かつて人は、弱い存在であった。
神々が邪悪な龍から人々を解放して後、神々は人に様々な贈り物を与えた。
神々の与えしひとつ目の贈り物は、「魔術の火」である。
これによって人々ははじめて、自らを守る力を手に入れたのである。
炎の神エンデルクスは人に荒れ狂う炎を従える術を教え、敵を打ち倒す牙として勇敢なる者を作り給うた。
慈雨の女神ウェルテミスは人に秘められた力を引き出す術を教え、身を守る知恵として賢き者を作り給うた。
太陽の神セルモンテスは人の苦しみを取り除く術を教え、痛みを癒す薬として優しき者を作り給うた。
そして静寂の神サンダルカスは人の欲を満たす術を教え、さらに求める貪欲なる者を作り給うた。
三柱の作り給うた者たちは美しきものを心に宿したが、静寂の神の作り給うた者は心に黒き光を灯した。
静寂の神の教えは安らかなる眠りを妨げる忌むべき力として広まり、心邪なる者たちはこの力を欲した。
これに神々は眉をひそめたが、後に来る知恵ある龍との戦ではサンダルカスの広めた術は大いなる力となり人々と神々を助けた。
この事実により、サンダルカスの行いはカルザミスに許されたという。
神々の与えしふたつ目の贈り物は「言葉」である。
これによって人々ははじめて互いの意思を伝えあい、神々の恵みを後の世に伝える術を手に入れたのである。
また、言葉を形に残す術として、神々の使う文字を人々に分け与えられた。
ウェルテミスとセルモンテスはあまねく世界を駆け巡り、人々に言葉を教え、文字を伝えられた。
そのため、この世界で用いされている言語や文字は、多少の変化こそあれどほぼ共通のものなのである。
神々の与えしみっつ目の贈り物は「友」である。
カルザミスはサンダルカスに、世界に広く人の種を広めるように命じられた。
サンダルカスは海にマーフォークを、山にサンドフォークとドワーフを、森にエルフとツリーフォークを、そして地にノームとゴブリンを作り給い、世を人の友で満たすこととした。
しかしサンダルカスはそれぞれの姿を作る際、人の姿をいい加減に真似てしまったため、人類はヒュームに似たものとそうでないものができてしまった。
また、最後に作られたゴブリンは、ほかの友を作った余りを捏ね合わせて作り上げたため、神々の与えた美徳を持っていないのだという。
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