」(本項目では以下この呼び方を用いることにする)、「セイコマ」など。
なぜ「コンビニエンスストアっぽくない」のかは後述。
「そういえば北海道以外だと全然見たこと無いけど?」という人もいるだろう。
それもそのはず、セコマの全店舗数の9割以上が北海道で展開されており、残りの1割未満も埼玉県と茨城県にしか無いから。
北海道では店舗数1位を誇るセコマだが、最近セブン・イレブンが数で追いつきつつある。
ただ、他のコンビニチェーンが都市部を中心に展開するのに対して、セコマは2021年12月現在、179市町村中175市町村と「北海道を制覇してみせる」といわんばかりの展開を進めている。
「北海道のライフライン」という表現は比喩でも誇張ではなく、スーパーマーケットも出店しないほどの僻地にもセコマは進出することから、地元住民にとってはとてもありがたい、そして不可欠な存在となっている。
「スーパーや他のコンビニはおろか個人商店もまともに無い、けどセコマなら」という市町村さえある。
そういう経緯もあってか、コンビニチェーンの顧客満足度では、2016年から1位を獲り続けている。
しかも2019年は2位のセブン・イレブンを大きく引き離している。
また、地味ながら現存するコンビニチェーンでは最古参でもあり、これはセブン・イレブン上陸より3年早い。
(日本初のコンビニはココストアだが、現在はファミリーマートに吸収されている。)
「コンビニエンスストアっぽくない」コンビニエンスストア~どこがどう「っぽくない」のか?
さて、先にも書いた通り、セコマは一般の思うコンビニエンスストアとはかなり異なる商売をし独自路線を行っている。
そもそもセコマは元は酒屋から出発したというのもあってか、コンビニと銘打ってはいるが、
その実はコンビニでありがちなあれこれをしていないのである。
- 24時間営業していないのが基本
コンビニエンスストアと言えば24時間営業をやっているイメージが強いとは思うが、セコマで24時間営業をしているところは少数派。
大体が24時まで、長くて25時で閉まる。僻地だと23時で店じまいする店舗も少なくない。札幌など大都市圏でも24時間営業をしている店舗は非常に少ない。
なぜ多いかというと、主にコストの問題から。
深夜労働は人員がさらに必要なうえ、22時から6時までは夜間勤務手当として、通常の賃金よりも25%以上上げる必要がある。
また、僻地にも出店していることで、地元の人からはスーパーの代わり扱いされているので、わざわざ深夜営業までするメリットが存在しないのだ。
最近は「働き方改革」などの影響で24時間営業主義が問題視される中、元々24時間営業がデフォではない、どころか元日でも休むようになったセコマにとってはほぼ無縁の話だろう。
- 直営が大多数、ロイヤリティもあまり取らない
セブン・イレブン、ローソン、ファミリーマートの直営率は3%にも満たないが、セコマの直営率は80%で、フランチャイズの方が少ないのである。
元々はセコマもフランチャイズが主流だったが、オーナーの高齢化を問題視し、現在ではむしろ直営化を進めている。
そしてフランチャイズでも、ロイヤリティが他の大手だと60%くらいなのに対して、セコマはたったの10%。
これもまた、直営が多い故にできることだろう。
- ドミナント(集中出店)を否定
セブン・イレブンのすぐ近くにセブン・イレブンが、ローソンのすぐ近くにローソンが……などと、
狭い範囲で同じ会社の店をいくつも出店する、これがドミナントである。
だがセコマはこの戦略を真っ向から否定している。
「セコマが既にある場所から半径150m以内に別のセコマの店舗は置かない」主義ということ。
- 僻地だろうが需要があるなら出店する
直営化によって、フランチャイズではやりにくい、僻地への出店を比較的容易にしている。
僻地と言っても人口の少ない村のような所ばかりではなく、人口こそそれなりにいるが立地が悪く物流上の問題が多い地域なども含まれる。
分かりやすいのが稚内市で、人口は3万人程度と道内の自治体としてはそれなりに多い方ではある。
が、ご存知の通り日本の北端に位置する自治体なので物流上の効率が悪く、チェーン店は軒並み出店を諦めている。
そんな中でセコマは市内各所に店舗を展開しており、例えば稚内駅にもコンビニが併設されているが勿論セコマ。
このように稚内市内にあるコンビニは全てセコマという状態が長らく続いていた……しかし2023年8月、そんなセコマの牙城にローソンが2店舗を新規オープンさせて殴り込みをかけてきた。
最北端の地のコンビニ戦争、今後果たしてどうなるのか!?
- コンビニなのに折込チラシ
今では折込チラシを入れるコンビニも増えてはきたが、セコマのチラシは最早スーパーマーケットのそれである。
様々な特売の情報やクーポンまであるので、北海道に滞在するなら、是非見てみるといいだろう。
大手コンビニチェーンではおでんだったり肉まんだったりを置いていたりするものだが、
セコマではまずその光景は見かけない。
これは「大手でできることはやらず、大手でできないことをやっていく」と語る代表取締役社長の意向である。
そして、その「大手ではやらないこと」の代表が……
- ホットシェフ
このホットシェフである。
セコマのホットシェフは弁当や総菜などを店内で調理しているため、作りたての味を楽しむことができる。
特に人気なのはカツ丼で、あのフワフワした甘い卵とじとジューシーで柔らかい豚肉の食感は、食べた人を間違いなく虜にするだろう。
他にも豚丼や回鍋肉丼、フライドチキン、フライドポテトやおにぎりなどもかなり人気がある。
そしてこのホットシェフ、なんとガス調理である。
このため、2018年で起きた北海道胆振東部地震による大規模停電(ブラックアウト)が発生した際も、ほとんど平常運転で営業できた。当時勤務されていた店員の皆さま、大変な中本当に、本当にありがとうございました。
ただし、ホットシェフが名物とはいえ店内キッチンがあるのは実は全店舗中だいたい半数程度なので、セコマを見つけたときは「HOT CHEF」の表示もあるか確認しよう。
- 豊富なプライベートブランド
惣菜や牛乳はもちろん即席麺、冷凍食品、果てはトイレットペーパーまでプライベートブランドを扱っている。
特に小皿に載せるような惣菜は、100円ちょっとという安価で販売されている。
種類も多く、他のコンビニには無い明確な強みである。
物価の比較的安い北海道からしても、この値段はかなり安い。
なぜ安いかというと、セコマで扱われるプライベートブランドは、自社の工場で生産されているのはもちろんのこと、卵は農家との専属契約、野菜に至っては一部を自社で栽培するという、生産から販売までを徹底して管理しているため、あの値段が実現できているというわけ。
- 豊富すぎる酒の取り扱い
前述の通り元が酒屋なだけあり、さらに直営店の多さもあってか、酒を扱う店舗が非常に多い。
そしてただ何種類か片手間に置いているとかいうレベルではなく、種類も滅茶苦茶多いし、値段もリーズナブルで味も良いので、大人になって北海道に来たらセコマで酒を買うのも悪くない。ハスカップサワーはおいしい。
こんなに人気ならなぜ全国展開しないのかと思う人もいるだろう。
しかし、道外では苦戦しているのが現状。
実際、かつては兵庫県にもあったが既に撤退している。埼玉県と茨城県に少しだけあるのは、ものすごくざっくり言うとフランチャイズの関係(詳しくはググってね)。
この原因は、先ほども言ったようにサービスを自社で賄っている部分が多すぎるので、全国展開してしまうと、その質が確保しきれないという側面がある。
セコマの人気と信頼は、地元に密着し、ライフラインとしての役割を担っているからこそ。
追記・修正はホットシェフのカツ丼を食べたことがある人にお願いします。
[#include(name=テンプレ2)]
この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,10)
[#include(name=テンプレ3)]
▷ コメント欄
- 大手のような多店舗24時間主義ではなく、質や客の満足度を維持しながらも従業員への負担、利益を維持できる立地の距離感なんかのようにきちんと合理的に考えながら運営してるのがわかる -- 名無しさん (2020-07-13 18:01:21)
- 礼文島で働いたとき、本当にお世話になりました。 -- 名無しさん (2020-07-13 18:06:41)
- ウトロでもお世話になりました。 -- 名無しさん (2020-07-13 18:37:37)
- ここのカツ丼は、本当に絶品。下手な定食屋なんかのよりも、食べ応えがある。 -- 名無しさん (2020-07-13 19:37:19)
- カップの冷やしラーメンがテラうまし -- 名無しさん (2020-07-13 19:58:44)
- 茨城県内を仕事で動き回る自分にとっての生命線 -- 名無しさん (2020-07-13 20:06:21)
- セイコーマート行ってみたくなった -- 名無しさん (2020-07-13 20:27:41)
- 昔近所にあったは懐かしい、昨今のコンビニ事情見てると未来見てたんだなと -- 名無しさん (2020-07-13 20:59:16)
- ↑5 本当異常な美味さ。セイコマのかつ丼の味を知っているから外食のハードルがかなり自分の中で上がってる気がする -- 名無しさん (2020-07-13 21:08:04)
- そんなにカツ丼旨いのか北海道行く機会があれば食べてみたいな -- 名無しさん (2020-07-13 21:20:24)
- レジ袋が無料のままなのもありがたい いや値段どうこうよりも「袋つけますか?」のやり取りが不要なのが -- 名無しさん (2020-07-13 21:45:37)
- 北海道物産展で出店してたことがあったけど、ここのクロワッサン、とても美味かったなあ…またいつか食べたい。コロナ騒ぎが落ち着いたら北海道行きたい… -- 名無しさん (2020-07-13 21:52:53)
- 昔鳥取にもあったような… -- 名無しさん (2020-07-13 21:54:14)
- 評判に違わない美味しさのカツ丼だった。都民だけど埼玉までこのためだけに行った甲斐があったよ -- 名無しさん (2020-07-13 23:02:39)
- ホットシェフではなにげにチキンがうまい。他のコンビニチキンとそもそも別種みたいな感じで固有の旨さがある -- 名無しさん (2020-07-14 00:21:24)
- ドミナント否定というところが素晴らしいな。コンビニがアブラムシみたいにあちこちにある光景は不快でしかない。仲間同士の潰しあいなんて見たくもないんだよ -- 名無しさん (2020-07-14 01:12:53)
- スーパーマーケットで全国展開出来てるのはイオンくらいで、諸々の事情で地域性が高いけど、まさにここがコンビニではなくスーパーなのだと認識するような記事。興味が出た。 -- 名無しさん (2020-07-14 03:27:34)
- 酒が色々あって良かった。ただ、1度目入った所が床がやたら油でベタベタしてて、2度目行くのに勇気が必要だった記憶 -- 名無しさん (2020-07-14 07:16:19)
- ローソンとかよりもちょっと安く手に入ったりもするのが良いぞ。道民御用達だ。 -- 名無しさん (2020-07-14 12:34:46)
- あ -- 卵と牛乳はセール狙えばスーパーより安い (2020-07-14 13:54:02)
- すき焼きとカレーの食材は、全部セコマで調達できるな。 -- 名無しさん (2020-07-15 13:05:05)
- 道民ではないが…。土地柄なのか1店舗が広々してるのもいいよね。売り物も幅広いし。利益を上げられるのも土地代が安い(場合によっては自治体とも協力して出店するとか)っていうのもあるみたいだし。 -- 名無しさん (2020-07-15 13:26:29)
- 『道産子ギャルはなまらめんこい』で知った -- 名無しさん (2020-07-15 13:42:23)
- 茨城に転勤してきて知った。豚丼も美味しくて好きなので再び転勤になるの嫌だなあ -- 名無しさん (2020-08-08 03:47:27)
- 他のコンビニチェーンにとっては加盟店は集金装置でしかないから、加盟店を潰しかねないドミナントのような愚行をするが、ここはそうじゃない。故にオーナー、顧客からの満足度が高い。まさに理想的な企業 -- 名無しさん (2020-08-08 04:37:38)
- 地域に密着して成功した典型的な企業のお手本みたいな所。ジュースも安いし -- 名無しさん (2021-05-31 05:50:07)
- 道民の生命維持装置。 -- 名無しさん (2021-12-15 22:11:13)
- 最近だと一部の関東圏のウエルシア(ドラッグストア)とかでもここのブランドの乳製品や惣菜を扱うのが増えたから、埼玉・茨城民以外も手に入れやすくなったと思う -- 名無しさん (2022-11-20 18:43:27)
- 冷やしクリームパンなるもんを発売 -- 名無しさん (2023-07-04 14:24:13)
#comment(striction)
コメント
最新を表示する
NG表示方式
NGID一覧